NEDOなど 多様な再エネ熱源のヒートポンプシステム

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2022年2月7日

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、鹿島建設とゼネラルヒートポンプ工業が共同で “NEDOなど 多様な再エネ熱源のヒートポンプシステム” の続きを読む

三洋化成ら ナノ粒子利用の農薬送達システム研究が採択

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2020年12月10日

 三洋化成工業と岡山県農林水産総合センター、名古屋大学はこのほど、共同で進める研究課題「ナノ粒子を用いた農薬送達システムによる革新的植物免疫プライミング技術の開発」が生物系特定産業技術研究支援センターのイノベーション創出強化研究推進事業(基礎研究ステージ)に採択されたと発表した。

 病害虫抵抗性誘導剤は植物の免疫力を高めて耐病性を向上させる農薬で、生態系への影響や環境負荷が少なく病害虫が耐性をもつこともない。効果の持続性が高く省力的で利便性が高いが、処理濃度や方法、植物の種類により生育不良などの薬害があり、実用は一部の作物に限られる。適切な用量で植物細胞に作用させた場合、病害虫の攻撃時のみ反応する潜在的な免疫機能を付与するプライミング効果が期待できる。今回、病害虫抵抗性誘導剤を生分解性ナノ粒子に内包し、植物細胞内で適切な用量を徐放する農薬送達システムの基礎研究を進める。

 三洋化成が開発した生分解性材料と界面活性剤からなる葉面散布向けナノ粒子は、農薬を内包し、生分解性材料の分解とともに農薬を放出。界面活性剤の組成設計で放出挙動が制御できる。岡山県農林水産総合センター生物科学研究所による予備検討で、病害虫抵抗誘導剤の徐放が確認できた。今後、代表研究機関である名古屋大学は、世界初の植物の病害防除応答を可視化する免疫シグナルバイオセンサー技術を使い、植物免疫シグナルの評価とナノ粒子による植物免疫プライミング効果の特性解析と研究総括を行う。

 生物科学研究所は、植物の抵抗性誘導の知見やマイクロアレイ解析で集積した遺伝子発現プロファイルのビッグデータを使って、植物免疫プライミングの活性評価や植物免疫プライミング技術を構築する。また三洋化成は、界面制御技術や高分子設計・合成技術により、病害虫抵抗性誘導剤内包の生分解性ナノ粒子の最適な構造設計・合成とその薬剤送達システム特性の解析などを行う。同研究を通して効果的な植物免疫プライミング技術を確立し、農業現場や環境への負荷を軽減した安定な作物生産に貢献していく考えだ。

 

ユニチカと名古屋大学 血液適合性ポリマーの高靭性化に成功

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2020年11月16日

 ユニチカと名古屋大学はこのほど、共同で血液適合性ポリマーPMEA=ポリ(2‐メトキシエチルアクリレート)=に直径約100㎚の球状シリカ微粒子を高濃度で配合して力学的に高靭性化し、3Dプリンターで様々な形状に加工できることに成功したと発表した。

本研究のイメージ図
本研究のイメージ図

 低水溶性の次世代血液適合性ポリマーのPMEAは、ECMO(体外式膜型人工肺)をはじめ血液と接触する医療器具に広く利用されているが、柔らかく粘着質のため(ガラス転移温度はマイナス30℃以下)、成形加工が難しく、コーティング材料としての使用が主だ。

 今回、球状シリカ微粒子を充填して高靭性なPMEA‐シリカ複合エラストマーを得た。シリカ充填量を増すと強度は増加し、破壊エネルギーは15倍に向上。一軸伸長時の応力‐歪み関係は生体軟組織に似た非線形性を示し、繰り返し変形による突発的破壊を起こしにくい。血液適合性を示す血小板粘着試験では、PMEAと遜色なくPETより優れていた。

