【ポリカーボネート特集1】自動車など新用途へ展開、経済減速で市況は悪化

2019年12月13日

 ポリカーボネート(PC)の市況が低迷している。4、5年ほど前までは供給過多の状況が続いていたが、その後はグローバルでの需要が年率3~4%程度伸びていたことやプラントの閉鎖、定修、トラブルなどにより、需給はほぼタイトとなり、昨年夏ごろには、アジアのPC市況は4000ドル/tに迫る勢いで過去最高値を記録した。しかし、足元では2000ドル/tを割るほどに落ち込んでいる。

 その主な要因としては、需給タイトな状況が続いていたことから、中国で複数の新規メーカーが参入し、PCの生産設備を新設したことで供給が過多になっていたところに、世界経済の減速と、米中貿易摩擦などによるPC最大市場の中国で需要が減少したことが挙げられる。さらに、

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ノーベル賞の理論と技術が拓く未来、持続可能社会に貢献

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2019年12月12日

 スウェーデン・ストックホルムで現地時間の10日、ノーベル賞授賞式が行われ、日本からはリチウムイオン電池(LIB)の開発者で旭化成名誉フェローの吉野彰氏が式に臨み、ノーベル化学賞が授与された。

「エコプロ2019」で展示した環境省のコンセプトカー「AGV」
「エコプロ2019」で展示した環境省のコンセプトカー「AGV」

 環境省は現在、CO2を大幅に削減する低炭素モビリティ社会の実現を目指し、次世代型自動車の開発を進めるが、そこには日本発のノーベル賞の理論や技術が大きく寄与している。

 先日開催された「エコプロ2019」で、環境省が出展したAGV(All GaN Vehicle)は、次世代半導体材料であるGaN(ガン:窒化ガリウム)を電動化技術に適用したEV(電気自動車)のコンセプトカー。GaNインバーター(逆変換装置)を搭載することで変換効率を向上させ、CO2排出量の約20%削減を目標にしている。

 GaNは元々、青色発光ダイオード(LED)の材料として開発されたもの。「高輝度・低消費電力白色光源を可能とした高効率青色LEDの発明」の功績で赤﨑勇氏、天野浩氏、中村修二氏の3氏が2014年のノーベル物理学賞を受賞した。

 インバーターは、バッテリーの電力をモーター用の電力に変換する装置。一般的にシリコン系のパワー半導体が用いられるが、それをGaN系パワー半導体に置き換えることで変換効率が20%向上した。EVなら、LIBの性能を高めることなく走行距離の延伸を可能にする技術と言える。

 8日のノーベル賞記念講演「ノーベルレクチャー」の中で吉野氏は、LIB開発の技術的なルーツには過去のノーベル賞の業績が関わっていると説明。1981年のノーベル化学賞、福井謙一氏らの「フロンティア軌道理論」と、2000年同賞、白川英樹氏らによる「導電性高分子、ポリアセチレンの発見」を挙げ、多くのノーベル賞受賞者のサポートが負極材の開発につながったと語った。

 奇しくも福井氏の孫弟子にあたる吉野氏が、LIBの研究を始めた年が1981年。二次電池の電極としてポリアセチレンに着目した。

 環境省が行うAGVを含めたプロジェクトには、GaN発明者の天野氏も参画する。高品質・大口径・低コストのGaNウエハーを開発し、超高効率なパワーデバイスを実機に搭載することで、省エネルギー効果の実証を目指している。世界に認められた日本の技術が結集し、来るべき持続可能な社会に大きく貢献していく。

NEDO 障害者が文字情報を音声取得できる技術開発

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2019年12月12日

 NEDOはこのほど、「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」に関し、エクスポート・ジャパンが、視覚障害者が商品パッケージなどに印刷されたQRコードから、自分のスマートフォン(スマホ)の設定言語に合わせて、食品の原材料や医薬品の用法用量などの音声情報を得られる技術を開発したと発表した。

 具体的には、視覚障害者がスマホで簡単に読み取りが可能なQRコードや商品パッケージの仕様を、実証実験データの分析・活用により導き出し、これまで点字の利用が困難であった食品や医薬品などに応用することで、視覚障害者が、原材料などの情報を音声取得できるようになった。

