ENEOS 水素社会を実現する新団体の設立準備に参画

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2020年10月15日

 ENEOSは14日、水素社会の構築に取り組む民間企業とともに、水素分野でグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進する新たな団体「水素バリューチェーン推進協議会」の設立準備委員会に参画したと発表した。なお、準備委員会に参画する企業は、岩谷産業(事務局)、ENEOS、川崎重工業、関西電力、神戸製鋼所、東芝、トヨタ自動車(事務局)、三井住友フィナンシャルグループ(事務局)、三井物産の9社。

 水素社会の実現に向けた取り組みは、地球温暖化対策として世界全体で加速しており、今後も、日本が世界をリードし続けるためには、水素の社会実装に直結する具体的なプロジェクトを企画・実行する組織が必要となる。このような状況を踏まえ、業種横断的かつオープンな枠組みの下、水素サプライチェーン全体を俯瞰し、水素の社会実装を推進するための組織を立ち上げる運びとなった。

 ENEOSは、水素の社会実装と関連産業の育成を目的とする同協議会の意義は極めて大きいと考えおり、準備委員会の一員として、協議会の設立と活動開始に向けた取り組みに努めていく考えだ。

 同社は、2014年から水素ステーションを通じた水素供給事業を先駆的に開始し、現在までに国内最多となる44カ所の水素ステーションを展開している。また、直近ではCO2フリー水素の国際サプライチェーン構築に向けた取り組みにも注力しており、昨年には海外からの大規模輸送を可能とする水素キャリアの1つ「有機ハイドライド」を低コストで製造する世界初の技術検証に成功した。さらに、将来の発電や産業プロセスなど幅広い分野での水素利用拡大を目指し、製油所や発電設備などの大規模な自社アセットの活用によるCO2フリー水素の受け入れ・需要創出に向けた検討も進めている。

 同社は、協議会を通じて、本格的な水素大量消費社会の到来に向けた国全体の取り組みを積極的に推進し、水素エネルギーを活用した低炭素社会の形成に貢献していく。

出光興産 AI技術による配船計画最適化の実証実験を完了

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2020年7月7日

 出光興産とテクノロジーベンチャー企業のグリッドはこのほど、三井物産と深層強化学習などのAI技術を活用した「内航船による海上輸送(配船)計画の最適化」の第1弾となる実証実験が完了したと発表した。

 今回の実証実験では、これまで石油元売り業界の喫緊の課題であった熟練担当者の経験や職人技に依存した配船計画策定について、AI最適化技術を用いた最適化と自動化を目指してきた。実証実験では、製油所から油槽所へ製品を海上輸送する現実の配船オペレーションを再現するシミュレーター構築とAI配船最適化モデルの構築を行い、AIによる最適な配船計画策定を実現。過去実績データとAI配船結果との比較検証を行った結果、安定供給を実現しつつ輸送効率を最大約20%改善できる配船計画の作成に成功した。

 これにより輸送コスト削減を図るとともに、属人化しがちであった配船計画業務の標準化ができ、さらには燃料消費量の低減による環境負荷軽減にも貢献できる。また、計画立案速度も格段に上がり、これまで計画立案に要していた時間の約60分の1にまで削減し、約1カ月の計画を数分で立案することが可能となった。この成果は、担当者の業務負担を大幅に軽減し、また複数の配船計画を比較し最良の計画を担当者が選択するという業務プロセスの改善も期待できる。

 構築された配船計画モデルは、船舶の運航効率や製品の積み付けバランス、航海時間や荷役時間を含めた船舶稼働時間など様々な制約条件を考慮しており、計画の実行性という観点からも、配船計画担当者や海運会社にとって違和感のない現実的な配船計画を作成できることを確認している。 

 世界的に見ても類を見ない、深層強化学習の社会課題への応用によるAI配船計画最適化の成功は、サプライチェーン全体の最適化への大きな足掛かりとなることが期待される。今後は実運用に向け、製油所・油槽所・船舶の数をさらに増やしたAI配船計画モデル構築の検証を実施するとともに、システム構築のための仕様検討を開始し、2021年のシステム運用開始を目指す。

