ランクセス 無機顔料を値上げ、コスト高に対応

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2021年6月22日

 ランクセスはこのほど、無機顔料について6月14日以降の出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「150ユーロ/t(または相当する現地通貨)」。

 なお、製品および地域よって状況が異なることから、具体的な内容についてはユーザーとの個別対応になる。同社は今回の値上げについて、原材料やエネルギーコストの継続的な上昇と輸送コストの大幅な上昇に起因するものとしている。

 

 

ランクセス 消毒・衛生製品の仏テセオ社の買収を完了

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2021年6月7日

 ランクセスはこのほど、畜産衛生およびバイオセキュリティ・ソリューションのトップメーカーである仏テセオ社の買収を4月1日付で完了したと発表した。テセオ社の事業をランクセスの物質保護剤ビジネスユニットに統合し、ラヴァル(フランス)、ヴィートマールシェン(ドイツ)、ハル(英国)、カンピーナス(ブラジル)拠点に在籍する約100人の従業員も統合される。

 成長する畜産衛生市場向け製品のラインアップは大幅に拡大し、消毒・衛生製品ソリューションの幅広い製品群が提供可能となった。また畜産分野に、疾病予防・抑制製品、動物用栄養業界向けの製品が追加された。買収金額は約7000万ユーロ、買収事業の年間売上高は約3300万ユーロで、EBITDAは数百万ユーロだ。3年以内に、相乗効果による同程度の年間EBITDAの上積みを期待している。

ランクセス 高性能プラ向け耐熱性黄色顔料製品を拡充

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2021年6月2日

 ランクセスはこのほど、高性能プラスチック向け耐熱性黄色顔料「カラーサーム」の製品ラインナップを拡充すると発表した。様々な熱安定性レベルに応じたオーダーメイド顔料により、費用対効果を最適化する。

 特殊な物理・化学特性をもつ高性能ポリマーが金属、ガラス、セラミックの代替として自動車、電子機器、プロセスエンジニアリングや医療分野などの特殊用途・ハイテク用途で使用されるにつれ、着色顔料の要件プロファイルも高まりつつある。特に熱安定性は決定的な品質要因で、有機顔料は処理温度が高いと分解が進み、無機代替顔料は温度が180℃を超えると色のばらつきが起こることがある。

 同社は、高温ポリマーを高い信頼性で黄色着色するモジュラー型の「カラーサームイエロー」製品ラインナップをもつ。耐熱温度300℃の「カラーサームイエロー20」「同30」と同じ色調・色強度で、220~260℃の温度範囲を補完する製品として「カラーサームイエロー5」と「同26」を拡充した。「カラーサームイエロー5」と「同20」は酸化鉄ベース、「同26」、「同30」、「同3950」は亜鉛フェライトベースで、淡黄色・濃黄色からオレンジの色調まで、最高300℃までの温度で加工できる。

 また「同26」と「同30」の色強度は同等製品比で最大20%高く、顔料の添加量は少量ですむ。着色顔料の要求熱安定性レベルはポリマーの種類によって異なり、PEでは240℃前後、PA、PP、PPSでは300℃前後だ。プラスチックの種類や必要な熱安定性に合わせて、最適な顔料の選択が可能となった。

 また同社は、広範な設備の技術センターをもち、顔料使用の包括的アドバイスを提供。顧客のプラスチック用途での熱安定性分析も可能だ。サンプルローディングから比色分析まで自動化され、専門性の高い試験を最高レベルの精度で行える。一貫した品質はプラスチック着色の決定的な要件であり、国際標準の試験方法で原材料を常時モニタリングし、継続的な品質管理を行うことで、製品の信頼性を最大限に確保するとしている。

ランクセス 世界初のCF製スマホにコンポジット採用

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2021年5月28日

 ランクセスはこのほど、世界初のカーボンファイバー(CF)製スマートフォンの筐体に熱可塑性コンポジットシート「テペックス(Tepex)」が採用されたと発表した。カーボン・モバイル社の「Carbon1 MKⅡ」で、これまでのプラスチックとアルミニウムを複合材に置き換え、軽量性、スリムなデザイン、サステナビリティの新しい基準となるスマートフォンだ。

