三菱ケミカルホールディングス 結晶質アルミナ繊維事業、850億円で譲渡

, , , ,

2021年10月1日

 三菱ケミカルホールディングスは30日、連結子会社・三菱ケミカルの結晶質アルミナ繊維事業について、米アポロ・グローバル・マネジメント関連の特別目的会社であるアポロSPCに譲渡すると発表した。来年3月1日に譲渡する予定で、譲渡金額は850億円を見込む。

 新たに設立する新会社に、三菱ケミカルおよび連結子会社三菱ケミカルハイテクニカの結晶質アルミナ事業を吸収分割の方法で承継した後、新会社の全株式をアポロSPCに譲渡する。

 三菱ケミカルは同事業を通じ、アルミニウム源とケイ素源を原料に、結晶質アルミナ繊維「MAFTEC」「MAFTEC OBM」の製造・販売を行っている。

 同製品は耐熱性に優れ、超高温下でも安定した機能性をもつことから、主に自動車の排ガスを浄化する触媒コンバータ向けに走行中の振動や衝撃からセラミック触媒担体を守る把持材(サポート材)として、また製鉄所などの炉内断熱材として世界中で使用されている。

 近年、世界的な排ガス規制の強化や自動車需要の伸長を受け、需要は堅調に推移し、今後も一定の成長が期待される。しかし足元では、内燃機関搭載車の販売を規制する動きも見られ、同事業の持続的な成長のためには、新用途開発や成長分野への投資が不可欠となっていた。

 こうした状況を踏まえ、三菱ケミカルHDは、中期経営計画に基づくポートフォリオ改革を検討する中で、グループがもつ製品群や技術では十分なシナジーをもって同事業の変革・成長を図ることは難しいとの結論に至った。

 先端素材、化学、自動車業界で豊富な支援実績があり、アルミを含む素材業界に関する専門的な知見・経営資源をもつアポロの関連会社の下で事業運営を行い、耐火・耐熱ソリューションの拡充、産業およびEV向け製品を含む新たな用途開発、さらなる競争力強化を図ることが同事業にとって最適であると判断し、今回、同社との間で株式譲渡に合意した。

三菱ケミカル メタクリル酸エステルの国内価格を値上げ

, ,

2021年10月1日

 三菱ケミカルおよび三菱ケミカルメタクリレーツは30日、メタクリル酸エステルの国内価格を10月1日出荷分から値上げすることを決め、取引先との交渉を開始したと発表した。

 対象商品は、メタクリル酸エステルのうち、BMA(メタクリル酸ブチル)、IBMA(メタクリル酸イソブチル)、TBMA(メタクリル酸ターシャリーブチル)、HEMA(メタクリル酸ヒドロキシエチル)で、改定幅はいずれも「25円/kg以上」となっている。

 メタクリル酸エステルで使用されているブチルアルコール、イソブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコール、エチレンオキサイドは、原料ナフサの高騰と固定費などの増加を背景に、4月以降、価格が大幅に上昇しており、ナフサの高止まりを受け、今後もその状況が継続することが見込まれている。

 同社は、コスト上昇分を吸収するためにこれまで自助努力を続けてきたものの、これ以上の負担は極めて困難な状況となり、今後も顧客へ良品質の製品を安定的に供給していくためには、値上げせざるを得ないと判断した。

三菱ケミカル アルミ樹脂複合板、抗菌・抗ウイルス品を発売

, , , , , ,

2021年9月30日

 三菱ケミカルは29日、グループ会社の三菱ケミカルインフラテック(MCIT)が、アルミ樹脂複合板「アルポリック」の内装用不燃材料「ALPOLIC/fr インナーライト」シリーズから抗ウイルス・抗菌グレードを10月に発売すると発表した。なお同製品は抗ウイルス、抗菌の2つで「SIAA(抗菌製品技術協議会)」マークを取得している。

 「アルポリック」シリーズは表面にアルミニウム、芯材に樹脂を使用した三層構造からなるアルミ樹脂複合板。様々な意匠・加工性・耐候性を備えた銘柄を揃え、幅広い用途で使用されている。1970年代の生産・販売開始から現在に至るまで国内トップシェアを誇り、海外では世界130カ国以上への販売実績をもつ。

