三井化学 足先を快適にする新素材、ヒールなどに採用

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2021年6月21日

 三井化学は18日、同社が開発したヒトの体温を感知して触れた体をやさしく包み込む新素材「HUMOFIT(ヒューモフィット)」が、クロシェ(兵庫県神戸市)の新レーベル「ファルファーレクラシカル」のヒールとパンプスに採用されたと発表した。

クロシェ製ヒールとパンプスに、足先をやさしく包み込む三井化学の新素材「ヒューモフィット」が採用
クロシェ製ヒールとパンプスに、足先をやさしく包み込む三井化学の新素材「ヒューモフィット」が採用

 同日にクロシェは、新商品の7cmハイヒールとフラットのパンプスの販売を、同社オンラインショップと一部店舗を通じて開始した。 採用箇所は、7cmハイヒールの中敷き・アッパー(足先)部分と、パンプスの中敷き部分。「ヒューモフィット」の特殊シートを使用することで、体温に反応して足に馴染む機能をもたせ、足の形にぴったりと合った履き心地を実現した。

 「ファルファーレ」の開発者でクロシェホールディングスの沼部美由紀代表は、「中敷きとアッパー材に『ヒューモフィット』を採用することで、履き心地が一層向上した。特に、アッパー材への使用は、足のサイド部が合わずに痛みを感じていた方の悩みを解消できると期待している」とコメント。検査機関のデータでは、足圧を分散させる効果も見られ、足への負担軽減、足先部分の履き心地を改善した画期的なハイヒールの出来栄えを高評価した。

足圧分布測定では、「ヒューモフィット」を採用したハイヒール(左)に足圧が分散される傾向が見られた(消費者科学研究所調べ)
足圧分布測定では、「ヒューモフィット」を採用したハイヒール(左)に足圧が分散される傾向が見られた(消費者科学研究所調べ)

 「ヒューモフィット」は、常温ではゴムのようにしなやか新素材で、曲げや折り、ひねり、伸ばしのあとでも緩やかに元の形状に戻る「形状記憶性」示すほか、加温すると柔らかく、冷やすと硬くなる「温度依存性」も併せもつ。ヒトとモノとの接点をもっとやさしく、「ヒトに寄り添う」発想をベースに、三井化学グループの素材力と加工技術力で開発した。そのユニークな特性は医療・介護、スポーツ、アパレルなど様々な用途で高く評価されている。

 同社は昨年春から、「ヒューモフィット」の市場開発を開始。クロシェからは同新素材を中敷きに採用した4cmヒールのパンプスを発売し、一時完売するなど好評を得ていた。

 

三井化学 人事(7月1日)

2021年6月18日

[三井化学・人事](7月1日)▽生産・技術本部エンジニアリングセンター企画管理GL矢野浩▽解兼同、同本部同センター長兼同電気技術GL高妻泰久▽モビリティ事業本部機能性コンパウンド事業部伊左治康博▽同事業本部同事業部アドマーGL寺田豪。

三井化学 人材戦略をDXで加速、米社PF全拠点導入へ

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2021年6月16日

 三井化学は15日、グループ統合型人材プラットフォーム(PF)として、米国ワークデイ社が提供する「Workday ヒューマンキャピタルマネジメント」を、連結対象関係会社を含め全拠点に同時導入し、2023年をめどに運用を始めると発表した。同社は同PF導入を「2030年に向けた長期経営計画を達成に導く、重要な人材戦略の一環」と位置づけ、多様なポテンシャルを秘めたグループ全社員一人ひとりが、自律的にキャリア形成を行うための基盤となる環境整備を加速させていく考えだ。

人材戦略をDXで加速。米国ワークデイ社のグループ統合型人材プラットフォーム導入へ
人材戦略をDXで加速。米国ワークデイ社のグループ統合型人材プラットフォーム導入へ

 同PF導入により人事部門のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することで、グループ内の仕組みを統一し情報を可視化していくのが狙い。具体的には、ポジションマネジメントや後継者育成計画、個別育成計画、教育・資格(スキル・経験)管理、社内外リクルーティングなど、既存の人材マネジメントプロセスをグループ・グローバルでシステム統合する。

 また、グループ内の全ての組織情報(職務、職務に求められる能力・資質、報酬など)および人材情報(専門・志向性、経験、多様性など)を可視化し、適切な組織・人的資本情報を社内外へタイムリーに発信していく。同時に、テレワークや副業などを含め、時間・場所に囚われない〝新しい働き方〟環境下でも、グループ全社員のさらなるエンゲージメント向上を目指し、個の力を最大限に引き出すことで、〝挑戦し学習しつづける組織〟へと変革させていく。

 なおワークデイ社は、企業向けクラウド型財務・人事用エンタープライズ・アプリケーションプロバイダ。同社が提供する人財マネジメントプラットフォームの顧客数は全世界で8000社以上にのぼり、幅広い組織・企業に導入されている。

