【カーボンニュートラル特集】BASFジャパン

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2021年11月12日

経営推進本部 入江 剛氏

省エネ・再エネ・リサイクルで、資源消費型成長から脱却

  世界最大の化学メーカーであるBASFは、サステナブル経営でも先行している。1994年にサステナビリティへのコミットを発表し、世界の240を超える生産サイトでCO2の排出削減を進め、2018年には45%減(1990年比)を達成。さらに、2050年のネット・ゼロ、2030年の25%削減目標(2018年比)を表明した。将来のグリーン社会を見据え、風力発電への先行投資やスチームクラッカーの電化など、革新的な取り組みを進めている。カーボンニュートラル(CN)に対する方針や取り組み、また日本の課題などについて、事業推進室兼サステナビリティ推進室の入江剛シニアマネジャーに話を聞いた。

入江 剛シニアマネジャー

 ━BASFの経営理念とサステナビリティについて。

 当社は、サステナビリティが経営の根幹にあり、企業目的に「持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくる」を掲げて事業を展開している。化学こそが、

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【カーボンニュートラル特集】出光興産

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2021年11月12日

技術・CNX戦略部 大沼安志氏 /片桐絢也氏

炭素循環社会に向けて、事業ポートフォリオを大幅転換

 脱炭素社会・循環型経済へのシフトが進む中、石油会社はどのように対応して生き残りを図っていくのか、またエネルギーや原料の安定供給の責任をどう果たしていくのか、が問われている。

 出光興産は、カーボンニュートラル(CN)を実現させるため、今年5月に「CNXセンター」構想を発表。製油所・事業所を低炭素エネルギーの供給拠点へと進化させていく方針を示した。その背景と全体像、各種施策や課題、提言について、今年7月に発足したCNX戦略室の資源循環事業推進グループリーダー大沼安志氏と、水素・アンモニア事業推進グループリーダー片桐絢也氏に話を聞いた。

 ━CNXセンター構想を打ち出した背景について。

大沼 安志グループリーダー

 大沼 当社は、2050年のエネルギー事業の環境について、4つのシナリオを描いていたが、コロナ禍により世界の脱炭素化が加速したことで、化石燃料の需要の見通しを「劇的な需要減少」に引き下げた。その前提の下、現在、主要な収益源である化石燃料・基礎化学品から低炭素・資源循環エネルギー、先進マテリアル等の高付加価値製品への収益構造の転換を打ち出し、そのための戦略づくりに取り組んでいる。特に、CO2排出削減のカギとなる製油所については、検討を重ねた結果、「CNX(カーボンニュートラル・トランスフォーメンション)センター」へと進化させる構想を掲げた。

 これまでコンビナートでは原油から燃料油と基礎化学品を製造していたが、既存のアセットを活用しながら、原料を合成エタノールや廃食油などの低炭素原料へ置き換え、水素やアンモニアを発電燃料にしていく絵を描いている。

 それにとどまらず、廃プラを油化して化学品原料にすることや、地域の焼却センターから熱源を誘導することも視野に入れ、さらにサーキュラービジネスとして、カルシムを多く含む産廃物とCO2を炭酸塩化し高機能材料の原料として活用することや、太陽光パネルやLi電池などの先端材料のリサイクルも手掛けていく。

 このように、製油所の敷地とアセット、ノウハウを総合的に最大限活用し、低炭素のエネルギー・素材を供給する事業モデルに変えることが「CNXセンター」のコンセプトだ。

 ━これらの取り組みは、全製油所に導入していきますか。

片桐 絢也グループリーダー

 片桐 すべての取り組みを、1カ所に集約したり7カ所すべてに導入するということは考えていない。それぞれの製油所の特性を生かし、その地域に適した取り組みを進めていくことになる。

 例えば、今年6月に発表したが、アンモニアでは徳山事業所の既存設備を活用したサプライチェーン構築の共同検討をIHIと開始した。これは同地域にアンモニア需要が見込めることが背景にある。他のバイオマス、水素、合成燃料などについても、地域によって取り組み方に違いがあると見ている。

 ━新たに発足した技術・CNX戦略部の役割について。

 大沼 技術・CNX戦略部(CNX戦略室)は、CNXセンターを実現していくことがミッションになる。これまで高機能材等に対する技術立脚型の事業企画やオープンイノベーションに取り組んでいた技術戦略室に、

