大陽日酸 液化ガスローリー製品値上げ、電気料金高騰で

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2021年11月30日

 大陽日酸は29日、酸素、窒素、アルゴンの液化ガスローリー製品について、2022年2月出荷分から電気代上昇分を上乗せする形で値上げすると発表した。改定幅は「現行価格に対して平均10%以上」の値上げとなる。

 液化ガスローリー製品コストの大部分を占める電力は、昨今の原油・LNGなどのエネルギー市況高騰や再生可能エネルギー賦課金の増額により大幅に上昇している。

 このような状況下、同社は従来から生産性向上や配送効率化などあらゆる策を講じてきたが、高止まりする物流費や鋼材価格上昇に伴うローリー車・液化ガス貯槽のコスト上昇の中、電力コスト上昇は自助努力で吸収できる範囲を超えていることから、液化ガスの価格改定を決定した。併せて、物流条件や納入条件など個別の取引条件に基づく価格改定についても顧客との交渉を進めていく考えだ。

大陽日酸 2つの充填工場を集約、省力化設備に置き換え

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2021年11月18日

 大陽日酸はこのほど、北九州地区と千葉地区のシリンダーガスの充填工場について、高圧ガス工業との共同運営による充填工場の集約、ならびに省力化設備へのリプレースを実施することに合意したと発表した。

 北九州、千葉の両社のシリンダーガス充填工場は共に老朽化が進んでいる。両社の設備を集約することで、更新の二重投資を避けるとともに、シリンダーガスの生産性と品質管理の向上を実現するため、両社がもつ技術を結集し、医療用酸素の自動充填をはじめとする省力化システムを備えたシリンダーガス充填工場を建設し共同で運営することとした。

 北九州地区では、大陽日酸の関係会社である北九州日酸と高圧ガス工業の小倉工場の生産を統合するために、共同運営会社を2022年4月1日に設立する予定。効率的な生産体制を備えた新工場を建設し、同年7月1日の稼働開始を見込んでいる。

 一方、千葉地区では、両社が共同運営をしている東洋高圧ガスに大陽日酸の関係会社である千葉日酸の生産を集約する。充填工場も省力化システムを備えた設備にリプレースし、2022年5月1日の稼働を予定している。

大陽日酸 細胞農業の革新的技術プラットフォームに参画

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2021年10月25日

 大陽日酸はこのほど、インテグリカルチャーが主催する細胞農業オープンイノベーションプラットフォーム「CulNet(カルネット)コンソーシアム」に参画したと発表した。

 大陽日酸は、イノベーションによる新しい事業を創出していくベースとして、バイオを有望分野の1つとしており、革新的な商品開発や産業ガスを利用したバイオプロセスの最適化などを通じ、同分野への貢献を推進している。

 インテグリカルチャーが基礎開発した「カルネットシステム」は、培養肉などの細胞由来製品の量産を可能とする、革新的な技術プラットフォーム。複数の培養装置を繋ぎ合わせることで生体を模したシステムを構築し、細胞由来製品の生産コストを大幅に押し下げる可能性をもつ。

 今年4月に設立された「カルネットコンソーシアム」は、オープンイノベーションにより、培養液や培養槽など各領域に強みをもつ企業が参画し共同研究を推進。「カルネットシステム」の本格開発と、培養肉などの製品供給システムの構築を目的としている。

 大陽日酸は、細胞培養工程における溶存ガスや雰囲気ガスの制御など、関連する産業ガス利用技術の開発を目指して同コンソーシアムに参画することを決定した。

大陽日酸など JFEサンソセンターで空気分離装置を建設

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2021年10月13日

 大陽日酸とJFEスチールはこのほど、合弁で運営しているJFEサンソセンター(大陽日酸60%、JFEスチール40%)の福山工場に、空気分離装置を建設することを決定したと発表した。投資金額は100億円で、稼働時期は2023年12月末を予定している。生産能力は、酸素ガスが4万8000N㎥/h、窒素ガスが8万2000N㎥/h、液化アルゴンが1580N㎥/hとなっている。

 JFEサンソセンターの福山工場は、JFEスチール西日本製鉄所(福山地区)構内で各種産業ガスの製造を行っており、同製鉄所へパイピングにより産業ガスを供給するとともに、大陽日酸の顧客へ窒素ガス、液化ガスを供給している。

 今回、JFEスチール西日本製鉄所(福山地区)への酸素ガス・窒素ガス・アルゴンガスの安定供給ならびに大陽日酸への高品質製品の供給を図るため、省エネルギー型の最新鋭空気分離装置を建設することを決定した。

