【化学企業 入社式訓示④】東洋紡 楢原誠慈社長

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2019年4月5日

 近代産業の父であり、当社の創業者でもある渋沢栄一氏は、「順理則裕(じゅんりそくゆう:りにしたがえばすなわちゆたかなり)」を座右の銘に掲げていた。これまで「順理則裕」は、「道理に生きることで、心がゆたかになり、いずれ繁栄につながる」と解釈されてきた。

 しかし、渋沢氏が著書「論語と算盤」などで道徳と経済の一致を説いた真意とは、〝なすべからずことはするな〟という消極的な〝理〟のみならず、〝なすべきことをせよ〟という積極的な〝理〟を重視していたに違いないとの思いに至った。

 そこで当社は、「順理則裕」を〝なすべきことをなし、ゆたかにする〟、すなわち〝企業は本業を通じて、企業の利益と社会的課題の解決を両立させることによって社会貢献を目指すとともに、自らの事業も成長させよ〟と、能動的な行動原理として再定義した。

 これは、近年広く世の中で提唱されている〝CSV(共有価値の創造)〟に通ずる概念だ。100年も前の日本でこのような考えを説いた創業者の遺志に応え、環境・ヘルスケア・高機能で、社会に貢献する価値を創りつづけるカテゴリー・リーダーを目指し、邁進していこう。

 「1/3思考」の実践についてお話しする。皆さんにとって慣れない社会人生活がスタートし、「今日のこと」ばかりで過ごす日々が続くことだろう。

 そこで、「足元(今日)」だけにとらわれないように、3分の1ずつ違うことを考えてはどうだろうか。

 1つ目は「基礎を学ぶこと」。

 2つ目は「夢を描くこと」。

 3つ目は「順理則裕を実践すること」。

 このように、「足元」「未来」「(社会人としての)土台」について3分の1ずつ考え、行動することで、皆さんがこれから成長し、会社の発展にも寄与するものと信じている。

 

東洋紡 欧ベンチャー支援で事業拡大を目指しファンドに参加

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2019年2月18日

 東洋紡はこのほど、欧州独立系運用会社のカプリコーン・ベンチャー・パートナーズ(ベルギー、ルーヴェン市)が運用するベンチャーファンドに参加したと発表した。今後は、同ファンド投資委員会のオブザーバーとして、ベンチャー企業の支援を行うとともに、ファンドを通じて得られる新技術や新事業の情報を活用し、持続可能な化学分野での事業拡大に注力していく考えだ。

 同ファンドは、カプリコーン・サステナブル・ケミストリー・ファンド(CSCF)。「持続可能な化学」の考えに基づき、特に機能材・食品・飼料・繊維・燃料などの分野で成長企業に投資を行っており、昨年12月に締め切られた2次募集で8650万ユーロの資本金を確定した。背景には、近年の環境問題への先進的な取り組みで、欧州が主導する国際的な潮流がある。

 東洋紡は、同地域に基盤をもつファンドに参加することで、将来的な事業成長拡大に資する情報や投資機会を得る意義は、非常に大きいとしている。また、CSCFの投資方針は、同社の志向する事業分野に適合性が高いこともその理由。同ファンドの経営陣は化学・生化学などの事業経験者を中心に構成されているなど、同社の目的に合った投資ファンドであると判断し、今回の参加を決めた。

 なお、「持続可能な化学」とは、経済協力開発機構(OECD)の定義によれば、「化学製品およびサービスに対する人間のニーズを満たすために、天然資源が使用される効率を改善することを目的とした科学的概念であり、効率的・効果的なプロセスの設計、および安全で環境に優しい化学製品の製造・使用を含む」とされている。

東洋紡 4-12月期決算(8日)

2019年2月12日

[東洋紡/4-12月期決算](8日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結=売上高249,927(3.4%)、営業利益15,345(▲4.4%)、経常利益12,669(▲8.2%)、純利益▲300。

東洋紡 透明蒸着フィルムで米社と販売契約を締結

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2019年1月25日

 東洋紡は24日、バリア性能に優れた透明蒸着フィルム「エコシアール」について、米州で包装用PETフィルムの製造・販売を手掛けるテレファン社と販売契約を締結したと発表した。今後はテレファン社の販売ネットワークを活用し、北中南米地域での同製品の販売を本格的に開始する。

 エコシアールは、2種類のセラミックス(シリカ、アルミナ)を蒸発させ、ナイロンやポリエステルフィルムにコーティングすることで高いバリア性能を付与したフィルム。

 一般的な包装フィルムの100倍を上回る高いバリア性能と防湿性能を持ち、食品の鮮度保持と消費期限の延長に貢献する。また、塩素化合物を含まない環境対応フィルム、廃棄物減量につながる包材の薄肉化が可能といった特長を併せ持つ。

 東洋紡は、2017年8月に、インドネシアのフィルム大手トリアス・セントーサ社との合弁により、同製品の生産会社を設立。今年11月から稼働を開始し、生産体制を強化していく。今回の提携により、エコシアールをはじめとし、高機能な包装用フィルムの海外展開を加速していく考えだ。