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【カーボンニュートラル特集】マイクロ波化学

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2021年11月12日

代表取締役社長 吉野 巌氏

マイクロ波により、化学産業の製造プロセスに革新を起こす

 電子レンジで使われているマイクロ波(電磁波)は、物質を直接・瞬時に加熱できる、極めて高効率なエネルギー伝達手段。近年では、地球温暖化問題を契機に環境意識が高まっており、CO2削減に貢献できるマイクロ波技術に注目が集まっている。

 2007年に設立されたマイクロ波化学は、化学産業にイノベーションを起こすことをミッションに掲げている。化学産業では外部から加熱してモノを作るプロセスが100年以上変わらずに使われており、マイクロ波技術に転換することでエネルギーの効率化、省エネ、環境負荷の低減が期待できる。カーボンニュートラル(CN)がフォローの風となり大きなビジネスチャンスを迎えている中、吉野巌社長に、これまでの取り組みや今後の展望などを聞いた。

吉野 巌社長

 ━会社の概要をお聞かせください。

 当社は、マイクロ波をキーワードに研究開発を行い、技術プラットフォームを確立した。それをベースに反応系と装置をデザインし、マイクロ波プロセスとして提供している。

 技術の基盤は、物理と化学と化学工学だが、ラボ実験から工場立ち上げまでカバーするため、当社には多様な人材が揃っている。社員約60名のうち、技術系は物理と化学領域のサイエンティストと、エンジニアが半分ずつ在籍している。

 技術の導入・実施にはエンジニアリングが重要であるが、シミュレーションの専門家も必要となる。足元では、多様な案件に適用することで、汎用化に向けた技術プラットフォームのさらなる強化に取り組んでいる段階だ。また、科学的知見も重要となるため、

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【カーボンニュートラル特集】リファインバース

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2021年11月12日

常務取締役 加志村 竜彦氏

廃棄処理困難物を技術力で再生、廃プラ回収でCRにも貢献

 カーボンニュートラル実現のためには、原燃料のグリーン化とともに、循環経済(サーキュラーエコノミー)の構築がカギを握る。プラスチックをリサイクルしていくためには、廃プラを分別・回収する工程の重要性が増しており、動脈産業と静脈産業が一体となってバリューチェーンを構築する必要がある。

 産廃業とリサイクル業の両方の顔を持つリファインバースは、タイルカーペットやナイロン漁網のリサイクルを手掛けており、豊富なノウハウや高い技術力をもつ。昨年には三菱ケミカルが出資し、今年8月にはケミカルリサイクルでの協業を発表するなど注目を集めている。同社でリサイクルの事業開発に取り組む、加志村竜彦常務に話を聞いた。

加志村 竜彦常務取締役

 ━リファインバースの概要をお聞かせください。

 当社の前身は産業廃棄物処理業であり、主にオフィスなどの内装関係を強い分野とし、廃棄物の回収・処理を行ってきた。ただ、オフィスから大量に発生するプラスチックや繊維系といった軟質系の産廃物は、破砕機に絡まるため、業界的には処理困難物として扱われる。

 こうした中、当社は、埋め立て処分するしか方法がなかったタイルカーペットに注目し、

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【カーボンニュートラル特集】アールプラスジャパン

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2021年11月12日

代表取締役社長  横井 恒彦氏

バリューチェーン一体で廃プラCR支援、27年商業化目指す

 カーボンニュートラルを実現する上で、リサイクルの技術革新は欠かせない。使用済みプラスチック再資源化事業の商業化を目的に、2020年4月、サントリーMONOZUKURIエキスパートが中心となり、12社共同出資で「アールプラスジャパン(RPJ)」が設立された。米国バイオ化学ベンチャー・アネロテック社が進める、廃プラを原料に芳香族とオレフィンを生産するケミカルリサイクル(CR)技術の開発を全面的に支援し、2027年の日本での社会実装を目指している。

 現在、参画企業は32社にまで増え、川上の化学メーカーから容器・包装会社、ブランドオーナー、小売り、リサイクル会社とバリューチェーンを構成する各社が名を連ねる。RPJ社長は、サントリーMONOZUKURIエキスパート執行役員の横井氏が務める。会社設立の経緯や技術の強み、今後の展開などを聞いた。