 現在人工血管に使用されるPETやフッ素系ポリマーは直径5~6mm未満では血栓による閉塞が起こるが、PMEA‐シリカ複合エラストマーで、小径人工血管の実現が期待できる。さらに、光造形(SLA)式3Dプリンターで任意形状に加工することにも成功。高度な加工技術、高価な製造装置を使わず安全で迅速に成形体が得られる。

 今後、より詳しい血液適合性の評価など詳細な検討が必要だが、優れた力学物性と高い加工性により、人工血管など血液適合性が必要な医療器具に有用な材料になることが期待される。

NEDO 無電力熱エネ輸送のループヒートパイプを開発

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2020年11月4日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)と名古屋大学とともに、世界最大6.2kWの熱エネルギーを無電力で輸送できるループヒートパイプを開発した。3者は、エネルギーの供給過程で排出される未利用熱の革新的活用技術に関する研究開発に取り組んでいる。

世界最大6.2kWの熱エネルギーを無電力で輸送できるループヒートパイプ
世界最大6.2kWの熱エネルギーを無電力で輸送できるループヒートパイプ

 近年、工場排熱や自動車エンジンからの排熱など、これまで未利用であった熱エネルギーを有効活用する技術が注目されている。このような熱は、排出されている場所が利用先から離れている場合が多く、有効利用のためには、高温の熱源から利用先まで熱を損失なく運ぶ熱輸送技術が極めて重要になる。

 こうした中、2009年に名古屋大学は、電力を使用することなく半永久的に大量の熱輸送を可能にするループヒートパイプ技術を開発。ループヒートパイプは、多孔体が液を吸い上げる毛管現象を駆動源としており、高温廃熱を動力源として駆動することができるため、電力不要の熱輸送技術として期待されており、近年、スマートフォンなどの電子機器への適用が広がっている。しかし、これまでは熱輸送量が数百W程度と少なく、自動車や工場の排熱利用に適用できるような大量の熱輸送を行うことができなかった。

 そこでNEDOは、TherMATと名古屋大学とともに、未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発事業の一環として、「ループ型ヒートパイプの研究開発」に取り組み、今回、大熱量ループヒートパイプを開発し、電力を使わずに6.2kWという世界最大の熱エネルギーを2.5m輸送することに成功した。

 今後、自動車のエンジンや工場からの排熱利用、電気自動車やデータセンターの機器類の熱マネジメント、大型発熱機器の冷却などへの適用を図り、抜本的な省エネルギー化を目指す。

三井化学 新規3Dマスク、不織布減らし生分解性も付与

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2020年8月26日

 三井化学はこのほど、名古屋大学と同大学発ベンチャーの3者で開発を進めていた、再使用可能な新規3Dマスク「θ(シータ)」が完成したと発表した。 

共同開発による新規3Dマスク「θ(シータ)」
共同開発による新規3Dマスク「θ(シータ)」

 同製品は、再使用する樹脂製の「マスク本体」と使い捨ての「フィルター」からなり、三井化学は、交換フィルター用の不織布を提供する。マスク本体とフィルターの最適化を図ることで、従来のマスク性能を維持しながらも、不織布使用量を10分の1に削減。また、コロナ禍で世界的に増加するマスク需要により使い捨てマスクのごみ問題が顕在化する中、本体部分に生分解性樹脂のPLA(ポリ乳酸)を使用することで、環境にも配慮した。

 マスク本体の設計には、名古屋大学大学院工学研究科の堀克敏教授が3Dプリンタを活用した。立体設計により、皮膚への接触面積が少なく、装着時の蒸れや化粧移りが少ない構造を探索。着脱部位の工夫により簡単に首から下げられる仕組みから、一時的な脱着時の衛生面も確保できるといった特長も備える。

 フィルター装着部分に4色のカラーバリエーション(ホワイト・ミントグリーン・ピンク・アイスブルー)を揃え、ファッション性も配慮した。販売価格は、マスク本体と150日分の不織布フィルター、医療機関などへの寄付金(100円)を含め6,400円(送料・税込み)。

