旭化成 LIB用乾式セパレータ、中国で合弁会社を設立

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2021年9月24日

 旭化成は22日、100%子会社のポリポア(米国)が中国で、上海エナジー(SEMCORP)とLIBに使用される乾式セパレータのJV(上海エナジー51%、ポリポア49%)を設立し事業を開始すると発表した。両社は今年1月にJV設立に合意しており、今回、各国当局の許可が得られた。

 このJVはポリポア子会社であるセルガードからライセンス供与される乾式ポリプロピレン(PP)製セパレータに関する技術と知的財産権に基づき、エネルギー貯蔵システム(ESS)やEV向けLIBに使用される高品質・高性能な乾式セパレータを中国で製造・販売する。

 中国は、EVなどの車載用途を中心に急成長している世界最大のLIB市場。今後、中国政府の脱炭素政策を背景に、再エネとESSの組み合わせが普及し、ESS用LIBに使用される乾式セパレータの需要拡大が見込まれている。旭化成はこの市場・用途を開拓・参入するために、JV設立を決定した。セルガードの最先端の乾式セパレータ生産プロセス技術・品質管理能力・知的財産権と、上海エナジーの中国トップレベルの生産工程管理能力・コスト管理能力とを組み合わせることで、主に中国のESS用LIB市場を開拓する。

 セルガードは、LIB用乾式セパレータを発明。40年以上にわたり市場をリードしてきた研究・開発・製造のノウハウをもつ。その薄膜乾式セパレータの製造ノウハウは、高性能LIBの特長であるエネルギーの高密度化を可能にし、高性能LIBの製造に欠かせない安定した品質の最先端のセパレータを顧客に供給してきた。さらに、同社はESSだけでなく車載・民生の幅広い用途に使用される塗工および無塗工LIBセパレータの広範囲な特許網を構築している。

 一方、上海エナジーは、中国における湿式LIBセパレータのトップメーカーであり、10年以上にわたり製造・販売してきた実績を誇る。中国内に製造六拠点を展開し、年産35億㎡の生産能力と、各種のベースフィルム、塗工セパレータなど計百種類以上の製品をもつ。同社の優位性として、安定した品質、高い歩留まり、高い生産効率、卓越したコスト管理能力や大手優良顧客への製品供給実績などが挙げられる。

 JVでは、急増するLIBセパレータ需要に応えるため、PP単層並びに共押出型PP多層品に関する技術ライセンスを通じてセルガード固有の先端的な乾式セパレータ技術・製造ノウハウ・設備を導入し、先進的なソリューションを市場に投入していく。来年に年産1億㎡の能力で生産を開始し、需要の伸びに合わせて2028年頃には同10億㎡まで拡大する計画だ。

 

旭化成 手洗い石けん5万1000個を日本ユニセフに寄付

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2021年9月21日

「ユニセフ支援ギフト」の一つ、手洗い石けん

 旭化成は17日、日本ユニセフ協会が行う「ユニセフ支援ギフト」を通じて、世界中の子どもたちに「手洗い石けん」5万1000個を届けると発表した。

 同社グループは、サステナビリティを経営の重点テーマと位置づけ、様々な取り組みを推進している。今春には、サステナビリティに対する意識の向上とコロナ禍でのグループ内のコネクト(つながり)強化を図るため「サステナビリティ・フォトコンテスト」を実施。同社グループの従業員(グローバルで約4万5000人)を対象にしており、サステナブルな未来に向けて、子どもたちの写真や親子の写真などが数多く寄せられた。

 こうした中、同社は、同コンテストの応募者数や応募者から寄せられた意見に基づき、子どもたちへの寄付を決定。将来世代を担う、世界の子どものいのちと健康を守るユニセフ(UNICEF、国際連合児童基金)の活動に賛同し、「ユニセフ支援ギフト」の中から、新型コロナウイルス感染症などの拡大予防に貢献できる手洗い石けんを選択した。石けんは、ユニセフを通じて世界の子どもたちに届けられる。

