積水化学工業の住宅カンパニーは22日、同社が展開する自給自足型注文住宅「スマートハイム」のレジリエンス機能を強化し、移動手段・電力・飲料水を確保することで、在宅避難が可能な住まいの提供を始めると発表した。
「スマートハイム」は太陽光発電システム(PV)や蓄電池、コンサルティング型ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)を搭載し、発電した電気を賢く貯めて使う、エネルギー自家消費型住宅。電気自動車(EV)と連携するVtoH(Vehicle to Home)スタンドを設置することで、さらに自給率を高めることができる。
昨年の大型台風や北海道胆振東部地震による停電時には、同ハイムの1391戸で蓄電池が稼働し、電力供給が止まる災害時でも調理器具や照明、冷蔵庫などの使用ができたという。今回は、停電や水害といった災害に対するレジリエンス強化のため、災害時の要望として最も多かった移動手段と飲料水の確保に焦点を当てた。
セキスイハイムに居住する地震被災を経験した世帯にアンケート(2018年2月発表)を実施したところ、「1位はガソリン・灯油の入手困難といった『移動手段』の問題、2位が自宅の水道が使えない・水の入手困難という『飲料水』の問題」(川瀬昭則商品開発部長)だった。
同調査の結果などを踏まえ、断水時でも飲料水を確保できるシステムとして、「飲料水貯留システム」を導入する新プランを追加した。新築時に容量24リットルのタンクを床下に設置し、非常時は足踏みポンプを使って普段使っている蛇口から取水する。1日に一人当たり必要な飲料・調理水を二リットルと想定し、4人家族で3日分の水を確保できる。
一方、移動手段の確保では、これまでVtoHと接続できるEVは、日産車と三菱車に限られていたが、新たにトヨタ車への適応を広げ、対応車種の拡大を図った。また、浸水をともなう水害により、一階に設置した設備が機能しなくなる課題もあり、蓄電システムなどの2階バルコニーへの設置を可能にした。
新システムについては、今月26日から全国(北海道と沖縄、一部離島地域を除く)の新築戸建て全商品に採用し、販売を開始する。「飲料水貯留システム」は年間500棟の販売を見込む。