鉄鋼各社 製鉄プロセス、水素活用PJを本格始動

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2022年6月23日

GI基金に採択、コンソーシアムで取り組み加速

 鉄鋼業界は日本の総CO2排出量の15%(1億5000万t)を占めている。長期的な温暖化対策には鉄鋼における脱炭素化が避けられず、還元プロセスの転換に注目が集まっている。同業界では、2008年から「革新的製鉄プロセス技術開発(COURSE50)」の取り組みを開始。水素系ガス吹込みにより還元工程におけるCO2排出量10%以上減が達成可能であることを世界で初めて検証した。

コンソーシアムのメンバー(左から3人目が野村氏)

 2018年から実用化開発に取り組む中、

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大陽日酸など JFEサンソセンターで空気分離装置を建設

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2021年10月13日

 大陽日酸とJFEスチールはこのほど、合弁で運営しているJFEサンソセンター(大陽日酸60%、JFEスチール40%)の福山工場に、空気分離装置を建設することを決定したと発表した。投資金額は100億円で、稼働時期は2023年12月末を予定している。生産能力は、酸素ガスが4万8000N㎥/h、窒素ガスが8万2000N㎥/h、液化アルゴンが1580N㎥/hとなっている。

 JFEサンソセンターの福山工場は、JFEスチール西日本製鉄所(福山地区)構内で各種産業ガスの製造を行っており、同製鉄所へパイピングにより産業ガスを供給するとともに、大陽日酸の顧客へ窒素ガス、液化ガスを供給している。

 今回、JFEスチール西日本製鉄所(福山地区)への酸素ガス・窒素ガス・アルゴンガスの安定供給ならびに大陽日酸への高品質製品の供給を図るため、省エネルギー型の最新鋭空気分離装置を建設することを決定した。

JFEスチールなど 低炭素型コンクリート実用化が前進

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2021年8月30日

 JFEスチールはこのほど、東北大学、日本大学と共同で寒冷地でも適用可能な独自のアルカリ活性材料「ジオポリマー」の開発に成功し、西松建設と共和コンクリート工業を加えた5者で早期実用化に向けた試験体制を構築した。

 ジオポリマーは、製造時に排出するCO2を通常のコンクリートに比べて75%以上削減できる一方、混合時の粘性が高く固まりやすく、耐凍害性が著しく低く、温暖な地域でしか利用できないという課題があった。

 今回、従来のジオポリマーがセメントの代替にしている水ガラスとフライアッシュ(石炭灰)を、アルカリ水、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末(製鉄副産物)にして、その配合量の最適化と高炉スラグ細骨材の活用、特殊な混和剤の適用などにより、流動性を安定的に確保しつつ耐凍害性を大幅に向上させた独自のジオポリマーを開発した。凍結融解試験ではJIS規定の300サイクルでもほとんど劣化せず、凍結防止剤の影響を想定した塩水環境下でも従来品を大幅に超える凍結融解抵抗性を示した。これにより、寒冷地や山間部などでもジオポリマーを制約なく適用でき、コンクリート分野でのCO2排出量を大幅に削減することが可能となる。

 今後、西松建設とはコンクリートの施工性について、共和コンクリート工業とはプレキャスト製品への適用について実用化に向けた試験を開始し、寒冷地を含めた実環境での検証を進めていく。

 

JFEスチール 樹脂・スチール複合のエネルギー吸収構造を開発

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2021年3月24日

 JFEスチールとイイダ産業は、自動車のエネルギー吸収部品用の超高強度鋼板/樹脂マルチマテリアル構造を開発した。

 自動車の車体には高い衝突安全性能と軽量化の両立が求められ、構造骨格部品への超高強度鋼板(引張強度980M㎩以上)の使用が増加しているが、センターピラーやルーフサイドレールなど衝突時の変形抑制が必要なキャビン構成部品に限られている。衝突エネルギーを部品変形によって吸収する必要のあるフロントサイドメンバーやリアサイドメンバーでは、超高強度鋼板は衝突時の部品座屈や曲げ変形で部品母材が破断し必要なエネルギー吸収が得られず、高強度薄肉化による軽量化は困難だった。

 今回、エネルギー吸収部品に適用するため、イイダ産業開発の高延性・高密着性樹脂を超高強度鋼板製の部品本体と薄肉鋼板製部品でサンドイッチした構造を開発。車両衝突時の座屈・曲げ変形のRが大幅に拡大し、超高強度鋼板部品は破断せずエネルギー吸収性能が大幅に向上した。同重量の場合、引張強度590M㎩・厚み2mmの部品に比べ、引張強度1470M㎩・厚み1.4mmのマルチマテリアル化部品のエネルギー吸収性能は53%高い。エネルギー吸収性能が同等の場合、25%の軽量化が可能だ。今後は電気自動車も視野に入れ、自動車メーカーとの共同開発を加速する。

 電気自動車はエンジンを搭載せず、衝突時に変形してエネルギーを吸収するフロントエンドやリアエンドが短くなるため、効果的にエネルギーを吸収する必要がある。またエンジンの振動が無くなり走行による振動が目立つが、樹脂が走行時の振動を吸収するため、高い衝突安全性能と軽量化の両立に加え快適な乗り心地を提供できる。同社は高強度鋼板の開発・製造だけでなく、工程の省力化や商品の性能向上のために、自動車の設計段階から技術的に協力し合うEVI活動を展開している。樹脂などの軽量素材を組み合わせたマルチマテリアル構造をはじめ、ニーズに合った様々な製品と利用技術を開発・提案し、自動車車体の軽量化によるCO2排出量削減と高性能化に寄与していくことで、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

JFEなど メタネーション技術で船舶のゼロエミ目指す

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2020年7月29日

 JFEスチールはこのほど、メタネーション技術による船舶のゼロ・エミッション燃料を目指す業界横断の取り組み「CCR研究会船舶カーボンリサイクル ワーキンググループ(WG)」に、エックス都市研究所、サノヤス造船、ジャパンマリンユナイテッド、商船三井、日揮グローバル、日本海事協会、日本製鉄、日立造船の計9社が参加し第1回会合を開催したと発表した。

 気候変動の影響が顕在化する中、脱炭素社会への道筋の1つとして、CO2を回収・再利用するカーボンリサイクルが注目を集める。メタネーション技術によりCO2と水素から合成したメタンを、船舶用ゼロ・エミッション燃料へ活用する目的で、同WGを昨年8月にCCR(炭素回収再利用)研究会に設置した。日本の輸出入の99.6%を担う海上輸送からの温室効果ガス排出(エミッション)をゼロにし、持続可能な社会の実現を目指す。

 国内の製鉄所から排出されたCO2を分離・回収・液化した後、再生可能エネルギー由来水素の供給地へ海上輸送し、その後メタネーションでメタンを合成、液化して舶用燃料とする、カーボンリサイクルのサプライチェーンを想定。CO2排出量を概算し、技術的課題を洗い出し、ロードマップの策定を行う。得られた知見は業界内外に公開する。

 JFEスチールは製鉄プロセスのCO2排出量削減、排出CO2の分離・回収の技術開発に取り組んできた。原材料と製品の輸送のほとんどを船舶運搬に頼る鉄鋼業にとって、CO2排出量削減の意義は大きい。同社は、CO2排出量削減を通じて地球環境保護に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。