総合化学大手 4-9月期業績、各社利益が伸長

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2021年11月17日

販売数量増と市況上昇が要因、ROSも大幅改善

 総合化学大手5社(三菱ケミカルホールディングス、住友化学、三井化学、旭化成、東ソー)の上期(4-9月期)業績は、コロナ禍で厳しい状況となった昨年同期に比べ、大幅に利益が伸長した。 

 昨年度後半からの自動車生産の回復や巣ごもり需要が拡大したことで、各製品の出荷が好調となったことが背景にある。特に、ボラティリティが高いとされる素材セグメントの利益が大きく伸長したことで、各社のROS(売上高利益率)の改善につながった。

 各社の利益を見ると、コア営業利益(IFRS)では、三菱ケミHDは前年同期比186%増の1561億円、住友化学は同178・4%増の1489億円、三井化学は同408%増の943億円となり、営業利益では旭化成が同47%増の1131億円、東ソーが同270%増の653億円と、揃って大幅な増益となっている。

 中でも石化事業は、

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出光興産 カーボンニュートラル海上輸送を実施、グループ初

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2021年11月16日

出光興産はこのほど、原油の海上輸送中の燃料消費に伴うCO2排出量削減を目的に、グループ初の試みとしてカーボンクレジットを活用した日本中東間の原油海上輸送を行ったと発表した。

カーボンニュートラル海上輸送を実施したVLCC「日章丸」

 低炭素化・脱炭素化に取り組む顧客ニーズに応えるための先行事例として行った今回の取り組みでは、100%出資子会社である出光タンカー所有の大型原油タンカー(VLCC)「日章丸」(載貨重量:約30万t)の日本と中東との往復の海上輸送に、カーボンクレジットの環境価値を活用することで、理論上同区間航海一回分に相当する約1万トンのCO2排出量の相殺(オフセット)を実現した。

 今回活用したカーボンクレジットはVCM(Voluntary Carbon Markets)にて、信頼性の高い第三者検証機関が世界各地のプロジェクトのCO2排出削減効果を認証したもの。出光興産のシンガポールのトレーディング拠点である出光アジアが、クレジットを市場で独自に購入した。

 出光興産と出光タンカーは今後も、カーボンクレジットを活用したオフセットを含め、さまざまな手法を用いてカーボンニュートラルに貢献する海上輸送サービスを提供していく。また、出光グループは、カーボンクレジットの有効性を精査した上で、カーボンニュートラル関連の取り組みをもとにしたクレジット創出や、国内外で販売する各種製品とカーボンクレジットを組み合わせ、顧客や社会の環境負荷低減のニーズに応える新たな商品展開・販売を検討していく。

エレファンテック 常勤監査役に元TFLの野田氏が就任

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2021年11月16日

 エレファンテックは15日、常勤監査役(外部)に元トヨタフリートリース(TFL、現トヨタモビリティサービス)取締役・常勤監査役の野田一彦氏が11月4日付で就任したと発表した。

 野田氏は、独立した客観的な立場から取締役の職務執行を監査することで、不祥事などを防止するとともに、企業の健全で持続的な成長を確保し、社会的信頼に応える良質なガバナンス体制の確立に携わる。また、そのキャリアを生かし、エレファンテックの事業拡大などへの貢献が期待されている。

 野田氏は1980年にトヨタ自動車販売(限トヨタ自動車)に入社。豊田通商などを経て、2011年にTFLに出向。同社の取締役、常勤監査役などを歴任した。

旭化成ネットワークスとNEC 延岡データセンターにローカル5Gネットワーク基盤を構築

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2021年11月16日

 旭化成ネットワークスと日本電気(NEC)は15日、旭化成ネットワークスが宮崎県延岡市で運営するデータセンター(DC)にて、スタンドアローン(SA)方式・Sub-6帯無線周波数のローカル5Gを活用した最先端の無線ネットワーク基盤の構築を開始したと発表した。

延岡データセンターサービスと各種IoTサービスを接続するネットワーク基盤

 旭化成ネットワークスは、自社のDC事業の付加価値向上・サービス強化に加え、旭化成グループでのスマートファクトリー化推進、地域製造業のスマート化、周辺自治体と連携し住民に向けた行政サービスのDX化、その他地域課題解決を見据えて、今年8月にノン・スタンドアローン(NSA)方式・28G㎐帯無線周波数での免許を取得し、実証実験を進めている。

 一般的に、SA・NSAそれぞれの方式で使用される無線周波数帯の特性上、その性能には長所・短所があり、用途による使い分けが必要とされる。旭化成ネットワークスでは実証実験を通じ、各方式・各無線周波数帯の性能の比較や、運用・マネージメント方式の確認を行い、それぞれの方式の特性、効果的な利用用途の検証を行う。実証実験で得られるノウハウを基に、最終的にはそれぞれの周波数帯でのサービス、利用方法のすみわけを行い、早期に具体的なDC事業のサービス形態の確立を進め、将来のスマートファクトリーへの展開などに向けたノウハウの蓄積につなげる。