 「ALPOLIC/fr インナーライト」シリーズの抗ウイルス・抗菌グレードは、「アルポリック」の軽量・高剛性・高平滑性はそのままに、表面塗装に抗ウイルスおよび抗菌加工を施した安心・安全で清潔感のある内装仕上げ材。予め抗ウイルス加工剤・抗菌剤を含有させた塗料を焼き付け塗装しているため、取り付け後は抗ウイルス剤などの塗布が不要となり、工数削減に貢献する。さらに、一般的なエタノールや次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤による拭き掃除に対しても、外観や抗ウイルス・抗菌性能が保持できる高い耐久性を併せもっている。

 同日には、「アルポリック」抗ウイルス加工品について、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果を確認したと発表。日本繊維製品品質技術センターが行った抗ウイルス性試験の結果、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス効果(低減率99%以上)を確認している。

 MCITは今後も、市場や顧客の様々なニーズに対応し、「アルポリック」製品の開発・展開を進めていく考えだ。

三菱ケミカル フィルム製品を値上げ、樹脂価格上昇に対応

,

2021年9月30日

 三菱ケミカルは29日、二軸延伸ポリスチレンシート(OPS)「サントクリア」「ソフトクリア」について、11月1日納入分から値上げする、と発表した。改定幅は「12円/kg以上」。同社は、8月から同製品の値上げを実施しており、今回の再値上げは3カ月ぶり。

 同製品については、原油およびナフサ市況の上昇に伴って、主原料樹脂の価格が上昇し、事業の採算を圧迫している。同社は、継続的なコスト削減に注力してきたが、これらのコスト上昇分を自助努力のみで吸収することは困難であることから、今後の安定供給体制を維持するため、値上げせざるを得ないと判断した。

 

三菱ケミカル バイオエンプラがトヨタ「MIRAI」に採用

, , , , , ,

2021年9月29日

 三菱ケミカルは28日、バイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO(デュラビオ)」が、トヨタ自動車の燃料電池自動車で、昨年12月から販売している新型「MIRAI(ミライ)」のリアヒーターコントロールパネルに採用されたと発表した。「デュラビオ」が「ミライ」に採用されたのは初となる。

「デュラビオ」が採用されたトヨタ「MIRAI」

 「デュラビオ」は、再生可能な植物由来原料イソソルバイドを使用したバイオエンプラ。耐衝撃性・耐候性・耐熱性などの点で一般的なエンプラよりも優れた物性をもつ。また、一般的なエンプラは、自動車のシートに含まれるアミンという物質により劣化(白濁など)することが知られているが、「デュラビオ」は耐アミン性にも優れているという特長もある。これらの特性を生かし、車載ディスプレイ前面板やフロントグリルなど自動車の内外装意匠部品への採用が進んでいる。

パネルに「デュラビオ」が採用

 「ミライ」は水素で発電した電気で走る燃料電池自動車であり、環境課題とエネルギー課題の解決に貢献する〝究極のエコカー〟と呼ばれる環境車。「デュラビオ」は、内装材として求められる耐衝撃性や耐薬品性といった物性に加え、植物由来原料の素材である点が、「ミライ」のコンセプトとも合致し、今回の採用に至った。

 三菱ケミカルでは、植物由来で環境負荷低減にも寄与できる「デュラビオ」の用途展開を通じて、環境にやさしいクルマづくりに貢献していく。

 

NEDOなど 世界初、大規模人工光合成で水素を製造

, , , , , , , , ,

2021年9月22日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)はこのほど、東京大学、富士フイルム、TOTO、三菱ケミカル、信州大学、明治大学とともに100㎡規模の太陽光受光型光触媒水分解パネル反応器と水素・酸素ガス分離モジュールから成る光触媒パネル反応システムを開発し、太陽光による水分解で長期間安全かつ安定的にソーラー水素を分離・回収できることを実証した。世界初の実証事例。

 NEDOは、水の光分解で得たソーラー水素とCO2からC2~C4オレフィンを製造する「二酸化炭素原料化基幹化学品製造プロセス技術開発(人工光合成プロジェクト)」で、①光触媒(水の光分解で水素と酸素を製造)、②分離膜(水素・酸素の混合ガスから水素を分離)、③合成触媒(水素とCO2からC2~C4オレフィンを合成)の研究開発に取り組んでおり、今回の成果は①と②に当たる。