サステナビリティ・フォトコンテスト

 同社グループは今後も持続可能な社会の実現に向け、世界の人びとの〝いのち〟と〝くらし〟に貢献していく。

旭化成 延岡の半導体製造工場の火災、事故調査を報告

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2021年9月15日

 旭化成は14日、昨年10月20日に発生した旭化成エレクトロニクスの半導体製造工場(宮崎県延岡市)の火災について、原因究明と再発防止策の検討を進めてきた結果、火災事故の発生に至る原因などを推定し再発防止策をまとめたと発表した。

 事故原因については、建屋内の損傷が激しく直接確認ができないため不明としたが、4階クリーンルーム内にある、半導体ウエハ製造設備であるチタン除去装置「SF6-3」が火災発生点と推定。その理由として、目撃証言や温度データ分析、「SF6-3」による異常信号の発報などを挙げた。

 出火原因については、電気的要因によるものと推定。類似装置を用いた検証により「SF6-3」内のケーブル端子部の接触不良または半断線による発火が考えられる。法令や社内規定の遵守状況については、問題がないことを確認した。

 火災の検知については、火災報知機を設置していたが、先に従業員が異臭を検知した後、煙感知器が発報。クリーンルームの気流循環構造により煙粒子が滞留しにくく、減光率が検知の基準に達するまで時間を要したものと推定される。消火活動については、すでに火勢が強くなっており、従業員の安全を考慮し避難を優先させた結果、初期消火活動が困難だった。

 同社グループは今回の火災事故を重く受け止め、保安事故の未然防止・被害拡大防止、安全文化醸成のため、グループ一丸となって取り組んでいく。なお、現在旭化成エレクトロニクスでは、被災工場で製造していた製品の、製造委託先での代替生産を順調に進めている。一部製品の供給は再開しており、続く製品の供給準備も計画通り進んでいる。

旭化成 米ゾール・メディカルがイスラエル医療機器メーカーを買収

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2021年9月14日

 旭化成は13日、米国子会社ゾール・メディカル(マサチューセッツ州)が、イスラエルの医療機器メーカー・イタマー(Itamar)社の全発行済み普通株式を総額約5億3800万米ドル(約592億円)で取得する最終合意書を締結したと発表した。今年末までの買収完了を予定する。

 イタマー社は1997年に設立の、心臓病患者への医療に睡眠時無呼吸症の診断を加えることにフォーカスした、医療機器とデジタルヘルスのリーディングカンパニー。従業員数は約280人。患者と医療従事者のための革新的な睡眠時無呼吸症診断プログラムを開発しており、同製品はFDA(米国食品医薬品局)の認可を受け、自宅でできる安全で効果的な睡眠時無呼吸症の検査方法として使用されている。

 一方、ゾール社は、医療機関向け除細動器や自動体外式除細動器(AED)、着用型自動除細動器「LifeVest」などの心肺蘇生を中心とした既存事業に加え、心不全や呼吸機能障害といった心肺蘇生の周辺領域を取り込むことにより、クリティカルケア事業のさらなる拡大を目指している。

 同社のジョナサン・レナートCEOは、「現在、心血管疾患患者の60%が何らかの睡眠時無呼吸症を患っており、その患者の大部分が診断されていない状態と推定されている。イタマー社が加わることで、より多くの患者に睡眠呼吸障害の診断と治療を提供できるようになる」と、今回の買収に期待を寄せる。

 ゾール社は、今年4月には中枢性睡眠時無呼吸症に対する植え込み型神経刺激デバイスの製造・販売を行う、米国の医療機器メーカー・レスピカルディア(Respicardia)社を買収。新たな事業を加えることで、睡眠時無呼吸症領域での在宅検査・診断ソリューションを獲得し、心臓病患者へのサービスを強化したい考えだ。

 今回の買収は、イタマー社の株主による承認、規制当局による承認、その他の通常の取引完了条件を前提に、年末までの完了を見込む。また、買収完了後も、イタマー社の主要事業は、研究開発センターやデジタルヘルス技術センター、生産センターを含め、イスラエル・カイザリアにある現在の拠点で継続される予定となっている。

