【LCP特集2】東レ 特徴あるポリマー開発、自動車用途への展開図る

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2019年10月18日

 東レは「シベラス」の製品名で液晶ポリマー(LCP)事業を展開している。1973年に重合研究を開始し、1997年から愛媛工場で本格生産を始めた。2008年に増設して、現在の生産能力は2000t/年。「シベラス」の最大の特長は薄肉流動性で、主にスマートフォンのSMTコネクターやカメラモジュールで使われている。

 市場の伸びという意味では、大きく急速に伸びているポリマーではないが、スマホが売れた2016-17年は、供給が追い付かないほどの伸びを示した。ただ、18年の後半からスマホの売れ行きが鈍ったことに伴い、需要の伸びが鈍化している。

 「スマートフォン

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【LCP特集1】5G・自動車での拡大見込む

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2019年10月4日

 液晶ポリマー(LCP)は固体時だけでなく、溶融時にも結晶性を示すスーパーエンジニアリングプラスチックの総称である。

 物理的状態で定義されるため、ポリマー骨格構造はメーカーやタイプによって異なり、ポリマー設計によって耐熱性や機械強度など、さまざまな特性を持つポリマーが開発されている。成形時の流動性が良く、強度に優れた精密成形品の素材に適している。耐熱性が高く、難燃性・耐薬品性・制振性・寸法安定性にも優れている。

 特に電気・電子部品の

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【PBT特集4】ポリプラスチックス

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2019年9月13日

欧米のティア1開拓へ、技術支援体制の拡充を推進

 日本のポリブチレンテレフタレート(PBT)の草分けであり、「ジュラネックス」ブランドでPBT事業を展開するポリプラスチックスは、より迅速かつ効率的な事業運営のため、子会社のウィンテックポリマーを今年4月に吸収合併した。

 ポリプラスチックスがPBTの輸入販売を開始したのは1970年。79年にコンパウンドの生産を始め、84年には富士工場にポリマープラントを完成させた。2000年に事業拡大のため、同社60%、帝人40%の出資比率により、ウィンテックポリマーを立ち上げ、ここでPBT事業を行ってきたが、両社の事業再構築によって、ウィンテックポリマーは2016年に、ポリプラスチックスの100%子会社となっていた。

 「吸収合併により、名実ともに『ポリプラ』ブランドとしてのPBT展開を再開した」(事業戦略統括室PBT事業戦略室・江藤彩子室長)。生産体制としては、日本とマレーシア、台湾、中国に自社コンパウンド拠点を持つほか、中国(複数)とアセアン(同)、米国、メキシコの協力会社に生産を委託している。

 同社では顧客に対し、PBT

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【PBT特集3】三菱エンジニアリングプラスチックス

2019年9月6日

需要増にらみ製造設備増強、加工委託先の拡充も

 三菱エンジニアリングプラスチックスは、先進運転支援システム部品などで、自動車を中心にさらなる市場の拡大が見込めるポリブチレンテレフタレート(PBT)について、需要状況に対応して供給体制の整備を進めている。

 同社は「ノバデュラン」のブランド名でPBT事業を展開している。非強化やGF(ガラス繊維)強化、難燃などの各標準グレードのほかに、低反りタイプや耐加水分解性タイプ、耐ヒートショック性タイプなど種々のグレードを持ち、用途に応じて最適なグレードを提供している。

 販売量が多いのは非強化の標準グレード「5010R」シリーズで、主に

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《取材こぼれ話》熱電発電の効率化に求められる素材とは

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2019年9月5日

 NEDOはこのほど、熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する熱電材料を、汎用元素だけを用いて開発し、モジュール化にも成功した。実証試験では、5℃の温度差で発電するモジュールを用い、IoT機器の自立電源としての有用性を示した。

画期的な鉄-アルミニウム-ケイ素系熱電発電モジュール
画期的な鉄-アルミニウム-ケイ素系熱電発電モジュール

 同事業で材料開発や材料合成、性能評価を行った、物質・材料研究機構(NIMS)の高際良樹主任研究員は、今後想定される研究課題として、人体に装着するセンサーの自立電源への応用などを挙げた。

 体温と外気の温度差はせいぜい1℃。この温度差で装置を動かすには、熱電材料の高性能化もさることながら、熱をどう効率的に吸収するか、どう逃がすかが問題になってくるという。

