【カーボンリサイクル特集】ちとせグループ

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2020年11月21日

最高経営責任者  藤田朋宏氏

光合成でCO2を固定、バイオマス基点で目指す循環型社会

 ━バイオベンチャーとして、カーボンリサイクルの位置づけは。

藤田最高経営責任者

 当社は、微生物や細胞、藻類、菌叢など小さな生き物たちの力を借り、化石資源中心の消費型社会からバイオマス資源基点の循環型社会に変えることで、1000年先まで人々が豊かに暮らせる環境を残すために、様々な領域で社会課題の解決に向けた活動を行っている。その要素技術を開発していることから、我々の取り組みのすべてがカーボンリサイクルだと捉えている。

 1年間に燃料やプラスチックの原料などとして掘り出される化石資源のエネルギー量は0.5ゼータジュールだと言われるが、地球上には海も含めて年間約4000ゼータジュールもの太陽光エネルギーが降り注いでいる。このエネルギーをうまく光合成で取り込み、原料として循環させていく1つ1つのコンポーネントを作っている。例えば藻類プロジェクトでは、

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【新社長インタビュー特集】 トップインタビュー

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2020年10月2日

わが国化学産業、コロナ影響拡大で厳しい局面に
トップの方針が重要、経営力で逆境を乗り越える

 わが国化学産業は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の減速により、厳しい局面を迎えている。日本の4-6月期のGDPは年率ではマイナス28.1%となり、過去最大の落ち込みとなった。各国が経済活動を再開したことで、景気は回復に向かっているが、コロナ感染が再拡大する懸念が払拭できず、先行き不透明な状況にある。企業トップは目指すべき方向をしっかり示し、経営力で逆境を乗り越えていかなければならないだろう。

 コロナ禍により、事業環境も激変している。コモディティの分野では、原油価格の下落を背景に市況の低迷が続いており、高稼働を維持することが課題となっている。またスペシャリティの分野でも、5GやCASEといった成長市場に各社が参入しており、製品の差別化だけでなく価格競争も激化している。各社は生き残りを図るために、生産体制の最適化やコストダウン、またデジタル化への対応など、早急に手を打っていかなければならない。

 一方、環境問題への取り組みも大きなテーマだ。プラスチックごみの削減に社会の関心が集まるなど、サステナブルがキーワードとなっている。各社はプラスチックの有用性やリサイクル性を訴え、社会に対しソリューションを提供していく必要がある。

 今回の「新社長インタビュー特集」では、厳しい経済環境の中、いかに収益基盤を安定させ、将来への成長へとつなげていくか、今年度から就任した新社長の方々に抱負と今後の戦略を聞いた。

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積水化学工業 加藤敬太社長
 ▽業容倍増を目指し、今期は体力強化と経営基盤強化を図る

日鉄ケミカル&マテリアル 榮 敏治社長
 ▽機能材料を大きな柱に、選択と集中で経営資源を有効活用

ダウ・ケミカル日本 桜井恵理子社長
 ▽幅広いポートフォリオとネットワーク、イノベーションに貢献

テクノUMG 山脇一公社長
 ▽統合のシナジー効果を最大化、「飛躍」のステージへ導く

日本ポリエチレン 山田清隆社長
 ▽高付加価値化を推進、再投資できる収益体制を目指す

PSジャパン 室園康博社長
 ▽リーディングカンパニーを堅持、安心と価値を提供

新日本理化  三浦芳樹社長
 ▽マーケットインで、オンリーワンの技術と信用を届ける企業に

 

【新社長特集】積水化学工業 加藤敬太社長

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2020年10月2日

業容倍増を目指し、今期は体力強化と経営基盤強化を図る

 ━社長就任後、この6カ月間の手応えについてお聞かせください。

 積水化学社長 中面 昨年1年間、経営戦略部長として長期ビジョン「Vision 2030」と、3カ年の中期経営計画「Drive 2022」策定に携わったが、社長として実行する立場になった。前中計では、M&Aを実施したこともありトップラインは上がったものの、利益面では米中の貿易摩擦や世界的な市況低迷などもあり最終年度は減益となった。

