DIC 北米にPPSコンパウンドの生産設備を新設

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2019年3月25日

 DICはこのほど、100%米国子会社DICイメージングプロダクツ(米国ウィスコンシン州)内に、グローバルトップシェアを誇るPPS(ポリフェニレンサルファイド)コンパウンド生産設備の新設(年産3000t)を決定した。

 PPSコンパウンド生産の北米進出は今回が初となり、2020年秋に稼働を開始する。今回の投資により、同社グループの供給体制は世界5地域(日本・中国・東南アジア・欧州・北米)に整備され、生産能力は4万6000tに拡大する予定だ。

 PPSコンパウンドは、スーパーエンジニアリングプラスチックの一種。高い耐熱性、耐薬品性、寸法安定性などの優れた特性を持つ樹脂材料で、近年では自動車関連材料として使用量が増加している。

 中でも、エコカーは車体の軽量化と燃費向上を図っているため、ガソリン車に比べてPPSの使用量が2~3倍と言われており、PPSコンパウンドの世界市場は2021年に20%超(2017年比)に成長する見通しだ。

 そうした中、同社の製品は、特に自動車関連材料のシェアが伸長している。その要因として、同社グループの生産および技術サービス拠点が、自動車関連材料の需要地で、独自のコンパウンド技術を駆使した製品の提供が実現可能なことが挙げられる。

 今回の北米での供給体制構築は、同地域の需要拡大に対応し、安定供給とリードタイムの短縮、要求品質を満たす製品開発力の強化などを目的としている。また、欧米地域で強固な販売チャネルを持つ同社100%米子会社サンケミカル社が、本格的に販売を開始することで、販売網の急拡大を実現していく。

 同社グループは、新中期経営計画「DIC111」では、サステナビリティや市場への貢献を追求する「社会的価値」と企業の成長と収益性に寄与する「経済的価値」を両立し、〝ユニークで社会から信頼されるグローバル企業〟を目指すとともに、欧米地域の戦略として「インキ以外の高付加価値製品の生産能力拡充」を掲げている。

 今後、高付加価値製品である独自のPPSコンパウンドのさらなる拡販を進め、グローバルリーダーの地位を磐石にしていく方針だ。