◇この人にきく◇ プライムポリマー社長 藤本健介氏

2020年4月17日

確固たる事業基盤を持つ差別化POの主導的企業を追求

 2005年に三井化学と出光興産のポリオレフィン(PO)事業を統合し誕生したプライムポリマーは、創立15周年を迎える。同社が創業以来掲げる〝プライムソリューションパートナー〟には、卓越した=プライム=製品・技術・サービスを安定的・持続的に顧客に提供し、信頼されるパートナーとなる、目指すべき姿に思いを込めた。

藤本健介社長 
藤本健介社長

 節目となる今年、新たな企業理念と長期ビジョンを定め、2030年の目標へと一歩を踏み出した。貿易問題にプラスチックごみ問題、コロナショックと事業環境が激変する中でどう舵取りをするのか、創業期から同社に携わり、就任2年目の藤本社長に、人材・開発を焦点に経営戦略を聞いた。

━ このたび、2030年に向けた長期ビジョンを策定されました。

 藤本 当社は4月に創立15周年を迎えることもあり、昨年から約1年を掛け、経営層を中心に議論を交わしてきた。2015年の10周年の際は、若手・中堅社員に10年後のありたい姿を考えてもらったが、それに経営サイドが呼応する形で今回、15周年を機に、企業理念と長期ビジョンを改めて見直した。

━ 長期ビジョンでは何を目指されますか。

 藤本 長期ビジョンでは、10年後のありたい姿として会社軸と社員軸を設け、それぞれの目標を掲げた。会社軸では「確固たる事業基盤を持つ差別化POのリーディングカンパニー」を追求し、社員軸では「働きがいのある魅力的な会社」を目指していく。

 目標達成に向けた具体策のために、

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東洋紡 尿沈渣検査を自動化する分析器の新製品を上市

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2020年4月17日

 東洋紡はこのほど、尿中有形成分分析装置の新製品「USCANNER premio」の国内販売を開始した。同装置は腎臓や泌尿器の疾患を診断する際などに、尿中の赤血球や白血球といった有形成分を調べる尿沈渣(にょうちんさ)検査の工程を自動化したもの。今年2月から大学病院や医療機関向けに販売を始めた。

新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」
新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」

 新製品は、撮影画像の解像度を従来機種より向上させるとともに、オートフォーカス機能を改良し、尿中の有形成分をより鮮明に表示できるようになった。また、オプションの「操作用増設端末」を使用することで、複数の検査者により異なる検体の画像を同時に観察することも可能に。検体を効率的に分析できるため、診断結果を得るまでの時間短縮に寄与する。

 尿中有形成分分析装置「USCANNER」シリーズは、尿沈渣検査で検査者が実施する、染色、標本作成、カラー染色画像の撮像、成分の分類・計測という一連の作業を全て自動化した臨床検査装置。2001年に最初の製品を上市して以来、改良を重ねながら、全国の大学病院などへ導入を進めている。検査者の煩雑な手作業の負担を軽減するだけでなく、解析プログラムを活用した画像判定機能により、ばらつきのない安定した測定を行えるのが特徴だ。

尿中有形成分分析装置「USCANNER premio」
尿中有形成分分析装置「USCANNER premio」

 同社は、臨床検査分野では尿中有形成分分析装置に加え、核酸の抽出から増幅(PCR)・検出まで全て自動で行うことが可能な、全自動遺伝子分析装置「GENECUBE」の販売も手掛ける。

 今後も引き続き、医療現場の臨床検査作業の効率化や高精度化に貢献していく。

島津製作所 1時間で判定、新型コロナ検査キット発売

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2020年4月17日

 島津製作所はこのほど、開発を進めていた「新型コロナウイルス検出試薬キット」を4月20日に発売すると発表した。当面は国内のみの販売だが、5月以降の海外輸出も視野に入れて準備を進めていく。

