昭和電工 酢酸と酢酸ビニルを値上げ、採算是正図る

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2021年1月21日

 昭和電工は20日、酢酸および酢酸ビニルの国内販売価格を2月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、酢酸、酢酸ビニルとも「20円/kg」となっている。

 昨今、酢酸市況や国産ナフサ価格などの上昇から、酢酸および酢酸ビニルの事業は厳しい状況が続いている。同社はこれまでも製造・物流の合理化を積み重ね、コストダウンによる採算改善に努めてきたが、原燃料コストの上昇により、自助努力での対応は困難な状況にある。同社は、製品の安定供給体制を維持するためには、顧客にコスト上昇の一部について負担をお願いせざるを得ないと判断した。

昭和電工 ハードディスク用アルミニウム基板、能力増強を決定

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2021年1月13日

 昭和電工は12日、連結子会社である昭和電工HD山形(SHDY)に、ハードディスク(HD)メディア用のアルミニウム基板生産設備を増強すると発表した。HD事業強化のため、供給能力を拡大するとともに、サプライチェーンの分散・強化を図る。今年2月に着工し、2022年初頭の量産開始を予定しており、同社グループの生産能力は現状から3割向上する見込みだ。なお、今回の施策は、経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の対象事業として採択された。

 5Gのサービス開始、IoTの普及やテレワークの浸透、デジタルトランスフォーメーションの進展・拡大などにより、データ通信量は今後とも飛躍的に増大することが想定されている。それに伴いデータセンター向けハードディスクドライブ(HDD)の需要が大きく拡大しているが、HDDのキーパーツであるHDメディアに使用するアルミニウム基板は、需要拡大に応じた安定的な供給能力確保が課題となっている。

 また、昭和電工は現在、アルミニウム基板をマレーシア、台湾、国内の3カ所で生産しているが、その供給能力の多くがマレーシアに集中しているため、世界的な新型コロナウイルス感染拡大などに対して、より安定したサプライチェーンを確保する必要がある。

 こうした中、同社は、これらの課題解決のため、国内拠点のSHDYにアルミニウム基板の設備を増強し、供給能力拡大とさらなるサプライチェーンの分散・強化を図ることを決定した。

 同社は、世界最大のHDメディア外販メーカーであることから、今後も〝ベスト・イン・クラス〟をモットーに、世界最高クラスの製品をいち早く市場に投入して、拡大・進化を続けるデジタル化社会を支えるとともに事業拡大に努めていく。

《化学企業トップ年頭所感》昭和電工 森川宏平社長

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2021年1月6日

  新型コロナウイルス感染症に罹患された方々と、感染拡大により厳しい生活環境におかれている方々に、心よりお見舞い申し上げる。

 新型コロナウイルス感染症は、世界規模で市民生活や企業活動に極めて多大な影響を与え、生活や働き方なども大きく変化した。一方でマスクや消毒液といった衛生用品や、テレワークなどで需要が拡大したPCやタブレットなどの電子デバイスを製造するには化学産業が必要であり、こうした化学製品が人々の暮らしに不可欠であることが再認識された1年でもあった。

 昨年4月に昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)をグループ化して以降、両社で将来に向けた成長の基盤を確立するため議論を重ね、12月には統合新会社の長期ビジョンを発表し、「化学の力で社会を変える」を存在意義(パーパス)として掲げた。統合新会社は、先端材料パートナーとして時代が求める機能を創出し、グローバルトップの機能性化学メーカーとして「世界で戦える会社」と「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」になることを目指していく。

 今年は、昭和電工グループが一流を目指して歩み始めた中期経営計画「The TOP2021」の最終年であるとともに、7月の昭和電工マテリアルズとの実質統合、10月の本社統合、12月の新中期経営計画の発表など、これまでにない大きな変化の年となる。昭和電工マテリアルズという仲間を得たことで、我々はより高いレベルを目指せるステージに立てた。大きな変化を進化に、お互いを認め合い多様性を強みに変えて、グループの底力を発揮して中期経営計画「The TOP2021」を完遂しよう。

 