 CFは強靭で軽量な構造体の製造に適するが、電磁シールドとして作用するため外部からの無線信号を遮断し、内部からの信号も通過させずに構造体の外側に分散させる「ファラデーケージ」を形成するため、コネクテッドデバイスには不可能だとされてきた。

 今回の「無線対応」CF製の素材は、カーボン・モバイル社開発の特許技術「HyRECM」でRF信号を透過する複合材をCFに融合させ、さらにデバイスの接続性を高めるためにCF構造に導電性インクを3D印刷・結合させて生み出されたもので、コネクテッドデバイスの可能性を切り開くものだ。

 筐体に使われるベース素材「テペックス ダイナライト」シリーズは極めて細い1Kの連続カーボンファイバーフィラメントで強化された連続繊維で、高い機械的ストレスを受ける超軽量コンポーネント用に開発されたもの。筐体はCFRPの剛性を最大限に生かしたモノコック構造で、筐体内部のスペースを圧迫する補強材はなく、重さは125g(従来の3分の2)、厚さ6.3㎜(従来の4分の3)で、プラスチックの使用は5%未満だ。高い強度と剛性により薄くかつ日常の使用にも耐える強靭な筐体で、さらにマットブラックのCFはスマートフォンの外観にハイテクな印象を与える。

 また、できる限りリサイクル可能な素材を使用し、筐体に使用した複合材はリサイクルも容易で、新しい用途に再利用できる。すべてのコンポーネントは容易に交換して修理できるため耐用年数は長く、電子廃棄物の発生も防ぐとしている。

ランクセス PA6が新型の自動車用オイルパンに採用

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2021年5月21日

 ランクセスはこのほど、高性能プラスチック「デュレタンBKV35H2.0」(ポリアミド6)が、独IBSフィルトラン社開発の自動車用プラスチック製トランスミッションオイルパンに採用されたと発表した。この最新式オートマチックトランスミッションは、様々な自動車メーカーの車両への導入が進められている。

 ポリアミド(PA)は、トランスミッションオイルパンの軽量化、コスト削減につながる機能統合、デザインの自由度など、従来の鋼板やダイカストアルミニウムと比べて多くの利点をもつ。特にPA66は大型射出成形部品の量産に広く使用される。しかしPA66はここ3年間あまり、主原料のアジポニトリル不足のために時折価格が高騰し、十分な量を確保できない場合もある。

 PA6は性能プロファイルが近く、有望な代替候補。今回PA6が採用された理由は、性能(耐熱性、耐油性、堅牢性、表面品質)と価格だ。ガラス短繊維強化(35重量%)PA6の耐油・耐熱性を、様々なトランスミッションオイルで150℃耐久性テストで評価した。経年変化は同等のPA66と同じで、耐衝撃性と破断伸度は若干優れるため飛び石にも対応できる。表面特性も優れておりガスケットの効果性は高い。収縮も少ないため反りが少なく、溶着性も良好で確実な耐圧性能が得られる。トラック用オイルパンやシリンダーヘッドカバーの量産や開発も増加している。

 ランクセスはオイル循環経路用の製品も拡充し、廃ガラスから製造した再生ガラス繊維を各々30、35、60重量%含有した製品が加わった。これらはリサイクル材料の含有率によるISO準拠の「ecoloop」認証を取った。また、XTSシリーズは長期熱抵抗性(230℃まで可)に優れ、触媒コンバーターの近くに設置されたトランスミッションのオイルパンにも、デフレクタープレート無しで使用できる。

 なお、今回のオイルパン開発には、HiAntエンジニアリングサービスを通じた包括的サポートを行い、飛び石などのトランスミッションオイルパンへの重大な負荷事例のシミュレーションや完成品を使った試験検査などを提供した。

