カネカが10日に発表した2021年3月期第2四半期(4―9月期)連結決算は、売上高が前年同期比11%減の2667億円、営業利益は45%減の70億円、経常利益は59%減の40億円、純利益は59%減の25億円となった。
減収減益とはなったものの、コロナ禍で成長機会が拡大しているHealth Care SU(ソリューションズ・ユニット)など先端事業群が着実に収益を伸ばすとともに、1Q(4-6月期)の業績の落ち込みの主要因となったMaterial SUなどコア事業群の生産の停滞が着実に回復してきている。同社によれば「夏場以降急速に持ち直している事業分野もあり、下期にかけてさらに業績の改善が見込まれる」としている。
セグメント別に見ると、Material SUは減収減益。塩化ビニル樹脂はロックダウン解除後のインド・中国向けに輸出が大幅に増加するなど2Q(7-9月期)は前年同期で増益となった。機能性樹脂も中国の建築用途に加え、欧米で需要が回復し、2Qは前年並みに復調した。
Quality of Life SUは減収減益。アフリカ・米州向けの頭髪・難燃の需要は、コロナ影響により1Qは落ち込んだが、アフリカ向けは7月から月を追って回復。難燃、パイルの衣料用途は回復が遅れている。スマホ用需要増やコロナ禍に伴うリモートワーク拡大によるタブレット・ノートPC向けが好調で二層銅張積層板材料「ピクシオ」は過去最高レベルの出荷。5G向け対応製品が販売増となり、新製品開発も順調に進展している。
Health Care SUは増収増益。医療分野は、国内外市場ともに拡大、新製品の脳動脈瘤塞栓コイルが好調で、9月には米国向けの販売を開始し収益拡大に寄与した。医薬分野では、アビガン原薬やベルギー子会社のPCR検査試薬の供給開始などにより収益が拡大し、対前年同期で大幅増益となった。
Nutrition SUは減収減益。米国での免疫力アップ意識の高まりから、「コエンザイムQ10」などの販売は好調だった。中食増によりスパイス製品は堅調だったものの、製パン・製菓分野は需要回復基調もインバウンドの不振が響いた。なお、通期業績予想については、前回発表の数値を据え置いた。