日本触媒 高速で高密度な蓄熱デバイス、共同開発を推進

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2021年1月13日

 日本触媒は12日、北海道大学、産業技術総合研究所と共に、NEDOエネルギー・環境新技術先導研究プログラムについて「合金系潜熱蓄熱マイクロカプセルを基盤とした高速かつ高密度な蓄熱技術の研究開発」事業を受託したと発表した。

合金系潜熱蓄熱マイクロプセル「h-MEPCM」
合金系潜熱蓄熱マイクロプセル「h-MEPCM」

 地球温暖化防止に向けて再生可能エネルギーの活用が進みつつあるが、条件によって変動するため、蓄エネルギー技術を併用する必要がある。蓄熱は蓄電池と比べ安価であるが、熱の発生する時間や場所が必ずしも需要と一致しないため、現状では大量の余剰熱が廃棄されている。蓄熱技術を用いることで、余剰熱を再利用し大幅な省エネにつなげることが可能となる。

 今回の事業では、同大・能村准教授の開発した合金系潜熱蓄熱マイクロカプセル(h-MEPCM)を同社の触媒製造技術により成型体に加工。同大ではこの成型体を使ったプロトタイプモジュールの諸物性を評価し、産総研ではデータを基にシミュレーションモデルの構築と応用モジュールの作成を行う。これにより、蓄熱成型体のデバイスとしての性能を取得し、応用展開を促進する計画だ。

 h-MEPCMは金属の核をセラミックス(アルミナ)の殻で封じた粒子径30㎛前後の粒子で、核の金属が600℃付近で溶解することにより潜熱として熱を蓄える。高い基礎的熱特性をもつが、実用に向けては粉体を適切な形に成型することが求められていた。

 同社は蓄積したノウハウを活用して、種々のサイズのペレット、リング、ハニカムなどの形状をもつh-MEPCM成型体を作成。これにより実用モデルでの諸物性の評価が可能となるため、蓄熱密度、伝熱特性などの基礎物性の取得に加え、出力特性、繰り返し耐久性など使用形態での熱特性の測定を行い、具体的性能を示す。さらに、社会実装を促進するため、想定する用途でのシミュレーションを行い、炭酸ガス抑制効果やコスト削減効果など、既存技術に対する優位性も示していく。

 同事業の展開先として、高温産業炉の省エネ技術リジェネバーナーでの利用や電炉排熱の再利用、コジェネレーションの熱電需給調整、EVの暖房用蓄熱などの省エネ用途に加え、再生エネとの組み合わせでは24時間安定発電も可能な集光型太陽熱発電(CSP)、石炭火力の燃焼器を蓄熱体で置き換えた蓄熱発電などの再生エネ安定利用などを想定している。

 

合成ゴム 10月の出荷量は13カ月ぶりにプラス

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2021年1月13日

SBRなど各品目が改善、対面業界の需要が回復

 合成ゴム工業会がこのほど発表した生産・出荷・在庫実績によると、10月の合成ゴムの出荷量は前年同月比3.2%増の11万8200tだった。13カ月ぶりにプラスに転じている。前月比で見ても5カ月連続でプラス、2カ月連続で11万t台となっている。

 10月を品目別に見ると、 “合成ゴム 10月の出荷量は13カ月ぶりにプラス” の続きを読む

《化学企業トップ年頭所感》クラレ 川原仁社長

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2021年1月12日

 新型コロナウイルス感染拡大の世界経済への影響は今後もしばらくは続くと想定され、今年後半からの回復を期待する予測もあるが、まだ先行きは不透明といえる。移動や交流が制限される中ではあるが、できないことを嘆くのではなく、それらを解決する適切な手段を見出だし、どうすれば新しい形や方法で目的を達成できるかを考え、実践することが求められている。グループ社員の力を合わせて、難局を乗り越えていきたい。

川原社長
川原社長

 2021年度は、当社が2026年に迎える創立100周年に向けて、2022年度から始まる次の中期経営計画を策定する年にあたる。これまでに決定・着手した将来への仕掛け、戦略的投資を着実に遂行し成果を獲得するとともに、コロナ禍の影響で揺らいだ稼ぐ力の再検証を行い、着実な収益力の向上を図る一方で、構造的に収益力に懸念がある製品や事業分野については本質的な改善・改革も辞さない姿勢で臨まなければならない。

