東レ 高熱伝導CFRP創出、金属と同等の放熱性

, ,

2021年5月21日

ヒートマネジメント設計が可能、適用拡大を図る

 東レは19日、炭素繊維複合材料(CFRP)の放熱性を金属同等まで高める高熱伝導化技術を創出したと発表した。同技術をCFRPに用いた場合、熱源からCFRP内部の熱伝導経路を通って効果的に放熱することができ、モビリティ用途におけるバッテリーの劣化抑制、電子機器用途のパフォーマンス向上などに貢献できる。同社はすでに同技術の提案を開始。顧客ニーズに合わせてカスタマイズを行っており、数年内に製品化を目指していく考えだ。

高熱伝導化技術を適用したCFRP構造
高熱伝導化技術を適用したCFRP構造

 CFRPは軽量で高強度、高剛性の特長をもち、航空機、自動車、インフラ部材、スポーツ用品、電子機器などに広く使用されている。自動運転や電動化など、CASEに代表される次世代モビリティ用途では、充電時の発熱によるバッテリーの劣化を防ぐため、構造材料であるCFRPの放熱性向上が求められている。CFRPの熱伝導性はアルミ合金などの金属に比べ劣っているため、金属よりも熱伝導性に優れたグラファイトシート(GS)を表面や内部に配置することで放熱性を改善するアプローチが取られている。しかし、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

東レ PPS樹脂を値上げ、原燃料などコスト上昇に対応

,

2021年5月21日

 東レは20日、PPS樹脂「トレリナ」を6月1日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は、コンパウンドグレードが「50円/kg」、ベースポリマーが「80円/kg」。

 昨年秋からの自動車用途を中心とした急速な需要回復を受け、PPS樹脂の原燃料価格は上昇を継続。加えて、物流費や添加剤などの副原料価格も上昇している。同社は、あらゆる角度からコスト削減と合理化に努めてきたが、自助努力のみでのコスト上昇の吸収は限界に達しており、安定した品質での製品供給や高付加価値品の開発・提案を行う体制を維持・推進するために、今回の値上げを決定した。

東レの3月期 繊維・炭素繊維複合材が振るわず減収減益

,

2021年5月14日

 東レが13日に発表した2021年3月期の連結決算(IFRS)は、売上収益は前年比10%減の1兆8836億円、事業利益28%減の903億円、純利益46%減の458億円だった。国内外ともにコロナ禍による生産活動・消費行動停滞の影響を受けた繊維や、炭素繊維複合材料が振るわず減収減益となった。

 セグメント別に見ると、繊維事業は減収減益。衣料用途は各国でのロックダウンや過剰な流通在庫から需要が低迷し、産業用途は一般資材用途が低調で販売数量が減少した。医療用白衣地やマスク用途での不織布需要の増加に加え、3Q(10-12月期)以降に自動車関連用途で回復の動きが見られたが、総量の減少をカバーできなかった。

 機能化成品事業は減収増益。樹脂事業は、コロナ禍による生産活動停滞の影響を受けたが、3Q以降、自動車メーカーの稼働や中国経済の回復を受け、需要が好調に推移。ケミカル事業は、基礎原料の市況が回復傾向となった。フィルム事業は、LIB向けバッテリーセパレータフィルムが市況価格低下の影響を受けたが、ポリエステルフィルムでは光学用途や電子部品関連が好調に推移、電子情報材料事業は、有機EL関連の需要が増加した。

 炭素繊維複合材料事業は減収・事業損失。一般産業用途では、風力発電翼用途が堅調に推移したものの、航空宇宙用途では民間旅客機のビルドレートの減少が響いた。環境・エンジニアリング事業は増収増益。水処理事業は、逆浸透膜などの需要はおおむね堅調に推移し、環境・アメニティー事業では、エアフィルターの需要が好調だった。

 ライフサイエンス事業は減収増益。医薬事業は、経口そう痒症改善薬「レミッチ」が後発医薬品発売の影響を受けたほか、昨年4月の大幅な薬価改定の影響を受けた。医療機器事業は、新型コロナ感染拡大に伴い、医療機関での不急の手術先送りの影響がある中、ダイアライザー(透析器)は国内外で堅調だった。

