AGC RPA本格展開、年間1万時間以上の業務時間を削減

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2020年1月8日

 AGCは、1月からRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の本格展開を開始する。今年末までに、年間1万時間以上の業務時間削減を目指す方針だ。

 近年企業の競争力を高めるために、デジタル技術を用いた業務プロセスの高効率化が重要になってきており、PC上の定型業務をロボットにより自動化するRPAの活用が注目されている。金融業などでRPAの導入が進む一方、業務が多岐にわたる素材製造業では共通的な定型業務が少なく、RPAの本格導入、展開が難しいと考えられていた。

 同社は、デジタル技術を活用しビジネスプロセスの変革を担う〝スマートAGC推進部〟が中心となり、2018年2月より各拠点とグループ会社に対して、RPAの最新適用事例やその使用方法に関するデモや展示会の実施、各職場の業務に応じたRPA適用の提案を行ってきた。

 その結果、経理、調達、研究開発などの間接部門を中心に計70台のロボットを導入し、会計システムの伝票入力業務や、購買管理システムでの検収管理業務を自動化することなどにより、昨年9月末時点で導入前と比較して、年間4200時間の業務時間削減に成功した。

 今後さらなる業務の高効率化に向けて、RPAの展開地域を日本国内の拠点だけでなく、欧州・米州・アジアの各拠点に広げるとともに、対象業務についても間接部門を中心とした業務から工場の生産管理部門の業務などへ拡大していく。

AGC セントラル硝子と国内建築用ガラス事業を統合

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2019年12月12日

 AGCはこのほど、セントラル硝子との間で、国内建築用ガラス事業に関する事業統合についての基本合意書を締結したと発表した。今後は2020年12月末を目標に事業統合の完了を目指し、詳細な検討、協議を進めていく。

 国内建築用ガラス事業は、新設住宅着工数の減少や複層ガラスの普及に伴う需要構造の変化を受け、合理化や流通形態の変革を継続的に実施してきたものの、厳しい事業環境が続いている。

 少子化などにより今後さらに需要の減退が見込まれ、また老朽化した設備のメンテナンス費用を捻出し安定供給を実現するためにも、産業全体として改革が迫られている。

 両社は、このような経営環境の下、相互に自社の強みを強化・補完し合いつつ、同事業の統合を行うことを通じて、より一層の経営および資本の効率化と収益性の向上、企業基盤の充実を図ることが、両社の発展に資すると判断した。

AGC 素材開発にAR技術、開発スピード向上を図る

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2019年12月2日

 AGCはこのほど、素材の組成開発を担う材料融合研究所と、素材の生産プロセス・設備開発を担う生産技術部で、スタートアップのKAKUCHO(東京都渋谷区)がもつ「webAR」の試験使用を決定したと発表した。今月から同技術を開発現場に導入し、開発のスピードアップ化を図る。

AR使用時の様子
AR使用時の様子

 KAKUCHOは「AR/MRを社会に浸透させ、誰もみたことのない新しい日常を創造する。」を企業理念に掲げ、ARを利用した高級インテリアEC「FURNI」と、FURNIに使われているAR技術を提供する「webAR」の2つの事業を提供している。

 AR(Augmented Reality)とは、一般的に拡張現実と訳されるもので、物体検知・空間認識・顔認識などの画像認識を通して、現実環境をコンピュータにより拡張する技術。建設現場や工場などの作業現場での活用や、自動運転への応用など、ビジネスのさまざまなシーンで活用が進んでいる。

 「webAR」は専用のアプリを開発することなく、ウェブブラウザ上でARを簡単に使用できる技術だ。事前にURLを共有しておけば、スマートフォンやタブレットなどのデバイスを現場でかざすことで、開発設備をそのままの形状・サイズ感で現場風景に重ね合わせて表示できる。

 これまで図面や仕様を共有するだけでは正確に伝えることができなかった、現場のレイアウト・作業性・安全性などを設備導入前に明らかにすることが可能になる。同技術により開発者間のコミュニケーションを促進し設備開発のスピードを向上することで、素材開発全体のスピードアップに繋げていく考えだ。

