東レ 長期ビジョンと新中計を策定、持続的成長を目指す

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2020年5月29日

 東レは、今後10年間程度の期間を見据え、長期経営ビジョン〝TORAY VISION 2030〟―持続的かつ健全な成長と社会的な価値の創造―(ビジョン 2030)を策定した。

 東レグループの強みである「研究・技術開発」「営業」「生産」が相互に連携し合いながら、素材を起点にサプライチェーンを構成する顧客や取引先などとの共創を通じて、社会に新しい価値を提供し、「サステナビリティ・ビジョン」に示す4つの世界像の実現を目指す。2030年度の数値目標として、2013年度実績比でGR(グリーンイノベーション)売上高・売上収益4倍、LI(ライフイノベーション)売上高・売上収益6倍、CO2削減貢献量8倍などを設定した。

 一方、長期ビジョンを踏まえた新たな3年間(2020~22年度)の中期経営課題〝プロジェクト AP‐G 2022〟「強靱化と攻めの経営」―持続的な成長と新たな発展―(AP‐G 2022)の取り組みを開始。新中計では、東レグループ全体で中長期に創出する価値を最大化し、将来にわたって持続的な成長を可能にする強靱な事業基盤を構築して、ビジョン2030の実現に向けた一歩を踏み出す。

 具体的には「成長分野でのグローバルな拡大」「競争力強化」「経営基盤強化」を基本戦略に掲げ、全社横断プロジェクトとして「GR事業拡大プロジェクト」「LI事業拡大プロジェクト」「トータルコスト競争力強化(NTC)プロジェクト」を展開。中でもNTCプロジェクトでは、3年間累計で1500億円のコスト削減を目指す。同時に、重要課題として「循環型社会実現に向けた取り組み」「生産段階での排出削減の実現」「デジタル活用による経営の高度化」「人材確保・育成」を推進する。

 2022年度に目指す数値目標は、IFRSベースで売上収益2兆6000億円、事業利益1800億円、事業利益率7%、ROA約7%、ROE約9%、フリー・キャッシュ・フロー1200億円以上(3年間累計)、D/Eレシオ0.8程度、配当性向30%程度を掲げている。設備投資は3年間累計で5000億円とし、50%はGR事業やLI事業などの成長拡大に投資する。

 M&Aについては、設備投資とは別枠で戦略的に実施する。また、研究開発費は2200億円規模を設定し、将来の大型テーマや高収益テーマにリソースを配分していく方針だ。