 世界的な人口増加に伴って食料需要が拡大する中、食品の消費・賞味期限を伸ばし食品ロス低減に貢献できる、高機能な包装用ハイバリアフィルムへの注目が高まっている。

 特に、内容物が見える透明蒸着フィルムの世界需要は旺盛で、年率約10%で成長を続けている。包装後に金属・異物探知機が利用できることなどがその理由だ。

 

東洋紡 アルミニウム系触媒を使用した包装用PETフィルムを開発

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2019年1月23日

 東洋紡は22日、環境負荷に配慮した包装用PETフィルム「東洋紡エステルGS」を開発し、製品化すると発表した。重金属フリーで環境にやさしいアルミニウム系触媒を使い、製造したPET樹脂を主原料にする。ラインアップは12μmと16μmの 2種類。主な用途は食品をはじめ、薬剤、サニタリー、産業資材といった非食品の包装材を想定。今月中旬からサンプル出荷を始め、今秋から本格的に量産を開始する。

東洋紡エステルGS
東洋紡エステルGS

 東洋紡エステルGSの主原料となるPET樹脂の製造には、同社が2002年に独自開発したアルミニウム系触媒「TOYOBO GS Catalyst」を使用している。同触媒は、一般的なPET樹脂の重合反応に用いられるアンチモンなどの重金属を含んでいないため、製造したPET樹脂は、廃棄の際などの環境への負荷低減につながる。

 また、優れた熱安定性により、樹脂を溶融した際の物性劣化が起こりにくく、リサイクル・再利用に適するという特長を持つ。

 同触媒を使用して製造したPET樹脂は、これまでにも飲料用ペットボトルや太陽電池用バックシートフィルム「シャインビーム」などに使用されているが、包装用PETフィルム製品として使用されるのは業界初となる。

TOYOBO GS Catalyst®」を使用して
「TOYOBO GS Catalyst」で
製造したPET樹脂(左前)

 環境意識がますます高まる中、同社は今後も、同触媒を使用したフィルム製品の販売比率を上げ、PETフィルム製品の環境への負荷低減やリサイクルの促進に貢献していく。

 なお、同アルミニウム系触媒は、同社がデュポン社から製造受託している生分解性樹脂「APEXA」の製造にも使用されている。また2017年には、PET樹脂製造最大手のインドラマベンチャーズと、同触媒を使用した重合技術や特許に関するライセンス契約を締結している。

東洋紡 ウェアラブルEXPOにフィルム状導電素材wo出展

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2019年1月16日

 東洋紡は今月16~18日に東京ビッグサイトで開催される「第5回ウェアラブルEXPO」に出展(ブース番号:W16‐16)し、ウェアラブルデバイス用のフィルム状導電素材「COCOMI(ココミ)」をさまざまな活用例とともに紹介する。同展示会は、ウェアラブル端末の活用と技術の総合展。5回目となる今回は、初出展の70社を含む計170社が出展する。

「COCOMI」を使用した電極、配線パターンのサンプル
「COCOMI」を使用した電極、配線パターンのサンプル

 同社が出展する「COCOMI」は、ウェアラブルデバイス用の電極・配線材向けのフィルム状導電素材。薄く、伸縮性に優れるため、体の動きに追随できるほか、電極と配線が継ぎ目なく一体化しており、自然な着心地のウェアラブルデバイスを実現する。また、同素材を使用した配線は電気抵抗値が低くいため精度の高い生体情報の収集が可能だ。

 主な展示内容は、①「COCOMI」を使用した電極・配線パターンのサンプル②ワーキングやホームテキスタイル、カジュアル、スポーツなど、さまざまなシーンに対応するスマートテキスタイル製品③「COCOMI」を使用した「スマートセンシングウェア」ができるまでの工程や中間材料など。ウェアを着用した説明員が、生体情報をリアルタイムで計測できる様子などを実演する。

 なお、同社は文部科学省の「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)拠点」事業の「運動の生活カルチャー化により活力ある未来をつくるアクティブ・フォー・オール拠点」(中核拠点:立命館大学)に参画。スマートウェア技術などを活用して、健康寿命を延ばす取り組みを行っている。「COCOMI」の技術の一部を提供するとともに、得られた知見の一部を同技術開発にフィードバックしている。

 

東洋紡 犬山工場でOPPフィルムの生産設備を新設

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2018年12月27日

 東洋紡はこのほど、犬山工場に年産2万t規模の二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム生産設備を新設すると発表した。2022年春頃の稼働を予定しており、稼働開始後は既存の生産設備を休止する。投資額は約70億円。

犬山工場に新設するOPP生産設備(イメージ)
犬山工場に新設するOPP生産設備のイメージ

 食品包装用フィルムの国内市場が、共働きや単身世帯の増加にともなう個食化・個包装化を背景に堅調に推移する中、「食の安全」意識の高まりを受け、OPPフィルムに求められる性能・品質要求はますます強くなっている。