 なお、2022年3月期の連結業績は、売上収益13%増の2兆1200億円、事業利益33%増の1200億円、純利益75%増の800億円を見込む。

 

東レ 界面自由エネルギー予測技術を開発、技術進歩賞に

, ,

2021年4月21日

 東レはこのほど、「分子シミュレーションを用いたフッ素ポリマーの界面自由エネルギー予測技術の開発」で、日本化学会から「第26回技術進歩賞」を受賞した。同社の受賞は6年ぶり6度目となる。

日本化学会の技術進歩賞を受賞
日本化学会の技術進捗賞を受賞

 今回の受賞は、スーパーコンピュータを活用した大規模な分子シミュレーションにより、フッ素ポリマーの接触角と液体の界面自由エネルギーを定量的に予測することに世界で初めて成功し、分子レベルでの表面構造設計技術を開発したことで開発期間の短縮が期待される点が評価された。

 界面自由エネルギーは、吸着・接着・毛管現象など多様な現象を支配することで知られている。中でも吸着は分離膜の分離性能を決定する主要因であり、水処理膜のファウリング(汚れ成分の膜表面への吸着が引き起こす目詰まり)や気体分離膜の分離性能を左右するガス分子の膜への吸着など、分離の基礎科学を理解する上で重要な熱力学量。

受賞対象となった液滴シミュレーション
受賞対象となった液滴シミュレーション

 界面自由エネルギーの評価には一般的に接触角測定が利用され、簡便な測定手法ながら表面の官能基や形状を高精度で測定できる。しかし、マクロな接触角とミクロな分子レベルでの表面構造との相関の明確化が容易ではないため、分離膜設計のコンセプト実証は試行錯誤的に進めざるを得ず、開発期間が長期化する一因となっていた。

 東レは、NEOD(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が進める「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」の、先端素材高速開発技術研究組合に参画。名古屋大学との共同研究を通じて、長年培ってきた独自の分子シミュレーション技術を深化させ、モデル材料として水処理膜製造に用いられるフッ素ポリマーを選択し、大規模分子シミュレーションによる界面自由エネルギーの定量的予測を実現した。

 同技術は、分離膜だけでなく界面接着強度の制御などにも応用可能であり、汎用的な高分子表面の設計技術となり得るため、将来にわたり高分子素材産業の発展に大きく貢献していくことが期待される。同社は今後、シミュレーションやインフォマティクスを活用したデジタル材料設計の発展を進めていく。

東レなど P2Gシステムの実用化、基本合意書を締結

, , , , ,

2021年4月19日

 東レ、東京電力ホールディングス、山梨県の3者はこのほど、甲府市米倉山(こめくらやま)の電力貯蔵技術研究サイトで技術開発を進めてきたP2G(パワー to ガス)システムの成果を発展させ、さらにカーボンニュートラル(CN)の実現を目指した新たな事業への挑戦に向け、共同事業体の設立を検討していくことについて合意した。

 2016年度から、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、3者が共同で技術開発を行ってきたP2Gシステムは、大型の水電解装置や水素出荷設備などの施設全体がおおむね完成。今年6月から、山梨県内の工場やスーパーマーケットで水素を利用する実証試験を全国に先駆けて開始する。

 こうした中、P2Gシステムの技術をさらに発展させ、山梨県内外での水素供給事業を可能にするとともに、国が創出する新たな基金事業へも積極的に取り組んでいくため、今回の合意に基づき、共同事業体「やまなし・ハイドロジェン・カンパニー(YHC)」(仮称)の設立に向けた検討を進める。

 山梨県は、2050年までに温暖化ガスを実質ゼロにする脱炭素社会の実現に向け、P2Gシステムの実用化を加速し県内外への普及を図る。そして、さらなる高効率化・大容量化に向けた技術開発を進め、エネルギー需要家の化石燃料の利用をグリーン水素に大きく転換させ、新たな水素エネルギー産業の創出を目指す。

