NEDO スマートセルを開発、神戸大にパイロットラボ

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2021年3月11日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と神戸大学はこのほど、目的物質の生産能力を大幅に高めた細胞「スマートセル」を開発するプラットフォームの確立を目指すため、これまでに開発してきた要素技術を集積したパイロットラボを神戸大学先端融合研究環の統合研究拠点内に整備した。両者は、植物や微生物による高機能品生産技術の開発「スマートセルプロジェクト」に取り組んでいる。

 同プロジェクトでは開発している基盤技術を中心に先端的なバイオテクノロジーと計算科学を組み合せることで、設計(デザイン)、構築(ビルド)、試験(テスト)、学習(ラーン)のワークフロー(DBTL)を展開し、医薬品を含むファインケミカルやバイオベース化学品、バイオ燃料などの様々な有用物資生産にバイオプロセスを取り入れ、ものづくりを加速させることを目指している。

 今回、両者は、同プロジェクトに参画する様々な機関が共同開発した要素技術群が集積されたパイロットラボを神戸大学先端融合研究環の統合研究拠点内に整備。このパイロットラボでは、既存の手法では数年かかっていたスマートセルの開発を、独自に開発した長鎖DNA合成技術やハイスループット組み換え技術と高速・高精度の細胞代謝物測定技術を組み合わせることで従来の5分の1以下の期間で実現できる。

 今後、実際に企業などがパイロットラボを「スマートセル開発プラットフォーム」のプロトタイプとして広く活用することにより、ターゲットとする特定の物質に対するスマートセルを高速に構築し、高機能な化学品や医薬品などを効率よく生産する次世代産業「スマートセルインダストリー」の創出を目指していく方針だ。

スマートセル DBTLワークフロー
スマートセル DBTLワークフロー