三井化学と三井物産 本州化学への共同TOBが成立

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2021年6月15日

 三井化学と三井物産は12日、共同により1株1830円で5月17日から実施していた本州化学工業への株式公開買い付け(TOB)について、11日に終了したと発表した。

 買い付け予定株数の下限とした145万5200株を上回る、351万9137株の応募があり、そのうち三井化学は264万394株、三井物産は87万8743株を買い付けた。決算開始日は今月18日。残りの本州化学株ついては、今後株主から買い取るスクイーズアウトを予定し、三井化学(持株比率51%)と三井物産(同49%)の両社による本州化学の100%子会社化を目指す。買い付け金額は、総額で96億円を超える見込み。

三井化学 新素材「無孔調湿フィルム」の市場開発を開始

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2021年6月10日

 三井化学は9日、無孔でありながら湿度をコントロールできる新素材フィルム「無孔調湿フィルム」(開発品)の市場開発を開始したと発表した。 

  同開発品は、液体や雑菌などの異物を通過させずに、湿度のみの調整が可能な素材。透湿性の高いフィルムにウレタンフィルムがあるが、同素材は低湿度でも一定の高い透湿性を示す。 

 一方、開発品は、低湿度の条件下では一般的なポリオレフィンフィルムのように水蒸気をほとんど通すことなく、高湿度の条件になるにつれ水蒸気を徐々に通しやすくなるという特異的な性能をもつことから、「まるで呼吸するかのように」空間の湿度をコントロールできる。

 原料は特殊ポリオレフィン。調湿性のある多くの素材が複合素材なのに対し、単一素材のためリサイクル性が高いといった特長も備える。用途には建築素材やアパレル・防護服などを想定。屋根材や壁材に使うことで、室内の湿度が高まる夏場は湿気を逃がし、逆に乾燥状態になりやすい冬場は湿気を逃さず湿度を保てることが期待される。また、不織布と貼り合わせて防護服などに利用すれば、患者の血液や雑菌を通さずに医療従事者の汗などの湿度を逃がすことで、医療活動の快適化につながる。

 コロナ禍を機にリモート社会へのパラダイムシフトが始まった今、生活空間の快適さの重要性がますます高まると想定される。三井化学は「無孔調湿フィルム」をこうした要望へ貢献できる素材だと捉え、新たな市場開拓を目指す。

 なお開発品は、第3回感染症対策総合展(6月17~19日、ポートメッセ名古屋) 、第9回高機能プラスチック展(6月23~25日、インテックス大阪)への出展を予定する。

 

三井化学 循環型経済の実現に向けて包括的協働

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2021年6月10日

HK1896との連携深め、MR起点の開発推進

 三井化学は、2050年のカーボンニュートラル達成を目標に、様々な取り組みを始めている。このほど、hide kasuga 1896(HK1896)との、サーキュラーエコノミー(循環型経済)実現に向けた包括的協働を発表。両社は、環境対応型素材やリサイクル技術の開発、市場と連携した素材の回収システムの構築など、循環型ビジネスモデルの確立を共同で目指す。

HK1896の春日社長(左)と三井化学の柴田研究開発本部長
HK1896の春日社長(左)と三井化学の柴田研究開発本部長

 三井化学が参画するのは、マテリアルシンクタンク・HK1896が昨年、東京と長野を拠点に設立した「グリーン・コンポジット・ヒルズ by hide k 1896」プロジェクト。HK1896が開発した炭素繊維と特殊樹脂によるテキスタイル複合材「hide k 1896」をベースに、製品、市場、リサイクル技術、教育を連動させて、サーキュラーエコノミーを構築していく。

 三井化学・研究開発本部長の柴田真吾常務執行役員は、「グリーン・コンポジット・ヒルズ構想には、サーキュラーエコノミーの具現化という視点から、

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【石油化学事業の展望】三井化学専務執行役員 芳野 正氏

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2021年6月4日

ニッチ分野に注力しダウンフローを強化・拡大、ボラ低減へ  

石化事業の足元と2021年の見通しについて。

  2020年度を振り返ってみると、上期(4-9月期)はナフサ価格の急落に伴う在庫評価損や川下製品の需要減少など、コロナ禍の影響を大きく受けた。オレフィンやポリプロピレン(PP)の販売が落ち込む中、特にPPは自動車関連用途の需要鈍化が響き、ナフサクラッカーの稼働率も低下した。しかし、下期(10-3月期)には自動車産業をはじめとした世界経済の回復とともに原燃料価格が上昇に転じ、製品市況が上向いてきたことでスプレッドが拡大し、クラッカーも高稼働を回復した。

