DIC 統合報告書「DICレポート2020」を発行

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2020年9月3日

 DICは、同社グループの事業や財務、サステナビリティ活動についてまとめた「DICレポート2020」(ハイライト版・詳細版)を発行した。

 今年度は、社会課題を解決する「社会的価値」を表すものさしとして独自のサステナビリティ指標や、事業ポートフォリオ転換を目指した資本政策の基本方針(CFOメッセージ)、そして新たな社会価値創出に貢献する製品の特集などを主なハイライトとして紹介している。

 同レポートはより多くのニーズに応えるため、要点を簡潔にまとめたハイライト版(冊子およびPDF)と、より詳しい情報やデータを盛り込んだ詳細版(PDF)を発行。見やすさと分かりやすさの観点から、見る人の色覚タイプに左右されない「カラーユニバーサルデザイン」を採用し、CUD認証を取得するとともに、SDGsの目標と同社グループの取り組みとの関連を、SDGsのアイコンを用いて紹介している。

 また、同レポートの冊子は、DICグラフィックス社の製品である100%植物油を使用した「環境調和型インキ」で印刷し、環境へも配慮している。

 なお、レポートの作成にあたっては、ガイドラインとして「ISO26000:2010」や「レスポンシブル・ケア・コード」、レポーティングの国際基準となっている「GRIスタンダード」を採用。ステークホルダーが必要とする情報を提供している。

統合報告書「DIC レポート2020」
統合報告書「DIC レポート2020」

 

DIC QII協議会の設立に合意、量子コンピューティングを実現

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2020年8月20日

 DICはこのほど、東京大学との間で、「量子イノベーションイニシアティブ協議会(QII協議会)」の設立に合意し、設立メンバーとして参画すると発表した。

 東大が設立したQII協議会は、産官学協力の下にわが国全体のレベルアップと実現の加速化を図り、広く産業に貢献することを目的としている。量子コンピューティングを実現する日本国内の科学技術イノベーションを独自の形で集結させ、量子コンピューティングのためのエコシステムを構築することで、戦略的に重要な研究開発活動を強化する。

 DICはQII協議会の一員として、量子コンピュータの産業利用の価値を高めるため、量子コンピューティング利用分野の探索と技術の構築を行う。特に、東大と連携して、材料開発に有益な化学シミュレーションに資する技術の研究と開発に注力する。

 コンピュータを使った化学シミュレーションは、化学材料の設計や化学反応の解明に大きく貢献することが期待されるが、計算の複雑さのため利用が限られている。量子コンピュータは、そのような複雑な計算を難なく行える能力をもっており、材料開発に革新的な変革をもたらす新たな技術として期待されている。

 同社では、量子コンピュータを使った化学シミュレーションによる未来の材料開発を見据え、量子コンピューティング技術の開発とエコシステムの構築を他社に先駆け積極的に行う。そして化学シミュレーションを主軸とした革新的な材料開発体制を構築することを目指す。

 その革新的な材料開発体制の下では、実験に関わる時間とコストおよび危険が大きく削減され、安全で快適な材料開発が行われることが期待される。また、コンピュータ上では自由自在に分子を作ることができ、発想力と創造力を生かした幅の広い研究開発が可能になる。

 なお、東大が事務局を務めるQII協議会は、慶應義塾、JSR、東芝、トヨタ自動車、日本アイ・ビー・エム、日立製作所、みずほフィナンシャルグループ、三菱ケミカル、三菱UFJフィナンシャル・グループなどが参加を予定。さらに、志を同じくする参加メンバーを広く募集している。

QII協議会で目指す成果
QII協議会で目指す成果

 

DICの1-6月期 コロナ影響による出荷減で減収減益

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2020年8月19日

 DICは11日、2020年度上期(1-6月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比11%減の3437億円、営業利益3%減の178億円、経常利益18%減の156億円、純利益21%減の103億円となった。

 オンラインの決算会見の中で、古田修司執行役員・最高財務責任者は「4-6月期にコロナ影響を大きく受け、自動車関連や建設関連で出荷数量が大きく落ち込んだ。5月を底に回復傾向にはあるものの、減収減益となった」と総括した。

 セグメント別に見ると、パッケージング&グラフィックは売上高9%減の1901億円、営業利益9%増の87億円。欧米ではパッケージ用インキが引き続き堅調な出荷となり現地通貨ベースでは前年並みとなったが、 “DICの1-6月期 コロナ影響による出荷減で減収減益” の続きを読む

DIC 世界的なESG投資の構成銘柄に2年連続で選定

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2020年7月16日

 DICは15日、世界的に代表されるESG(環境、社会、ガナバンス)投資指標の1つである「FTSE4Good(フィッチ・フォー・グッド)Index」、および同指標の日本企業で構成される「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に2年連続で選定されたと発表した。