 熱電素子の両面の温度差で発電する熱電発電モジュール。たとえば、熱を受ける上部には熱伝導率の高い受熱シートが必要になってくるし、下部には放熱に有効なシートが求められる。高際主任研究員は、素材の提供・開発といった側面から、化学メーカーの参加を呼び掛けていた。

 NEODは省エネルギーの観点から、未利用熱の革新的な活用技術研究開発を推進している。未利用熱とは、製造プロセスの中で利用されずに排出される工場の排熱や、自動車のエンジン回りから出る熱をはじめ、エアコンの排熱、住宅の窓や壁から放熱とさまざまなものがある。

 石油や天然ガスといった1次エネルギーをベースにすると、その60%は未利用熱として排出されているという。この未利用熱の活用法の1つとして、熱を電気に変換する熱電材料の開発が進められている。いわば熱のリサイクルだ。

 今回の開発が画期的なのは、汎用元素の鉄、アルミニウム、ケイ素のみからなる熱電材料を開発したことだ。200℃以下の低温熱源を利用する熱電材料の場合、ビスマス‐テルル系の化合物が知られているが、どちらも希少元素(レアメタル)である上に、テルルは毒性が非常に強いことなどの課題があった。

 高際主任研究員は、開発した革新的な鉄(Fe)‐アルミニウム(Al)‐ケイ素(Si)系の熱電材料(Thermoelectric Material)を、その頭文字から「FAST(ファスト)材料」と命名した。

 FAST材料のさらなる高性能・高機能化には、化学メーカーが提供する素材がカギとなりそうだ。

 

【PBT特集2】東レ コンパウンド技術で差別化、非日系にも拡販へ

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2019年8月23日

  東レは1975年から「トレコン」の製品名で、ポリブチレンテレフタレート(PBT)事業を展開している。現在は愛媛工場(2万3000t/年)と、2006年に稼働を開始した、BASFとの合弁会社であるマレーシアのプラント(6万t/年)でポリマーを製造している。

 コンパウンドの拠点は日本(名古屋事業場)と中国の3カ所(蘇州・深圳・成都)、タイ、インドネシア、米国にあり、インドの新拠点が9月から量産を開始する予定だ。これらグループ会社のほか、ベトナムと

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【2019年 夏季特集】 トップインタビュー 事業環境悪化も持続的成長を模索 

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2019年8月19日

 海洋プラごみ問題など、環境貢献も需要なテーマ

 日本の化学産業は米中貿易摩擦の深刻化による中国経済減速の影響により、逆風が吹き始めている。世界経済のバランスが崩れてきたことで、サプライチェーンの分断化が懸念されており、生産・供給体制の見直しや、地産地消といったローカル戦略が重要となってきた。

 これまで各社は、高付加価値品へのシフト、成長分野への進出、M&Aなど事業ポートフォリオ変革に注力し、変動への耐性を高めている。その真価が試される中、持続的成長を模索する動きが強まりそうだ。

 また、急速に進むグローバル化やデジタル化に対応した、社内基盤の整備も大きなテーマとなっている。プロフェッショナル人材の確保や育成、また海外拠点の増加に伴うガバナンス体制の強化も図っていく必要がある。

 一方、海洋プラスチックごみ問題や地球温暖化問題がクローズアップされ、世界的に環境意識が高まっており、素材産業にも厳しい目が注がれている。ESGやSGDsといった視点に立ち、持続可能な社会の構築にいかに貢献できるかが、今後ますます問われてくるだろう。

 国内の化学産業は「令和」という新時代に、企業価値の向上や環境問題にどう取り組み、持続的成長を果たしていくのか。その戦略と方針について、業界を代表する首脳の方々に聞いた。

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 信越化学工業会長 金川千尋氏/▽さまざまな事態への備えが重要、安定的な収益確保を目指す

 三菱ケミカル社長 和賀昌之氏/▽安全が第一、安全・安心を担保できない事業はやめる覚悟

 旭化成社長 小堀秀毅氏/▽サステナビリティへの貢献を軸に、製品・用途開発を推進

 三井化学社長 淡輪敏氏/▽増設・増強でナフサクラッカー強化、下流の競争力を向上

 東ソー社長 山本寿宣氏/▽スペシャリティで相次ぎ能増、新中計で成長図る

 昭和電工社長 森川宏平氏/▽創立80周年を迎え、さらなる収益力向上のサイクルを回す

 JSR社長兼COO 川橋信夫氏/▽ポートフォリオを拡充、新体制でグローバル化に対応

 PSジャパン社長 佐藤公氏/▽新中計では目標を「見える化」、実力のさらなる向上を目指す

 