 東京電力HDは、非化石エネルギーの推進を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、産業部門の電化や水素の技術開発により、脱炭素社会の実現に貢献していく。

 東レは、「サステナビリティ・ビジョン」の中で、2050年に温室効果ガスの排出と吸収のバランスのとれた世界などを目指すことを掲げ、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決を通じて社会に貢献することを目指している。電解質膜、電極基材などの水電解・水素圧縮や燃料電池向け材料の開発、製造および販売を通じて、CNを可能とする水素製造(水電解)や水素インフラ(圧縮・貯蔵)、水素利用(燃料電池)技術の発展に貢献していく。

東レ オールカーボン二層構造のCO2分離膜創出

, , ,

2021年4月16日

分離性能と高耐久性を両立、ガス分離用途に応用

 東レは15日、中空糸状の多孔質炭素繊維を支持体とし、その表面に薄い炭素膜の分離機能層を形成したオールカーボンの二層構造をもつ革新CO2分離膜を創出したと発表した。同分離膜は、優れたCO2の分離性能と高耐久性を兼ね備え、従来の無機系分離膜と比較して設備の小型化が可能。同社は今後、同分離膜の社会実装に向けた研究・技術開発を加速していく考えだ。

革新CO2分離膜の構造
革新CO2分離膜の構造

 炭素循環社会の実現には、発電などの排ガスからCO2を分離回収し、水素と組み合わせてメタンを生成し化学品や燃料に再利用する、といったカーボンリサイクルが求められる。CO2分離技術が不可欠となるが、一般的な吸収法や吸着法はエネルギー消費量が大きく、省エネルギー化の課題があった。

 こうした中、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

東レ 高耐熱かつ高品位なOPPフィルムを創出

, ,

2021年3月18日

加工温度120℃に対応、光学分野で拡販を図る

 東レは、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムとして世界最高レベルの耐熱性と品位を実現した〝新タイプ「トレファン」〟を創出した。開発品は打痕、汚染リスクを極小化する高い品位を有し、120℃の高温環境でも使用することが可能。すでにサンプル提供を開始し、顧客評価を進めており、今年度中の上市を計画している。今後、光学材料や電子部品工程向けなど幅広い用途展開を図ることで、年間売上高10億円を目指していく考えだ。

新タイプ「トレファン」
新タイプ「トレファン」

 OPPフィルムは、離型性、低アウトガス(フィルム中から放出されるガス成分)性、紫外線透過性、低吸湿性といった様々な特性に優れ、包装用途に広く使われる。

 東レは、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

東レ 極薄グラフェン分散液を創出、粘度を制御

,

2021年3月10日

高流動・高導電性を両立、LIB長寿命化に貢献

 東レは、高濃度でありながら流動性に優れた極薄グラフェン分散液を創出した。開発品は、グラフェンがもつ高い導電性などの優れた特長を発揮しやすいことから、電池材料や配線材料、塗料など各種用途への展開が期待できる。同社は早期の実用化を目指し、研究・技術開発を推進していく考えだ。

分散液を使用しないと粘土状に
分散液を使用しないと粘土状に

 グラフェンは、炭素からなるナノサイズの極薄シート状の二次元材料。均一に配列しやすい性質があり、優れた導電性・熱伝導性・バリア性を備える次世代機能性材料。グラフェンを塗布したり、他材料と混合したりすることで新たな機能を付与することができる。

 東レは、安価な黒鉛原料から化学剝離法による3㎚以下の極薄グラフェン製造技術を開発。物理剝離法(20~50㎚)や、他社の化学剝離法(10~20㎚)と比べ極薄であることから、塗布した時の被覆性や他材料との混合性にも優れる。しかし、薄いほど凝集しやすく、高濃度にすると粘土状となり流動性が悪化してしまう。そのため、塗布や混合には希釈して低濃度溶液で使用する必要があり、グラフェン本来の特長を発揮しにくいといった課題があった。