 

 

旭化成 キャンペーンモデルの起用、来年3月で終了

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2021年9月10日

 旭化成はこのほど、「旭化成グループキャンペーンモデル」の起用について、2021年度(2022年3月末)をもって終了すると発表した。

 同社は、1976年から毎年キャンペーンモデルを選出。繊維素材の水着発表会をはじめ、社会貢献活動・社内イベントへの参加など、46年の長きにわたり活動を展開してきた。一方、同社は、社会・環境の変化に対応しながら事業を積極的に多角化するとともに、事業ポートフォリオの転換を図り成長してきている。こうした状況を踏まえ、コミュニケーション活動についても再検討をした結果、キャンペーンモデルの活動を今年度で終了することを決定した。

 同社グループは今後も、多様な事業や活動を通じたコミュニケーションやPR活動を積極的に展開していく。

旭化成 電解プロセス向けデータドリブン型サービス開始

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2021年9月9日

 旭化成は8日、昨年2月に買収したR2社(カナダ)とともに開発検討を進めていたイオン交換膜法食塩電解プロセス向けデータドリブン型新サービスについて、市場での実証を開始したと発表した。

目指す電解 (クロルアルカリ)ビジネスの姿
目指す電解 (クロルアルカリ)ビジネスの姿

 旭化成のイオン交換膜法食塩電解プロセスは販売開始以来、45年以上にわたる実績と優れた性能により、顧客から高い信頼を獲得。現在、世界トップクラスのサプライヤーとして全世界30カ国、150工場以上で採用され、その累積受注量は3000万t(100%カセイソーダベース)を超える。

 同電解プロセスは、イオン交換膜を使用して食塩水を電気分解し、塩素、水素とカセイソーダを生産するシステム。水銀やアスベストなどを使用するプロセスに比べ環境にやさしく、省エネである点が高く評価されている。旭化成の高い技術力を生かした低電圧膜と電解槽の組み合わせは、電解プロセスの電力消費量を削減し、環境負荷の低減に貢献している。

 同社は、イオン交換膜と電解槽、電極、運転技術を含むすべての食塩電解プロセス技術を供給している世界で唯一のメーカーとして、これまでも顧客に対してトータルソリューションを提案してきた。一方、R2社は、高精度な食塩電解用モニタリング装置と安全・安定運転に特化したシステムの開発・製造会社であり、電解用モニタリング業界のリーディングカンパニー。旭化成はR2社の買収以降、さらなるソリューションの高度化検討を進め、同社プロセスを使用する顧客のみならず、クロルアルカリ業界全体にそのソリューションを提供することを目指している。

 旭化成は世界各地に販売した電解槽の運転支援経験に基づいた優れた技術サポート力をもち、コロナ禍にあっても、スマートデバイスを活用した遠隔でのプラント立ち上げ運転支援に取り組んでいる。

 今後は、R2社のモニタリングシステム「EMOS」および旭化成の製品開発技術力、技術サポート力を融合し、「スマート化」「安全・安定化」「サステナビリティ」をキーワードに、予兆保全・最適運転提案など、両社で新たなデータドリブン型のサービスを開発するとともに、イオン交換膜法を使用する全ての顧客のDX化をサポートする。

 新しいサービスの開発では、今年4月に膜・システム事業部交換膜事業グループ内に立ち上げたカスタマーサクセス室とR2社が連携し、すでに複数の顧客の工場で新サービスに関する実証実験を開始している。なお、両社は、顧客の同意が得られたデータのみを共有していく。

 旭化成は今後、新サービスの開発を通じて、ソリューション型へのビジネスモデル転換を図り、将来的にはサービスのプラットフォームを水素ビジネス分野へ展開することも検討する。   