大陽日酸 ヒトの総エネ消費量の研究、成果が米科学誌に

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2021年9月7日

 大陽日酸はこのほど、「酸素-18 安定同位体標識水(Water-18O)」を提供してきた国際プロジェクト「IAEA Doubly Labelled Water Database」の研究成果が、科学雑誌「サイエンス」(8月13日版)に掲載されたと発表した。

総エネルギー消費量 イメージ図
総エネルギー消費量 イメージ図

 ヒトの生命活動にはエネルギーを必要とする。日常生活環境下でのヒトの総エネルギー消費量を知ることは、毎日の食事で摂取するべきエネルギーと、それを身体活動にどう使うかの両方を理解する上で重要な役割を果たす。

 2014年に、総エネ消費量測定のゴールドスタンダードである二重標識水法の測定値を1つのデータベースにまとめる国際プロジェクトがスタート。研究チームは国際原子力機関(IAEA)による支援を受け、世界29カ国の生後8日~95歳までの6600人以上のデータベースを構築し、ヒトの生涯にわたる総エネルギー消費量について解析した。

 二重標識水法では、水素と酸素の安定同位体で標識された二重標識水を経口投与することで、生体サンプル(血液、尿、唾液など)中の安定同位体の上昇率とその後の減衰率を求める。水素と酸素の安定同位体の減衰率の差分から呼気中に含まれるCO2排出率が算出でき、1日当たりの総エネ消費量が推定できる。

 同プロジェクトでは、大陽日酸は、深冷分離技術で開発した「Water-18O」を提供し、生体サンプル中の安定同位体分析をサポート。同水は、酸素原子が一般的な質量数16ではなく、同位体である質量数18の酸素原子であり、主にPET(陽電子放射断層撮影)検査およびアルツハイマー診断薬原料として利用されている。また、プロジェクトの推進支援として、安定同位体分析に関する講演、ワークショップなども国内外で行ってきた。

 同社は今後も、安定同位体の製造・分析技術を通じて、ヘルスケア分野をはじめとした多岐にわたる分野で抱える様々な課題に対するソリューションの提供を継続していく。

大陽日酸 工業炉向け水素‐酸素バーナの開発を開始

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2021年6月23日

 大陽日酸はこのほど、水素ガスを燃料として使う工業炉向けの水素-酸素バーナの開発を開始したと発表した。日本国内では年間約11.4億tのCO2が排出され、そのうち約40%を産業分野が占める。さらにその25%は素形材産業を支える約4万基におよぶ工業炉から排出され、さらなる省エネルギー技術や化石燃料に代わる新たな燃料による燃焼技術の開発が急務となっている。

 これまで、NEDO事業などの連携プロジェクトで、化石燃料の高エネルギー利用効率型の工業炉の開発が推進されている。その効率はすでに理論限界に近い80%以上の実績が得られているが、脱炭素社会を目指す上ではさらなるCO2排出削減技術を開発する必要がある。

 同社では、カーボンフリー燃料としてアンモニアに着目。天然ガスにアンモニアを混合して燃焼させるバーナを開発し、様々な工業炉への展開を進めてきた。一方、水素ガスも工業炉向けのカーボンフリー燃料として注目を集めている。将来的には、都市ガスとLPGのように、用途や立地などに応じてカーボンフリー燃料を使い分けることが想定されている。

 こうした中、同社では水素を燃料とした水素-酸素バーナの開発に着手。工業炉分野でCO2排出削減の選択肢を顧客へ提案できるよう体制を整備することを決定した。水素-酸素バーナを工業炉へ適用する場合、①天然ガスと同じエネルギーを得るためには多くの流量が必要、②バーナ近傍が高温になりやすく、バーナへの熱負荷が大きい、③火炎温度が高くNOx排出濃度が高い、④天然ガスを燃焼させる場合より輻射伝熱が小さい、といった課題がある。

 同社は、従来のバーナ設計を見直し、十分に安定した燃焼が可能な構造を見極める必要を認識している。試験結果では、実際の炉で水素-酸素バーナを使用する場合、天然ガス-酸素バーナと同等の加熱能力を期待できる。また、シミュレーションの精度を確認できたことから、実炉へ水素‐酸素バーナを導入した際の予測が可能となった。さらに、550kW規模までの水素-酸素バーナの設計・製作にめどをつけることができた。

 同社は今後、これまでに開発した水素‐酸素燃焼技術をベースに、低NOx化、スケールアップなどの課題解決に取り組み、各種の工業炉向けに様々な顧客ニーズに対応できる最適な水素‐酸素バーナの開発を行い、実機への導入を提案していく。同技術を通じ、水素エネルギーの社会実装とCO2排出削減を目指す。

