アジア石化市況 エチレン8週続騰820ドル/t

2020年7月7日

芳香族は3製品とも上昇、スチレンモノマー反転

 アジア地域の6月第3週の石化市況では、エチレンは、下値20ドル高、上値5ドル高の820~850ドル/tでの取引となった。これで8週連続での続騰となり、4月の底値(320ドル/t)から500ドル/tも上昇したことになる。中国でエチレン需要が強まる中、定修により供給が絞られていることに加え、ナフサ価格が上昇基調となったこともあり市況が押し上げられている。

 スプレッドも7ドル拡大の456ドル/tを確保できており、センター各社の収益に大きく寄与している状況だ。プロピレンは、下値が20ドル高、上値が5ドル高の750~805ドル/tとなった。需要は引き続き堅調だが、設備が稼働を開始したことでタイト感が解消しており、同水準の市況で推移している。

 ブタジエン(BD)は前週並みの330~400ドル/tでの取引となった。下値がナフサ市況を下回って推移しているため、BDメーカーの採算は厳しい。無理に売買する動きも見られず市況は膠着状態が続いている。

 一方、芳香族は、原油・ナフサ価格の上昇に伴い、3製品とも上昇した。ベンゼンは3ドル高の429ドル/tと反発。ただ誘導品需要が弱いため、上値が抑えられており、スプレッドは10ドル縮小の65ドル/tとさらに悪化した。

 スチレンモノマー(SM)は19ドル高の641ドル/tに上昇し、スプレッドも200ドル台を回復している。トルエンは7週連続上昇の433ドル。キシレンは12ドル高の437ドル/tとなったが、ナフサスプレッドは1ドル縮小の73ドル/tと悪化。3週連続で100ドルを割り込んでおり、依然として厳しい事業環境が続いている。

 今後については、コロナ感染の第2波が懸念される。各国とも行動制限を解除し経済活動を再開してきたが、ここにきて中国や米国、また日本でも感染者が増加している状況。再び移動制限が導入されれば、一気に景気が冷え込む可能性もあり、この先の各国の対応が注目される。

市況ナフサ6月3週市況BTX6月3週