旭化成 アルミペーストを値上げ、 主原料価格上昇など是正

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2021年9月6日

 旭化成は3日、「旭化成アルミペースト」全品種を10月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、特定グレードが「39円/kg(主原料価格上昇分)+500円/kg(安定供給維持費分)」、特定グレード以外が「39円/kg(主原料価格上昇分)+100円/kg(安定供給維持費分)」。

 アルミニウムペースト主原料のアルミ地金とアルミ粉価格の上昇に加え、環境対策や安全対策、設備維持などの費用増加により、コスト負担が同社の自助努力の限界を超えていることから、価格改定せざるを得ないと判断した。

 

旭化成 変性PPE樹脂を再値上げ、コスト高に対応

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2021年9月6日

 旭化成は3日、機能樹脂の変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂「ザイロン」全品種を9月13日出荷分から値上げすると発表した。同製品については、1月に続く今年2回目の値上げ。改定幅は、国内が「40円/kg」、海外が「400USドル/t」。

 昨年来の変性PPE樹脂の需要拡大や原材料の需給タイト化による原料価格の高騰に加え、事業継続に必要な物流コストが急激に上昇している。同社は可能なかぎりのコスト削減努力を継続しているが、自助努力により吸収できる範囲を超えていることから、事業継続のために価格改定が不可避と判断した。

旭化成 水添スチレン系熱可塑性エラストマーを値上げ

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2021年9月2日

 旭化成は1日、水添スチレン系熱可塑性エラストマー「タフテック」と「S.O.E.」 について、9月6日出荷分から「46円/kg以上」値上げすると発表した。

 ナフサやブタジエン、スチレンモノマーなどの市況上昇に加え、物流費なども上昇しており、対象製品の製造コストは同社の自助努力の範囲を超えて大幅に増加している。こうした状況の下、同製品の安定供給維持のためには価格改定を実施せざるを得ないと判断した。

 

旭化成 延岡地区の水力発電所、大規模改修工事を実施

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2021年9月1日

 旭化成は31日、宮崎県西臼杵郡高千穂町に保有する水ヶ崎発電所(1950年竣工、1万8000kW)の大規模改修工事を実施すると発表した。同発電所の大規模改修では、水車・発電機を高効率化することで、年間約1万tのCO2排出量削減を実現し、さらなる環境負荷の低減を目指す。工事は来年10月から開始し、2025年4月の稼働を予定している。

大規模改修を行う水ヶ崎水力発電所

 同社は、自然環境に配慮し、地域社会との共生・調和を図っている。創業以来、五ヶ瀬川水系の水力発電所からの電力を活用して事業活動を展開しており、現在は水力発電所を9カ所(最大出力合計5万6380kW)所有し、延岡地区の工場群などに電力を供給している。それぞれの設備は竣工後90年以上を経過しているものもあり、計画的に補修工事を行うことで水力発電所を維持・保全し、安全操業を続けてきた。

 2018年11月の五ヶ瀬川発電所(1925年竣工、1万3500kW)の大規模改修の決定を皮切りに、順次既設水力発電所の改修を計画。2019年8月には馬見原発電所(1926年竣工、5000kW)の大規模改修を決定し、順次工事を進めている。

 こうした中、サステナビリティを重視する経営の一環として、水力発電所の設備信頼性を一層強化し、今後も長期にわたって安定したクリーンなエネルギーの供給を継続するために、水ヶ崎発電所の大規模改修を決定した。

 同社は、延岡地区(日向を含む)に、水力発電所(9カ所)と火力発電所(4カ所)をもち、同地区で使用する電力の90%程度を自給している。これまでも水力発電所の更新以外に、クリーンエネルギーの使用比率を高めるため、2012年からはバイオマス発電を開始し、昨年9月からは第3石炭火力発電所(1971年竣工、3万4000kW)を天然ガス火力発電所に転換する更新工事に着手しており、今後もエネルギーのクリーン化を順次検討していく。

 同社は、自然環境に配慮した事業活動を行い、「クリーンな環境エネルギー社会」の実現に向け、よりよい社会づくりに積極的に貢献していく考えだ。