 

 

 

 

【2019年 夏季特集】 PSジャパン代表取締役社長 佐藤公 氏

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2019年8月16日

 新中計では目標を「見える化」、実力のさらなる向上を目指す

 ━社長就任から1年が経ちました。

 昨年の社長就任時に「リーディングカンPSジャパン佐藤社長TOPパニーとしてのあるべき姿を目指す」ことを掲げたが、振り返ってみると収益を含め総じて順調な1年だった。事業環境が良かったこともあるが、テーマとしてきた高付加価値化が進展したことや、コストダウンに注力してきたことで、事業基盤が確実に強化されてきたと感じている。また、ポリスチレン(PS)業界は、四半期ごとの価格改定が定着しているなど、樹脂メーカーから加工メーカーまで透明性が高いという印象を持っている。ほかの樹脂と比べても、良い業界と言えるのではないか。

 ━見えてきた課題は何ですか。

 課題はいくつかあるが、第1はやはり安定供給責任だ。事業の拡大戦略を打ち出している顧客に対応するため、供給能力を確保していかなければならない。次に品質保証の問題だ。リーディングカンパニーとして「品質ナンバー1」を目指しており、これまで異物問題に対し集中して投資を行ってきた。

 第1段階である異物発生源対策は終了し、また流出防止対策も一段落した。今後も、異物を低減する対策は継続して実施していく。ポリマー中に残るモノマーの量を極力減らした当社の

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【2019年 夏季特集】 JSR代表取締役社長兼COO  川橋信夫 氏

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2019年8月15日

 ポートフォリオを拡充、新体制でグローバル化に対対応

 ━社長に就任され、経営体制も変わりました。

 JSR川橋社長 当社売上の海外比率が約60%、また従業員の40%ほどが海外におり、市場も含めたグローバル化に対応するためCEO・COO制度を導入しました。CEOは経営方針や経営計画などJSRグループ全体に関する事項を担当するとともに、北米統括会社の社長としてライフサイエンス(LS)事業を統括します。この6月に社長兼COOに就任し、LS事業を除く全ての事業や研究開発、人事からガバナンスまで統括しています。

 社長就任の抱負として、事業環境が変化していますので、各事業の5G向け材料などでポートフォリオの拡充・拡大を図り売上を伸ばしていきたい。LS事業では健康長寿分野への貢献を図り、またCTO(最高技術責任者)も兼務していますので需要に対応した新しい素材の開発にも注力していきます。

 ━環境問題への関心が高まっていますが、対応策について。

 われわれの大きな用途の1つであるタイヤについてはカーボンも入っていますし、われわれだけでは対応できないので、業界と歩調を合わせて最大の努力をしていきます。海洋プラごみ問題で出てくるものとして、ゴムの微粉がありますが、当社が開発している高耐久性・耐摩耗性のS-SBRは、微粉の

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【2019年 夏季特集】 昭和電工代表取締役社長  森川宏平氏

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2019年8月14日

 創立80周年を迎え、さらなる収益力向上のサイクルを回す

 ━2018年度の業績の総括をお願いします。

 昭和電工森川社長 当社グループは、2016年から推進してきた中期経営計画「Project 2020+」で、持続的成長に向けた収益基盤の強靭化を推進してきました。この結果、2018年は黒鉛電極事業において統合効果の顕現と国際市況の上昇により大幅な増収となったほか、すべてのセグメントで中計目標を達成し、過去最高の営業利益を達成しました。すべての事業で収益力が向上した結果です。

 ━2019年度の景気動向と事業環境の見通しや、米中貿易摩擦の影響を教えてください。

 18年後半から懸念された中国景気減速については、中国政府による景気刺激策により持ち直しの傾向が見られたものの、米中貿易摩擦の長期化が中国経済に直接的・間接的に影響を与え、不透明感が強まっているように見えます。この問題は米中だけにとどまらず、原材料在庫、流通在庫の調整が起こるなど、世界経済全体に大きな影響を及ぼしており、この状態が継続するのか、引き続き注視する必要があります。日本経済への影響については、2018年後半から中国への電子材料や各種機械装置の輸出、メモリや半導体需要の低迷が表面化しています。2019年下期は

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