川崎重工 液化水素運搬船が進水、来秋にNEDOの実証を開始

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2019年12月13日

 川崎重工は、神戸工場で建造中の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」の命名・進水式を11日に行った。

進水した世界初の液化水素運搬船
進水した世界初の液化水素運搬船

 全長116m、型幅19mの同船は、世界初の液化水素運搬船。マイナス253℃に冷却し、体積が気体の800分の1となった液化水素を、安全かつ大量に長距離海上輸送するために開発された。来年秋ごろの竣工に向け、今後は、播磨工場で製造している1250㎥の真空断熱二重殻構造の液化水素貯蔵タンクなどを搭載していく。

 同船の初仕事は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進める「未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」となり、来年10~12月に国内試験を行った後、再来年1~3月にはオーストラリアで製造された液化水素を、約9000㎞の航海を経て日本へ輸送する航行試験が行われる予定だ。

 水素は、地球温暖化対策のカギとなる次世代のエネルギーの1つとして注目されている。使用時にCO2などの温室効果ガスが発生しない特性をもち、発電や燃料電池自動車などでの活用が期待されている。

 この水素が、石油や天然ガスと同じように一般的に利用される社会の実現に向け、川崎重工は2016年に岩谷産業、シェルジャパン、電源開発(Jパワー)と、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構「HySTRA」を結成し、NEDOの支援の下、経済的かつ安定的に大量の水素を調達するための、エネルギーサプライチェーン構築に向けた技術開発を進めてきた。

 現在、液化水素運搬船のほか、液化水素の受け入れ基地を兵庫県神戸市に、褐炭ガス化設備をオーストラリアに建設している。また2018年からは、岩谷産業、Jパワー、丸紅、豪AGL Loy Yangとコンソーシアムを組み、豪州連邦政府およびビクトリア州政府より補助を受けてガス精製設備、水素液化・積荷基地などを建設している。

 川崎重工は水素事業を持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みとして、「つくる」「ためる」「はこぶ」「つかう」のすべてのフェーズで開発プロジェクトを推進。1981年にアジアで初めてLNG運搬船を建造した同社は、液化水素運搬船を世界で初めて完成させ、水素社会の実現を目指す。

JNC・関学 新たな有機EL青色発光材の説明会を開催

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2019年12月13日

 JNCと関西学院大学は11日、本社で次世代有機EL青色発光材料「ν‐DABNA」の技術説明会を開催した。JNCの松下哲也常務は「短期間で上市できたのは畠山教授のご指導に加え、産学連携により基礎研究と実用化開発の両輪が上手く機能した成果だ。有機ELデバイスの表示特性を向上させたことで、低消費電力化に貢献できたと自負している」と語った。

JNC松下常務
JNC松下常務

 JNCは2011年から同大学の畠山琢次教授(当時京都大学)との共同研究を開始。2014年にはホウ素系青色ドーパントの開発に成功し、2016年に世界最高レベルの効率と色純度を持つ熱活性化遅延蛍光(TADF)材料として論文を発表。2018年にホウ素系青色ドーパント「DABNA」を上市し、大手ディスプレイメーカーのスマートフォンに採用された。

 そして今年7月には、窒素とホウ素の特性を生かして、量子ドットやLEDを超える色純度を持つ「ν‐DABNA」を発表。有機ELディスプレイの高色域化、高輝度化、低消費電力化、ブルーライトの低減などが期待されている。

 畠山教授は「優れた特性を生かし

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宇部興産 日本液炭の新工場へ炭酸ガスの供給を決定

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2019年12月13日

 宇部興産は12日、宇部藤曲工場(山口県宇部市)で副生される炭酸ガスの有効利用を図るため、日本液炭が新たに建設する液化炭酸工場向けに、原料となる炭酸ガスを供給することを決定したと発表した。供給開始は2021年11月を予定している。