横井 恒彦社長

 ━RPJ設立経緯についてお聞かせください。

 発端は2011年にまで遡る。当時サントリーグループ(以下、サントリー)は、ペットボトルを石油由来ではなく、別の素材でできる技術はないかと様々な可能性を調査していた。トウモロコシやサトウキビを原料に、液相での化学変換法でバイオペットボトルを作る技術は知られていたが、サントリーとしては、環境負荷への配慮から

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【ポリカーボネート特集6】SABIC(SHPPジャパン)

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2021年10月8日

高機能化とソリューションで、二桁成長を実現

 SABIC(サウジ基礎産業公社)は、2007年にGEプラスチック事業を買収し、イノベーティブプラスチックス事業部として35カ国で展開。ポリカーボネート(PC)の生産能力は、世界4拠点(米国とEUが各約50万t、中国とサウジアラビアが各約25万t)で約150万tとみられる。

 日本においては、1968年に、GEと長瀬産業の代理店契約により高品質PC「レキサン」の市場開発とコンパウンディングをスタートさせ、

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【ポリカーボネート特集5】出光興産

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2021年10月1日

コスト競争力と独自技術で、2桁成長を目指す

 出光興産は、1964年に独自の連続生産技術により徳山工場でポリカーボネート(PC)生産を開始。1975年には三菱化成に技術供与し、1985年に千葉工場で生産を始めた。

 その後、事業環境の悪化から日本での生産を停止し、2015年に台湾のフォルモサケミカルズ&ファイバー(FCFC)でのライセンス生産に集約。巨大コンプレックスでの生産により、原料ビスフェノールA(BPA)や用役など、製造コストの面で競争力を高めた。

 FCFCは年産20万tの生産能力をもち、

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【ポリカーボネート特集4】住化ポリカーボネート

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2021年9月27日

PCの特性生かし、光制御技術・製品開発に注力

 住化ポリカーボネートは、1996年に住友化学とダウ・ケミカルの合弁会社・住友ダウとして商業生産を開始。2011年にポリカーボネート(PC)事業のスタイロン社(現トリンセオ)への譲渡により住化スタイロンポリカーボネートに社名変更し、2017年に住友化学100%出資会社となり現在の社名となった。

 愛媛工場に8万tの生産能力をもち、コンパウンドについては、大ロットは愛媛工場で、小ロットや海外顧客には日本、中国、ベトナムの外注工場などで対応している。供給先については、日本を含めた東アジア(中国、台湾、韓国)が多く、東南アジア各国にも輸出。アジア市場は

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【ポリカーボネート特集3】帝人

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2021年9月17日

新たな市場ニーズに対応、高付加価値化の推進

 帝人は1960年に日本で最初にポリカーボネート(PC)の商業生産を開始し、1999年にはシンガポール、2005年からは中国へと樹脂の生産拠点を拡大した。その後シンガポールからは撤退し、現在は日本12万t、中国16万t、計28万tで世界第5位の生産能力を保有するとされる。

 PC樹脂「パンライト」と、ABS樹脂とのポリマーアロイ「マルチロン」の2つの製品群を展開している。光学用途に特化した「パンライトSP」シリーズは高屈折率・低複屈折といった特長があり、カメラの薄型化・高画素化に貢献。スマートフォンのカメラ向けに引き合いが強いが、要求特性の多様化に合わせた新グレードの開発に取り組んでいる。

 それに対し、独自開発した「マルチロン」は、PCとABS樹脂の両方の特長を兼ね備えており、

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【ポリカーボネート特集2】三菱エンジニアリングプラスチックス

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2021年9月10日

全方位で事業展開、高付加価値品比率向上で成長

 三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)は、三菱ガス化学(MGC)と三菱ケミカルの合弁会社として1994年に設立。ポリカーボネート(PC)樹脂はMGCの「ユーピロン」、三菱ケミカルの「ノバレックス」、DSMから継承した「ザンター」の3ブランドで、樹脂販売とコンパウンドの製造・販売を行い、その売上高はMEP全体の7割を占める。グループのPC樹脂生産能力は、世界5拠点(日本20万t、タイ17万t、中国14万t、韓国6万t、オランダ3.5万t)の合計60.5万t。世界第3位に位置し、日本国内ではトップシェアを握っている。

 同社は3ブランドを擁し、幅広いラインアップと市場浸透により、汎用品から機能品までオールラウンドに事業を展開。国内の売上高については、昨年前半はコロナ禍の影響で大幅に落ち込んだものの、後半には回復。今年前半にかけては2019年の水準を超える場面もあったが、今は

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