日本製紙 バイオマスマテ&パッケージング展を開催

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2021年7月14日

 日本製紙はこのほど、グループの総合力を挙げたバイオマスマテリアル&パッケージング展「ビオコレ」(御茶ノ水ソラシティ:7月28~30日)を開催すると発表した。

 持続可能資源である木材由来のバイオマスマテリアルは、気候変動やプラスチックごみ問題など、地球規模で影響を及ぼす社会課題の解決に寄与する優れた素材。同社は、循環型社会構築への寄与と事業成長の両立を目指す「総合バイオマス企業」として、セルロースナノファイバーをはじめとするバイオマスマテリアルの開発と市場開拓に積極的に取り組んでいる。既存の事業領域を超えて、新たに育成していく事業の成長を加速させるため、バイオマスマテリアル事業推進本部を今年6月に設立した。

 今回の展示会では、バイオマスマテリアルと、紙化ソリューションの役割を担うパッケージを中心に、同社グループ製品だけでなく特種東海製紙グループをゲストとして招き、幅広く展示する。なお、来場には招待状が必要となる。

日本製紙 浜松市で使用済み紙容器のリサイクルを実施

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2021年5月6日

 日本製紙はこのほど、浜松グリーンウェーブ(静岡県浜松市)とエコライフはままつ(静岡県浜松市)とともに浜松市西部清掃工場のリサイクルステーション「えこはま」に設置する回収ボックスで使用済み食品用紙容器を回収し、製紙原料として再生使用する新たな資源化事業に取り組むと発表した。

 浜松市の後援で、1年間の実証試験事業として、4月より開始。浜松市内の家庭で消費後の紙製アイスクリームカップや紙製ヨーグルトカップ、紙コップを対象に、「洗って」「乾かして」回収ボックスに投入されたものを収集し、同社関東工場(埼玉県草加市)で段ボール原紙に再生する。

 従来、食品容器として使用された紙の多くは、汚れや臭いの問題から一般ごみとして焼却処分されているが、同事業では一般消費者のリサイクル意識の向上と、同社の古紙リサイクル技術により、紙本来のリサイクル性を生かした資源として再利用する。これにより、焼却ごみの量を減らすとともに、木質資源としての炭素固定に貢献する。

 日本製紙グループは、資源循環利用をうたい、持続可能な循環型社会の形成に貢献することを目指している。「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」として、再生可能な資源である「木」を最大限利用する技術と再利用するリサイクル技術を合わせて展開することで、木質資源を基盤とする資源循環を推進していく考えだ。

日本製紙 木質バイオマス高配合の樹脂複合材料を開発

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2021年3月19日

 日本製紙はこのほど、日本製鋼所と共同で木材由来の木質バイオマスを高配合した樹脂複合材料「トレファイドバイオコンポジット」を開発した。プラスチック使用量を5割以上削減でき、温室効果ガス排出量の削減にも寄与する。

トレファイドバイオコンポジット開発品
トレファイドバイオコンポジット:開発品

 木粉やパルプなどの木質バイオマスと樹脂との複合材料には耐熱性や成形性に課題があったが、同社の新規バイオマス固形燃料のトレファクション技術で木質バイオマスに耐熱性、粉砕性、疎水性を付与することで解決した。これは樹脂の融点以上の高温(250~300℃)で木質バイオマスを低温炭化させる技術で、木質バイオマスの耐熱性が上がり、樹脂との混練・成形時に発生する熱分解ガスを抑制する。粉砕性に優れ容易に微粉化するため、複合材の流動性が高く複雑な加工が可能だ。さらに疎水性が上がるため樹脂中での分散性が向上し、複合材の強度が上がる。

 この木質バイオマス材料を、日本製鋼所製の二軸押出機「TEXシリーズ」の混練技術で樹脂に高配合し、耐熱性や成形性に優れた「トレファイドバイオコンポジット」を生み出した。今後は、建材、食品容器・器具、家電製品、園芸など、様々な分野での用途開発により、「トレファイドバイオコンポジット」の商品化を進める。

 