 「FTSE4Good」は、英ロンドン証券取引所グループの子会社であるFTSE International社が2001年から発表しているESG投資インデックス。企業が公表するESGに関するマネジメントや取り組み実績に関する情報をもとに、独自のESGレーディングに基づいて評価が行われ、一定のスコアを満たすことによりインデックスに組み入れられる。またこれにより、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がESG投資インデックスとして採用する「FTSE Blossom Japan Index」にも継続して組み入れられたことになる。

 DICグループは、環境負荷の低減、納税の透明性、コンプライアンスなどへの取り組みや、購買およびレスポンシブルケア活動に関する情報開示の充実化などが全般的に評価され、今回の選定に至った。

 同社グループは、ESGに関わる活動を重視しサステナブルな社会を実現するためにはESGの視点が必須であるとの考えの下、世界で約170社のグループ企業とともに事業に取り組んでいる。ブランドスローガン「Color & Comfort」を掲げる企業として、引き続き事業活動と連動したESGに対する取り組みの強化と開示を進めながら、「サステナビリティ基本方針」に基づきESGに関する社会の要請を的確に把握し、持続可能な社会づくりに貢献していく考えだ。

DIC 全事業対象に「サステナビリティ指標」を設定

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2020年7月15日

 DICはこのほど、全ての事業を対象に「環境負荷の低減」と「社会への貢献」を測るものさしとして、グループの「サステナビリティ指標」を設定した。

DICグループのサステナビリティ指標概念図
DICグループのサステナビリティ指標概念図

 同社は、中期経営計画「DIC111」に基づき、利益貢献につながる「経済的価値」と社会貢献につながる「社会的価値」が両立する事業領域の確立を目指しており、化学メーカーとして様々な社会課題に対する解決策を提供することで持続可能な社会の実現に取り組んでいる。

 今回策定したサステナビリティ指標は、廃プラスチック問題などに代表される社会課題に対し、同社が為しうる「社会的価値」を客観的に示す指標となるもの。具体的には、バリューチェーンでの原料調達から製品出荷までにかかる「環境負荷の低減」と、製品出荷から使用後までに果たす「社会への貢献」の2つの要素を同時に評価することで、事業と製品が社会的価値の向上につながっているかを、全てのステークホルダーに客観的かつ分かりやすく示していく。

 同社ではすでに食に関する社会への貢献をテーマに、「脱プラスチック」「フードロス削減」「食の多様化・バリアフリー」などにつながる技術・製品開発に注力しているが、今回設定したサステナビリティ指標を通じて、こうした社会への貢献に重点化した事業ポートフォリオへの転換を一層促進していく考えだ。

 今後は、全ての事業がサステナビリティ指標の評価対象となるため、各事業の評価を行った上で、2022年度から始まる次期中期経営計画にグループの目標値を設定する計画。

 DICのサステナビリティへの積極的な活動は、評価が高い。代表的なものでは「ダウジョーンズサステナビリティインデックス アジアパシフィック(DJSI AP)」の構成銘柄に5年連続採用されるなど、国内外のESG投資の構成銘柄に選定されている。これからも、サステナビリティ指標の運用を通じて、バリューチェーン全体に関わる同社のリスクと機会を特定し、的確な対策を進めることで、世界的な取り組み「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献し、社会から愛され、尊敬される企業を目指す。

 

太陽インキ製造 高周波対応新シードフィルムで初受賞

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2020年7月13日

 太陽ホールディングスはこのほど、子会社の太陽インキ製造(埼玉県嵐山町)が「高周波対応配線形成用新シードフィルム」で「第16回JPCA賞」を受賞したと発表した。

高周波対応配線形成用新シードフィルムの外観
高周波対応配線形成用新シードフィルムの外観

 同賞は日本電子回路工業会が主催・運営する「第50回国際電子回路産業展」の出展者を対象とした、電子回路技術および産業の進歩・発展に貢献した製品・技術への表彰制度として2005年に創設されたもの。今回、太陽インキ製造にとって初の受賞となる。

 同開発品は次世代通信規格5Gの高周波帯域用の電子機器向けにDICと共同開発したもので、ナノメタルからなるシード層を両面にコートしたフィルム。5Gの普及に伴い、使用周波数帯域であるSub6やミリ波帯で高周波信号をロスなく伝送する銅配線技術が重要となる。高周波であるほど電流は銅配線表層しか流れず、表層が平滑でなければ伝送損失が増す。そのため、配線の表面や側面を平滑にする銅配線形成技術が求められている。

本開発品による銅配線形成例
本開発品による銅配線形成例
銅配線の厚み=8μm 斜め配線L/S=10/10 縦配線L/S=8/8(um)

 従来の銅シード・モディファイドセミアディティブプロセス(MSAP)では、シード層の銅のエッチングにより銅配線も溶解し、表面や側面の凹凸が大きくなる課題があった。今回シード層を銅以外の金属とすることで、エッチングによる銅配線の溶解をなくし、表面や側面が平滑なファインパターンが得られた。主な用途として、低損失の高周波伝送配線、高品質アンテナ、高精度配線・高密度配線などが期待できる。