 光触媒パネル反応器は、透明ガラス容器にチタン酸ストロンチウム光触媒シートを格納したもので、光触媒を基板上に塗布するだけで製造できる。紫外光で水を分解し、量子収率はほぼ100%。疑似太陽光の連続照射による耐久性試験では、初期の8割以上の活性を2カ月以上(屋外試験で約1年に相当)維持した。この反応器を連結した3㎡のモジュールをプラスチックチューブで連結し、100㎡規模の反応器とした。屋外環境で水素と酸素が2対1の混合ガスを発生。その太陽光エネルギー変換効率は夏期には0.76%であった。

 ガス分離モジュールで水素濃度約94%の透過ガスと、酸素濃度60%以上の残留ガスに分離。天候・季節によらず、水素の回収率は約73%だった。水素濃度4~95%の混合ガスは着火すると爆発するが、1年以上の屋外試験で一度も自然着火・爆発はなかった。爆発リスクの確認のために、光触媒パネル反応器、ガス捕集用配管、ガス分離モジュールに意図的に着火したが、いずれも破損や性能劣化はなかった。

 今後、可視光にも応答するエネルギー変換効率5~10%の光触媒の開発と、光触媒パネルの低コスト化と一層の大規模化、ガス分離プロセスの分離性能とエネルギー効率の向上のための技術開発を進め、実用化を目指す。

 

 

三菱ケミカル 遮炎機能をもつ熱可塑性複合材料を開発

, ,

2021年9月22日

 三菱ケミカルは21日、子会社である三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズとともに、遮炎機能と、高い生産性やリサイクル性を併せもつ熱可塑性複合材料(FRTP)を開発したと発表した。

 近年、気候変動対策として、CO2排出削減に向けた取り組みが進む中、モビリティの分野では電動化の動きが加速している。EVに代表される電動モビリティのバッテリーシステムは、搭乗者の安全を確保するための高い遮炎性と、省エネのための軽量化が求められている。従来、難燃機能の付与が比較的容易であり、軽量化を実現できる熱硬化性複合材が使用されてきたが、生産サイクルが長いこと、リサイクル性が低いことが課題となっていた。

 今回の開発品は、同社グループがもつ繊維や樹脂、バッテリーシステムに関する技術とノウハウを結集し、熱可塑性樹脂をベースに繊維や樹脂の組成を工夫することで、強度・剛性や軽量性と加工性、リサイクル特性を同時に達成。加えて難燃機能も向上させ、実験では1000℃以上の火炎を5分以上遮炎することを確認している。現在、一部の顧客との間でサンプルワークを進め、バッテリーパックの外装など用途開拓にも取り組んでいる。

 三菱ケミカルは、多様化・高度化する顧客の要望に応える複数の新製品の開発を進めており、今後も引き続き、最適なソリューションをタイムリーに提供することで、積極的に事業を展開していく考えだ。

 

三菱ケミカル リサイクル性に優れた耐熱OPSシートを開発

, ,

2021年9月21日

 三菱ケミカルは17日、サーキュラーエコノミー(循環型経済)やSDGs実現への貢献のための取り組みとして、リサイクル性に優れた耐熱二軸延伸ポリスチレンシート(耐熱OPSシート)を開発し、量産体制を整えたと発表した。

OPS(従来品)

 OPSは軽量ながら強度があり、透明性や成形加工性にも優れるため、弁当容器のフタなど食品包装容器として広く使用されている。

 OPSを成形加工する工程では、シートを打ち抜く際に端材が発生するため、従来から原料としてリサイクルする取り組みが行われてきた。しかし、電子レンジで使用可能な耐熱性の高いOPSは、端材を溶かしても混ぜ合わせにくいため再シート化が難しく、リサイクルに適さないという課題を抱えていた。

 同社は今回、こうした顧客の課題意識を踏まえ、原料メーカーと共同で取り組み、顧客の製造工程内でリサイクル可能な耐熱OPSを開発した。すでに複数の顧客との間でサンプルワークを進めており、一部で採用も決定している。

 同社は、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる中長期経営基本戦略の下、サーキュラーエコノミーの推進を「KAITEKI」実現のキーエレメントと位置づけており、製品などのリサイクルはその重要な取り組みの1つと捉えている。同社は今後も、自社だけでなく顧客サイドの使用時のリサイクルにも配慮した製品設計を進めることで、SDGsの達成や持続可能な社会の実現に貢献していく。