東急REIホテル 廃プラ由来水素で農業、レタスを栽培

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2020年12月28日

昭電川崎事業所から水素供給、植物育成装置設置

 昭和電工と川崎キングスカイフロント東急REIホテルは24日、昭和電工が廃プラスチックから製造する水素を活用して栽培したレタスの「収穫祭」を開催。「水素×ホテル×農業」による新たな資源循環が誕生した。

東急REIのレタス
栽培されたリーフレタス

 同ホテルは、川崎市と昭和電工が連携して進める環境省「低炭素水素のサプライチェーンモデル構築」に協力し、昭和電工から供給された水素を純水素型燃料電池で電気と熱エネルギー(温水)に変換し、「世界初の水素ホテル」として電力の約30%と温水供給を賄っている。

 使用済みプラを原料に昭和電工川崎事業所で製造された低炭素水素がパイプライン供給され、純水素型燃料電池でホテルの電気や熱(温水)に変換されている。同ホテルでは、年間30万N㎥の水素から45万kWhを発電。CO2削減効果は200tに上り、杉の木1万4300本分に相当する。なお、同ホテルは残りの電力も、ホテルの食品廃棄物をバイオマスエネルギーに還元して得られた電力と、再生可能エネルギー購入で賄っており、再エネ100%を実現している。

 こうした中、同ホテルは、燃料電池の負荷を追加するとともに、将来の水素社会に向け水素の用途展開を図った。新たな実証事業として11月に「完全人工光型植物工場」を開設。植物育成装置を設置し、リーフレタス栽培を開始した。LED照明(青、赤)による最先端の高速栽培法により、通常の栽培法より成長スピードが速く、播種後35日で80~100gに育つ。1株の収穫に必要な電力は1kWhで、作付面積3㎡で1日に8~12株の収穫が可能。また栽培されたレタスは、豊富なビタミンとほのかな甘みといった特徴もある。

 マスコミを招いた「初収穫祭」では、採れたてのリーフレタスを使った料理を提供。参加者は、家庭から排出された使用済みプラが水素にリサイクルされ野菜に還元される「資源環境の仕組み」を体験した。同ホテルは、年明けにホテル内のレストランでレタスを使った料理を提供する予定で、今後はハーブや食用花の栽培にも挑戦していく考えだ。

 同ホテルは、「リサイクルした水素をエネルギーとして活用し、さらに野菜として還元する資源循環型モデルを実証している。宿泊するだけでこうした仕組みが体感でき、エコにも貢献できる『泊まるだけでエコ』を目指し、新たな価値を提供するとともに、持続可能な社会の実現に貢献していく」とコメントしている。

 

昭和電工 ケミカルリサイクル事業がグリーン購入大賞を受賞

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2020年12月15日

 昭和電工はこのほど、グリーン購入ネットワーク(GPN)主催の第21回グリーン購入大賞で「大賞・経済産業大臣賞」を受賞し、11日に都内で表彰式が行われた。

グリーン購入大賞 ロゴ
グリーン購入大賞 ロゴ

 受賞したのは、同社川崎事業所で取り組んでいる使用済みプラスチックをガス化し、水素やアンモニア、炭酸・ドライアイスなどの材料として再生するケミカルリサイクル(CR)事業。今回、同事業が、使用済みプラスチックの処理問題や地球温暖化対策、循環型社会の構築に貢献する有益な取り組みであると評価された。

 同社は、CR事業を2003年から手掛けており、年間約6万tの使用済みプラスチックを熱分解によりガス化し、前述の化学品の原料として利用。さらに、2015年からは環境省の委託実証事業として、燃料電池車やホテルに設置された燃料電池での発電用として水素を供給するなど、低炭素社会実現に向けた取り組みにも貢献している。

 昭和電工グループは、事業活動を通じたSDGs課題解決への貢献を目指し、CRをはじめ、電炉法によって鉄のリサイクルに使われる黒鉛電極を世界各地に供給しているほか、日本で最初にアルミ缶リサイクル活動に取り組み、回収したアルミ缶を新たなアルミ缶として再生利用する(can-to-can)など、資源循環型社会を支える事業活動を積極的に推進。同社は今後も、様々な製品・サービスの提供を通じ、豊かさと持続性が調和する社会の創造に貢献していく考えだ。

