昭和電工と日本製鉄はこのほど、6つの国立大学と共同して進める、低圧・低濃度(大気圧・CO2濃度10%以下)の排出ガスから効率的にCO2を分離・回収する事業が、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業に採択されたと発表した。

6つの国立大は、
2022年12月28日
2022年9月15日
2022年6月23日
2022年5月27日
2021年12月2日
日鉄ケミカル&マテリアルは1日、潤滑油「シンループ」用の容器のデザインに、環境ラベル「エコリーフ」および親会社である日本製鉄が開設した鉄やスチール缶の魅力を伝える特設ページ(https://www.nipponsteel.com/csr/steelcan/)にアクセスできる二次元コードを表示したと発表した。今月8日から同容器の販売を開始する。
世界的に気候変動問題への関心が高まっており、各種金属やプラスチックといった素材や、これらの素材で作られる製品に対して、資源循環の向上や環境負荷低減が求められている。こうした中、日本製鉄は、ブリキ、ティンフリースチール、ラミネート鋼板の3製品について、昨年10月に「エコリーフ」環境ラベルを取得。また、環境負荷や循環性の観点から、容器用素材としての鉄および鉄(スチール)製容器(スチール缶)の総合的な魅力を積極的に発信する特設ページを開設した。
日鉄ケミカル&マテリアルは、こうした取り組みに賛同し、日本製鉄製ブリキ製品を使用している潤滑油用の容器に、「エコリーフ」と特設サイトの二次元バーコードを表示した。
日本製鉄グループは、顧客と共同で「スチール缶」に包装された各種商品(食品、塗料、薬品など)を選択(消費)することが地球環境にやさしい行動であることを、一人でも多くの消費者の方々に訴求し、持続可能な社会の構築に貢献していく。
2021年8月3日
日本製鉄、大阪市立大学、東北大学はこのほど、脱水剤を用いずに、常圧CO2とジオールから脂肪族ポリカーボネートジオール(PCD)の直接合成を行う触媒プロセスの開発に世界で初めて成功したと発表した。なお、今回の研究成果は、「Green Chemistry(IF=10.18)」にオンライン掲載されている。
PCDはプラスチックに代表されるポリウレタン合成の重要中間体であり、現在、ホスゲンや一酸化炭素を原料にして合成されているが、これら原料は有毒なため、グリーンケミストリーの観点から原料を代替する技術の開発が求められている。代替原料にCO2を用い、ジオールと反応させてPCDを合成する手法は、水のみを副生するグリーンな反応系として注目されているものの、高収率を得るには、高圧CO2や脱水剤を用いる必要があった。
こうした中、今回の研究で見出だした手法はこれら課題を克服するもので、酸化セリウム触媒を用い、ジオールに常圧のCO2を吹き込むことにより、生成した水を反応系外に除去することが可能になり、目的のPCDを高選択率かつ高収率で得ることに成功した。
同技術により、添加剤を用いず、常圧のCO2を化学変換できる新しい触媒プロセスを提供する。また、沸点が水の沸点よりも十分高い基質であれば適用可能であると考えられ、LIBの添加剤やポリマー合成用原料として有用な有機カーボネート、カーバメート、尿素などの合成にも展開できると想定される。CO2から様々な化学品合成ルートを確立することで、CO2の化学固定化に寄与する触媒プロセスになることが期待される。
3者は今後、実用化に向けた固体触媒の改良、スケールアップを含めたプロセス検討を行いながら、さらに研究開発を進めていく。
2021年7月5日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、工場や火力発電所から排出されたCO2を活用地・貯留地まで低コストで大量・安全に輸送するための研究開発と実証事業に着手すると発表した。2030年頃のCO2回収・有効利用・貯留(CCUS)技術の社会実装を視野に入れ、年間100万t規模のCO2排出地から貯留・活用地への長距離・大量輸送と低コスト化技術の確立を目指す。
CCUSやカーボンリサイクルは、脱炭素社会を実現する技術とし注目を集めているが、CO2排出地と貯留・活用地が離れていることが多く、CO2の安全で低コストの輸送技術の確立が普及に向けた課題となっている。
今回、最適な温度・圧力条件で液化したCO2の出荷・輸送・受け入れまでの一貫輸送システムの確立に向けた研究開発と実証を行う。研究開発項目は「液化CO2の船舶輸送技術を確立するための研究開発」「年間1万t規模のCO2船舶輸送実証試験」「CCUSを目的とした船舶輸送の事業化調査」で、委託予定先は日本CCS調査、エンジニアリング協会、伊藤忠商事と日本製鉄。事業期間は今年度からの6年間、予算は160億円の予定だ。
同事業では、まず長距離・大量輸送に適したCO2の液化・貯蔵システムと、輸送船舶の研究開発や設備機器の設計に必要な検討を行った上、2023年度末頃からは、京都府舞鶴市の石炭火力発電所で排出されたCO2を出荷基地で液化し、船舶での輸送を経て、北海道苫小牧市の基地で受け入れる一貫輸送システムの運用と操業に必要な技術を検証する。
また、安全規格や設計基準の検討に必要な基礎要件を実証試験データから収集・分析し、液化CO2の長距離・大量輸送に求められる国際的なルール形成にも取り組む。さらに、CO2輸送に関する実効性あるビジネスモデルの検討も進める。
NEDOは安全で低コストの船舶によるCO2大量輸送技術を確立し、CCUSの社会実装と2050年カーボンニュートラルの実現に貢献していく考えだ。
2021年5月26日
日鉄ケミカル&マテリアル、日本製鉄、金属系材料研究開発センターは25日、共同で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ブルーカーボン(海洋生態系における炭素貯留)追及を目指したサプライチェーン構築に係る技術開発」に採択されたと発表した。マリンバイオマス(海藻)の多角的製鉄利用に資する技術開発に着手する。