 

ランクセス ポートフォリオ改善し二成長分野に注力

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2021年5月19日

 ランクセスはこのほど、2020年度事業報告と2021年度事業活動に関する記者説明会を開き、張谷廷河社長がグローバルと日本での活動を説明した。

 ランクセスは世界33カ国で事業展開するドイツの特殊化学品メーカーで、昨年度の売上高は前年比10%減の61億ユーロ、EBITDAは同15%減の9億ユーロ。バランスのとれたポートフォリオでコロナ影響は比較的少なかったとしている。

 ポートフォリオ改善のため昨年はカレンタ社と逆浸透膜、クロム化学品、有機皮革用化学品の各事業を売却する一方、今年はIntace社(特殊抗菌剤)、テセオ社(畜産向け消毒・衛生)、エメラルド・カラマ・ケミカル社(消費者商品用特殊化学品)の買収でコンシューマープロテクション部門を強化した。もう1つの成長分野を

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ランクセス 米国エメラルド・カラマ買収で成長戦略加速

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2021年4月12日

 ランクセスはこのほど、米国のコンシューマー向け特殊化学品の世界トップメーカーの1つエメラルド・カラマ・ケミカル社を完全買収することに合意したと発表した。負債類似項目差し引き後の買収額は約10億4000万米ドルで、今年下半期に完了予定だ。昨年のエメラルド・カラマ・ケミカル社の売上高は約4億2500万米ドル、特別項目を除いたEBITDAは約9000万米ドル。ランクセスは、買収完了後3年以内に相乗効果によるEBITDAの上積み約3000万米ドルを見込んでいる。

 エメラルド・カラマ・ケミカル社は米国、オランダ、英国に生産拠点をもち、売上の45%が北米だ。食品保存料、家庭用・コスメティック用製品、香料、家畜飼料向け製品などコンシューマー向け特殊化学品が売上の約75%を占め、残りはプラスチックや接着剤産業向けの工業用特殊化学品だ。

 ランクセスはグローバルビジネスで、コンシューマープロテクション部門の製品や畜産衛生市場での製品を含む抗菌有効成分やバイオサイド製品などを強みとしており、今回の買収でこの分野のポートフォリオ拡大にさらに力を入れる。食品産業や畜産衛生など収益性の高い新たな応用分野を拡大し、さらに成長地域である北米での存在感を高めていく考えだ。

 

ランクセス、アントワープに亜酸化窒素還元プラント開設

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2021年4月6日

 ランクセスはこのほど、ベルギー・アントワープにある製造拠点で亜酸化窒素(N2O)還元プラントを稼働開始しクライメイト・ニュートラル(気候中立)実現のための新たな一歩を踏み出したと発表した。年間約500tのN2Oを分解し、その気候影響は15万tのCO2に相当する。投資額は約1000万ユ―ロ。2023年操業開始予定の第2プラントで、さらにCO2 30万t相当の削減を見込む。

  N2Oは笑気ガスとして知られ、カプロラクタム製造時に副生する。人体に害はないが、環境影響はCO2の約300倍だ。新プラントでは、約1000℃でN2Oを無害な窒素と酸素に分解・中和し、次工程でアンモニアを還元剤として使い、窒素酸化物(NOx)を250~450℃で窒素と水に分解する。これらプロセスを組み合わせて、プラントの熱効率は上がった。特別に開発したセラミックス熱交換器によりN2OとNOxの分解時に発生する熱を熱酸化に使うため、ごく少ない外部エネルギーの供給でプロセスは稼働し続ける。地球規模の温暖化を2度未満に抑えるというパリ協定の目標に全力で取り組む同社にとって、アントワープの新しいN2O還元プラントは「2040年までに気候中立を達成」するための重要なプロジェクトの1つだ。

