横浜ゴムはこのほど、名古屋大学、理化学研究所、北陸先端科学技術大学院大学、高輝度光科学研究センターとの共同研究によりタイヤ内のゴムとスチールコードの接着老化反応のメカニズムを解明した。
ラジアルタイヤは、スチールコードと
2023年12月7日
2021年8月30日
産業技術総合研究所(産総研)と北陸先端科学技術大学院大学、物質・材料研究機構、HPCシステムズ、仏コンピエーニュ工科大学の共同チームはこのほど、証拠理論を使ったデータ駆動型アプローチによる新材料推薦システムを開発し、ハイエントロピー合金(多元素組成の合金)の実験検証により、新たな単相合金薄膜材料の合成に成功した。
材料研究の短期化とコスト削減は急務だ。データから価値を引き出すデータ駆動型材料開発手法が注目されるが、膨大な数の成分組み合わせ数に比べ、理論計算や実験評価数は少ないことが問題だ。実験条件や計算手法の違いで、一貫性がある解釈の難しい結果を含んだり報告データは成功例に偏るなど、データの限定性や偏向性のため、得られた結果の精度や信頼性の定量的評価が困難で、少ない実験数で効率的に作製条件や組成を決める上での障害となっている。
今回採用した証拠理論は、ベイズ統計を一般化したものでデータの不確かさを評価でき、合金生成が可能な全ての組み合わせの一部または不完全なデータをもとに、組成を推定できる。複数のデータ源から未知の組成が存在する可能性を示す手がかりを集め、その証拠をモデル化・収集・結合して生成可能な新規組成を推薦する手法を開発。
鉄・コバルト・マンガンと第四元素Rを含む新規ハイエントロピー合金について、スパッタリング法でRの組成が少しずつ異なる薄膜を作製し、組成と結晶構造の関係を系統的にデータベースとして取得。その関係性を効率的に検証することで、同手法で推奨された材料候補群から、これまで知られていなかった体心立方構造の鉄・コバルト・マンガン・ニッケル薄膜の合成に初めて成功した。
また、試行回数を既存の機械学習による推薦方法の100分の1以下に低減できた。これにより、関連性が明確ではないデータ群から、材料組成が関係し説明可能で合理性があるデータの関連性を抽出し新たに有効なデータ群を構築することで、新材料の提案と合成を実現した。
2021年3月26日
DICは25日、藍藻類であるスイゼンジノリ由来多糖類のサクランによる事業を展開するグリーンバイオベンチャー企業グリーンサイエンス・マテリアル(GSM社)と資本業務提携を開始したと発表した。
GSM社は、北陸先端科学技術大学院大学の岡島麻衣子氏や金子達雄氏らにより新規に発見された物質「サクラン」の研究成果を活用した同大学発のベンチャー企業。世界で初めてサクランを商用化した。
サクランは、日本固有の淡水藍藻類であるスイゼンジノリから抽出される多糖類であり、高い保湿性や抗炎症効果、バリヤ性などを生かして様々なスキンケア製品へ応用されている。GSM社は、現在、スイゼンジノリの人工的な養殖や培養技術の開発を行い、サクランの量産性を上げてグローバル展開を目指している。加えて、スイゼンジノリが唯一天然で生育・養殖されている黄金川(福岡県朝倉市)の保全活動にも積極的に取り組んでいる。
一方、DICグループは、1970年代にスピルリナ(藻類)の商業生産に世界で初めて成功して以来、安全かつ高品質なスピルリナ粉末やスピルリナ由来食用色素「リナブルー」を、健康食品や食品素材、飼料分野などへグローバルに展開している。DICは、今回の提携により、食用藍藻類のスピルリナ事業で培った大量培養技術や機能成分の抽出技術をGSM社と共有し、同じ藍藻類であるスイゼンジノリの人工培養技術の確立を目指す。さらに、DICグループで欧米地域を統括するサンケミカル(米国ニュージャージー州)と連携し、GSM社とスイゼンジノリやサクランの販売をグローバルに展開するとともに、新規アプリケーションの開発も行う。
DICグループは、藻類培養ビジネスの強化を通じ、今後もヘルスケア分野やパーソナルケア分野で顧客にとって価値のある製品を提供していく考えだ。