極薄グラフェン分散液を使用し高流動性を発現
極薄グラフェン分散液を使用し高流動性を発現

 こうした中、東レは、グラフェン同士の相互作用による凝集を抑えるため、独自の高分子材料を添加してグラフェンの粘度を自在に制御する分散技術を開発し、高濃度の極薄グラフェン分散液の流動性を高めることに成功。開発品は高濃度でも流動性が良好であることから取り扱い性に優れ、希釈することなく塗布できるので高い導電性といった特長を発揮しやすい。また、分散性が高く攪拌しやすいことから他材料と混合も容易だ。

 例えば開発品をLIB用導電材料に使うと、正極材料と混合しやすく、正極の間にグラフェンが入り込み、導電性が向上する。これにより電池を繰り返し充放電する際に、導電経路の劣化による電池容量低下が抑制され、電池の寿命が長くなる。従来、EV向け高性能電池の導電助剤にはカーボンナノチューブ(CNT)が使用されているが、開発品に置き換えることで、CNTより電池寿命が1.5倍向上することを同社の電池評価で確認。コストについても、量産化によりCNTと競合できるレベルになると見られる。

 さらに、開発品は塗布し乾燥する際、グラフェンが積層することで緻密膜を形成。この緻密膜は金属のように錆びないことから、耐久性に優れた導電配線材料として、プリンタブルエレクトロニクス用配線への応用が期待できる。また、防錆塗料に混合すれば水や酸素の透過を遮断し耐久性を向上できるなど、幅広い用途への展開が可能だ。

 同社はすでに極薄グラフェンと分散液のサンプル提供を開始しており、顧客から高い評価を得ている。今後は製品のブラッシュアップとともに量産化体制を早期に整え、2030年度には売上高で100億円超を目指していく方針だ。

 

 

東レの4-12月期 減収減益も通期予想は上方修正

,

2021年2月10日

 東レは9日、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比14%減の1兆3642億円、事業利益36%減の670億円、営業利益64%減の362億円、純利益63%減の279億円となった。新型コロナの感染拡大による生産活動・消費行動の停滞に加え、国際的なサプライチェーン分断による経済混乱で、大幅に落ち込んだ。また米国子会社の減損損失を計上した。

 事業分野ごとに見ると、繊維事業は減収減益。国内外の生産活動・消費行動停滞の影響で、衣料用途は各国のロックダウンや過剰な流通在庫で需要が低迷し、産業用は一般資材用途が低調に推移した。医療用白衣地やマスク用の不織布需要の増加と自動車関連の回復の動きが見られたが、総量の減少はカバーできなかった。

 機能化成品事業は減収増益。樹脂事業は生産活動停滞の影響を受けたが、第3四半期には自動車と中国経済の回復で好調に推移。ケミカル事業は基礎原料市況が回復傾向だ。フィルム事業はLIB用セパレータフィルムが市況価格低下の影響を受けたが、ポリエステルフィルムは光学用途や電子部品関連で好調に推移。電子情報材料事業は回路材料は低調だったが、第3四半期は有機EL関連の需要が増えた。

 炭素繊維複合材料事業は減収減損。一般産業用では風力発電翼用途が堅調だったが、航空宇宙用途は民間旅客機のビルドレートの減少が影響した。

 環境・エンジニアリング事業は減収増益。水処理事業は一部地域への出荷に新型コロナの影響があったが、逆浸透膜などの需要はおおむね堅調。国内エンジニアリング子会社でエレクトロニクス関連装置は減少したが、建設子会社の大型工事案件進捗や不動産物件の完工で収益計上した。

 ライフサイエンス事業は減収増益。医薬事業は経口そう痒症改善薬が後発医薬品発売と薬価改定の影響を受けた。医療機器事業は医療機関での不急手術先送りの影響がある中、ダイアライザーは国内外で堅調だった。

 なお、通期業績予想は、業績動向と事業環境などを踏まえ、売上収益を前回発表比100億円増の1兆8700億円、事業利益を同100億円増の900億円、純利益を同50億円増の390億円に上方修正した。