アジア石化市況 エチレンは約3カ月ぶりに反転

2020年5月19日

芳香族は弱含み、SMは川下製品回復で再び上昇

 アジア地域の4月第5週の石化市況では、エチレンは、下値65ドル高、上値30ドル高の385~410ドル/tでの取引となった。1月第5週以来、約3カ月ぶりに反転している。中国では新型コロナの影響を抑え、経済が回復傾向にある。そうした中、クラッカーが定修を控えていることもあり先高観から買いが入っているようだ。

 スプレッドも、ナフサ価格の上昇が鈍いこともあり、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

トヨタ 今期の販売台数は大幅減も国内300万台を堅持

,

2020年5月18日

豊田社長「サプライチェーンと雇用・人財を守る」

 トヨタ自動車が発表した、2021年3月期(2020年度)通期業績予想(IFRS)の中で、売上収益は前年度比20%減の24兆円、営業利益は80%減の5000億円との見通しを明らかにした。大幅な減収減益要因は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う市場の落ち込みによる、グルーバルでの自動車販売台数の減少だ。今年度は前年度実績を195万8000台下回る、700万台を想定する。

近健太執行役員
近健太執行役員

 12日に行われたオンライン決算説明会Ⅰ部で、近健太執行役員は、新型コロナの影響で先々は見通しづらいとしながらも、「当社は自動車産業のOEMであり、非常に裾野が広い産業だ。なんらかの基準を示すことが必要だと考え、見通しを公表した」と経緯を説明。算出に当たっては「販売は4月を底に、年末から来年にかけて前年並みに戻っていく」(近執行役員)ことを前提条件に、販売台数は4-6月期に前年度比6割程度、7-9月期に8割程度、10-12月期に9割程度までの回復を想定し、その後は徐々に前年並みに推移するとの見通しを示した。

 続く決算説明会のⅡ部では、豊田章男社長が登壇し、決算発表を踏まえた上でのコロナショックへの対応をスピーチした。今年度の販売台数は、リーマンショック以上の約20%の減少を想定するものの、「営業利益は5000億円の黒字確保を見込んでいる」(豊田社長)とし、これまで同社が行ってきた企業体質の強化を評価した。

 中でも「国内生産300万台体制の死守」を挙げ、どんなに厳しい経営環境下にあっても「日本にはモノづくりが必要であり、グローバル生産をけん引するために競争力を磨く現場が必要だ。その信念の下、まさに『石にかじりついて』守り抜いてきた」と言葉を強めた。その背景には、自社のみを守るのではなく、「そこに連なる膨大なサプライチェーンと、そこで働く人たちの雇用を守り、日本の自動車産業の要素技術と、それを支える技能を持った人財を守り抜くことでもあった」(同)との考えを明かした。

豊田章男社長
豊田章男社長

 さらに豊田社長は「私たちが『石にかじりついて』守り続けてきたものは、『300万台』という台数ではない。世の中が困った時に必要なものをつくることができる、技術と技能を習得した人財だ」と続けた。

 同社ではコロナ感染拡大を受け、米国で3Dプリンタを使った医療用フェイスシールドの生産などを展開し始めた。多くの化学メーカーが自動車産業に参入する今日、業界が連携しコロナショックをどう乗り切るのか、ポストコロナに向けた新たな戦略が期待される。

 

三井化学 医療従事者支援でガウン向け不織布を緊急供給

, ,

2020年5月15日

 三井化学は、医療用ガウン(アイソレーションガウン)の原料であるスパンボンド不織布「PS‐105‐GW」の供給を開始した。

医療用ガウンの一例
医療用ガウンの一例

 新型コロナウイルス感染防止に向け、最先端の医療現場で活動する医療従事者支援のため。感染者数が増加する中、多くが海外からの輸入であった医療用ガウンは、世界的な感染拡大に伴い入手が困難な状況が続く。

 同社は、不織布生産の主要工場で100%子会社のサンレックス工業(三重県四日市市)にて、医療用ガウン対応の不織布生産を開始。このほど、月産1000万枚分以上の生産体制を確立した。

サンレックス工業の外観
サンレックス工業の外観

 紙おむつなどの衛生材用不織布の製造ラインを活用することで、医療現場へ最速最短で供給できるよう縫製メーカーと連携を図り、国産化医療用ガウンの早期確立に原料面から貢献していく。また、すでに供給を始めているマスク用不織布についても、メルトブローン法不織布とノーズクランプの供給をさらに強化し、増産計画を進めていく考え。

 三井化学は新型コロナウイルスの感染拡大防止に対し、不足するマスク・医療用ガウン用の不織布の生産と供給を通じ、社会貢献を継続していく。

ランクセス オール樹脂製軽量ブレーキペダルを量産化

, ,

2020年5月14日

 ランクセスはこのほど、自動車産業向けの振動技術とプラスチック応用加工品を提供する世界的サプライヤーであるボーゲ・エラストメタル社と、バッテリー式電動(EV)スポーツカー向けのオール樹脂製ブレーキペダルを共同で開発したと発表した。

バッテリー式電動スポーツカー用のオール樹脂製ブレーキペダル。
バッテリー式電動スポーツカー用のオール樹脂製ブレーキペダル。

 多軸配向繊維強化樹脂と高剛性テープを組み合せた構造設計により、高い機械的強度と優れた軽量化(スチール製の約半分)を実現。また、自動化されたハイブリッド成形工程により量産が可能となった。グラム単位での軽量化が進められるEVスポーツカーでは、初めて量産車に採用されている。

