三井物産など 豪州でアンモニア生産・CCSを共同調査

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2021年11月22日

 三井物産と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)はこのほど、西豪州でのクリーン燃料アンモニア生産の事業化に向けたCO2の回収・貯留(CCS)に関する共同調査を実施することに合意し、三井物産子会社Mitsui E&P Australia(MEPAU)とJOGMECの間で契約を締結した。MEPAUは、調査の実施についてWesfarmers Chemicals,Energy & Fertilisers社(WesCEF)と覚書を交換した。

 WesCEFはアンモニア製造事業者として製造・販売にわたる豊富な知見をもつ。MEPAUは50%の権益をもつ西豪州ウェイトシアガス田をオペレーターとして開発中で、近隣の廃ガス田の権益も100%もっている。

 地理的に近いガス田と廃ガス田を結びつけ、ガス田で生産される天然ガスを改質し、得られる水素でアンモニアを合成し、副生するCO2は廃ガス田に貯留することで、クリーン燃料アンモニアを製造する。

 今回、廃ガス田でのCCSの有効性を共同調査する。三井物産は西豪州での石油・ガス生産事業のオペレーター機能に加え、既存の優良ガス資産を活用したクリーン燃料アンモニアの生産と日本を含むアジアへの輸出を計画している。両社の強み・ノウハウを生かして協業を進め、クリーン燃料アンモニアのサプライチェーン確立に向けた投資と雇用創出を通じて、豪州経済にも貢献していく。

 三井物産は、石油・ガス上流事業の知見と、今年3月に出資参画した英国のStoregga Geotechnologies社との業務提携を通じて得られる知見を生かし、「環境と調和した社会」の実現に向けてCCS事業をグローバルに展開し、低炭素エネルギーとCO2削減ソリューションを提供していく考えだ。

三井化学と三井物産 本州化学への共同TOBが成立

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2021年6月15日

 三井化学と三井物産は12日、共同により1株1830円で5月17日から実施していた本州化学工業への株式公開買い付け(TOB)について、11日に終了したと発表した。

 買い付け予定株数の下限とした145万5200株を上回る、351万9137株の応募があり、そのうち三井化学は264万394株、三井物産は87万8743株を買い付けた。決算開始日は今月18日。残りの本州化学株ついては、今後株主から買い取るスクイーズアウトを予定し、三井化学(持株比率51%)と三井物産(同49%)の両社による本州化学の100%子会社化を目指す。買い付け金額は、総額で96億円を超える見込み。

JX金属 カセロネス銅鉱山の全権益を取得、探鉱など強化

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2020年11月13日

 ENEOSホールディングスのグループ会社であるJX金属はこのほど、チリ・カセロネス銅鉱山の権益について、共同出資者の三井金属鉱業と三井物産の両社がもつ全ての権益(三井金属:25.87%、三井物産22.63%)を譲り受けることで基本合意したと発表した。これにより、JX金属は同銅鉱山の権益を100%取得する。

 カセロネス銅鉱山の銅精鉱は、JX金属グループ製錬所の有力な原料であり、世界的に精鉱中の銅品位が低下する中、高品位でクリーンなカセロネス鉱の価値が高まっている。同社では、このような優良な銅精鉱の確保が、上流の原料鉱石から下流の先端素材までの、リサイクルも含めた金属サプライチェーンの中核となる銅製錬事業にとって極めて重要だと捉えている。今後、優良鉱石を産出するカセロネス銅鉱山では、策定済みの計画に沿い、IoTを活用した自動化の推進などの投資を進めるとともに、相当量の埋蔵鉱量が見込める同鉱山周辺領域での探鉱活動などを一層強化し、生産量の維持・拡大、山命の延長などに取り組んでいく方針だ。

 JX金属と三井金属は、2006年に合弁会社パンパシフィック・カッパー(今年4月にニッポン・カセロネス・リソーシズに移管)による権益取得以来、カセロネス銅鉱山の開発を進め、2010年の三井物産の参画以降は、3社共同で事業運営を行ってきた。建設の遅れや建設費増大などの困難があったものの、現在までに生産を安定化、収益性が確保できる状況となった。今後はさらなる生産量増大に向けた新たな段階に移っていく。

神戸製鋼など 「水素バリューチェーン推進協議会」設立

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2020年11月12日

 神戸製鋼所はこのほど、水素社会の構築・拡大に取り組む民間企業8社とともに水素分野のグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進する新たな団体「水素バリューチェーン推進協議会」を設立し参画すると発表した。