 こうした要求に応えるとともに、環境負荷の軽減に貢献する高性能なフィルム製品などを開発・生産していく考え。

 同社は、1960年代にOPPフィルムの生産を開始。以来、透明性や防湿性、耐寒性などに優れた、さまざまなフィルム製品を提供してきた。今回、犬山工場の生産設備を刷新することで、生産効率の向上と、より付加価値の高い製品の生産体制を強化する。

 

東洋紡 高耐熱性ポリイミドフィルムの子会社工場が完成

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2018年12月19日

 東洋紡はこのほど、子会社ゼノマックスジャパンの本社工場(福井県敦賀市)が10月に完成、操業を開始し、今月17日に竣工式を開催したと発表した。

ゼノマックスジャパンの本社工場
ゼノマックスジャパンの本社工場

 同日は、福井県の西川一誠知事、敦賀市の渕上隆信市長をはじめ、ゼノマックスジャパンの中村英弘社長、長瀬産業の朝倉研二社長、東洋紡の楢原誠慈社長ほか、多数の関係者が出席した。

竣工式の模様
竣工式の模様

 ゼノマックスジャパンは、今年4月に長瀬産業との合弁により東洋紡の敦賀事業所内に設立。出資比率は、東洋紡が66.6%、長瀬産業が33.4%。高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス」を生産・販売する。本社工場の延べ床面積は、約4300平方メートル、鉄骨2階建て(1部5階建て)。投資額は約30億円となっている。

 同製品はこれまで、東洋紡のコーポレート研究所(滋賀県大津市)内の設備で少量生産を行ってきたが、ゼノマックスジャパン本社工場の完成に伴い、今年10月から同工場に生産拠点を移した。売上目標は、2020年度に100億円を目指す。

 「ゼノマックス」は、室温から500℃まで熱膨張係数が約3ppm/℃と一定で、ポリマーフィルムとしては世界最高レベルの寸法安定性をもつ高耐熱性ポリイミドフィルム。同社がもつ高耐熱ポリマーの合成技術やフィルム製膜技術などを駆使し、従来のポリイミドフィルムでは不可能だった、ガラス基板と同等の高い寸法安定性を実現した。

高耐熱性ポリイミドフィルム 「ゼノマックス」(左)
高耐熱性ポリイミドフィルム 「ゼノマックス」(左)

 電子ペーパーディスプレー向けTFT基板材の需要増に対応するとともに、「薄い」「軽い」「割れない」「曲がる」というフィルムの特性を生かし、フレキシブルな有機ELディスプレーや各種センサー、マイクロLEDといった次世代ディスプレー用途での展開を図る。

東洋紡 中空糸型FO膜がデンマークの発電プラントに採用

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2018年12月18日

 東洋紡は17日、中空糸型の正浸透膜(FO膜)が、デンマークの浸透圧発電パイロットプラントに採用されたと発表した。今年9月から実証実験を開始しており、早期の実用化を目指している。

中空糸型正浸透膜
中空糸型正浸透膜

 この事業は同社がデンマークにある浸透圧発電のベンチャー企業ソルトパワー社、産業機械メーカーのダンフォス社、エンジニアリング会社セムコ・マーチン社と4社共同で運営するもの。

 今回採用されたのは、中空糸を円筒形の圧力容器に高密度に充填したFO膜で、水分子を通し一定の大きさ以上の分子やイオンを通さない半透膜の一種である。

 東洋紡は1970年代に、繊維事業で培った紡糸技術を応用し、中空糸型半透膜を開発した。海水を淡水に変える逆浸透膜(RO膜)として、性能や耐久性などが高く評価され、1980年代初めから主に中東湾岸地域の海水淡水化施設で採用実績を重ねてきた。

 デンマークで運転を開始した浸透圧発電プラントは、地下から汲み上げた地熱水と呼ばれる塩水と、淡水の塩分濃度の差を利用して発電するシステム。塩分を通さずに水を通す性質をもつFO膜を隔てて塩水と淡水を接触させると、浸透圧差により塩水側に水流が発生。この水流を利用してタービンを回すことで発電する。

 地熱水を活用した浸透圧発電は、太陽光や風力に比べ、天候や昼夜に左右されない新しい再生可能エネルギーとして注目を集めている。

正浸透膜が採用された浸透圧発電プラント 2
正浸透膜が採用された浸透圧発電プラント

 同社のFO膜は、高密度に充填された中空糸によって水が効率的に流れる内部構造を持ち、発電用タービンを回すための水流を安定かつ低ロスで発生させる。また、効率的な浸透圧発電に必要な高い水圧に対して、RO膜用途で実証してきた優れた耐圧性能を備えていることなどが高く評価され、今回の採用となった。

 同プラントは、同型の浸透圧発電方式としては業界最大で、一般的な家庭約50世帯分の電力に相当する20kWを発電。これまで実験的な浸透圧発電設備はあったが、実用規模の浸透圧発電プラントが運転を開始するのは世界で初めて。

 来年9月ごろまで実証実験を行い、2021年までに東洋紡製の浸透膜を採用した、1㎿規模の浸透圧発電プラントをデンマーク国内で建設するとともに、他の欧州地域にも同規模のプラントを導入していく予定だ。