使用済みプラスチックのCRによる低炭素な化学品原料化・資源循環事業
使用済みプラスチックのCRによる低炭素な化学品原料化・資源循環事業

昭和電工 SiCエピウェハーが燃料電池車向けに採用

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2020年12月11日

 昭和電工は10日、同社のパワー半導体材料であるSiC(シリコンカーバイド)エピタキシャルウェハーの6インチ(150mm)品が、デンソー製の燃料電池自動車向け次期型昇圧用パワーモジュールに採用されたと発表した。

 同社のSiCエピウェハーは2009年の上市以来、その高い品質によりシステムサーバー電源や太陽光発電、高速充電スタンド、鉄道車両など様々な用途に採用されてきた。今回、これまでの同社製品の採用実績と、業界最高水準の特性均一性、低欠陥密度といった特性が高く評価され、同パワーモジュールへの採用となった。

 SiCパワー半導体は、現在主流のシリコンパワー半導体に比べて高電圧特性と大電流特性に優れ、電力損失を大幅に削減できることから、電力制御に使うモジュールの高効率化を実現する製品として、電気自動車に搭載される充電器や高速充電スタンド、鉄道車両などへの採用が進む。また、2025年以降には電気自動車のパワーコントロールユニット(PCU)へ本格搭載が見込まれ、今後さらなる需要拡大が期待されている。

 同社グループは、事業活動を通じたSDGs課題解決に貢献し、豊かさと持続性の調和した社会を創造する「社会貢献企業」を目指している。エネルギーの効率的な使用を実現するSiCエピタキシャルウェハーは、2025年市場規模1000億円から、PCUへの本格搭載によりさらに市場拡大が加速すると予想されている。

 同社は世界最大の外販エピウェハーメーカーとして、〝ベスト・イン・クラス〟をモットーに、急拡大する市場に高性能で高い信頼性品をもつ製品を供給し、SiCデバイスの普及に貢献していく考えだ。

昭和電工 統合新社の長期ビジョン、4つの事業群で高成長

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2020年12月11日

 昭和電工は10日、昭和電工マテリアルズ(旧・日立化成)との統合により目指す「統合新会社の長期ビジョン」(2021~2030年)を策定したと発表した。昭和電工は、両社が早期に統合し将来に向けた成長の基盤を確立するため、長期ビジョンの検討を進めていた。

 長期ビジョンでは、存在意義(パーパス)として、「化学の力で社会を変える」を掲げ、目指す姿「世界で戦える会社」「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」を実現させていく。川中(昭和電工)の素材技術と川下(昭和電工マテリアルズ)のアプリケーション技術、両社の評価・解析技術を融合し、ブレークスルーを実現する世界トップクラスの機能性化学メーカーとして、顧客にワンストップソリューションと新たな機能を提供し持続可能な社会全体へ貢献していく。

 ポートフォリオは、コア成長事業(エレクトロニクス、モビリティ)、次世代事業(ライフサイエンス)、安定収益事業(カーボン、石油化学、デバイスソリューション、産業ガス、基礎化学品、アルミ圧延品、アルミ缶、コーティング、電子機能材、エネルギー)、基盤事業(セラミックス、機能性化学品、アルミ機能部材)の4つに集約。特に、基盤事業の幅広い技術・素材によって、各事業群の競争力強化と、将来の新たな有望市場への事業拡大につなげていく。長期数値目標では、指標としてTSR(株主総利回り)として25%水準を掲げ、2025年に、売上高1.6兆円、EBITDA3200億円、対売上EBITDA20%、ROE15%を挙げた。

 一方、2023年までの短中期のシナジーも追求する。事業ポートフォリオ再編では2000億円規模の事業売却、また収益体質改善施策(2023年末で280億円削減)や資産のスリム化(2021年までに500億円改善)にも取り組む。今後のスケジュールでは、来年7月に実質統合、同年10月に本社統合、2023年1月に法人格統合を目指す。

 統合新会社は、今後もグローバル競争の激化や市場構造の変化が予想される化学産業にあって、顧客企業に新たな機能・価値を提供し続け、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

昭和電工 電子材料用高純度ガス、中国西安に拠点を設立

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2020年12月10日

 昭和電工は9日、中国で展開する電子材料用高純度ガス事業の強化のため、陝西省西安市に「上海昭和化学品」の分公司を設立し今月から営業を開始したと発表した。中国での電子材料用高純度ガスの営業・物流拠点としては上海、武漢に続き3拠点目の開設となる。