 今期は、改めて10年後の「ありたい姿」に向け、成長へのドライブを加速していく。その第一歩となる現中計では体力強化を重視する。構造改革や固定費削減を進展させ筋肉質にした上で、イノベーションやM&Aでの業容拡大を目指していく方針だ。4-6月期は計画を上回る業績となり、全カンパニーとメディカル事業の全分野で黒字を達成できた。当社の多彩な事業と、それぞれが持つ社会課題の解決に貢献する製品群の強みが、発揮できたという認識だ。ただ、コロナ禍からの回復が想定以上に遅れている状況にあり、数値目標の難易度は上がっている。ブレずに、引き続き構造改革などを推進し、計画の必達を目指していく。

 ━2月の社長交代会見では抱負として「成長へのドライブ」「イノベーション」に加え、「活力あふれるいい会社」づくりを挙げられました。

 長期ビジョンでは売上高2兆円の業容倍増を目指している。そのためには

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【新社長特集】日鉄ケミカル&マテリアル 榮 敏治社長

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2020年10月2日

機能材料を大きな柱に、選択と集中で経営資源を有効活用

 ━抱負についてお聞かせください。

 日鉄ケミ 中面私は2019年に親会社である日本製鉄から当社に赴任してきたが、その際に2つのことを念頭に置いていた。1つは、海外市場では地産地消が進んでいるため海外への事業展開を強化していくこと、もう1つは売上・収益の約7割を占めるコールケミカル事業や化学品事業が順調なうちに、機能材料事業をもう1つの柱として強くすることだ。

 しかしコロナ禍によって、状況が大きく変わってしまった。コロナ禍は未だ収束のめどが立たず、景気の低迷が長期化すると思われる。また、ウィズコロナで個人の消費行動などのパターンが変わってくることも想定される。事業環境が不透明になってきており、今後の事業展開は一層厳しい想定で考える必要がある。

 ━鉄鋼業界から化学業界に来られて感じたこととは。 

 日鉄時代は鉄鋼原料の調達に携わっていた。コールケミカルや化学品は、製鉄の工程で副生されるタールや粗軽油を原料にしており、同じバリューチェーンの中に位置していることから違和感はなかった。

 それに対し機能材料は、

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【新社長特集】ダウ・ケミカル日本 桜井恵理子社長

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2020年10月2日

幅広いポートフォリオとネットワーク、イノベーションに貢献

 ━ダウとの出会いと、これまでの経歴をお聞かせください。

  ダウケミカル 桜井社長米国で大学院を卒業後、そのまま現地でダウ・コーニング本社に就職した。イノベーションへの取り組みの真剣さに加え、人事担当者の人柄や会社の雰囲気に魅かれたことが大きい。以降ずっとイノベーションの文化を楽しんできた。入社後はシリコーンを中心に、化粧品事業のマーケティング、建築素材事業のアジアパシフィック地域(APAC)のリーダー、自動車関連事業のグローバルのトップなど、グローバルやアジアで広く経験を積んだ。

 その後、東レ・ダウコーニング(現ダウ・東レ)の会長に就任したが、その頃は世界の情勢に大きな変化が起こる時代だった。それまで日本がイノベーショで世界を牽引していたが、中国経済が急激に成長したことで、マーケットの注目が大きく変化することとなった。日本が持つイノベーションとサステナビリティといった強みを生かし、従業員と共にいかに会社を盛り上げていくかが、後半5年間のチャレンジであった。

 ━ダウ・ケミカル日本の社長に就任された抱負について。

 親会社であるダウは、APACの戦略に基づき、高付加価値ビジネスの成長を加速させることを目指している。巨大な中国市場がメインターゲットだが、日本や韓国には自動車産業やエレクトロニクス産業など各分野でイノベーションを牽引する企業が多くあり、ビジネスチャンスが期待できる。

