東レ ABS樹脂とPBT樹脂を値上げ、採算是正図る

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2020年12月22日

 東レは21日、ABS樹脂「トヨラック」とPBT樹脂「トレコン」を1月4日出荷分から値上げすると発表した。改定幅はABS樹脂「トヨラック」(ABS樹脂、ABSアロイ樹脂、ASG樹脂、AS樹脂、ASA樹脂)および持続型制電性ABS樹脂「トヨラックパレル」が「30円/kg以上」、PBT樹脂「トレコン」(全グレード)が国内「50円/kg」海外「0.5ドル/kg」となっている。

 ABS樹脂ならびにPBT樹脂の主原料価格は、急速な需要拡大による市況タイトを背景に急騰しており、フレートを含む物流費も上昇している。同社は、あらゆる角度から継続的なコスト削減や合理化努力を推進しているが、現状の原料価格の上昇は自助努力で吸収できる水準を超え厳しい状況にある。こうした中、同社は安定した品質での商品供給や、さらなる高付加価値品の開発・提案を行う体制の維持・推進のために今回の値上げ実施を決定した。

アジア石化市況 エチレン上値は1000ドル/tを回復

2020年12月22日

ベンゼンは一段高で600ドル台、SMは大幅下落

 アジア地域の12月第1週の石化市況では、エチレンは下値ステイ、上値10ドル高の950~1000ドル/tでの取引となった。上値が1000ドルを回復したのは2019年5月以来となる。春先から停止していたナフサクラッカーが再開されたことで、ナフサクラッカーのトラブルで強まっていた先高観が収まりつつある。また、需要家の間で玉を確保する動きが一巡したこともあり小幅な値動きとなった。 ナフサとのスプレッドは “アジア石化市況 エチレン上値は1000ドル/tを回復” の続きを読む

宇部興産 CPLの12月価格、前月比170ドル高

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2020年12月18日

 需給バランスがタイト、原料ベンゼン高騰も要因

 宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、12月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月比170ドル高の1410ドル/tで決着した。上昇幅が100ドル以上となったのは6月以来となる。これで、4か月連続の上昇となったが、その間に380ドルも急騰している状況だ。

 中国の経済活動の回復に伴い、ナイロン需要が活況を呈している。特に商用車用のタイヤコードや、自動車用のエンジニアリングプラスチック、食品用フィルムといった用途が好調となっているもよう。こうした中、域内メーカーのトラブルや定修などにより供給が絞られたことで、需給バランスがタイト化。これに加え、原料ベンゼン価格が上昇基調を強めていることも、市況を押し上げる要因となった。スプレッドについても、

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出光興産 ポリカーボネート樹脂を100円/kg以上値上げ

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2020年12月17日

 出光興産は16日、ポリカーボネート樹脂「TARFLON」「TARFLON NEO」を今月21日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「100円/kg以上」。

 ポリカーボネート(PC)のアジア市況は、昨今の中国を中心としたアジア圏の需要回復に伴い 今年半ばをボトムに価格上昇を続けている。また、主原料であるビスフェノールAも需給のひっ迫に伴い急激に価格上昇が進んでおり、大幅なコスト上昇が見込まれている。

 同社は、厳しい経済環境下、コストダウンに取り組んでいるが、こうしたコストの高騰は自助努力により吸収できる水準を超えるものとなっており、安定生産・安定供給を図るためには価格改定をせざるを得ないと判断した。なお、想定した市況環境が大きく変動する場合は修正もあるとしている。

 

 

 

ウレタンMDI スポット市況は高水準を継続

2020年12月16日

足元ではやや弱含み、来年以降の市場動向注目

 ウレタン原料であるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)は、一時期のタイト感が緩和されつつあるものの、好環境を継続。足元の市況はモノメリックが3400ドル/t、ポリメリックが2500~2600ドル/tとなっており、依然として高水準を維持している状況だ。

 MDIは上期(4-9月期)に、コロナ禍の影響により需要が大きく減退し市況も低迷していた。しかし、コロナ禍から脱した中国で需要が急回復する中、欧米メーカーにトラブルが発生し、需給バランスが一気にタイト化。市況は上昇基調を強め、11月中旬には、モノメリックで3500~3600ドル/t、ポリメリックは2700ドル/tとなった。その後、海外でのトラブル解消や、アジア地域の定修が明けてくることもあり、市況はやや軟化傾向となっている。

 こうした中、MDIのスプレッドも大きく改善している。原料であるベンゼン価格(ACP)は、3Q(7-9月期)平均で436.7ドル/t、4Q平均で486.7ドル/tと上昇し、2Q(4-6月期)の急落(平均358.3ドル/t)から回復基調を強めている。ただ、MDI市況の上昇ペースが大きく上回っているため、12月のACP(575ドル/t)で換算した足元のスプレッドは、モノメリックで2800ドル/t程度、ポリメリックで1900ドル/t程度と、上期(モノメリック1000ドル/t程度、ポリメリック750ドル/t程度)に比べ大幅に伸長している。特にモノメリックは10月からスプレッドがさらに拡大しており、MDIメーカーにとって想定以上に収益に貢献している状況だ。

 今後については、しばらく市況が大きく崩れるとの見方は少ない。その要因として、トラブルが発生した欧米メーカーの生産が完全に戻っていないことに加え、経済活動の再開に伴い自動車用途をはじめ堅調な需要が続いていることが挙げられる。ただ、中国において住宅向け断熱材用途は冬の不需要期に入っていくことや、欧米などではコロナ禍が再拡大しており経済が冷え込むことが懸念材料。近年、MDI市況は外部環境によって乱高下しやすい状況が続いており、来年1Q(1-3月期)の市場動向が注目される。