革新技術を社会実装、先行投資や環境整備が大きな課題
ウクライナ侵攻によるエネルギー資源のひっ迫が、カーボンニュートラル(CN)へのシフトを加速させている。次世代エネルギーではグリーン水素に注目が集まり、世界的に大型プロジェクトが計画されている。また資源循環でも、廃プラのケミカルリサイクルやバイオマスを活用した原料など、化石資源からの転換を目指した動きが強まってきた。すでに研究段階から実証段階に移行した技術も出始め、事業化も視野に入っている。日本政府もGI基金事業やGXリーグ構想などを打ち出し、革新技術を社会実装するためのサポートや仕組みづくりを進めている状況だ。
一方、化学企業にとっては自社の脱炭素化も重要になる。電力やプロセスの見直しには大規模な投資が避けられず、収益成長との両立が大きなテーマとなっている。今回の特集では、CNをいかにビジネスチャンスに転換していくかについて、経産省や川崎市、各企業の取り組みを取材した。
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◇インタビュー◇
経済産業省 製造産業局素材産業課長 吉村一元氏
▽化学産業はGXを強力推進、CNに向け炭素循環のプロ集団に
川崎市 臨海部国際戦略部本部 CN推進担当課長 篠原 顕氏
▽水素エネルギーと資源循環で脱炭素化、川崎モデルを構築
◇水 素◇サプライチェーンの構築を目指し開発が活発化
旭化成 執行役員 GSP長 植竹伸子氏
▽アルカリ水電解装置を大型化、海外市場でポジションを確立
東レ 常任顧問 経営企画室担当 出口雄吉氏
▽PEM型水電解装置に貢献、材料のリーディングカンパニーへ
◇各社の取り組み◇
積水化学工業 ESG経営推進部長 西山宏喜氏/担当部長 三浦仁美氏
▽環境中期計画は前倒しで進捗、次世代の環境技術を社会実装へ
積水化学のCN技術:ペロブスカイト太陽電池/BR技術
日本ゼオン CN推進室長 泉水慶太氏
▽省エネ・技術革新・燃料転換を軸に、「ものづくり」を転換
マイクロ波化学 代表取締役社長 吉野 巌氏
▽マイクロ波技術による電力の効率利用で、CN実現に貢献
ちとせグループ 最高経営責任者 藤田朋宏氏
▽バイオマス基点のものづくり、藻類事業を拡大し循環社会形成