宇部藤曲工場
宇部藤曲工場

 宇部藤曲工場は、2013年からグループ会社の宇部アンモニア工業の工場運営業務を受託。宇部藤曲工場のアンモニア製造工程で副生される炭酸ガスを、日本液炭が同工場内に新設する液化炭酸・ドライアイス製造設備向けに供給する。

 液化炭酸は冷却用途(ドライアイス)や溶接用のカバーガス向け、農業用途、各種産業用途などで用途が拡大。宇部興産は原料供給を通じて、液化炭酸の需要増に対応するとともに、炭酸ガスの有効利用によりCO2排出の削減を図る。

 宇部興産は、中期経営計画の基本方針として〝資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献〟に取り組んでおり、引き続き、サプライチェーン全体でエネルギー使用量削減・廃棄物利用拡大などによる温室効果ガス削減に努めるとともに、環境負荷低減に貢献する技術・製品の創出・拡大をより一層推進していく考えだ。

ノーベル賞の理論と技術が拓く未来、持続可能社会に貢献

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2019年12月12日

 スウェーデン・ストックホルムで現地時間の10日、ノーベル賞授賞式が行われ、日本からはリチウムイオン電池(LIB)の開発者で旭化成名誉フェローの吉野彰氏が式に臨み、ノーベル化学賞が授与された。

「エコプロ2019」で展示した環境省のコンセプトカー「AGV」
「エコプロ2019」で展示した環境省のコンセプトカー「AGV」

 環境省は現在、CO2を大幅に削減する低炭素モビリティ社会の実現を目指し、次世代型自動車の開発を進めるが、そこには日本発のノーベル賞の理論や技術が大きく寄与している。

 先日開催された「エコプロ2019」で、環境省が出展したAGV(All GaN Vehicle)は、次世代半導体材料であるGaN(ガン:窒化ガリウム)を電動化技術に適用したEV(電気自動車)のコンセプトカー。GaNインバーター(逆変換装置)を搭載することで変換効率を向上させ、CO2排出量の約20%削減を目標にしている。

 GaNは元々、青色発光ダイオード(LED)の材料として開発されたもの。「高輝度・低消費電力白色光源を可能とした高効率青色LEDの発明」の功績で赤﨑勇氏、天野浩氏、中村修二氏の3氏が2014年のノーベル物理学賞を受賞した。

 インバーターは、バッテリーの電力をモーター用の電力に変換する装置。一般的にシリコン系のパワー半導体が用いられるが、それをGaN系パワー半導体に置き換えることで変換効率が20%向上した。EVなら、LIBの性能を高めることなく走行距離の延伸を可能にする技術と言える。

 8日のノーベル賞記念講演「ノーベルレクチャー」の中で吉野氏は、LIB開発の技術的なルーツには過去のノーベル賞の業績が関わっていると説明。1981年のノーベル化学賞、福井謙一氏らの「フロンティア軌道理論」と、2000年同賞、白川英樹氏らによる「導電性高分子、ポリアセチレンの発見」を挙げ、多くのノーベル賞受賞者のサポートが負極材の開発につながったと語った。

 奇しくも福井氏の孫弟子にあたる吉野氏が、LIBの研究を始めた年が1981年。二次電池の電極としてポリアセチレンに着目した。

 環境省が行うAGVを含めたプロジェクトには、GaN発明者の天野氏も参画する。高品質・大口径・低コストのGaNウエハーを開発し、超高効率なパワーデバイスを実機に搭載することで、省エネルギー効果の実証を目指している。世界に認められた日本の技術が結集し、来るべき持続可能な社会に大きく貢献していく。

三井化学 「東京都スポーツ推進企業」に5年連続認定

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2019年12月12日

 三井化学はこのほど、今年度の「東京都スポーツ推進企業」に5年連続で認定された。

フィットネス教室で体を動かす参加者
フィットネス教室で体を動かす参加者

 東京都では2015年度から、東京都オリンピック・パラリンピック準備局が事務局となり、2020年に向けた「スポーツ都市東京」の実現を目的に、従業員のスポーツ活動促進への優れた取り組みや、スポーツ分野で支援を行う企業などを「東京都スポーツ推進企業」として認定している。今回は、同社が実施する「ヘルシーマイレージ合戦!」への取り組みが評価された。

