レゾナックの1-3月期 半導体の環境悪化で営業赤字

, ,

2023年5月16日

 レゾナック・ホールディングスは15日、2023年12月期第1四半期(1-3月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比3%減の2989億円、営業損失92億円(同250億円減)、経常損失109億円(312億円減)、純損失123億円(同211億円減)となった。

染宮CFO

セグメント別に見ると、半導体・電子材料セグメントは減収減益。前年後半からの需要低迷が継続した。HDメディアの棚卸資産において低価法による簿価切り下げや廃棄損を計上したことで営業赤字となった。半導体前工程材料は当期から生産調整の影響が生じた、後工程材料は昨年下期からの生産調整の影響が継続している。SiCエピタキシャルウェハーは出荷数量が増加した。

 モビリティセグメントは減収減益。事業譲渡の影響を受けたほか、一部製品で民生需要の低迷の影響を受けた。樹脂成型品、摩擦材、粉末冶金製品は増収だった。LIB材料では導電助剤、カーボン負極材は増収だったが、民生需要の低迷によりアルミラミネートフィルムは減収だった。

 イノベーション材料セグメントは減収減益。原材料高騰に伴う値上げにより製品価格は上昇したが、販売数量減が響いた。ケミカルセグメントは増収増益。石油化学は、ナフサ価格上昇による販売単価上昇に加え、大型定修や地震があった昨年に比べ販売数量が増加した。化学品は値上げが浸透した。黒鉛電極は出荷数量が減少。値上げにより増収となったが、受払差のマイナス影響で減益となった。

 同日、2023年12月期の通期業績予想を発表。売上高4%減の1兆3400億円、営業損失200億円(同817億円減)、経常損失310億円(同927億円減)、純損失460億円(同784億円)を見込む。染宮CFOは「営業損失を見込んでおり、経営陣としては現在の状況を重く受け止めている。今年度中に構造改革を進め、2024年の市況回復時にV字回復を目指していく」とし、3つの構造改革を説明した。

 ①HDメディアでは生産規模および人員規模の最適化(生産能力2割減少)を図る。②モビリティでは売上高の3割を占める赤字製品と顧客の組み合わせについて、抜本的な値上げ、もしくは撤退の顧客対話を本格的に加速する。関西拠点の統廃合も決定した。③その他の事業も、国内取引を中心に赤字製品と顧客の組み合わせをリストアップし、収益改善策の立案・実行を加速する。

 染宮CFOは「半導体材料を軸とした当社の成長戦略に変わりはない。経営陣、スタッフともこの構造改革をやり切る覚悟でチャレンジに臨んでいる」と強調した。