 こうした中、日韓の市場や顧客に精通しているというキャリアから、私が新たなリーダーに指名されたと認識している。13年ぶりの日本人社長となるが、私のミッションは、

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【新社長特集】テクノUMG 山脇一公社長

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2020年10月2日

統合のシナジー効果を最大化、「飛躍」のステージへ導く

 ━抱負をお聞かせください。

 私は当社の親会社であるJSRに入社以来、前身であるテクノポリマーのキャリアが1番長い。四日市事業所ではABS樹脂の研究開発や製造技術に携わり、さらに2010年までの3年間は本社で企画管理部長を務めるなど、計19年にわたりABS事業に関わってきた。

 また、2018年のテクノUMG設立の際には、統合準備室のメンバーでもあった。こうした経歴からABS事業に大変愛着を持っている。10年ぶりに社長として古巣に戻れたことを喜ばしく思っており、やりがいを感じているところだ。

 ━御社の強みをどう捉えていますか。

 当社は旧テクノポリマーと旧UMG ABSが合併したが、最大の特徴として、両社が得意としていた市場や技術の重なりがほとんどなかったことが挙げられる。もちろん、同じABS事業であることから一部重なる部分はあったが、ほぼ1足す1が2というように市場や顧客を拡大することができた。また、技術面でも、多様な技術が集約されており、

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【新社長特集】日本ポリエチレン 山田清隆社長

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2020年10月2日

高付加価値化を推進、再投資できる収益体制を目指す

 ━抱負をお聞かせください。

  中面JPE 山田社長 ポリエチレン(PE)業界を振り返ると、各メーカーが合併を繰り返してきた歴史だ。当社も現在の姿になるまで5社が関わっており、社内には様々な技術やノウハウが蓄積され、研究体制も充実し、また製品のラインアップも豊富となっている。さらに、営業と研究開発の協力体制が整っており、顧客のニーズに対しソリューションを提供する提案力もついてきた。こうした当社の強みを生かして、会社をさらに発展させていきたい。

 一方、海洋プラスチックごみ問題を契機に、プラスチックが悪者といった印象が広まり、脱プラスチックの動きが強まっている。ただ、例えばプラスチック包装がフードロスの削減につながり、またコロナ対策でも多くのプラスチック製品が医療分野で使用されているように、様々な課題の解決に貢献できるといった一面が見逃されている。PE専業メーカーである当社は、こうしたプラスチックの有用性を、しっかりアピールしていく必要があると考えている。

 ━PE業界をどう見ていますか。

 PEの内需はここ数年大きな変動がなく、年間340~350万tで底堅く推移している。PEは日用品をはじめ様々な分野に使用されており、生活の一部として浸透していると言えるだろう。しかし、供給面を見ると、

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【新社長特集】PSジャパン 室園康博社長

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2020年10月2日

リーディングカンパニーを堅持、安心と価値を提供

 ━抱負をお聞かせください。

  PSジャパン 室園社長 中面当社は、国内ポリスチレン(PS)業界のリーディングカンパニーであると自負しており、業界の発展に貢献していくことが第一だと考えている。また、スチレン工業会の会長にも就任したが、PSを含めプラスチックがいかに有用なものであるのかを訴えていきたい。

 先日、私の娘から「プラスチックは世の中の役に立っているね」と初めて言われた。コロナ禍による「巣ごもり需要」で、テイクアウトやスーパーでの買い物の際に、プラスチックを使用するケースが増えたことで実感したのだろう。

 コロナ禍は事業環境の悪化をもたらしているが、逆にPSを再評価していただく良いきっかけになるかもしれない。そのためにはPSがリサイクルできる環境に優しい樹脂であることを広めていく必要がある。昔からPSはリサイクルに取り組んできたが、さらにリサイクル技術や回収システムをブラッシュアップしていかなければならない。

 ━リーディングカンパニーとして何に取り組んでいきますか。

 当社はリーディングカンパニーの地位を維持するために、シェアナンバーワン、品質ナンバーワン、高付加価値化を含めた技術開発ナンバーワン、環境対応ナンバーワン、といった4つの「ナンバーワン」を掲げている。