 現在、5Gやクラウドサービスの普及、動画コンテンツの増加などによるデータ量の増大により半導体需要は増加を継続。なかでも中国半導体市場は、政府による産業育成策などで急速に拡大し、同社の中国での高純度ガス事業も急成長を続けている。

 同社ではこれまでも、中国の高純度ガス市場に向け、武漢分公司(営業・物流拠点)の開設、上海工場の用地拡張による製造設備と危険物倉庫の増設、成都に合弁会社の設立、といった同事業の拡大策を積極的に進めてきた。今回、西安市にも新たに営業・物流拠点として分公司を設置することで、より一層の顧客サービス向上と安定供給体制の強化を図る。

 同社グループは、個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)と定め、電子材料用高純度ガス事業を同社の個性派事業の1つに位置づけている。同社は今後も〝顧客密着〟〝地産地消〟を基本にカスタマーエクスペリエンスを最大化し、旺盛な需要が継続する電子材料用高純度ガス市場に積極的に対応して事業拡大を図っていく考えだ。

昭和電工 人事(2021年1月4日)

2020年12月9日

[昭和電工・人事](2021年1月4日)▽理事役電子機能材プロジェクトマネージャー兼出向昭和電工光半導体社長臼田雅彦▽塩尻事業所総務部長、理事役同事業所長小野寺俊也▽購買・SCM部長吾妻重雄▽大分コンビナート環境安全・品質保証統括部長武宮親太郎▽機能性化学品事業部機能性高分子部萩原伸人▽龍野事業所開発部長土井満▽出向日本ポリエチレン渡辺賢治▽セラミックス事業部第一営業部長高橋直也▽デバイスソリューション事業部千葉事業所長永冨太郎▽昭和電工ガスプロダクツ取締役(1月4日就任予定)松橋敬▽出向昭和電工光半導体田中勇吾▽同油井正明【ユニオン昭和】▽退任(社長)新井龍晴▽社長(同予定)西村浩一。

 

昭和電工 役員人事(2021年1月3日)

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2020年12月8日

[昭和電工・役員人事](2021年1月3日)▽退任(執行役員社長付特命担当〈化学品関連安全・環境推進担当〉産業ガス事業部、基礎化学品事業部、情報電子化学品事業部、機能性化学品事業部、川崎事業所、東長原事業所、伊勢崎事業所、龍野事業所管掌)、ユニオン昭和社長(1月4日就任予定)西村浩一▽同(同役員基礎化学品事業部長)、丸全昭和運輸業務顧問(同予定)神保彰宏▽同(理事財務・経理部IR室長)、財務・経理部嘱託(同予定)加藤信裕▽同(同レスポンシブルケア部長)、鶴崎共同動力社長(同予定)稗田隆紀▽同(同戦略企画部)、昭和電工建材社長(同予定)戸早孝幸(1月4日)▽専務執行役員デバイスソリューション事業部長電子機能材プロジェクト、秩父事業所管掌石川二朗▽最高リスク管理責任者(CRO)内部監査部、法務部、CSR・総務部、人事部、購買・SCM部管掌兼安全保障輸出管理委員会委員長、常務執行役員上口啓一▽執行役員川崎事業所、東長原事業所、伊勢崎事業所、龍野事業所、生産技術部、エネルギー・電力部、SPS改革推進部、レスポンシブルケア部管掌兼保安対策委員会委員長海宝益典▽同役員最高技術責任者(CTO)先端電池材料事業部、融合製品開発研究所、研究開発部、知的財産部管掌酒井浩志▽同役員産業ガス事業部長兼昭和電工ガスプロダクツ社長基礎化学品事業部、情報電子化学品事業部、機能性化学品事業部管掌平倉一夫▽先端電池材料事業部長兼出向昭和電工パッケージング社長、執行役員辻勝行▽理事レスポンシブルケア部長兼環境安全室長木村真▽同内部監査部長速水宏悦▽同アルミ機能部材事業部長松岡清文▽同基礎化学品事業部長原聡(3月下旬開催定時株主総会選任予定)▽取締役丸山寿。