新型コロナウイルス検出試薬キット
新型コロナウイルス検出試薬キット

 同キットの最大の特長は、煩雑な手作業を省いたことによる検査時間の大幅な短縮にある。また、手作業を行わずに済むため、人為的なミスの防止にもつながる。現状の遺伝子増幅法(PCR法)による新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)の検出では、鼻咽頭拭い液などの試料(検体)からRNAを抽出して精製する煩雑な作業が必要であり、これが多数の試料を迅速に検査する際の妨げになっている。

 同キットではRNAの抽出・精製工程が省けるため、検査に要する人手を大幅に削減でき、かつ2時間以上かかっていたPCR検査の全工程を従来の半分である約1時間に短縮できる。96検体用PCR装置を用いて、96検体を検査した場合でも1時間半以内で行える。

 「新型コロナウイルス検出試薬キット」は、同社独自のAmpdirect技術をベースに国立感染症研究所の「病原体検出マニュアル 2019‐nCoV」に沿って開発。同技術は、生体試料に含まれるたんぱく質や多糖類などのPCR阻害物質の作用を抑制できるため、DNAやRNAを抽出・精製することなく、生体試料をPCRの反応液に直接添加できるもの。

 島津製作所は同技術を用いて、腸管出血性大腸菌やサルモネラ属菌、赤痢菌、ノロウイルスなどの病原体検出試薬を開発・販売しており、これまでに培った技術を応用し新型コロナウイルス検出試薬の開発を行った。誤操作などにより、陽性にもかかわらず遺伝子増幅が起きなかった場合に誤って陰性と判断しないよう、同キットの反応液には、増幅工程が正しく進んだことを確認するための参照成分を添加。これにより、偽陰性が生じる可能性を低減し、検査結果の精度向上が期待されている。

 なお、同キットの使用には、PCR装置や分注ピペット、恒温槽、小型遠心機をはじめとする機材や、試料・遺伝子の取り扱い技術を要するため、ドラッグストアなどの小売店や個人への販売予定はない。価格は、22万5000円(100検体分/キット、税抜き)。月間生産量は10万検体分。

三菱ケミカル・クリンスイ 独デザイン賞を3年連続で受賞

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2020年4月16日

 三菱ケミカルのグループ会社で浄水器の製造・販売を行う三菱ケミカル・クリンスイはこのほど、蛇口直結型浄水器「クリンスイ CSP901」が「Red Dot Award:Product Design 2020」を受賞したと発表した。

大型液晶と計量機能を搭載した「クリンスイ CSP901」
大型液晶と計量機能を搭載した「クリンスイ CSP901」

 同アワードは、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン・デザインセンターが主催する世界的なデザイン賞。

 「プロダクトデザイン」「ブランド&コミュニケーションデザイン」「デザインコンセプト」の3つの部門で構成される。2020年は60カ国から6500件を超える応募の中、2月に発売した「クリンスイ CSP901」の高いデザイン性と創造性が評価された。

 同社としては3年連続の受賞。2018年には信楽焼浄水器「クリンスイ JP100‐C」が今回と同様の「プロダクトデザイン」部門で、2019年には「Cleansui」ブランドが「ブランド&コミュニケーションデザイン」部門で受賞している。

 今回受賞した「クリンスイ CSP901」は、プロダクトデザイナーの柴田文江さんが製品デザインを手掛けた。簡単に取り外せる浄水口や水はねしにくいシャワー部分など、細やかなユーザビリティを重視しつつ、キッチンに馴染むシンプルで清潔感のあるデザインが特徴。

 視認性向上のため、大きくて見やすい大型の液晶を搭載し、液晶下の切り換えボタンを押すことで、浄水使用残量を表すL(リットル)表示と、100㏄刻みで水を計量して給水できる、調理時に便利な㏄表示の切り換え機能がある。

東洋スチレン ケミカルリサイクルの事業化に着手

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2020年4月15日

米社とライセンス契約、実証設備建設の検討開始

東洋スチレン PSケミカルリサイクル 大手ポリスチレン(PS)メーカーである東洋スチレン(出資比率:デンカ50%、日鉄ケミカル&マテリアル35%、ダイセル15%)は、地球温暖化や廃棄プラスチックといった環境問題への対応として、バイオPSやリサイクルに取り組んでいる。