 同ブレーキペダルは、ランクセスの連続繊維で強化された熱可塑性コンポジットシート「テペックス・ダイナライト」から作られたインサートシートと、複数のテープから構成されている。繊維配向を45度方向に配列・積層した連続ガラス繊維で補強したポリアミド6マトリックスの同インサートシートを用いたテーラーメイドの連続繊維構造に、複数の有機テープを貼り重ねレーザーで接合することにより、理想的な繊維配向をもつ熱可塑性複合構造が得られる。これにより、多様なねじれ方向の荷重経路の最適化が行われ、部品の耐荷要件に適合することが可能となった。

 「テペックス」インサイトシートとテープを用いた複合構造のもう1つの利点として、金属ベースの構造に比べCO2排出量が少ないことが挙げられる。また軽量な上、ガイド・ホルダー・ファスナーなどの機能を組み込み、重量・エネルギー・費用の節約も可能となる。さらに、金属部品に必要なデバリングやタッピングといった追加処理も不要だ。

 今後、「テペックス」の用途として、フロントエンドシステムとバンパービーム、電気・電子モジュールのブラケット、トランクとスペアホイールウェル、バッテリー筐体とカバー、車両の「グリーンハウス」部分の構造部品、バッテリー保護のための車両アンダボディの構造トリムなどへの展開が期待できる。

 

OPPフィルム 3月の国内出荷は2カ月連続で減少

, ,

2020年5月13日

 日本ポリプロピレンフィルム工業会がこのほど発表した需給実績によると、3月のOPP(延伸ポリプロピレン)フィルムの国内出荷は前年同月比2%減の2万800tとなり、2カ月連続でマイナスとなった。

 用途別では、食品用が

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

産総研 血管をもつ生きた3次元組織の作製技術を開発

,

2020年5月13日

 産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、細胞分子工学研究部門ステムセルバイオテクノロジー研究グループが、実際の臓器と似た構造の血管をもつ組織を人工的に作る技術を開発したと発表した。

今回用いた組織培養デバイスと作製した血管を持つ人工組織
今回用いた組織培養デバイスと作製した血管を持つ人工組織

 細胞と組織ゲルを組み合わせてヒトの臓器や腫瘍を模倣した人工組織「3次元組織」は、医薬品開発や再生医療、がん研究といった分野で、医薬品の検査、失った臓器・組織の置き換え、抗がん剤の試験などへの応用が期待されている。

 しかし、3次元組織に動脈のように送液できる主血管や、そこから分岐する毛細血管を作ることは困難であり、失った臓器・組織の治療のために効率よく酸素と栄養を供給したり、医薬品の試験のために組織内部に薬剤を流し込んだりすることは難しかった。

 今回開発した技術は、組織培養デバイスの中で、組織や血管の元になる細胞(臓器の機能を担う実質細胞、血管の元になる血管内皮細胞、血管の形成を助ける間葉系幹細胞)とコラーゲン(組織ゲル)を混ぜ合わせて培養することにより、主血管と毛細血管をもつ3次元組織を作製する。この組織は、培養デバイスで培養液を流すことで、1週間程度維持することができた。

 血管に培養液を流すことで、酸素や栄養、薬剤の供給が可能となり、材料とする細胞やデバイスの形・大きさを変えることで、様々な組織(臓器や腫瘍)へ応用することができ、創薬や再生医療といった幅広い分野への貢献が期待される。

 今後は、より大きな組織(臓器)の作製や、がんモデルでの抗がん剤の評価、iPs細胞由来の細胞を用いた組織の大量生産・高機能化、他の細胞を用いての脳や膵臓、小腸の作製を行う。また、培養デバイスにも改良を加え、安定的な長期間の組織培養や、様々な形の三次元組織の構築を目指す考えだ。

 なお、今回の開発は、日本学術振興会の助成金と、日本医療研究開発機構の委託事業「防御シールドを形成し、免疫監視を回避するがん微小環境の理解と医療シーズへの展開(2018~20年度)」による支援を受けて行った。

三井化学 〝心悸〟3Dマスク目指し名大などと共同開発

, , , ,

2020年5月13日

 三井化学はこのほど、「再使用が可能でありながら、ウイルス除去機能を持つ」特長を備えた新規立体型マスクの共同開発を開始した。

新規3D マスク 現行試作品
新規3D マスク 現行試作品

 名古屋大学大学院工学研究科の堀克敏教授、同大学発ベンチャーのフレンドマイクローブとの3者連携により、製品開発を行っていく。 

 新規マスクは、再使用する「マスク本体」と使い捨ての「フィルター」からなり、三井化学は、ウイルス除去効果のある不織布製使い捨てフィルターの素材を提供する。

 マスク本体は、堀教授が3Dプリンターで作成。今後は抗ウイルス効果を示す酵素製剤をはじめとする各種薬剤の探索も進め、マスク本体に適用することで、ウイルス除去効果に優れ、快適性とデザイン性を併せ持つ製品を想定している。三井化学によれば、上市時期は今秋以降とのこと。堀教授主導の下、まずは2、3カ月以内にモニター販売を開始する予定だ。

 同社は今回の取り組みを通じ、大学・大学発ベンチャー・材料メーカーが協力することで社会貢献となるソリューションを提案し、「次代を創る〝心悸〟製品開発」を目指していく。「心悸=心臓の鼓動」に〝心がはずむ新規製品〟の思いを込めた。