 多くの国々が水素社会実現に向けた取り組みを加速し、日本でもCO2削減に向けた水素利用促進が議論される中、水素需要拡大のために様々な企業が連携し、安価な水素の供給と水素利用を促進し、水素社会構築を加速させるために①水素需要創出②スケールアップ・技術革新によるコスト低減③事業者に対する資金供給の課題解決を目指す横断的な団体が必要と認識。岩谷産業、ENEOS、川崎重工業、関西電力、神戸製鋼所、東芝、トヨタ自動車、三井住友フィナンシャルグループ、三井物産の9社で団体設立の具体的検討を始めた。

 「水素バリューチェーン構築のための横断的な取り組み」「水素社会実現のための社会実装の動きを加速」「金融機関と連携した資金供給の仕組みづくりの推進」を目的に12月初旬の設立を目指し、賛同する企業・自治体・団体を募る予定だ。

 同社は、同協議会の活動を通じて水素の社会実装に向けた革新的取り組みを進めることで「KOBELCOが実現したい未来」の達成を目指し、CO2削減と地球温暖化防止に貢献していく考えだ。

三井化学 本州化学の買収を決定、新事業創出などを加速

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2020年11月12日

 三井化学は11日、三井物産と共同し本州化学工業(東京都中央区)の普通株式を公開買い付け(TOB)により取得することを決定したと発表した。買い付け価格は約97億円、来年5月ごろの買い付け開始を予定する。

 本州化学は、液晶ポリマー(LCP)や特殊ポリカーボネート樹脂、特殊エポキシ樹脂などの高機能樹脂の原料をはじめ、電子材料、医薬品、農薬などの原料となる各種化学品の製造と販売を手掛ける。三井化学は今回の決定により、既存事業・製品の強化、新事業・新製品の創出などを加速していく考えだ。

ENEOS 水素社会を実現する新団体の設立準備に参画

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2020年10月15日

 ENEOSは14日、水素社会の構築に取り組む民間企業とともに、水素分野でグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進する新たな団体「水素バリューチェーン推進協議会」の設立準備委員会に参画したと発表した。なお、準備委員会に参画する企業は、岩谷産業(事務局)、ENEOS、川崎重工業、関西電力、神戸製鋼所、東芝、トヨタ自動車(事務局)、三井住友フィナンシャルグループ(事務局)、三井物産の9社。

 水素社会の実現に向けた取り組みは、地球温暖化対策として世界全体で加速しており、今後も、日本が世界をリードし続けるためには、水素の社会実装に直結する具体的なプロジェクトを企画・実行する組織が必要となる。このような状況を踏まえ、業種横断的かつオープンな枠組みの下、水素サプライチェーン全体を俯瞰し、水素の社会実装を推進するための組織を立ち上げる運びとなった。

 ENEOSは、水素の社会実装と関連産業の育成を目的とする同協議会の意義は極めて大きいと考えおり、準備委員会の一員として、協議会の設立と活動開始に向けた取り組みに努めていく考えだ。

 同社は、2014年から水素ステーションを通じた水素供給事業を先駆的に開始し、現在までに国内最多となる44カ所の水素ステーションを展開している。また、直近ではCO2フリー水素の国際サプライチェーン構築に向けた取り組みにも注力しており、昨年には海外からの大規模輸送を可能とする水素キャリアの1つ「有機ハイドライド」を低コストで製造する世界初の技術検証に成功した。さらに、将来の発電や産業プロセスなど幅広い分野での水素利用拡大を目指し、製油所や発電設備などの大規模な自社アセットの活用によるCO2フリー水素の受け入れ・需要創出に向けた検討も進めている。

 同社は、協議会を通じて、本格的な水素大量消費社会の到来に向けた国全体の取り組みを積極的に推進し、水素エネルギーを活用した低炭素社会の形成に貢献していく。

出光興産 AI技術による配船計画最適化の実証実験を完了

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2020年7月7日

 出光興産とテクノロジーベンチャー企業のグリッドはこのほど、三井物産と深層強化学習などのAI技術を活用した「内航船による海上輸送(配船)計画の最適化」の第1弾となる実証実験が完了したと発表した。

 今回の実証実験では、これまで石油元売り業界の喫緊の課題であった熟練担当者の経験や職人技に依存した配船計画策定について、AI最適化技術を用いた最適化と自動化を目指してきた。実証実験では、製油所から油槽所へ製品を海上輸送する現実の配船オペレーションを再現するシミュレーター構築とAI配船最適化モデルの構築を行い、AIによる最適な配船計画策定を実現。過去実績データとAI配船結果との比較検証を行った結果、安定供給を実現しつつ輸送効率を最大約20%改善できる配船計画の作成に成功した。