  昨年にはバイオ化ニーズの高まりから、PSとポリ乳酸(PLA)をアロイ化した「トーヨーエネライツ」を上市。顧客から高い評価を得ており、引き合いが強まっている状況だ。

 一方、リサイクルではマテリアルリサイクル(MR)に注力。再生品は品質的な課題があるが、バージン品を組み合わせるなど品質向上に取り組んでいる。

 こうした中、昨年10月には環境対策推進室を創設。使用済みPSのケミカルリサイクル(CR)の事業化を検討してきたが、今回、CR事業実証を進めるため、米国アジリックス社(オレゴン州ポートランド)と技術ライセンス契約を締結した。

 PSは熱分解によりスチレンモノマー(SM)に戻る性質を持っているが、アジリックス社の熱分解技術は、PSを高収率でSMに変換することが可能。また、同社は使用済みPSの熱分解SM化設備を商業運転している唯一の存在であり、さらにイネオス社など複数の海外PS/SMメーカーとの連携・合弁事業を進行している。

 東洋スチレンは今後、アジリックス社からの技術導入を受け、親会社であるデンカ千葉工場(千葉県市原市)内に、使用済みPSの熱分解SM化実証設備(年間処理能力:約3000t)建設の具体的検討に着手し、2021年の操業開始を目指す方針だ。

 PSリサイクルのMRでは、使用済みPS食品容器を再び同じ用途(食品接触部)に使用することは品質安全上困難とされてきた。それに対し、使用済みPSをSM(熱分解SM)に戻す今回のCR方式であれば、その課題をクリアできる。

 熱分解SMを原料に使用したリフレッシュPSは、品質安全上も全く問題がなく用途に制限がない。また、ワンウェイ(使い捨て)仕様と比較すると、地球温暖化ガスであるCO2の排出量を、少なくとも半減させる効果も期待できる。この事業化計画を実現し、熱分解SMを使用したリフレッシュPSを製造販売できれば、CRによる真のサーキュラーエコノミー(循環型経済)への第一歩を踏み出せることになる。

 東洋スチレンは、アジリックス社から技術導入するCR設備により、先ずは製造時に発生するポストインダストリアル材料を中心(一部ポストコンシューマー材料含む)とした実証試験操業を行い、PSの優れたリサイクル性を広く一般に認知させる。そのうえで、政府、コンシューマー、関係団体、需要家などの関係先と協同でスケールアップを図り、将来の目標であるポストコンシューマー材料に対象を広げていく考えだ。

 

 

カセイソーダ 2月の内需は2%減、輸出は大幅増加に

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2020年4月15日

 日本ソーダ工業会がこのほど発表したソーダ工業薬品需給実績によると、2月のカセイソーダの内需は前年同月比2%減の25万5000tと、昨年5月以降、10カ月連続でマイナスとなった。

 用途別では、

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昭和電工 AIでフレキシブル透明フィルムの開発を迅速化を実証

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2020年4月15日

 昭和電工はこのほど、産業技術総合研究所(産総研)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)と共同で、フレキシブル透明フィルムの開発に人工知能(AI)を活用することにより、要求特性を満たすフィルムの開発の実験回数を25分の1以下に低減できることを実証したと発表した。

フレキシブル透明フィルムの用途例
フレキシブル透明フィルムの用途例

 今回の開発は、NEDOの「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)」の委託事業として実施。超超PJでは、経験知による従来の材料開発からの脱却を目指し、AIやマルチスケールシミュレーションを積極的に活用することで、従来と比較して実験回数を削減し、開発期間を大幅短縮することを目指している。

 昭和電工など4者は、モバイル機器などの開発に欠かせないフレキシブル透明フィルムの設計にAIを活用し、要求特性を満たすポリマーの探索に取り組んでいる。

 はじめに熟練研究員が27種類のフィルムを作成し、その原料の分子構造、モル比などの化学的な情報をECFP(Extended Connectivity Circular Fingerprints)という手法を応用して説明変数に落とし込み、目的変数にはトレードオフの関係にあり並立の難しい物性である換算透過率、破断応力、伸びの3項目を選択し、作成したフィルムの実測データをAIに学習させた。

