東洋紡 尿沈渣検査を自動化する分析器の新製品を上市

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2020年4月17日

 東洋紡はこのほど、尿中有形成分分析装置の新製品「USCANNER premio」の国内販売を開始した。同装置は腎臓や泌尿器の疾患を診断する際などに、尿中の赤血球や白血球といった有形成分を調べる尿沈渣(にょうちんさ)検査の工程を自動化したもの。今年2月から大学病院や医療機関向けに販売を始めた。

新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」
新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」

 新製品は、撮影画像の解像度を従来機種より向上させるとともに、オートフォーカス機能を改良し、尿中の有形成分をより鮮明に表示できるようになった。また、オプションの「操作用増設端末」を使用することで、複数の検査者により異なる検体の画像を同時に観察することも可能に。検体を効率的に分析できるため、診断結果を得るまでの時間短縮に寄与する。

 尿中有形成分分析装置「USCANNER」シリーズは、尿沈渣検査で検査者が実施する、染色、標本作成、カラー染色画像の撮像、成分の分類・計測という一連の作業を全て自動化した臨床検査装置。2001年に最初の製品を上市して以来、改良を重ねながら、全国の大学病院などへ導入を進めている。検査者の煩雑な手作業の負担を軽減するだけでなく、解析プログラムを活用した画像判定機能により、ばらつきのない安定した測定を行えるのが特徴だ。

尿中有形成分分析装置「USCANNER premio」
尿中有形成分分析装置「USCANNER premio」

 同社は、臨床検査分野では尿中有形成分分析装置に加え、核酸の抽出から増幅(PCR)・検出まで全て自動で行うことが可能な、全自動遺伝子分析装置「GENECUBE」の販売も手掛ける。

 今後も引き続き、医療現場の臨床検査作業の効率化や高精度化に貢献していく。

東洋紡 PBO短繊維、消防服向けにグローバル戦略加速

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2020年4月14日

 東洋紡はこのほど、世界一の強度と難燃性を持つPBO繊維の短繊維を、デュポン社の日本法人、デュポン・スペシャルティ・プロダクツへ消防服向けに独占供給することで合意した。今後は、同社のグローバルな販売網を通じてPBO短繊維を拡販していく。

 PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維は、東洋紡が1998年に世界で初めて開発し、販売を開始。現存する有機繊維の中で最高レベルの強度・弾性率・耐熱性・難燃性を誇り、消防服をはじめ、耐熱資材やレーシングカーの車体などに幅広く使用されている。

 世界の消防服市場は、中国やインドでの市場拡大などを背景にさらなる成長が見込まれている。両社は、PBO短繊維を活用することで、軽量性と遮熱性を両立する次世代の消防服の開発・供給が可能になるとして合意に至った。

 東洋紡は今後、デュポン・スペシャルティ・プロダクツにPBO短繊維を独占供給することで、消防服の高性能化を図り、消防士の安全確保に貢献していく。

東洋紡 室内光で高変換効率のOPV用発電材料実用化へ

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2020年4月2日

 東洋紡はこのほど、薄暗い室内で世界最高レベルの変換効率を実現するガラス基板の有機薄膜太陽電池(OPV)小型セルや、軽くて薄いPETフィルム基板のOPVモジュールの試作に成功した。

OPV用発電材料
OPV用発電材料

 同社は昨夏より、再生可能エネルギーなど先端分野の研究を行うフランスの政府研究機関CEAと共同研究を実施していた。今後は温湿度センサーや人感センサーなどのワイヤレス電源用途を中心に同材料を電池メーカーなどに提案し、2022年度中の実用化を目指す。

 OPVはその特徴から、次世代の太陽電池として注目を集めている。溶媒に溶かした炭素や硫黄原子などを含む有機物の発電材料を、電極を備えたガラスやプラスチックの基板上に塗布するなどして作製される。軽くて薄い形状に加工できることから、現在普及している無機太陽電池では設置が困難な壁面や布地などにも貼付が容易になる。あらゆるものがインターネットにつながるIoTに欠かせないセンサー類や、ウェアラブルデバイスのワイヤレス電源として展開が期待されている。

 同社は、ファインケミカル事業で長年培った有機合成技術を応用し、低照度の室内用光源でも高い出力が得られるOPV用発電材料の開発に取り組んできた。開発中の材料は、ノンハロゲンの溶媒にも容易に溶かすことができ塗布時のむらが抑えられるため、個体差が少なく安定した発電が可能になる。

PETフィルム基板のOPVモジュール
PETフィルム基板のOPVモジュール

 同材料の早期実用化に向け、昨年6月から半年間、CEAと共同研究を実施。溶媒の種類や塗布の手法を最適化したことで、世界最高レベルの変換効率を実現するガラス基板のOPV小型セルの試作に成功した。

 薄暗い室内と同等である220ルクスのネオン光源下の検証では、卓上電卓に使用されるアモルファスシリコン太陽電池の1.6倍に相当する約25%の変換効率を確認した。また、ガラスよりも発電材料の塗布が難しいPETフィルムを基板にしたOPVモジュールの作製にも成功。有効面積18㎠の試作品が、同照度下で約130㎼の出力を達成した。