三井物産など 中国市場向けヘルスケアファンドを設立

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2019年7月1日

 三井物産はこのほど、香港・華潤集団(華潤)、北京・厚樸投資(HOPU)とともに、各子会社を通じて合弁会社CMHヘルスケアホールディング(CMHヘルスケア)を設立。さらにCMHヘルスケアを通じて、ファンドスキームの共同投資会社CMHヘルスケアファンドを設立することで合意し関連契約を締結した。

 CMHヘルスケアファンドは、総額10億米ドル(約1080億円)の規模で、中国ヘルスケア市場が抱えるさまざまな課題に対し産業の視点から解決をもたらし、さらには伸び行く市場の成長を取り込むことを目的として、中国を中心とした病院事業(クリニック・専門病院運営、運営受託など)や中国内外のヘルスケア周辺事業を対象とした投資を行う。三井物産、華潤、HOPUも各子会社を通じ一部出資参画の上、今後参画する投資家を国内外から募る予定。

 中国のヘルスケア市場は、2030年に医療費200兆円とも言われる巨大市場である半面、高齢化や公的保険制度の充実に伴う急速な医療費の増加に伴い、医療の質と量、両面での需給ギャップが生じている。

 三井物産は、今回のファンド設立を、三井物産が目指すアジア最大の民間病院グループであるIHH社を核とした、アジアでのへルスケア・エコシステムの構築に向けた重要な地域戦略の一環として位置づけている。

 既存事業とのシナジー創出を梃子にしながら、今後もさらに伸び行く中国市場での事業基盤拡大を図り、人々が健康で、豊かな生活を営める社会創造の一助として、ヘルスケアのさらなる発展に貢献していく。

三井物産 アルゼンチン南部の風力発電事業に出資参画

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2018年12月19日

 三井物産はこのほど、仏エネルギー大手トタル社傘下の再生可能エネルギー発電事業会社Total Eren社から、アルゼンチン南部で風力発電事業を推進するVientos Los Hercules社の株式34%を、今月13日に投資子会社を通じて取得したと発表した。

 同事業は、ブエノスアイレス南西約1500kmに位置する、サンタクルス州ピコ・トルンカド市付近の350haの敷地に、総発電容量97.2㎿の風力発電設備(3.6㎿の風車27本で構成)を建設し、20年にわたりアルゼンチン卸電力市場運営会社であるCAMMESAに米ドル建てで売電するもの。総事業費は約2億2000万米ドル(約250億円)で、来年半ばの商業運転開始を予定している。

 三井物産は、これまで国内外で培ってきた発電事業の知見を活用することで、同事業の着実な完工と円滑な事業立ち上げに貢献する。なお、今回の株式取得にあわせ、世界銀行グループの多数国間投資保証機関と政治的リスク、非商業的リスクから生じる損失に対する投資保険契約を締結している。

 アルゼンチン政府は、2015年にエネルギーに関する新たな法律を制定し、国内の再生可能エネルギー供給率を2018年までに8%、2025年までに20%の達成を目指している。この目標達成に向け、世界銀行の支援を受ける国際入札プロセス「RenovArプログラム」では、これまでに太陽光・風力・バイオマス・小規模水力など、本事業を含めた発電プロジェクト59件が落札されており、三井物産にとってアルゼンチンで初の発電事業になる。

 同社の発電事業での持分発電容量9.1GW(2018年9月末現在)のうち、再生可能エネルギーは16%を占めており、2030年までにこの比率を30%に引き上げる目標を掲げている。

 また、中期経営計画では機械・インフラ領域を中核分野と位置づけ、強固な収益基盤づくりを目指し、生活に欠かせない社会インフラの長期安定的な提供を通じ、より良い暮らしや国づくりに貢献していく。