 次期中計に向けては、ITの戦略的活用によりデジタル・トランスフォーメーションを全社的な取り組みとして推進し、業務プロセスの改革や顧客起点の事業戦略を加速することで、競争優位の強化を目指す。

 さらには、持続可能な自然環境への貢献、生活環境の向上などの諸課題に対しても、企業としてどのように取り組むか、サステナビリティの観点を十分に踏まえて策定の議論を進める必要がある。「世のため人のため、他人(ひと)のやれないことをやる」という当社創業以来の企業理念を具体的に実行し、クラレらしいやり方で社会への貢献を果たすことが求められている。クラレグループの皆さんの自発的、積極的な参画と活発な議論を経て、クラレグループが一つになって進むべき方向性を示せるように充実した1年としていこう。

 また、クラレの新社長として、当社グループを「安全で、安心して働ける会社」「前向きな姿勢で活力と創造力のみなぎる企業」「誇りをもって働ける会社」にしたいと考えている。2026年の創立100周年と、さらにその後に続く将来を見通したクラレグループのあるべき姿を描き、それを実現するために努力をすることは、大きな挑戦であり喜びでもある。クラレの長い歴史の中でも、大きな節目となるであろう今後の数年間を皆さんとともに歩み、大きな目標に向かって邁進したいと考えている。

 

中国汎用樹脂輸入 PEとPPは前年比プラス継続

2021年1月12日

ABSとPVCがマイナス、品目別でまだら模様

 中国の11月の汎用樹脂輸入は、前年同月比では6品目のうちプラスとマイナスが半数ずつとなり、まだら模様の結果となった。

 11月の輸入を品目別で見ると、PEは

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太陽石油 小学生読書感想文コンクールの表彰式を開催

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2021年1月8日

 太陽石油はこのほど、特別協賛する「第32回 愛媛新聞 小学生読書感想文コンクール」の表彰式が愛媛県松山市内のホテルで行われたと発表した。

太陽石油SOLATO賞授与(中山信二執行役員)
太陽石油SOLATO賞授与(中山信二執行役員)

 同コンクールは、小学生の国語教育の一助となることを目的に愛媛新聞社が主催し、愛媛県や愛媛県教育委員会などが後援。毎年、県内の多くの小学校や個人から作品の応募が寄せられており、今回は約1万5000点の応募作の中から、最高賞1点、特別賞5点、優秀賞12点、佳作18点の計36点が選出された。

 最高賞である「太陽石油SOLATO賞」には「今日われ生きてあり 知覧特別攻撃隊員たちの軌跡」(神坂次郎著)を読んで感想を書いた、松山市立味酒小学校5年生の高田悠宇さんが受賞。高田さんは、終戦記念日に黙祷する1分間に、本で読んだ特攻隊員の言葉を思い出しながら、平和のありがたさに気づいていく自身の様子を綴った。

 会場では、新型コロナウイスル感染予防策がとられ、例年とは異なる様式での開催となったが、受賞した子どもたちにとっては記念すべき晴れの舞台となった。太陽石油は、今後も次世代を担う子どもたちの健全な育成を目的に、四国事業所の所在する愛媛県での社会貢献活動の一環として、こうした事業への支援を続けていく。

三菱ケミカル 三菱ケミカルフーズを統合、組織再編の一環

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2021年1月7日

 三菱ケミカル(MCC)は6日、完全子会社である三菱ケミカルフーズ(MFC)を、4月1日付で吸収合併すると発表した。

三菱ケミカルフーズ統合
三菱ケミカルフーズ統合

 三菱ケミカルホールディングスグループは中長期経営基本戦略「KAITEKI Vision 30」に基づき、解決に貢献すべき社会課題を特定。その中に「持続可能な食糧・水供給」や「健康でいきいきした暮らしの実現」があり、MCCはこれらの事業領域の成長・強化を目指している。

 一方、MFCは「おいしさと健康をもっと身近に」をモットーに、トップシェアのシュガーエステルやビタミンEをはじめとする多彩な食品機能材、食品素材、および医薬原材料の事業を展開し、安全・安心をベースに、食と健康分野で顧客のベストパートナーとして事業を拡大してきた。