大陽日酸 高圧ガス容器の再検査を行う新会社に出資

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2021年5月27日

 大陽日酸はこのほど、高圧ガス容器の容器再検査を行う新会社「みんなの耐圧場」に出資したと発表した。

 高圧ガス容器は保安の観点から高圧ガス保安法により定期的な容器再検査が義務付けられているが、現在、既存の容器再検査場では設備老朽化や作業者の高齢化による人手不足といった問題点が顕在化しつつある。

 こうした中、高圧ガス容器によるシリンダー事業を将来にわたり継続させるために、容器再検査の品質および保安の確保が必須であるとの認識に賛同した、容器再検査会社、大陽日酸の特約店会のメンバー会社および関連会社の14社による共同出資で容器再検査新会社「みんなの耐圧場」を設立。

 出資14社のスケールメリットを活かすと共に、確実な容器検査を行うための工程の自動管理と環境に配慮した粉体塗装を採用することで、人手不足も解消し、安全で質の高い容器再検査サービスを提供する。

 大陽日酸は「みんなの耐圧場」の出資に加え、容器再検査場の場所と検査設備の提供を行い、同社の操業に貢献していく。

大陽日酸 米政府系研究機関にMOCVD装置が採用

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2021年5月25日

 大陽日酸はこのほど、米国の政府系研究機関であるサンディア・ナショナル・ラボラトリーズに、2台目となるMOCVD装置を納入することが決定したと発表した。

 米国エネルギー省傘下にある同研究機関は、国家の安全保障やエネルギー、環境技術、経済競争力に関するR&Dを担当する機関であり、ガリウムナイトライド系の化合物半導体研究に関しては世界でも最高レベルにある。

 今回、同研究機関が2014年に続いて2台目となる同社のMOCVD「SR-4000HT」の採用を決定した。この装置はパワーエレクトロニクスおよびUVオプトエレクトロニクスのデバイス開発促進に必須となる高品質なアルミニウムガリウムナイトライド(AlGaN)やアルミニウムナイトライド(AIN)の製造に用いられる。同研究機関に再度採用されたことは、同社のMOCVD装置が高度で安定した性能をもつことが評価されたことによるもの。

 同社は、同研究機関の先進的な技術開発を今後も継続的に支援することで、MOCVDの優位性をさらに高めていく。

大陽日酸 3Dプリンターコンサルティング企業に出資

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2021年4月22日

 大陽日酸はこのほど、3Dプリンティング技術のワンストップサービスを提供する企業である3D Printing Corporation(3DPC社)へ出資し、同社と業務提携契約を締結したと発表した。

 大陽日酸は、3Dプリンティング(アディティブ・マニュファクチャリング:AM)を重点事業分野と位置づけ、提携・出資により製品ラインアップの拡充や技術の差異化を推進している。

 3DPC社は2016年に設立された国内のAMベンチャー企業で、同社がもつ3つのサービス「①DFAM(AM専用の設計手法)ソリューションズ&コンサルティング」「②システム販売」「③製造環境の構築と改善」を国内で広く展開している。大陽日酸は3DPC社が扱う、3Dプリンタを中心とした幅広い製品群と、DFAMによるソリューション提案について、顧客へ展開するとともに、国内で販売権を所有する金属3Dプリンタやガス供給設備などとのシナジー創出を目指す。

大陽日酸 高性能な溶接可視化カメラを共同開発し発売

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2021年4月13日

 大陽日酸はこのほど、グループ会社である日酸TANAKAと共同で新たに高性能な溶接可視化カメラを開発し商品化したと発表した。

溶接可視化カメラ 新「サンアークアイ」
溶接可視化カメラ 新「サンアークアイ」

 両社は、溶接遠隔操作や溶接モニタリング、監視を行うために使う高性能な溶接可視化カメラ「サンアークアイ」を2019年4月から販売しているが、今回、デザインを一新し、さらに機能を追加した新型カメラを開発した。

 従来型のカメラでは、溶接開始前の準備作業(溶接線やワイヤ挿入位置などの補正)で、レンズの先端に装着されているNDフィルターを一度取り外す必要があった。

 新たに開発したカメラは、その欠点を補うために「自動遮光フィルター用のアダプター」をオプション設定し、溶接用の自動遮光フィルターを装着できるよう設計を変更した。これにより、溶接中や溶接開始前の準備作業でも鮮明な映像が得られるとともに、カメラ筐体のデザインを見直すことで、約12%の軽量化を図った。

 同カメラは、溶接時に発生するアーク光を打ち消し、ハレーションを低減させることで、溶融池やその周辺、凝固過程などの詳細な観察が可能。動画・静止画共に撮影ができ、撮影画像から様々な解析・計測を行うことで、溶接不具合の軽減につなげることができる。

 なお、撮影可能な溶接方法は、TIG、プラズマ、MAG・MIG溶接など、幅広く対応が可能だ。