 ほかにもインドの複数の拠点ではバイオマスと太陽光エネルギーの供給を大幅に増加させ、将来的には石炭やガスの使用を廃止する。ドイツの主要生産拠点での石炭使用エネルギーも段階的に廃止する予定で、一昨年、同社は2025年までに気候保護プロジェクトに最大1億ユーロを投資すると発表した。現行の製造プロセスの多くを見直しており、工業規模での開発を行うために製造プロセスと技術革新に焦点を当てた研究を進めている。これらEU域内排出量取引制度の証明書の削減や、革新的技術によるエネルギー使用量の抑制などの気候保護への取り組みは、同時にコストの削減にも繋がるとしている。

ランクセス 持続可能性に連動した経営陣報酬制度を導入

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2021年3月25日

 ランクセスはこのほど、経営委員会の変動報酬のおよそ3分の1を持続可能性に関する業績に連動させる制度を導入したと発表した。同社は2040年までにクライメイト・ニュートラル(気候中立)を達成するという目標を掲げており、持続可能性に関する取り組みを社内に根付かせる一環として、気候保護と労働安全衛生分野の実績が今年の報酬制度に反映される。

 現在、短期変動報酬の80%は業績、残りの20%は休業災害で評価した労働安全衛生によって決定されている。また、長期変動報酬の約60%はMSCIワールド・ケミカル・インデックスに連動した同社の株価実績に、約40%が温室効果ガス排出量の削減実績に基づいている。

 同社は経営委員会メンバーにも直接、持続可能性に関するテーマを割り当てており、気候保護とエネルギー、労働安全衛生、環境保護、製品と循環型バリューチェーン、従業員と企業文化、および持続可能性の目標達成に関する透明性の高い報告が含まれている。新設されたサステナビリティ委員会を通じて、経営委員会のメンバー全員が主要なサステナビリティ・プロジェクトに関する共同決定を下すことになる。

 同社のマティアス・ツァハトCEOは「当社は企業責任を十分認識するがゆえ、持続可能性を行動指針としている。それは同時に顧客や人材、さらに資本市場での競争優位性も高める。この報酬制度や仕組みにより、企業内の持続可能性は一層強固なものになる」と述べている。

ランクセスの2020年度通期は減収減益も来期増益見込

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2021年3月23日

 ランクセスの2020年度通期(1-12月期)の連結業績は、売上高は前年比10%減の61億ユーロ、特別項目を除いたEBITDAは同15%減の8億6000万ユーロ、純利益はカレンタ社の株式売却により四倍増の9億ユーロだった。パンデミック下においても堅調な業績を達成し、特に第4四半期は好業績となった。収益比率は、グループの安定したポジションが危機にも耐えた結果だ。

 昨年度は逆浸透膜事業とクロム化学品事業、有機皮革用化学品事業の売却など、特殊化学品へ注力する戦略を進め、利益性の高い事業基盤を構築した。2021年度は特にコンシューマープロテクション製品へ注力する予定で、紙、パッケージ向けバイオサイドメーカーINTACE社、消毒・衛生製品のソリューションプロバイダー・テセオ社、エメラルド・カラマ・ケミカル社の買収で、食品産業や畜産衛生などの高収益性分野での成長と拡大を図る。

 セグメント別では、アドバンスト中間体部門は減収減益。新型コロナウイルスのパンデミックによる需要の低迷、販売価格の値下げの影響を受けた。スペシャリティアディティブス部門は減収減益。特に自動車と航空産業の販売量の大幅減少と為替のマイナス、販売価格の若干の値下げが影響した。

 昨年度新設したコンシューマープロテクション部門は増収増益。サルティゴの農薬事業と消毒剤の好調な需要と、ブラジルのバイオサイドメーカーIPEL社の買収によるポートフォリオ強化で、為替のマイナス影響を相殺する以上の結果となった。

 エンジニアリングマテリアルズ部門は減収減益。上半期の自動車業界の需要低迷と、ベルギー拠点の大規模定期メンテナンスによる稼働停止などが影響した。2021年度は顧客産業の多くが回復基調となると見ており、特別項目を除いたEBITDAは9~10億ユーロを見込んでいる。