 一方、NECは、ローカル5Gネットワークに必要な機器や運用保守サービスをトータルで提供する「ローカル5Gマネージドサービス」を同基盤に提供。また、ネットワーク利用のユースケースとして音声で作業手順を指示して実績入力できる人作業ナビや、電波を使って情報を非接触で読み書きするRFIDを利用した通い容器管理といったアプリケーションなどと組み合わせたシステムの提供も予定している。これにより、比較的難易度が高いとされる製造現場活動のデジタル化に貢献する。

 旭化成グループは、中期経営計画の中で、DXの推進を事業高度化のためのアクションの1つに掲げ、研究開発・生産・品質管理・設備保全・営業・マーケティング・事業戦略・新事業創出など、幅広い範囲でDXに取り組んでいる。DX推進に必要となるローカル5Gについては自社での利活用だけでなく、関連機器に使用される機能樹脂や半導体向けの材料など、グループの幅広い製品群・技術でその普及を後押ししていく。

積水化学工業 サステナビリティ貢献製品で社会課題解決

2021年11月15日

資源循環方針を策定、BR技術の社会実装に注力

 積水化学工業は11日、「積水グループの製品・技術を通じた社会課題解決について」をテーマに、オンラインによる記者会見を開催した。

 同社は長期ビジョン「ビジョン2030」の中で、ESG経営を中心においた革新と創造で社会課題解決への貢献を拡大し、2030年に業容倍増(売上高2兆円、営業利益率10%以上)を掲げる。

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【カーボンニュートラル特集】経済産業省

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2021年11月12日

製造産業局素材産業課長 吉村 一元氏

重要分野の実行計画を策定、基金造成し革新技術の開発支援

吉村 一元課長

 ━2050のカーボンニュートラル(CN)に向け、「グリーン成長戦略」を策定されました。どのような取り組みになりますか。

 日本は、2020年10月に2050年CNを目指すことを宣言したが、並大抵の努力では実現できない。そのためには、エネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取り組みを大きく加速することが必要になる。これを踏まえ、経済産業省が中心となり、関係省庁と連携して2020年12月にグリーン成長戦略を策定し、2021年6月にはさらなる具体化のため、これを改定した。

 グリーン成長戦略では、産業政策・エネルギー政策の両面から、成長が期待される14の重要分野について実行計画を策定し、国として高い目標を掲げ、可能な限り、具体的な見通しを示している。特に「カーボンリサイクル・マテリアル産業」分野では、CN社会を実現するためのキーテクノロジーであるカーボンリサイクル技術の開発と社会実装を進め、CO2を資源として有効活用することが求められる。

 また、社会の基盤となる製品の材料を供給するマテリアル産業は、

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【カーボンニュートラル特集】三菱ケミカル

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2021年11月12日

サーキュラーエコノミー推進本部長 馬渡 謙一郎氏

GHG削減目標は実効性重視、社内横断的取り組みを推進

  三菱ケミカルホールディングス(MCHC)は、人、社会そして地球の心地よさが続く「KAITEKI」の実現を目指している。2050年のあるべき姿を掲げ、そこからバックキャストし策定した「KAITEKI VISION 30(KV30)」を昨年2月に発表。さらにKV30に基づいた新中計「APTSIS25」を今年度スタートさせ、目指す姿の1つとして最適化された循環型社会の構築を掲げている。

 先日、2050年のカーボンニュートラル(CN)実現に向けた、MCHCグループの方針、および2030年度のGHG排出削減目標を表明。それに合わせるかたちで、中核事業会社である三菱ケミカル(MCC)は、それらを実現するための方策を打ち出している。MCCで、社内横断的にサーキュラーエコノミー(CE)の構築に取り組む、CE推進本部の馬渡謙一郎本部長に話を聞いた。

馬渡 謙一郎本部長

 ━CNを宣言した経緯をお聞かせください。

 昨年10月に日本としてCNの目標設定がされ、今年4月には2030年度のGHG排出削減目標が引き上げられた。こうした中、MCHCグループとして、どういった目標設定をすべきかについて経営陣が議論を重ねてきた結果、

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【カーボンニュートラル特集】三井化学

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2021年11月12日

理事・ESG推進室長 右田 健氏

サーキュラー型ビジネスモデルを確立、チェーン全体で進める

右田 健理事・ESG推進室長

  ━カーボンニュートラル(CN)の基本戦略をお聞かせください。

 我々の2050年に向けたCN戦略は、大きく分けると2本柱で考えている。1つは自社のGHG(温室効果ガス)排出量を削減するスコープ1、2の取り組みになる。例えば、当社の2013年度の排出量は615万tと非常に多い。原燃料の低炭素化や製造設備などの省エネ化を図り、再生可能エネルギーを活用していくことで、生産拠点を中心に、2030年度には対2013年度比で40%削減していく。