 これにより輸送コスト削減を図るとともに、属人化しがちであった配船計画業務の標準化ができ、さらには燃料消費量の低減による環境負荷軽減にも貢献できる。また、計画立案速度も格段に上がり、これまで計画立案に要していた時間の約60分の1にまで削減し、約1カ月の計画を数分で立案することが可能となった。この成果は、担当者の業務負担を大幅に軽減し、また複数の配船計画を比較し最良の計画を担当者が選択するという業務プロセスの改善も期待できる。

 構築された配船計画モデルは、船舶の運航効率や製品の積み付けバランス、航海時間や荷役時間を含めた船舶稼働時間など様々な制約条件を考慮しており、計画の実行性という観点からも、配船計画担当者や海運会社にとって違和感のない現実的な配船計画を作成できることを確認している。 

 世界的に見ても類を見ない、深層強化学習の社会課題への応用によるAI配船計画最適化の成功は、サプライチェーン全体の最適化への大きな足掛かりとなることが期待される。今後は実運用に向け、製油所・油槽所・船舶の数をさらに増やしたAI配船計画モデル構築の検証を実施するとともに、システム構築のための仕様検討を開始し、2021年のシステム運用開始を目指す。

三井物産など 中国市場向けヘルスケアファンドを設立

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2019年7月1日

 三井物産はこのほど、香港・華潤集団(華潤)、北京・厚樸投資(HOPU)とともに、各子会社を通じて合弁会社CMHヘルスケアホールディング(CMHヘルスケア)を設立。さらにCMHヘルスケアを通じて、ファンドスキームの共同投資会社CMHヘルスケアファンドを設立することで合意し関連契約を締結した。

 CMHヘルスケアファンドは、総額10億米ドル(約1080億円)の規模で、中国ヘルスケア市場が抱えるさまざまな課題に対し産業の視点から解決をもたらし、さらには伸び行く市場の成長を取り込むことを目的として、中国を中心とした病院事業(クリニック・専門病院運営、運営受託など)や中国内外のヘルスケア周辺事業を対象とした投資を行う。三井物産、華潤、HOPUも各子会社を通じ一部出資参画の上、今後参画する投資家を国内外から募る予定。

 中国のヘルスケア市場は、2030年に医療費200兆円とも言われる巨大市場である半面、高齢化や公的保険制度の充実に伴う急速な医療費の増加に伴い、医療の質と量、両面での需給ギャップが生じている。

 三井物産は、今回のファンド設立を、三井物産が目指すアジア最大の民間病院グループであるIHH社を核とした、アジアでのへルスケア・エコシステムの構築に向けた重要な地域戦略の一環として位置づけている。

 既存事業とのシナジー創出を梃子にしながら、今後もさらに伸び行く中国市場での事業基盤拡大を図り、人々が健康で、豊かな生活を営める社会創造の一助として、ヘルスケアのさらなる発展に貢献していく。

三井物産 アルゼンチン南部の風力発電事業に出資参画

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2018年12月19日

 三井物産はこのほど、仏エネルギー大手トタル社傘下の再生可能エネルギー発電事業会社Total Eren社から、アルゼンチン南部で風力発電事業を推進するVientos Los Hercules社の株式34%を、今月13日に投資子会社を通じて取得したと発表した。

 同事業は、ブエノスアイレス南西約1500kmに位置する、サンタクルス州ピコ・トルンカド市付近の350haの敷地に、総発電容量97.2㎿の風力発電設備(3.6㎿の風車27本で構成)を建設し、20年にわたりアルゼンチン卸電力市場運営会社であるCAMMESAに米ドル建てで売電するもの。総事業費は約2億2000万米ドル(約250億円)で、来年半ばの商業運転開始を予定している。

 三井物産は、これまで国内外で培ってきた発電事業の知見を活用することで、同事業の着実な完工と円滑な事業立ち上げに貢献する。なお、今回の株式取得にあわせ、世界銀行グループの多数国間投資保証機関と政治的リスク、非商業的リスクから生じる損失に対する投資保険契約を締結している。

 アルゼンチン政府は、2015年にエネルギーに関する新たな法律を制定し、国内の再生可能エネルギー供給率を2018年までに8%、2025年までに20%の達成を目指している。この目標達成に向け、世界銀行の支援を受ける国際入札プロセス「RenovArプログラム」では、これまでに太陽光・風力・バイオマス・小規模水力など、本事業を含めた発電プロジェクト59件が落札されており、三井物産にとってアルゼンチンで初の発電事業になる。

 同社の発電事業での持分発電容量9.1GW(2018年9月末現在)のうち、再生可能エネルギーは16%を占めており、2030年までにこの比率を30%に引き上げる目標を掲げている。

 また、中期経営計画では機械・インフラ領域を中核分野と位置づけ、強固な収益基盤づくりを目指し、生活に欠かせない社会インフラの長期安定的な提供を通じ、より良い暮らしや国づくりに貢献していく。