昨今、気候変動対策としてCO2削減の重要度が増しており、カーボンニュートラル(CN)社会の実現は世界的な潮流となっている。日本でも昨年12月に「2050年CN、脱炭素社会の実現を目指す」ことが閣議決定され、革新的技術の実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進する方針が示された。具体的な戦略として、経済産業省から「革新的環境イノベーション戦略」が提示され、その中に「ブルーカーボンの追及」が明記されている。こうした中、NEDOは、ブルーカーボン追及を目指したサプライチェーン構築に係る技術開発事業への取り組みを開始し、3者は技術開発事業の委託先として採択された。
日本は古くから海藻養殖が盛んであり、世界トップレベルの技術・ノウハウを保有している。また、長い海岸線に恵まれていることからもブルーカーボンに関する技術開発は温暖化対策・産業育成の両面で有効と考えられている。こうした背景を受け、同事業では臨海製鉄所という地の利を生かして、CN材であるマリンバイオマス(海藻)を生産し、それを製鉄プロセスの中で利用する「バイオマスの地産地消」といった新たなサプライチェーンの構築を目指していく。
マリンバイオマスの利用については、製鉄プロセスで利用される炭素源(炭材や炭素材料)としての活用を検討。生産については、製鉄プロセスで発生する鉄鋼スラグを利用した藻場造成で培った技術を活かして、海藻の積極的な育種に取り組む。マリンバイオマスのCN材としての検討は、世界に例がない研究となる。
同事業では、こうした要素技術の開発とともに、全体の経済性やCO2削減効果を含めた事業性検討を行い、実証段階への道筋を作ることを目指す。
2020年7月29日
JFEスチールはこのほど、メタネーション技術による船舶のゼロ・エミッション燃料を目指す業界横断の取り組み「CCR研究会船舶カーボンリサイクル ワーキンググループ(WG)」に、エックス都市研究所、サノヤス造船、ジャパンマリンユナイテッド、商船三井、日揮グローバル、日本海事協会、日本製鉄、日立造船の計9社が参加し第1回会合を開催したと発表した。
気候変動の影響が顕在化する中、脱炭素社会への道筋の1つとして、CO2を回収・再利用するカーボンリサイクルが注目を集める。メタネーション技術によりCO2と水素から合成したメタンを、船舶用ゼロ・エミッション燃料へ活用する目的で、同WGを昨年8月にCCR(炭素回収再利用)研究会に設置した。日本の輸出入の99.6%を担う海上輸送からの温室効果ガス排出(エミッション)をゼロにし、持続可能な社会の実現を目指す。
国内の製鉄所から排出されたCO2を分離・回収・液化した後、再生可能エネルギー由来水素の供給地へ海上輸送し、その後メタネーションでメタンを合成、液化して舶用燃料とする、カーボンリサイクルのサプライチェーンを想定。CO2排出量を概算し、技術的課題を洗い出し、ロードマップの策定を行う。得られた知見は業界内外に公開する。
JFEスチールは製鉄プロセスのCO2排出量削減、排出CO2の分離・回収の技術開発に取り組んできた。原材料と製品の輸送のほとんどを船舶運搬に頼る鉄鋼業にとって、CO2排出量削減の意義は大きい。同社は、CO2排出量削減を通じて地球環境保護に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。
2020年7月15日
C1化学を進展させ川上・川下の事業拡大図るハイケムは14日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「CO2を原料としたパラキシレン(PX)製造に関する技術開発」事業に参画し、共同開発に着手すると発表した。
同事業では、CO2を原料としたPX製造に向けた画期的な触媒の改良や量産技術の開発、プロセス開発を実施するとともに、経済性やCO2削減効果を含めた事業性の検討を行う。PXはポリエステル繊維やペットボトルなどの生産に必要となる重要な化学品だが、これをCO2から工業的に製造する実用的な技術はまだ確立されていない。
同事業にはハイケムをはじめ、富山大学、千代田化工建設、日鉄エンジニアリング、日本製鉄、三菱商事の6者が参画。カーボンリサイクル技術の世界最先端の取り組みを通じてCO2を原料としたPX製造の実用化を目指す。事業期間は今年度から2023年度まで。予算は19億9000万円。
火力発電などから排出されるCO2の削減は気候変動対策として重要であり、またCO2を資源として捉えて回収し、有効利用する「カーボンリサイクル技術」の開発が求められている。経済産業省は昨年6月「カーボンリサイクル技術ロードマップ」を策定し、その中でCO2を素材や燃料へ利用することなどを通して、大気中へのCO2排出を抑制していく方針を示した。こうした中、NEDOは、既存の化石燃料由来化学品に代替することを目的とする化学品へのCO2利用技術の開発として、今回の取り組みを開始し、共同研究者6者を委託先として採択した。
PXは、高純度テレフタル酸(PTA)を経由してポリエステル繊維やペットボトル用樹脂などに加工される化合物であり、工業上、極めて重要な基礎化学品。その組成から、化学品を製造するカーボンリサイクル技術の中では水素原料の使用量を抑えながらCO2を固定化できる特長があり、経済的観点と環境的観点、いずれの意味でも大いなる可能性を秘める。PXの世界需要は約4900万t/年あり、仮に現在の世界のPXの需要を全てCO2原料に切り替えた場合のCO2固定量は1.6億t/年に上る。
ハイケムらは今回の共同事業を通じ、CO2からPXを製造するための画期的な触媒の改良、量産技術の開発やプロセス開発に加え、全体の経済性やCO2削減効果を含めた事業性検討を行い、実証段階への道筋をつける。