 さらに、これらの施策に加え、新技術の導入や事業ポートフォリオの転換を行い、2050年度には80%以上の削減率を目指していく。残りの20%程度については、他社やアカデミア、自治体などと協力しながら、CCUS(CO2回収・利用・貯留)といったカーボンネガティブ施策を進めていく。

 もう1つは、

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【カーボンニュートラル特集】BASFジャパン

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2021年11月12日

経営推進本部 入江 剛氏

省エネ・再エネ・リサイクルで、資源消費型成長から脱却

  世界最大の化学メーカーであるBASFは、サステナブル経営でも先行している。1994年にサステナビリティへのコミットを発表し、世界の240を超える生産サイトでCO2の排出削減を進め、2018年には45%減(1990年比)を達成。さらに、2050年のネット・ゼロ、2030年の25%削減目標(2018年比)を表明した。将来のグリーン社会を見据え、風力発電への先行投資やスチームクラッカーの電化など、革新的な取り組みを進めている。カーボンニュートラル(CN)に対する方針や取り組み、また日本の課題などについて、事業推進室兼サステナビリティ推進室の入江剛シニアマネジャーに話を聞いた。

入江 剛シニアマネジャー

 ━BASFの経営理念とサステナビリティについて。

 当社は、サステナビリティが経営の根幹にあり、企業目的に「持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくる」を掲げて事業を展開している。化学こそが、

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【カーボンニュートラル特集】出光興産

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2021年11月12日

技術・CNX戦略部 大沼安志氏 /片桐絢也氏

炭素循環社会に向けて、事業ポートフォリオを大幅転換

 脱炭素社会・循環型経済へのシフトが進む中、石油会社はどのように対応して生き残りを図っていくのか、またエネルギーや原料の安定供給の責任をどう果たしていくのか、が問われている。

 出光興産は、カーボンニュートラル(CN)を実現させるため、今年5月に「CNXセンター」構想を発表。製油所・事業所を低炭素エネルギーの供給拠点へと進化させていく方針を示した。その背景と全体像、各種施策や課題、提言について、今年7月に発足したCNX戦略室の資源循環事業推進グループリーダー大沼安志氏と、水素・アンモニア事業推進グループリーダー片桐絢也氏に話を聞いた。

 ━CNXセンター構想を打ち出した背景について。

大沼 安志グループリーダー

 大沼 当社は、2050年のエネルギー事業の環境について、4つのシナリオを描いていたが、コロナ禍により世界の脱炭素化が加速したことで、化石燃料の需要の見通しを「劇的な需要減少」に引き下げた。その前提の下、現在、主要な収益源である化石燃料・基礎化学品から低炭素・資源循環エネルギー、先進マテリアル等の高付加価値製品への収益構造の転換を打ち出し、そのための戦略づくりに取り組んでいる。特に、CO2排出削減のカギとなる製油所については、検討を重ねた結果、「CNX(カーボンニュートラル・トランスフォーメンション)センター」へと進化させる構想を掲げた。

 これまでコンビナートでは原油から燃料油と基礎化学品を製造していたが、既存のアセットを活用しながら、原料を合成エタノールや廃食油などの低炭素原料へ置き換え、水素やアンモニアを発電燃料にしていく絵を描いている。

 それにとどまらず、廃プラを油化して化学品原料にすることや、地域の焼却センターから熱源を誘導することも視野に入れ、さらにサーキュラービジネスとして、カルシムを多く含む産廃物とCO2を炭酸塩化し高機能材料の原料として活用することや、太陽光パネルやLi電池などの先端材料のリサイクルも手掛けていく。

 このように、製油所の敷地とアセット、ノウハウを総合的に最大限活用し、低炭素のエネルギー・素材を供給する事業モデルに変えることが「CNXセンター」のコンセプトだ。

 ━これらの取り組みは、全製油所に導入していきますか。

片桐 絢也グループリーダー

 片桐 すべての取り組みを、1カ所に集約したり7カ所すべてに導入するということは考えていない。それぞれの製油所の特性を生かし、その地域に適した取り組みを進めていくことになる。

 例えば、今年6月に発表したが、アンモニアでは徳山事業所の既存設備を活用したサプライチェーン構築の共同検討をIHIと開始した。これは同地域にアンモニア需要が見込めることが背景にある。他のバイオマス、水素、合成燃料などについても、地域によって取り組み方に違いがあると見ている。

 ━新たに発足した技術・CNX戦略部の役割について。

 大沼 技術・CNX戦略部(CNX戦略室)は、CNXセンターを実現していくことがミッションになる。これまで高機能材等に対する技術立脚型の事業企画やオープンイノベーションに取り組んでいた技術戦略室に、

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