 素材の開発には、組成開発、生産プロセス開発、設備開発などの開発フェーズから量産に至るまで数十年を要することもある。中でも設備開発は同じ図面や仕様を共有しているにもかかわらず、組成開発者と設備開発者が認識する現物イメージに乖離があり、開発に多大な時間を要するケースがある。この課題を解決する手段の1つとして、AGCはAR技術に着目した。

AGC 1‐9月期決算(30日)

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2019年10月31日

[AGC/1‐9月期決算](30日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結=売上高1,123,753(▲0.2%)、営業利益73,609(▲15.4%)、親会社の所有者に帰属する四半期純利益28,883(▲55.5%)。

AGC 中国にディスプレイ用カバーガラス生産拠点を新設

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2019年9月17日

 AGCはこのほど、艾杰旭汽车玻璃(蘇州)(江蘇省蘇州工業園区)に、大型3D・複雑形状の車載ディスプレイ用カバーガラス生産拠点を建設することを決定したと発表した。

 各種光学薄膜コーティングから、装飾印刷、複雑曲面の一体成形に至るまで、最先端技術を導入した一貫生産ラインを備え、すでに受注が決定している複数の車種向けに、2022年に販売を開始する予定。

 自動運転・電動化・コネクテッドといった自動車業界を取り巻く大きな変化により、今後、クルマのコックピットは革新的でダイナミックなデザインが採用され、デジタルラウンジ化していくと予想されている。

 このトレンドの中、車載ディスプレイ用カバーガラスも大型化・複雑形状化・高機能化していくことが見込まれ、同時に大型化に伴う安全設計も求められる。AGCは、自動車用ガラスのリーディングカンパニーとして60年以上にわたり培ってきた設計ノウハウを活用し、高品質で安全なカバーガラスの提供を実現する。

 AGCは、2013年に世界で初めて、車載ディスプレイ用カバーガラスを素板から加工まで一貫生産する体制を整え販売を開始。2017年からは、平面形状に加えて曲面形状のカバーガラスも生産・販売しており、業界トップシェアを誇っている。今回の新拠点設置によって、既存の国内2拠点に加え、第3の生産拠点を保有することとなり、高品質な製品をグローバルに顧客に提供する体制が整うことになる。

 さらに、国内の京浜工場内には、新デザイン・高機能に特化した開発センターを設置し、コックピットデザインの変化に柔軟に対応可能な体制を整える。AGCの車載ディスプレイ用カバーガラスは、これまで70車種以上に採用されており、総出荷数は今月で2000万台分を達成する見込み。

AGCの1‐6月期、減収減益で通期予想を下方修正

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2019年7月31日

 AGCが30日に発表した2019年12月期第2四半期連結決算(IFRS)は、売上高が前年同期比1%減の7375億円、営業利益は同31%減の415億円、税引前四半期利益は同35%減の426億円、親会社四半期利益は同33%減の323億円の減収減益となった。

 バイオ医薬品やディスプレイ用特殊ガラスの出荷増、新規連結などの増収要因もあったが、ユーロ安、東南アジアにおけるカセイソーダや液晶用ガラス基板の価格下落、自動車用ガラスの出荷減により減収。営業利益については、液晶用ガラス基板の販売価格下落や新規設備立ち上げ、自動車用ガラス、化学品の製造原価悪化により減益となった。

 セグメント別では、ガラスセグメントは減収減益。売上高は、建築用ガラスはユーロ安の影響で前年同期並み。自動車用ガラスは出荷減とユーロ安の影響で減収。営業利益は、建築用ガラスは出荷堅調に加え、販売価格改善により増益。自動車用ガラスは日本での生産効率悪化などで減益となった。

 電子セグメントは増収減益。売上高は、ディスプレイは液晶用ガラス基板の出荷数量が前年同期比で増加。ディスプレイ用特殊ガラスの出荷が好調だった。電子部材では半導体関連製品の出荷が増加。パーク・エレクトロケミカル社の業績が寄与した。営業利益では液晶用ガラス基板の販売価格の下落と、新規設備立ち上げに伴い減価償却費が増加した。