 こうした中、MCCは4月付で事業単位を見直し、製品や市場分野の軸で集約する組織再編を行う。その一環として、MFCを統合することで、基礎研究から製品開発、製造、販売、テクニカルサービスに至るまで、MCCグループ内の「食糧・水供給」と「健康」事業領域に関わる資源を1つに集約する。今後、さらに外部資源の導入を含め、あらためてビジネスモデルを広く構想し、付加価値の高いソリューションを提供することで持続可能な社会の実現に向けて貢献していく。

【新年特集】三菱ケミカル代表取締役社長 和賀昌之氏

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2021年1月6日

サーキュラーエコノミーを世界的視野で推進、新組織も始動

━2020年を振り返って。

 一番印象に残っているのは、従業員がコロナ禍でも安全安定操業に努め、大きな事故やトラブルもなく供給責任を果たすことができたことだ。

 ステイホーム、テレワークと言われながらもそれが許されない環境下では当然、感染の恐怖や懸念もあったはずだが、毎日出勤しプラントの操業を維持してくれた製造現場のスタッフをはじめ、どうしても出勤しなければできない実験などを進めてきたR&Dの研究員たちに非常に感謝している。また、皆さまにも消毒用アルコールやマスク、フェースシールドなどの化学関連製品がどれほど人々の生活に役立ち、化学産業がいかに必要不可欠かということをあらためて認識していただけたではないかと感じている。

 一方、業績面では、人の動きが止まり経済活動も停滞した中、我々化学産業は

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【新年特集】旭化成代表取締役社長 小堀秀毅氏

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2021年1月6日

慣習に捉われず課題を解決、これからの時代を切り拓く

━昨年を総括すると。

 2020年度の通期の見通しは、売上高2兆340億円、営業利益1400億円、経常利益1420億円、純利益870億円とした。マテリアル領域を中心に新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、残念ながら対前年比で減益となる見通しだ。当社グループの多様性を生かして、新型コロナの影響をできるだけ回避すべく経営に取り組んできた。しかし、行動制限により生産や消費活動が低迷したことにより、マテリアル領域を中心に自動車関連やアパレル関連などの需要が減少したことに加え、石化市況変動の影響を受けた。

 一方、感染拡大への対応として、マスクや消毒ワイパー向け不織布や医療用ガウンの提供に努めた。住宅領域では建築請負やリフォームなどが感染拡大の影響を受けたが、不動産部門が好調に推移した。ヘルスケア領域では米国での人工呼吸器の増産や、新型コロナ関連の医薬品製造用のウイルス除去フィルターなどの需要の伸びで、マテリアル領域の影響を多少カバーできた。

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【新年特集】三井化学代表取締役社長 橋本 修氏

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2021年1月6日

ICTを第4の柱へと成長を加速、ヘルスケアも事業拡充

━2020年の振り返りと2021年の見通しについて。

 昨年を振り返ると、4月が底で4~6月の事業環境は厳しく、7月以降に多少まだら模様ではあったが、マーケットが全体的に回復し始めてきたと感じている。当社が多く関わる自動車関連ビジネスについても、自動車の販売台数は4~6月が底で、7月からは徐々に戻り始めた。足元では中国はほぼ回復してきており、対前年比でもプラスになる見通しだ。米国も思ったほどは悪くはなく、欧州も回復の兆しが見えてきている。

 その一方で、アセアンはまだ厳しい状況が続いている。2021年について言えば、足元を見る限りでは、それほど大きな影響は受けておらず、今後、新型コロナウイルス感染拡大の第三波の影響がどれくらい出てくるかによる。ワクチンの接種開始による効果が出てくれば、一気に以前の状態にまで回復することは難しいとしても、

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【新年特集】積水化学工業代表取締役社長 加藤敬太氏

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2021年1月6日

昨年は構造改革が進展、中計目標達成と業容倍増を追求

━昨年はコロナによって世界経済が停滞しました。

 当社も新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けたが、結果として上期は計画以上の利益を達成することができた。その要因として、市況の回復に頼るのではなく、構造改革や固定費抑制を徹底したことで、前倒しで効果を発現できたことが大きい。下期については、コロナ禍からの回復を前提に当初予算を策定したが、たとえ回復が遅れたとしても、社会課題解決に寄与する製品の拡販と固定費削減の徹底により、通期業績予想の営業利益700億円は達成できるだろう。

 当社は昨年5月に、2030年に業容倍増(売上高2兆円)を目指した

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