積水化学 独モーターショーでコンセプトカーを初公開

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2019年9月12日

 積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは11日、ドイツで開催される世界最大のモーターショー「IAA2019(フランクフルトモーターショー)」で、同社グループの技術を搭載するコンセプトカーを初めて公開すると発表した。開催期間は12~22日。

フランクフルトモーターショーに出展するコンセプトカー
フランクフルトモーターショーに出展するコンセプトカー

 同社は総合素材メーカーとして、車両・輸送分野についてもさまざまなソリューション提供が可能なことを訴求するため、新製品を含む約40種類の製品を搭載したコンセプトカーを製作。外観からは見えない中間素材が多い中、自動車での使用部位や役割・機能をより分かりやすく理解してもらえるように、設計上の工夫を施した。

 搭載製品として、「合わせガラス用中間膜」「ポリオレフィンフォーム」「カラーカーボン」「放熱グリス」などを採用する。

 合わせガラス用中間膜は、ガラスの貫通・飛散防止や紫外線カットのため、自動車ガラスに使用されるフィルム。同社では基本機能に加え、遮音・遮熱・HUD(ヘッドアップディスプレイ)対応などの高機能を付与した中間膜の開発・販売に注力しており、自動車向け合わせガラス用中間膜全体での世界シェアは約40%とトップを誇る。

 コンセプトカーには、フロントガラス全面に情報を表示できる「自発光機能」をもつ中間膜を採用した。自発光中間膜については、建築向けに2021年度の上市を、自動車向けではフロントガラスやサイドガラスへの採用活動を進め、2020年度の上市を目指す。

自発光中間膜(左上)と光透過性フォーム
自発光中間膜(左上)と光透過性フォーム

 ポリオレフィンフォームは、従来なかった光透過性を付与した開発品を搭載。特にインパネまわりを中心に内装のデザイン性を向上させる素材として、今後は各自動車メーカーに向けて提案を進めていく。

 カラーカーボンは、炭素繊維のテキスタイルに金属をスパッタリングした素材。金属の種類によって様々な色を表現できるため、カラーカーボンを使ってCFRP成型品を生産すると、塗装せずに高いデザイン性を実現できる。コンセプトカーの側面部分などに使用した。

 室温で硬化可能なシリコーン放熱グリスは、電気自動車の動力源として搭載されるバッテリーの熱対策としての提案を進めている。同社グループの放熱材料は、高い熱伝導性に加え、塗布設備に対する耐摩耗性や製品そのものの低アウトガス性能により、各自動車メーカーやリチウムイオン電池メーカーから高い評価を得ている。2020年春~夏ごろに稼働予定のオランダでの工場新設により、世界トップシェアを目指す。