 化学品セグメントは減収減益。売上高では、クロールアルカリ・ウレタンは東南アジアでの苛性ソーダ販売価格が下落。フッ素・スペシャリティはヨウ素製品などの販売が堅調。ライフサイエンスでは、バイオ医薬品原薬の受託件数が増加し、マルグラット・ファーマ・ケミカルズ社の業績が寄与した。営業利益については、東南アジアでのカセイソーダの販売価格の下落と、日本での大規模定修や製造原価の悪化で減益となった。

 通期の業績予想については、東南アジアでのカセイソーダの販売価格や、自動車用ガラスと一部半導体関連製品の出荷が想定を下回る見込みであることから下方修正した。売上高は1兆5400億円(前回発表比600億円減)、営業利益は1050億円(同200億円減)、税引前営業利益は980億円(同200億円減)、親会社当期純利益は640億円(同140億円減)。

AGC 東工大と「マテリアル協働研究拠点」を設置

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2019年7月1日

 AGCはこのほど、東京工業大学と「AGCマテリアル協働研究拠点」を7月1日に開設すると発表した。東工大すずかけ台キャンパスに約66㎡の専用スペースを確保するとともに、AGCから共同研究員を派遣し、組織対組織の連携を進めていく。なお、設置期間は2022年6月30日まで。

 両者は、これまでガラス・セラミックス・有機材料など多くの領域で共同研究を進め、優れた成果を創出してきた。協働研究拠点とは、企業と東工大がこれまでの個別研究という枠組みを超え、組織同士で大型の連携を実現する新しい制度。

 今回開設する研究拠点では、東工大が物質・材料を含む幅広い領域で保有する学術的知見と、AGCが培ってきた技術力を連携させ、これまでの個別研究では難しかった組織対組織の総合的な研究開発を行う。

 また、新研究テーマや新事業分野の創出を行うべく、AGCと東工大双方の人材から構成される新研究テーマ企画チームを設置し、研究の企画機能を担う。

 同拠点開設に伴い、まずは「マルチマテリアル領域」として5つの研究室と共同研究を開始するとともに、次の領域設置も見据えた「NEXTテーマ候補」として2つの研究室(科学技術創成研究院菅野了次研究室、物質理工学院一杉太郎研究室)と共同研究を開始。

 「マルチマテリアル領域」では、AGCの保有するガラスやフッ素系材料など様々な材料を複合化・最適化することで、次世代モビリティや高速通信、エレクトロニクスなどの領域で必要となる高機能材料や革新技術・プロセスの開発を深化させ、ソリューションを創出する。

 一方、「NEXTテーマ候補」では、革新的・挑戦的な研究テーマについて、課題の抽出と解決、実現に向けたコンセプト検証を行う。

 AGCと東工大は、協働研究拠点の設置により研究者の密接な交流と研究開発ネットワークを構築し、新テーマ創出・開発・検証・社会実装のプロセスを効果的に進めるとともに、人材育成とイノベーション創出に寄与することを目指す。

 

AGCの1-3月期 製品価格下落など響き減収減益

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2019年5月9日

 AGCの12月期第1四半期連結決算(IFRS)は、売上高が前年同期比3%減の3616億円、営業利益は同32%減の209億円、税引前利益は同32%減の235億円、親会社四半期純利益は同37%減の156億円。

 液晶ガラス基板や東南アジアでの苛性ソーダの価格下落、自動車用ガラスの出荷減、ユーロ安により減収となった。利益については、液晶用ガラス基板の販売価格下落や新規設備立ち上げ、 自動車用ガラス・化学品の製造コスト増加で減益となっている。

 セグメント別では、ガラスセグメントは減収減益。建築用ガラス・自動車用ガラスともにユーロ安の影響などで減収。営業利益は、建築用ガラスは増益だったが、自動車用ガラスの製造原価上昇などで、全体として減益となった。