三井化学 環境配慮型紙包装材にヒートシール剤を提供

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2021年2月24日

 三井化学はこのほど、日本製紙、ヨシモト印刷社(静岡県静岡市)と共同で、3社の新素材・技術・設備を活用した新規な紙製の環境配慮型包装材「フレパック ONE」を開発したと発表した。今月24日から東京ビッグサイトで開催される「TOKYO PACK 2021」に出展し、新規包装材として提案していく。

バリアヒートシール塗工紙「フレパック ONE」(製袋協力:株式会社イシダ)
バリアヒートシール塗工紙「フレパック ONE」(製袋協力:株式会社イシダ)

 同包装材は、三井化学がもつ印刷で機能を付与できる紙包材用ヒートシール剤「ケミパール」を、日本製紙が開発したバリア紙「シールドプラス」に、ヨシモト印刷社の最新フレキソ印刷機で塗工したバリアヒートシール塗工紙。フレキソ印刷機一パス加工で包材製造が完結するためリードタイムの大幅な短縮ができるほか、水系フレキソ印刷による環境適合性(水系材料・無溶剤)と高度な印刷品質、「紙」でありながら酵素や香りのバリアを実現した。

 三井化学の「ケミパール」は、ポリオレフィンを同社独自の技術で水に分散した製品。紙に塗工することでヒートシール性・耐油性・耐水性を付与するため紙包材として使用でき、食品用途を含め、幅広い用途に適用可能だ。ポリエチレンラミネート紙と比較して薄膜形成ができるためプラスチックの削減に貢献し、また、再パルプスラリー化が容易なことから、リサイクル包材としても期待されている。

 三井化学は、今回の共同提案を契機に、新たな環境配慮型包装材向けのヒートシール剤として、国内外の包装市場への提案を進めていく。

層構成イメージ
層構成イメージ

日本製紙 「抗ウイルス」性能をもつ印刷用紙を上市

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2020年10月5日

 日本製紙はこのほど、「抗ウイルス」と「抗菌・消臭」性能をもつ変性セルロースを使った印刷用紙、新製品「npi抗ウイルス上質」を上市した。通常の印刷用紙と同様に印刷・加工が可能で、様々な用途に使用できる。

 同社開発の「変性セルロース」は金属イオンを担持させることができ、金属イオンがもつ高い抗ウイルス性能、抗菌・消臭効果を発現する。抗ウイルス性能をJIS「抗ウイルス試験」で評価したところ、白紙では2種のウイルス(エンベロープ有り無し)の2時間後のウイルス感染価(PFU)はいずれも99.9%低減した。印刷部面積率50%の印刷製品による試験結果も同じであった。

 同社グループは「紙でできることは紙で。」を合言葉に、再生可能な資源「木」を原料とし、リサイクル可能な「紙」「パルプ」に新たな機能を付与した多彩な製品を提供し、「紙」「パルプ」の利用シーンの拡大に努める考えだ。

 

日本製紙 抗ウイルス・抗菌・消臭性セルロースを開発

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2020年9月8日

 日本製紙はこのほど、「抗ウイルス」および「抗菌・消臭」性能をもつ変性セルロース(開発品)を開発したと発表した。

変性セルロース単体と金属イオンを担持させた変性セルロース
変性セルロース単体と金属イオンを担持させた変性セルロース

 セルロースナノファイバー(CNF)製造の中間体である変性セルロースを原料とし、表面に金属イオンを担持させることで高い抗ウイルス性能、抗菌・消臭効果が発現した。セルロースであるため不織布、紙などへの加工が容易で、不織布をベースとする衛生材料、フィルターなど日用雑貨・工業用途への採用が期待される。

金属イオン担持変性セルロースを不織布に加工したサンプル
金属イオン担持変性セルロースを不織布に加工したサンプル

 同変性セルロースを配合した不織布による性能試験の結果、2種のウイルスを用いた抗ウイルス性試験では2時間後にウイルス感染価は99.99%以上低減、3種の細菌による抗菌性試験では18時間後に菌数は99.9%以上低減、またアンモニア、酢酸、硫化水素の消臭試験では2時間後に臭気量は90%以上低減した。不織布用途以外では、「抗ウイルス」「抗菌・消臭」性能をもつ紙製品(印刷用紙ほか)の上市を9月上旬に予定している。