AI予測を行い作製したフレキシブル透明フィルム(引張試験中の写真)
AI予測を行い作製したフレキシブル透明フィルム(引張試験中の写真)

 その後、説明変数を網羅的に割り当てたデータを用意して、偏差値概念を導入したAIにこれら3項目が等しい割合で最大となる配合を予測させ、その予測の通りに3種類のフィルムを作成し、AI学習データを作製した熟練研究員が自己の知見に基づき作成した25種類のフィルムの物性値とを比較した。 

 この結果、AIが予測した配合で作成した3種類のフィルムの物性値は、いずれも比較実験として熟練研究員が作成した25種類のフィルムの物性値よりも優れていることが判明。研究員による開発に比べて25分の1以下の実験回数でより高い物性値のフィルムを得られたことから、大幅な開発期間の短縮が可能なことが実証できただけでなく、研究員の経験知をもとに作成した製品を超える製品が開発できる可能性があることも実証した。

 今後は同技術をさらに高度化させ、要求特性を満たしながらより良い物性値となる配合比をAIが提案できるように開発を進めていく。なお、同件の詳細は、超超PJ成果報告会のウェブサイトに発表された。

旭化成 世界で初めて冷却ストッキングのメカニズム解明

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2020年4月15日

 旭化成はこのほど、着用により冷却効果を得られるストッキング(冷却ストッキング)のメカニズムを、世界で初めて数値流体力学(CFD)と表面形態の連成解析により定量的に解明したと発表した。

ストッキングTOP
a)素足の状態で、上が歩行前、下が歩行後。b)冷却ストッキングを着用した状態で、上が歩行前、下が歩行後。

 同社生産技術本部の生産技術センターCAE技術部が解析によるシミュレーションを行い、結果は同パフォーマンスプロダクツ事業本部の繊維技術開発総部商品科学研究所で実験・検証。なお今回の結果は、「Nature」出版グループの学術誌「Scientific Reports」に掲載されている。

 一般的にストッキングは足を温めるために履くが、通常の繊維材料は断熱性があり、体熱が放散するのを防ぐ。一方、特殊構造を持ったニットストッキングの着用で、一定の冷却効果を得られることも分かっていた。

 例えば冷却ストッキングの冷却機能は、感覚として冷たいと感じる(接触冷感)既製品とは異なり、着用により体表面を物理的に冷やすという効果を発現する。その効果は、かねてよりサーマルマネキンを用いた放熱実験によって確認されていたが、体表面を物理的に冷却するメカニズムについてはこれまで不明だった。

 この現象を解明するために、CFDで解析する流体/固体熱連成解析で冷却ストッキング表面に形成される突起構造(リブ)を定量的に数値モデル化し、リブ表面(ストッキング表面の周期的なマイクロメートルスケールの突起物構造)の自然対流を分析。

旭化成 ストッキング
一般的なストッキングのニット構造イメージ(上)と冷却ストッキングのニット構造イメージ(下)。

 その結果、冷却効果を発現するのは、マイクロメートルスケールのリブであることが判明した。一般的に衣服を着用すると保温効果が発現するが、このマイクロメートルスケールのリブは、リブからの放熱が自然対流によって促進され、冷却効果が発現される。

 今回の解析手法による解明は、工業的、学術的にも有用な成果であり、このメカニズムの解明によって、繊維や生地の構造により繊維製品に冷却機能を付与できることが明らかになった。今後、ますます温暖化が進む環境下で、快適な生活を提供できる繊維製品の開発などの進展が期待される。

 旭化成は、今後も繊維のテクノロジーをはじめ、同社がこれまで培ってきた技術とCAE(Computer Aided Engineering)技術の融合による新しい付加価値の提供に努め、「世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟」に貢献してく考えだ。