 電子セグメントは増収減益。ディスプレイ用特殊ガラスの出荷好調などにより増収。営業利益は液晶用ガラス基板の販売価格下落などで減益となった。

 化学品セグメントは減収減益。売上高については、フッ素関連製品の出荷が堅調で、バイオ医薬品原薬の受託件数が増加したが、東南アジアでの苛性ソーダ販売価格の下落が響き、全体として減収になった。営業利益に関しては、国内拠点の定期大規模修繕や電力コストの上昇により製造原価が増加し、減益となっている。

 通期の連結業績予想は当初予想から変更なく、売上高が前期比5%増の1兆6千億円、営業利益は同4%増の1250億円、税引前利益は同8%減の1180億円、親会社当期純利益は同13%減の780億円を見込んでいる。

AGC ガラスアンテナの開発体制を世界三極で構築

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2019年3月27日

 AGCはこのほど、ベルギー・ゴスリーに建設していた自動車用ガラスアンテナの開発拠点となる電波暗室を、3月15日に竣工したと発表した。これにより、ガラス業界初の日米欧三極で自動車用ガラスアンテナ開発体制が整備されたことになる。

 来たるべきモビリティ社会には、カメラやLiDAR(レーザー画像検出と距離測定)、センサーなどの機器によるクルマ同士あるいはクルマとすべてのものがつながるV2Xを実現する通信機能が求められる。

 そうした中、受発信アンテナの搭載と電波の出入り口として、自動車用ガラスの役割が増大。また、クルマのデザインを損ねることなく、各種放送波の受信や5Gなどの高速通信に最適なガラスアンテナデザインを設計するためには、開発段階から高度なシミュレーション技術の応用や高精度な計測技術が必要となる。

 同社は、40年以上にわたり自動車用ガラスアンテナの研究・開発・製造では業界をリードしており、すでに日本と米国の電波暗室で自動車用ガラスアンテナの設計を実施し、顧客に最適な自動車用ガラスアンテナを提供。今回、欧州での電波暗室竣工により、顧客の開発活動をグローバルに支援し、かつIoT時代の〝つながる〟クルマに対応するアンテナ開発を加速していく体制が整った。

 同社グループは、経営方針「AGC plus」の下、モビリティ分野を戦略事業のひとつに位置づけている。日米欧三極に電波暗室をもつ強みを生かし、〝つながる〟クルマの実現に貢献していく考えだ。

 

AGC スペイン合成医薬品原薬製造会社の買収が完了

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2019年3月6日

 AGCはこのほど、昨年12月に発表したスペイン合成医薬品原薬製造会社であるMalgrat Pharma Chemicals社(MPC社)の買収手続きを3月1日に完了したと発表した。なお、連結決算への反映は、今年度第1四半期から行う予定。

 独自のフッ素技術と、自社創薬を含む豊富な経験をもつAGCにMPC社が加わることで、AGCとして初めて欧州で合成医薬品中間体から原薬までの欧州での一貫製造が可能となる。

 MPC社は、cGMP(製造管理と品質管理の基準)に対応していることに加え、合成医薬品原薬の製造では長い歴史と豊富な実績があり、開発医薬品から商用医薬品まで幅広いスケールの生産に対応している。

 今回の買収により今後も大きな需要の伸びが見込まれる欧州市場でのプレゼンスを高めるとともに、世界中の顧客に向けた合成医薬品CDMO(製造受託に加え、製造方法の開発を受託・代行する会社)事業をより一層拡大していく。

 AGCグループは、経営方針「AGC plus」の下、ライフサイエンス事業を戦略事業のひとつと位置づけており、2020年に売上高650億円以上、2025年に1000億円以上を目指している。MPC社買収は、同事業において、バイオ医薬品CDMO事業のBiomeva社(2016年)、CMC Biologics社(2017年)の買収に継ぐ、欧米での製造販売拠点獲得となる。

 今回のMPC社買収の完了を成長に向けた重要な一歩とし、今後も大きな需要の伸びが見込まれる合成医薬品・バイオ医薬品事業において、必要な買収・設備投資を積極的に実施することで、製薬会社、患者、そして社会に貢献していく考えだ。