 同社グループは「紙でできることは紙で。」を合言葉に、再生可能な資源である「木」を原料とし、リサイクル可能な「紙」「パルプ」に新たな機能を付与した多彩な製品を提供。今後も、新たな機能をもつ製品を開発し、「紙」「パルプ」の利用シーン拡大に努めていく考えだ。

 

日本製紙 ストローレスの学校給食用牛乳パックを発売

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2020年7月14日

 日本製紙はこのほど、ストローレス対応学校給食用紙パック「NP‐PAK‐mini School POP」を開発、9月から発売すると発表した。

 市場ニーズの高いストローレス化に対応した紙製牛乳容器で、開けやすく飲みやすいよう、上部構造に工夫をこらしてある。脱プラスチックの潮流拡大の中、プラスチックストローは海洋プラゴミの象徴の1つ。同社は紙ストローも製造・販売するが、今回、市場ニーズの高い「ストローそのものの不要な紙パック」に視点を変えた。

 給食用ミニカートンは、通常のゲーブル(屋根型)容器と異なり、屋根部の隙間が狭く指を入れにくい。「School POP」(POP:Push、Open、Pull)は、屋根型の下部を押して開き引き出すと容易に開封でき、独自の罫線による注ぎ口の傾斜で液がスムーズに流れて飲みやすい構造。ストロー孔も、子供の成長段階やその他要因にあわせて残してある。また、従来型充填機にも対応する。

 全国の学校給食用紙製牛乳パックは年間約14億個で、樹脂使用料は約700t(ストロー1本0.5g換算)。例えば1000万本の学校給食牛乳用ストローは樹脂約5t、PETボトル約50万本に相当する。

 同社は、「紙でできることは紙で」を合言葉に、再生可能資源である「木」を原料とし、リサイクル可能な「紙」に新たな機能を付与した多彩な製品を提供している。今後も紙の利用シーン拡大に努める考えだ。

三菱ケミカル 生分解性樹脂と紙製バリア素材の包装材を開発

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2020年6月10日

 三菱ケミカルと日本製紙は9日、生分解性樹脂「BioPBS」と紙製バリア素材「シールドプラス」という、共に再生可能な原料から製造される生分解素材を用いた循環型包装材を共同開発したと発表した。

フラットボトム袋、角底袋 (製造協力)共同紙工
フラットボトム袋、角底袋 (製造協力)共同紙工

 「BioPBS」は、三菱ケミカルが開発し基本特許を持つ植物由来の生分解性樹脂で、タイのPTT MCC Biochem(PTT GC社と折半出資)で製造されている。自然界の微生物によって水とCO2に分解されるため、自然環境への負荷が少なく、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を発揮する。

 一方、「シールドプラス」は、日本製紙が長年培ってきた紙の製造技術と塗工技術を応用した再生可能な循環型素材。生分解性を持つ「紙」に酸素・香りのバリア性を付与しており環境に優しい。バリア機能により、主に食品など内容物の品質を維持し、外からのにおい移りを抑えることができる。また、「紙製」なので、フィルムとは異なる紙独特の風合いがあるのも特徴だ。

 近年、プラスチックごみ問題への対策が求められていることを背景に、菓子のパッケージやストローなどで従来のプラスチック製から生分解性のある樹脂や紙製への代替需要が高まっている。

 今回開発した包装材は、再生可能な原料を用いた生分解性のある循環型の製品でありながら、「BioPBS」のヒートシール性と「シールドプラス」のバリア性により内容物の品質劣化を防止する高い機能性を付与。今後は菓子やコーヒー豆などの食品をはじめとしたパッケージ用途に展開していく。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「BioPBS」をはじめとする生分解性樹脂や植物由来樹脂の研究開発・用途展開を加速させ、サーキュラーエコノミー(循環型社会)の構築やSDGsの達成に貢献していく考えだ。