 

東洋紡の4-12月期 注力分野が拡大し純利益黒字化

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2020年2月10日

 東洋紡が7日に発表した2019年度第3四半期の連結決算は、売上高が前年同期比1%減の2480億円、営業利益は4%増の160億円、経常利益は6%増の134億円、純利益は黒字化し59億円だった。

 今期は、成長分野と位置づける「フィルム&コーティング」で、液晶偏光子保護フィルム「コスモシャインSRF」は、生産性を向上し順調に販売を拡大し、セラミックコンデンサ用離型フィルム「コスモピール」は、新加工設備を稼働し増産体制を整えた。さらに、フィルム事業基盤をより強固にするため、昨年10月に帝人の子会社2社を買収し、一体運営を開始した。

 また、2018年9月の火災事故により焼失した、エアバッグ用原糸・機能性クッション材「ブレスエアー」の製造設備を昨年9月に再建し、順調に生産・販売を再開した。一方で、エアバッグ用基布については、原糸の代替品調達による販売を継続している。こうした中、同社のフィフム事業は好調に推移し、増益に大きく貢献した。

 セグメント別に見ると、フィルム・機能樹脂事業は減収増益となり、売上高は4%減の1143億円、営業利益は18%増の120億円。フィルム事業では、包装用フィルムは世の中の環境意識の高まりを受け、環境に配慮した製品の販売が好調で、工業用フィルムは、「コスモピール」が電子関連部品の生産調整の影響を受けたものの、「コスモシャインSRF」が大手偏光板メーカー向けの販売を順調に拡大した。

 機能樹脂事業では、ポリオレフィン用接着性付与剤「ハードレン」が海外向けに販売を伸ばした一方で、エンジニアリングプラスチックは、世界的な自動車減産の影響を受け、加えて中国向けの非自動車用途の樹脂販売が伸びず苦戦した。

 産業マテリアル事業は、火災の影響と需要減により減収減益となり、売上高は前年同期並みの497億円、営業利益は70%減の8億円。ヘルスケア事業は、機能膜・環境事業が好調に推移し増収増益となり、売上高18%増の286億円、営業利益は30%増の40億円だった。

 繊維・商事事業は、アクリル繊維の産業資材用途へのシフトを進める中、原料価格変動の影響を受け需要が低迷し減収減益。売上高は2%減の453億円、営業損失は1億円(前年同期は営業損失0億円)。なお、通期業績予想については、前回予想を(昨年11月7日発表)を据え置いた。

東洋紡 PET循環の推進で欧州コンソーシアムに参加

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2020年2月6日

 東洋紡はこのほど、欧州のPET(ポリエチレンテレフタレート)関連企業のバリューチェーン全体を網羅するコンソーシアム「Petcore Europe」に参加した。

 同コンソーシアムは、1993年にベルギー・ブリュッセルを本拠地として設立。欧州で広くリサイクルされ、循環型経済に大きく寄与するプラスチック材料であるPETについて、あらゆるステークホルダーと連携しながら、さらなる持続可能な成長を図ることを主な方針に掲げている。

 これまでに、PET樹脂の製造メーカーやフィルムメーカーをはじめ、コンバーター、リサイクラー、消費財メーカーなど、欧州のPETバリューチェーンに関わる80以上の企業・団体が参加している。

 東洋紡は、優れたバリア性能により食品の消費期限の延長に貢献する高機能なフィルムから、PETボトルのリサイクル樹脂を使用した環境配慮型フィルム製品まで、さまざまな包装用途のPETフィルム製品を手掛けている。

 2012年に上市した「サイクルクリーン」は、世界最高レベルとなるリサイクル樹脂の使用率80%かつ業界最薄の厚さ12㎛を実現。製造工程からのCO2排出量の削減と、包材の薄肉化による廃棄物の減量に貢献するフィルムとして、PETボトル用ラベルなどに幅広い採用実績をもつ。ポリエステル系素材への単一(モノマテリアル)化を推進するなど、リサイクル性を高めた次世代の包装用フィルム製品の開発にも積極的に取り組んでいる。

 同社は、Petcore Europeへの参加を機に、持続可能なPET製品・技術の開発・提供に一層注力し、人と環境にやさしい循環型経済の実現に貢献していく考えだ。

 

東洋紡 産業展に生体情報を測定するスポーツウエア出展

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2020年2月4日

「COCOMI」を使用したスポーツウエア
「COCOMI」を使用したスポーツウエア

 東洋紡は2月5~7日に幕張メッセ(千葉市)で開催される、スポーツビジネスを支援する最新の設備や技術、製品・サービスなどが一堂に会す「第3回スポーツビジネス産業展」に出展する。

 初出展となる今回は、スポーツトレーニングに活用可能な最新テクノロジーを紹介するゾーンで、同社のフィルム状導電素材「COCOMI(ココミ)」を使用したスポーツウエアを展示する。

 トライアスロンや自転車ロードレースなどのアスリート向けに、トレーニング時の心拍数や呼吸状態といった生体情報を高い精度で計測できる特長を提案。来場者に筋活動のリアルタイム計測を実際に体感してもらうため、ゲーム型のデモンストレーションコーナーも設ける。