 当社の場合、オレフィン、ポリオレフィンなどの石化部門とアセトンやフェノールといった基礎化学品部門、ウレタン部門を合わせて基盤素材セグメントとして括っている。2020年度の基盤素材は、期初予想は赤字予算でスタートしたものの、最終的には300億円程度の改善があり、コア営業利益196億円と黒字で着地することができた。今年度については、

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三井化学 新長計策定、化学の力で課題解決へ

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2021年6月3日

ポートフォリオ変革加速し、多様な価値を創出

 三井化学は、地球環境問題や新型ウイルスといった新たな社会課題への対応と変わりゆく未来社会のニーズを見通し、2030年を目標とする長期経営計画「VISION2030」を策定した。

橋本修社長。経営概況説明会で
橋本修社長。経営概況説明会で

 2日に経営概況説明会をウェブで開催し、概要の説明を行った。橋本修社長は新長計への取り組みについて「化学会社として大きく貢献していくという視点に立ち、社会課題を見据えたビジネスの展開を進めていく」と強調する。

 今年は2016年にスタートした10カ年の前長計の折り返し地点となるが、近年、激変する社会変化や事業環境を背景に、長計の見直しを行っていた。20年先の方向性を示す、目指すべき企業グループ像を「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける企業グループ」と改定。ますます増えてくると予想される社会課題に対し、積極的に取り組んでいくことで、素材やサービスを提供していく姿勢を前面に打ち出した。橋本社長は、

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三井化学 循環型社会に向けCR推進、BASFと協業へ

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2021年6月2日

 三井化学は1日、BASFジャパンとの間で日本でのケミカルリサイクル(CR)の推進に向けた協業検討を開始したと発表した。両社は、バリューチェーン横断的な連携を通じて、国内のプラスチック廃棄物のリサイクル課題に応えるCRの事業化を目指し、共同ビジネスモデルを含めあらゆる可能性を検討していく考えだ。

 三井化学は昨年、化学企業として社会に貢献し続けるため、2050年カーボンニュートラル(CN)目標を掲げた。また、気候変動とプラスチック問題を一体の課題として捉え、リサイクル技術・システムの開発とバイオマス製品ラインアップの拡充により循環経済の実現を目指している。平原彰男常務執行役員(ESG担当)は今回の協業について、「BASFが欧州で実証しているCR技術は価値あるソリューションであり、当社がもつ技術やエチレンクラッカーなどのアセットと組み合わせることで、循環経済の実現に向けた大きな布石になる」と強調する。

 一方、BASFはサステナビリティを経営の根幹に据え、プラ廃棄物をガス化・油化し、化学品原料として再利用する「ChemCyclingプロジェクト」を推進。2025年をめどに、年間25万tの化石原料をリサイクルまたは廃棄物ベースの原材料に置き換えることを目指している。

 両社は今後、各関係省庁・業界団体とも連携を図りながら、日本でのCRの社会実装に向けた協議を加速していく。CNやプラスチックの資源循環に向けた取り組みが世界的に高まる中、日本では昨年12月に、経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定するなど、循環経済に向けてリサイクルの重要性が一層注目されている。中でも、CRはマテリアルリサイクル(MR)を補完するソリューションとして期待されている。

三井化学 高屈折レンズ材を能増、米・中市場拡大に対応

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2021年5月28日

 三井化学は27日、世界トップシェアを誇る高屈折メガネレンズモノマー「MR」の生産能力増強を決定したと発表した。

『MR』を生産する大牟田工場の全景
「MR」を生産する大牟田工場の全景

 既存プラントのある大牟田工場(福岡県大牟田市)で設備新設とデボトル増強を行い、中国を中心としたアジアでの高機能品ユーザー層の拡大や、北米でのポリカーボネート(PC)素材からの置き換え需要などに対応していく考えだ。2023年10月の商業運転開始を予定。生産量については、既存、能増分ともに非公開としている。

 「MR」は独自の重合技術により、高屈折率・高アッベ数・軽量かつ高耐衝撃性を実現したチオウレタン系樹脂(硫黄を含むウレタン)のメガネレンズ材料。粘りのあるチオウレタン系樹脂により、薄くても割れにくく、アッベ数が高いことからレンズ度数を上げても色にじみが少なくクリアな視界が得られる特長をもつ。

伸長する高屈折メガネレンズ需要に向け『MR』を拡販
伸長する高屈折メガネレンズ需要に向け「MR」を拡販

 同社は、グローバルで拡大する高屈折メガネレンズ需要の確実な獲得を目指している。米国市場では、会員制大手量販店の米コストコが「MR」を使用したメガネレンズを標準採用するなど、PC素材からウレタン素材への切り替えが進んでおり、今後も長期的な成長が見込まれている。

 三井化学は、引き続きビジョンケア材料事業を通じ、QOV(視界品質)をコンセプトに、視力矯正から、目の健康と快適さまで、より良い視界を追求する製品開発に取り組んでいく。