東亞合成が30日に発表した、2020年12月期第3四半期(1―9月期)の連結業績は、半導体や抗菌・抗ウイルス向けの需要が引き続き堅調に推移し、高機能無機材料事業が増収増益に寄与した。その一方で、自動車をはじめとした多くの産業分野向けの需要回復が遅れていることから、他の事業領域での販売数量減少や原料価格安に連動した製品価格の低下が響き、全体では減収減益となった。売上高は前年同期比10%減の975億円、営業利益は23%減の85億円、経常利益は27%減の89億円、純利益は33%減の55億円だった。
セグメント別では、基幹化学品事業は減収減益。電解製品と工業用ガスは、販売数量が減少し減収、アクリルモノマー製品は、減販に加え製品価格の低下が響き減収となった。営業利益は、原燃料価格の低下による変動費の改善はあったものの、販売数量の減少や販売単価の低下が下押しし、減益となった。
ポリマー・オリゴマー事業は減収減益。アクリルポリマーは、自動車関連向けの販売数量が低迷し減収、アクリルオリゴマーは、回復基調にあるものの販売数量が減少した。高分子凝集剤は、販売価格の低下し輸出が振るわなかった。営業利益は、アクリルポリマーや高分子凝集剤の減販などが利益悪化要因となった。
接着材料事業は減収減益。瞬間接着剤は工業用途が低調に推移、機能性接着剤は自動車やエレクトロニクス製品向けの販売が伸び悩んだ。高機能無機材料事業は増収増益。高純度無機化学品は、5G普及の遅れをテレワークの増加などに伴う半導体向けの需要増が補完し増収。
無機機能材料は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が続き抗菌・抗ウイルスの需要が増加したほか、電子部品向けイオン捕捉材の販売も増加し増収となった。営業利益は、旺盛な需要に対する積極的な設備投資を行ったことから償却費負担の増加などがあったものの、無機機能材料、高純度無機化学品の増販が寄与し増益となった。
樹脂加工製品事業は減収減益。コロナ禍で管工機材製品やライフサポート製品、建材・土木製品などが減少した。なお、通期の業績見通しについては、前回予想を据え置いた。