 「ヘルシーマイレージ合戦!」は、国内9事業所と出向者(海外赴任者含む)が参加対象で、3~6人で構成される任意のチームまたは個人でエントリーし、運動量や健康的な生活によって得られるマイルを、ゲーム感覚で楽しみながら貯める3カ月間のプログラム。年2回の実施により、直近3年間で延べ2万人超の社員が参加した。

 また、本社を含めた計7事業所の健康管理室に配置する専属産業医や保健師、衛生管理者が運用・推進し、小規模事業所や関係会社の主要工場の嘱託産業医・看護師からの協力も得ながら、グループ社員の健康増進をサポートしている。同社は今後も、スポーツ推進の取り組みを通じて全社員の健康増進を図るとともに、コミュニケーションの活性化に努めていく考えだ。

プラ工連 10月の原材料・製品生産はマイナス基調が継続

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2019年12月11日

 日本プラスチック工業連盟はこのほど、定例会見を開き、原材料・製品の生産・輸出入状況などの報告を行った。

 確報となる9月のプラスチック原材料生産は、前年同月比3%減の85万3000tと3カ月連続で減少した。10月の速報では前年並みとなっているものの、今年はこれまで、前年を大きく上回ったのは6月の同6%増のみで、他の月はマイナスもしくは前年並みで推移しており、マイナス基調が続いている。

 10月の主要品目は、ポリスチレン(AS樹脂、ABS樹脂を含む)が

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SEMI 「セミコン・ジャパン2019」を11~13日に開催

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2019年12月11日

 SEMI(米カリフォルニア州)は、11~13日に東京・有明の東京ビッグサイトで、世界を代表するエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan(セミコン・ジャパン)2019」を開催する。

挨拶を行う今野委員長
挨拶を行う今野委員長

 10日に開いた記者会見で、セミコン・ジャパン推進委員会の今野宏委員長(THK副社長)が挨拶を行い「今回のテーマは『次代のコアになる。』で、これは出展者の全てが考えていること。展示会では3つのポイントがあり、まず次代のコアになるためには若い力が必要なことから、

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DIC PS能増し21万6000tへ、中食拡大に対応

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2019年12月11日

 DICは10日、四日市工場(三重県四日市市)で製造するポリスチレン(PS)の生産能力を、設備強化や生産プロセスの最適化を行うことで、年産20万8000tから21万6000tに増強したと発表した。投資金額は非公開。2023年にはPS事業の売上高を2017年比で10%の増加を目指す。

四日市工場のポリスチレンの生産設備
四日市工場のポリスチレンの生産設備

 PSはコンビニエンスストアやスーパーなどで販売されている弁当・惣菜向けの食品容器などに多く用いられており、共働きや単身世帯の増加などを背景に、調理済みの食品を持ち帰って食べる〝中食〟市場を中心に需要が拡大。日本惣菜協会発行の「2019年版惣菜白書」によれば、2018年の中食の市場規模は約10兆円で、9年連続の成長を続けている。

 昨今では、〝レンジアップ惣菜〟といわれる新ジャンルの中食が登場し、生の食材をプラスチック容器ごと電子レンジで加熱調理する惣菜も増加の一途をたどる。

 同社は、成形性と高強度を両立した高機能タイプのPS製品「ハイブランチ」ブランドに加え、高い耐熱性をもつ新製品もラインアップ。新製品の耐熱性は汎用のPS樹脂に比べて5~10℃ほど高く〝レンジアップ惣菜〟の調理用途にも対応する。

 さらに、リサイクル性にも優れ、総重量の削減による省資源化を可能にするなど環境配慮型製品の特長も備える。同社グループは、拡大する中食市場の需要に安定供給を果たすだけでなく、食品容器や包装資材に使える「安心・安全」に配慮した製品を提供するとともに、世界的な社会課題である環境問題の解決に貢献していく考えだ。