三菱ケミカル 生分解性樹脂CP、海洋生分解認証を取得

, , , , ,

2021年9月16日

 三菱ケミカルは15日、生分解性樹脂コンパウンド「FORZEAS(フォゼアス)」が、海洋生分解認証「OK biodegradable MARINE」の認証を取得したと発表した。

「フォゼアス」が海洋生分解性認証を取得

 欧州の生分解性製品の認証機関であるTÜV AUSTRIA社の海洋生分解認証は、土中に比べて微生物が少ないとされる海洋中での生分解性能を証明する国際認証。取得の条件として、海水中での生分解が可能であることだけでなく、そのコンポストが環境に安全であることが求められる。

 今回、「フォゼアス」の一部グレードで、海水中(30℃)の生分解度が6カ月以内に90%以上であることという条件を満たし、微生物の活性を測定する生態毒性の試験でも基準をクリアした。また当該グレードは、3Dプリンティング用のフィラメントに適した物性をもつため、3Dプリンティングによる自由自在な成形加工と海洋生分解性の組み合わせにより、これまでにない新たな用途展開が期待できる。

 「フォゼアス」は三菱ケミカルが開発した生分解性かつ植物原料ベースの「BioPBS」を使用し、他の生分解性樹脂や添加剤と組み合わせることで、性能や成形性をそれぞれの用途に適するように調整した樹脂コンパウンド。近年、プラスチックによる海洋汚染が世界的な問題となっているが、微生物の力で水とCO2に分解される環境負荷の少ない素材のため、プラスチック廃棄物の削減にも貢献できる。

 同社は、今回の海洋生分解認証取得を契機に、食品包装材や3Dプリンティングを利用した漁具など、「フォゼアス」の新たな用途展開を目指していく。

三菱ケミカル クリンスイのウォーターサーバー、各所に設置

, , , , ,

2021年9月15日

 三菱ケミカルはこのほど、グループ会社である三菱ケミカル・クリンスイが、ニューヨーク発のライフスタイルブランド「ピルグリム サーフ+サプライ」の渋谷店、京都店にクリンスイのウォーターサーバーを設置したと発表した。

クリンスイのウォーターサーバ
クリンスイのウォーターサーバ

 同ブランドとは、これまでも浄水機能付きのタンブラーを限定販売するなどコラボレーションを実施。今回のウォーターサーバーの設置により、来店客にマイボトルの普及を推進し、ペットボトルの消費削減が、海洋プラスチック問題へのアクションに繋がることを目指している。

 三菱ケミカル・クリンスイは、浄水器の製造・販売を通じて、環境に優しく安心して使えるおいしい水を暮らしに届けるとともに、国内の水資源の活用を軸に、人々のよりサステナブルなライフスタイルを推進する様々な取り組みを推進。その一環として、戦略的パートナーシップを締結した「mymizu」との取り組みのみならず、水道水を活用した浄水によるウォーターサーバーを製造し、今年より都内をはじめ各所に設置。安心でおいしい水を届けるだけでなく、使い捨てペットボトルによる環境負荷の削減のサポートを実施している。

クリンスイとピルグリム サーフ+サプライ
クリンスイとピルグリム サーフ+サプライ

 今回、「ピルグリム サーフ+サプライ」がクリンスイの水資源の活用と環境への取り組みに賛同し、ウォーターサーバーを各店舗に設置することとなった。

 クリンスイは、2009年から「water alive 水道水を飲もう!」というスローガンの下、水と環境をテーマにしたイベントなどを通じて、水道水の利用を勧めるメッセージを多くの人に発信してきた。

 世界中で飲まれているペットボトル飲料水は、製造、輸送時に莫大なコストとエネルギーがかかる上に、多量の空きボトルのごみが発生する。このペットボトル飲料水の代わりに、身近な水である水道水を利用することが、大幅なごみやエネルギーの削減、コスト減につながる。

 同社は今後も、この活動への賛同者を増やし、日本各地にウォーターサーバーの設置場所を広げていくことで、使い捨てペットボトルの削減を目指し、循環型経済(サーキュラー・エコノミー)の実現に向けてブランド全体で取り組みを進めていく。