DIC コバルトフリー乾燥促進剤で塗料乾燥時間を半減

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2020年7月7日

 DICはこのほど、塗料や印刷インキなどに用いる速乾性能に優れた酸化重合型樹脂の乾燥促進剤(ドライヤー)を開発し、「DICNATE(ディックネート)」シリーズとして上市、サンプルワークを開始した。

乾燥促進剤(イメージ) 
乾燥促進剤(イメージ)

 塗料や印刷インキの硬化や乾燥促進には、ドライヤーと呼ばれる金属石鹸が用いられる。金属石鹸は金属塩と脂肪酸が結合したもので、通常は有機溶剤に溶解するが水には不溶。硬化・乾燥促進には一般的にコバルト(Co)石鹸を用いるが、Coは環境負荷やコストなどの課題がある。

 今回上市した非Co系のドライヤーを使用すると、アルキド塗料の完全硬化に要した時間は、従来のCoドライヤーの約半分であった。同時にコスト削減や環境負荷低減も期待できる。さらに、溶剤系だけではなく水系にも使用できることから、様々なニーズに対応可能である。

 今後アジアや中東、欧米地域などの塗料・印刷インキ業界を視野に、2025年までに売上高10億円を目指す考えだ。

DICの1‐3月期 コロナ影響も原料安などで大幅増益

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2020年5月18日

 DICは15日、2020年度第1四半期(1-3月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比5%減の1817億円、営業利益23%増の99億円、経常利益2%増の83億円、純利益13%減の46億円となった。

 オンラインの決算会見の中で、古田修司執行役員・最高財務責任者は「新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により経済活動が制限され、景気の悪化が急速に進んだ。売上高は、出版用インキや化粧品用顔料などの分野で出荷が落ち込み、生活必需品である食品包装分野や5Gに関連した半導体分野などでは関連製品の出荷が堅調だったものの減収となった。営業利益は、原料価格低下を含めたコスト削減効果により大幅増益となった。純利益は、

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DIC 産官学連携の接着技術開発プロジェクトに参画

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2020年5月7日

 DICはこのほど、科学技術振興機構(JST)が推進する未来社会創造事業の研究プロジェクト「Society5.0の実現をもたらす革新的接着技術の開発」(CREAプロジェクト)に今年度より参画したと発表した。

 同プロジェクトは、電気自動車(EV)や自動走行車など次世代モビリティの軽量化や部材リサイクルに貢献する、「革新的な接着技術」の研究開発を目的としている。九州大学の田中敬二教授らの研究グループが提案し、2018年度に文部科学省から示された大規模プロジェクト型の技術テーマの1つ。高分子科学、先端計測および数理科学を専門とする研究者と連携企業の連合体が、接着現象に関連する界面の学理からものづくりまで一貫して研究開発を行うもので、2022年には実証実験フェーズへの移行を目指す。

 Society5.0は、仮想と現実の空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会のことで、第5期科学技術基本計画により、日本のあるべき未来社会の姿として提唱されたもの。その中に自動車産業の変革(CASE:つながる、自動運転、共有、電動)があり、「革新的な接着技術」は、それを実現するための重要な基盤技術の1つである。

 人命に関わるモビリティの接着技術には、強度や耐久性の保証と、それらに基づいた健全性や信頼性が求められる。共同研究では、モビリティの構造接着で重要な異種材料接合の高耐熱・高耐久機能と、廃棄の際に従来以上に容易に解体できる資源リサイクルに適した易解体性を兼備したエポキシ系接着樹脂の開発を目指す。

 DICグループは、新たなモビリティ社会に貢献するリサイクル性を兼備した複合材料の開発を進めることで、循環型社会の実現とSociety5.0の実現に貢献していく。

DIC N95など高機能マスク1万枚を医療機関へ寄贈

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2020年4月24日

 DICはこのほど、新型コロナウイルス感染拡大による日本国内の医療機関の深刻なマスク不足の状況を鑑み、同社が備蓄していたN95規格などの高機能マスク1万枚を医療関係機関に寄贈したと発表した。

 経団連を通じ、0.3㎛粒子を95%以上捕捉するN95規格のマスク5000枚を厚生労働省へ寄贈。今後、同省より国内の感染症指定医療機関に順次配布される予定。また、医療用およびダチョウ抗体マスク5000枚は、マスク不足が特に深刻な医療機関へ20日に寄贈した。

 同マスクは、ダチョウの抗原抗体反応によりウイルスを瞬時に結合捕捉する「ダチョウ抗体フィルタ」を組み込み、通常のマスクよりも高い抗ウイルス機能を持っている。

 同社グループは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため働いている人々や、感染者の診断や治療に不眠不休で尽力している医療関係者に心より敬意を表するとともに、今後も新型コロナウイルス感染拡大防止対応への支援やその他の社会貢献活動を継続的に推進し、「社会から愛され、尊敬される会社」を目指す方針だ。