 「COCOMI」は、ウエアラブルデバイス用電極・配線材向けの、フィルム状導電素材。薄く、伸縮性に優れるため、体の動きに追随できるほか、電極と配線が継ぎ目なく一体化していることにより、自然な着心地のウエアラブルデバイスを実現できる。

 また、「COCOMI」を使用した電極は身体形状にフィットするため、精度の高い生体情報の収集が可能だ。ブース番号は7‐44(選手強化ソリューションゾーン)。10~18時(最終日は17時まで)。

東洋紡 国連グローバル・コンパクトに署名、10原則を強化

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2020年2月3日

 東洋紡はこのほど、国際連合が提唱する「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」に署名し、1月22日付で参加企業として登録されたと発表した。これに併せて、UNGCに署名している日本企業などで構成される「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」への加入も行った。

 UNGCは、各企業・団体が責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み。

 UNGCに署名する企業・団体は、「人権の保護」「不当な労働の排除」「環境への対応」「腐敗の防止」に関わる10の原則に賛同し、その実現に寄与することが求められている。

 同社は、創業者・渋沢栄一の精神を受け継いだ企業理念「順理則裕」(じゅんりそくゆう=なすべきことをなし、ゆたかにする)の下、社会課題の解決に役立つ事業に注力することで、自らも成長を目指してきた。

 今後は企業理念の実践を一層推し進めるために、UNGCの10原則に則った取り組みを強化し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

東洋紡 TCFDの提言に賛同を表明、コンソーシアムに参画

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2020年1月21日

 東洋紡グループはこのほど、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言へ賛同を表明し、同提言に賛同する企業や金融機関からなる「TCFDコンソーシアム」に参画した。

 TCFDは、主要25カ国・地域の中央銀行や金融監督当局などの代表を参加メンバーとする金融安定理事会(FSB)が2015年に設置。その提言では、企業・団体などに対し、気候関連のリスクと機会に関する情報開示を推奨している。また日本でも、経済産業省が「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)」を公表するなど、同提言への対応に向けた整備が進む。

 こうした中、同社グループは、企業の「めざす姿 Vision」に「素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループになる」ことを掲げている。その一環として、気候関連の課題解決につながる製品・サービスの提供を通じ、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、自らも長期的に成長することを目指している。

 昨年には「地球温暖化に関する長期ビジョン」を定め、2050年度の温室効果ガス排出量の80%削減(2013年度比)などを打ち出した。

 今回のTCFD提言への賛同表明とコンソーシアムへの参画を機に、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を拡充することで、ステークホルダーへの説明責任を果たしていく考えだ。

 

東洋紡 ポリエステルフィルム来月から値上げ

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2020年1月16日

 東洋紡は15日、包装用ポリエステルフィルムの2製品を来月21日出荷分から値上げすると発表した。対象となるのは「サイクルクリーン」と「バイオプラーナ」で、改定幅はいずれも350円/連(連:500㎡、12㎛換算)。

 近年、世界的に環境意識が高まる中、環境へ配慮した製品の需要拡大に伴って、使用する原材料の需給がひっ迫しており、同社の環境対応フィルムに使用する原材料も価格高騰が続いている。加えて、直近の原油高などを背景に、物流経費や副資材関連費用、設備維持費用などの諸経費が上昇し、製造コストを押し上げている。

 こうした中、同社では、徹底したコスト削減に注力してきたが、現在の価格体系では顧客への安定的な製品供給が困難と判断し、今回、価格を改定するに至った。

東洋紡 ポリエステル製折り紙が〝おもてなし〟賞を受賞

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2020年1月14日

「オリエステルおりがみ」の作品例
「オリエステルおりがみ」の作品例

 東洋紡のポリエステルフィルムを使用した折り紙「オリエステルおりがみ」がこのほど、日本の魅力の〝おもてなし〟心あふれる商品やサービスに対して贈られる「OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)2019」を受賞した。

 同賞は、複数の民間企業から構成される「OMOTENASHI NIPPON実行委員会」が主催するプログラムで、日本の優れた商品・サービスを発掘・認定し、国内外に発信することを目的に、2015年から開催されている。今回、日本の伝統文化である折り紙と、同社の最新技術とを組み合わせた革新性が評価され、生活雑貨・日用品のジャンルでの受賞となった。

 日本在住の外国人審査員を中心に審査が実施され、2019年度は全103の対象が認定された。「オリエステルおりがみ」は、同社の折れるポリエステルフィルム「オリエステル」を採用しており、水に強く、やぶれにくく、光沢感があることが特長。独自の加工技術により、ポリエステル製でありながら優れた折り曲げ性を付与した。

 折り紙のサイズは15㎝×15㎝。カラーミックス(18色+金銀)、ホログラムなど全18種類をラインアップし、280円~980円(税別)の価格帯で、東洋紡STCが販売する。東洋紡では、同賞の受賞を機に、「オリエステルおりがみ」の魅力を日本国内のみならず海外に向けても積極的に発信していく考えだ。