フタル酸系可塑剤 1月の国内13%減、輸入品もマイナス

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2023年3月15日

 可塑剤工業会が発表した1月の需給実績によると、フタル酸系可塑剤の国内出荷は、前年同月比13.2%減の1万3700tと、昨年1月以来、13ヵ月連続のマイナスとなった。主要品目ではDOPが同2.0%減の6500tと9ヵ月連続の減少、DINPは同21.8%減の6200tと13ヵ月連続で前年を割り込んだ。

 一方、財務省の貿易統計から輸入品の動きを追うと、1月はフタル酸系可塑剤合計で、前年同月比14.6%減の2800tと、8ヵ月ぶりにマイナスに転じた。主因はDOPが同83.3%減(580t減)の116tと大幅に減少したため。DINP(DIDP含む)は逆に、同4.0%増(95t増)の2500tと前年を上回った。

 貿易統計から算出した1月の輸入品の平均単価は、DOPが200円/kg(前月比11円安)、DINP(同)は203円/kg(同7円安)と、いずれも為替が円高に振れた影響で下落した。国内出荷と輸入品を合わせた内需は、DOPが前年同月比9.7%減の6600t、DINP(同)は同15.7%減の8800t、フタル酸系可塑剤合計では同13.4%減の1万6500tと振るわなかった。1月はDINPの不振が目立った。国内出荷、内需とも2桁減で推移した。DINPは昨年、原料アルコールの供給が滞り生産体制が整わず、輸入品に大きくシェアを奪われるかたちとなった。ただ、業界筋の話では、顧客はほぼ国内品に戻ってきているという。

 他方で、塩ビ工業・環境協会(VEC)が発表した1月の塩ビ樹脂の国内製品別生産出荷実績によれば、壁紙向け(前年同月比2.0%減)、床材料向け(12.6%減)、電線向け(7.3%減)、いずれも前年を下回った。DINPの出荷不振は、建材関連市場の冷え込みが一因とみられ、内需の回復が待たれる。

 なお、1月の生産は、DOPが前年同月比23.7%減の6200t、DINPが同38.3%減の5900t。月末在庫は、DOPが前月比5.5%減の8300t、DINPが同2.5%減の1万1700tだった。在庫は依然高めとなっている。