 共同開発者の同大学発ベンチャー・フレンドマイクローブが現在、クラウドファンディング「Makuake」を通じて予約販売を行っている。今月30日まで。同社ウェブサイト(https://friendmicrobe.co.jp/)からアクセスできる。

 同社によれば、「いち早く消費者に製品を届けるために初期段階では3Dプリンタでの生産を行うことにした」とのこと。また、3Dプリンタでは生産数に限りがあるため、販売数を設定でき、かつ、まとめ買いを防ぐためにも初期段階でクラウドファンディングの利用を決めようだ。ファンディングで集めた資金などを元手に量産体制を確立次第、通常のネット販売に切り替えていく。

 一方、三井化学は、今回の取り組みでフィルター用不織布を提供しているが、今後は「本体樹脂などでも提供できる素材について協力範囲を広げていく」考えだ。

性能はそのままに不織布使用量を10分の1に
性能はそのままに不織布使用量を10分の1に

宇部興産 複合プラ高度分離技術開発がNEDO事業に採択

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2020年8月7日

 宇部興産はこのほど、名古屋大学と共同で、NEDOの「廃プラスチックを効率的に化学品原料として活用するためのケミカルリサイクル技術の開発」委託事業の公募に対し、「複合プラスチックの高度分離技術開発」を提案し採択されたと発表した。なお同事業の委託期間は2020年度末まで。

 今回採択された技術は、包装用多層フィルムなどに代表される複合プラ製品を成分別に分離するもの。同技術により複合プラスチック廃棄物から単一のプラスチックを得て再生するマテリアルリサイクル技術の開発を目指す。

 また、採択された技術は、低エネルギーかつ安価なコストで成分を分離できる可能性があり、革新的なリサイクル技術として資源使用量や温室効果ガス(GHG)排出量の削減に高い効果が期待される。

 今回の事業採択を受け、新規分離技術の開発を産学の協働により加速するとともに、社会実装を見据え対象となる廃棄物の調査と処理プロセス適用時のLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)評価を行っていく。

 宇部興産グループは、「UBEグループ環境ビジョン2050」を定め、自然と調和した企業活動の推進に取り組み、2050年までにGHG排出量の80%削減を目指している。また、中期経営計画の基本方針の1つとして「資源・エネルギー・地球環境問題への対応と貢献」を掲げており、さらなるGHG排出量の削減や、環境負荷低減に貢献する新たな技術・製品の創出と拡大に取り組んでいく考えだ。

三井化学 眼球手術訓練シミュレーターがグッドデザイン賞に

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2019年11月6日

 三井化学と名古屋大学はこのほど、ヒトの眼に近い眼球モデルを搭載した眼球手術訓練シミュレーター「Bionic‐EyE」が、2019年度グッドデザイン賞(主催:日本デザイン振興会)を受賞したと発表した。高い技術に加え、医療従事者の技術向上や、将来的な医療用ロボットの性能向上への貢献が高く評価された。

 同シミュレーターは、東京大学と共に行った、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)によるオープンイノベーションで開発。三井化学の材料技術と、名古屋大学未来社会創造機構・新井史人教授と小俣誠二特任助教の精密工学技術に、東京大学眼科教室・相原一教授の医学的知見や、東京大学工学研究科・光石衛教授と原田香奈子准教授の医療ロボット技術を組み合わせた。

 ヒトの眼球の特性を研究し、材料を層状に構成することで、数ミクロンの非常に繊細な組織である白目の感触を忠実に再現。難易度の高い緑内障の手術スキルを画期的に向上させることに貢献している。

 緑内障は失明原因の第1位。患者が増加する中、緑内障手術時の白目の薄切りと縫合という難易度の高い手術には、若手医師の早期育成が喫緊の課題となっている。従来の訓練では、ヒトの眼球より硬いブタの眼球を使用するなど、訓練の有効性や衛生面、動物愛護の観点からも問題があった。