 PS業界は3社に集約されている中で、各社それぞれ得意分野で勝負をしている。シェアを維持するためには、

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【新社長特集】新日本理化 三浦芳樹社長

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2020年10月2日

マーケットインで、オンリーワンの技術と信用を届ける企業に

 ━まずは社長に就任された抱負をお聞かせください。

  中面新日本理化 三浦社長1.JPG 当社は昨年100周年を迎えた。この節目を新しいスタート地点として捉え、強みと弱みをしっかりと分析した上で、新たな土台を築きながら経営に当たりたいと考えている。強みで言えば、当社の歴史は水の電気分解による水素・酸素製造、油脂化学に始まっているが、当時から培われてきた水素化技術やエステル化技術が今でも当社のベースとなっており、業界内でも評価をいただいている。また従業員の仕事に対する姿勢が非常に真摯で粘り強く、必ず結果を出してくれるといった風土もある。

 一方、弱みとしては、そうした強みを継承すること自体が目的化してしまい、新しい技術や新製品を生み出す力がやや脆弱化していることだ。おそらく30年ぐらい前はスペシャリティとコモディティの比率が3対7ぐらいだった。それが現在は1対9と多くの製品がコモディティ化し、収益力が落ちている。

 また、当社はドメスティックな環境で成長してきた会社という側面から、マーケットの変化に鈍感になっており、グローバル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)などへの対応も遅れ気味だ。今後はマーケットへのアクセスを増やし、トレンドにいち早く対応していく必要があるだろう。

 ━前職の商社でのご経験をどう生かされていますか。

 メーカーといえども、今は製品を棚に並べておけば売れるという時代ではない。市場ニーズを捉えるマーケティング力が重要となっており、そこで私の商社時代の経験が生かせると思っている。

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【2020年 夏季特集】 トップインタビュー

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2020年8月10日

コロナ影響拡大で先行き不透明
戦略の見直しが課題、新常態でも成長戦略を模索

 わが国化学産業は、新型コロナウイルスの感染拡大により需要が低迷したこと、さらに原油価格の暴落により製品市況が悪化したことで深刻なダメージを受けている。経済活動の再開により下期からの回復が期待されているものの、先行き不透明感が強まっており、今年度は各社にとって正念場の年となりそうだ。

 対面業界では、明暗が分かれている。これまで市場をけん引してきた自動車産業は、生産台数が大幅に落ち込んでおり、回復までには時間を要するとの見方が強い。長期的にみればCASEなど新たな需要が期待されるものの、投資計画を見直す動きも出始めている。

 また各社がこれまでコスト重視で効率化を図ってきたサプライチェーンも、ロックダウンによって寸断された。近年では自国ファーストも進んでおり、今後は地産地消を含めた再構築を迫られそうだ。

 一方、テレワークが一気に整備されたように、5GやIoTといった半導体分野の需要が急速に拡大。また、コロナ禍で健康意識が高まったことを背景に、ヘルスケア分野への各企業の取り組みが加速している。ニューノーマル(新常態)においても、これらの分野は成長が期待されることから、今後、各社間の競争が激しくなりそうだ。

 今回の「夏季特集号」では、化学業界を代表する首脳の方々に、コロナ禍による現下の危機をいかに成長の機会に変換し生き残りを図っていくのか、その戦略と方針を聞いた。

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信越化学工業 金川千尋会長/▽コロナ禍を成長の機会に、「谷深し」でも活路は必ずある

三菱ケミカル 和賀昌之社長/▽循環型経済の実現に向け、共同歩調で取り組み加速

旭化成  小堀秀毅社長/▽新常態の変化を事業機会と捉え、ヘルスケア領域を第3の柱に

三井化学 橋本修社長/ ▽新事業開発センターが始動、新体制で事業創出を加速

東ソー  山本寿宣社長/ ▽コロナ禍でも中計方針を徹底、ハイブリッドカンパニーを追求

昭和電工 森川宏平社長/▽顧客体験を最大化、統合で〝先端材料パートナー〟を目指す