 NEDOは、福祉用具の実用化開発を推進し、高齢者や障害者の生活の質(QOL)の向上や介護者の負担軽減を目的とする「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」に取り組んでいる。今後も福祉用具の実用化開発を推進し、高齢者や障害者の積極的な社会参加(ノーマライゼーション)を支援し、豊かさを実感できる社会の実現を目指す方針だ。

SEMI 世界半導体製造装置予測、21年は過去最高に

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2019年12月12日

 SEMIはこのほど、半導体製造装置市場予測を発表した。2019年の半導体製造装置(新品)販売額は、過去最高額である644億ドルを記録した前年から10・5%減の576億ドルとなる予測だが、2020年に回復に転じ、2021年には再び過去最高額を更新する見通しだ。

 主要デバイスメーカーによるサブ10㎚(ナノメートル)装置への活発な投資が特にファウンドリやロジックにおいて行われ、2020年は前年比5.5%増の608億円に、2021年はさらに成長し、過去最高額の668億ドルとなる見通しだ。

 2019年は、ウェーハプロセス処理装置や設備装置、マスク/レチクル製造装置などを含むウェーハファブ装置市場は9%減の499億ドル、組み立ておよびパッケージング装置市場は26.1%減の29億ドル、半導体テスト装置市場は14%減の48億ドルといずれも減少する見通し。また成長率では、台湾の53.3%が最も高く最大の装置市場となり、これに北米の33・6%が続く。

 中国は2年連続で第2位の市場となり、韓国は設備投資の減少により第3位に下がるが、台湾と北米以外の全地域が縮小を見込んでいる。2020年の半導体製造装置市場の回復は、先端ロジックやファウンドリ、中国での新規プロジェクトによってけん引される。ただ、比較的規模は小さいものの、メモリーも回復をけん引する一因となりそうだ。

 台湾が154億ドルで引き続き最大市場となり、中国が149億ドルで第2位、韓国が103億ドルで第3位となるが、欧州の装置販売額も、45.9%増の33億ドルに急成長する見込み。2020年にマクロ経済が改善し、貿易の緊張が緩和すれば、さらに上向きになる可能性が高い。

 2021年には、調査対象のすべてのセクターが成長し、メモリー投資額の回復が本格化する。中国は160億ドルを超える製造装置販売額を記録して最大市場となり、これに韓国、台湾が続くと予想される。

三井化学 「東京都スポーツ推進企業」に5年連続認定

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2019年12月12日

 三井化学はこのほど、今年度の「東京都スポーツ推進企業」に5年連続で認定された。

フィットネス教室で体を動かす参加者
フィットネス教室で体を動かす参加者

 東京都では2015年度から、東京都オリンピック・パラリンピック準備局が事務局となり、2020年に向けた「スポーツ都市東京」の実現を目的に、従業員のスポーツ活動促進への優れた取り組みや、スポーツ分野で支援を行う企業などを「東京都スポーツ推進企業」として認定している。今回は、同社が実施する「ヘルシーマイレージ合戦!」への取り組みが評価された。

 「ヘルシーマイレージ合戦!」は、国内9事業所と出向者(海外赴任者含む)が参加対象で、3~6人で構成される任意のチームまたは個人でエントリーし、運動量や健康的な生活によって得られるマイルを、ゲーム感覚で楽しみながら貯める3カ月間のプログラム。年2回の実施により、直近3年間で延べ2万人超の社員が参加した。

 また、本社を含めた計7事業所の健康管理室に配置する専属産業医や保健師、衛生管理者が運用・推進し、小規模事業所や関係会社の主要工場の嘱託産業医・看護師からの協力も得ながら、グループ社員の健康増進をサポートしている。同社は今後も、スポーツ推進の取り組みを通じて全社員の健康増進を図るとともに、コミュニケーションの活性化に努めていく考えだ。

住友化学 サステナビリティ推進、社員参加型PJを実施

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2019年12月12日

 住友化学はこのほど、サステナブルな社会の実現への貢献を目指す社員参加型のグローバルプロジェクト「For a Sustainable Future ―JIRI RITA―」(10月4日~12月3日)を実施した。

 今回の取り組みは、国内外の同社グループ全役職員を対象に、103もの言語に対応した専用ウェブサイトを通じて、経営上の7つのマテリアリティ(最重要課題)や同社グループの取り組みをクイズ形式で学び、課題解決のために業務を通じて何をするかを投稿するもの。昨年度以上に国内外のグループ会社から多くの参加があり、期間中のクイズ参加延べ人数は2万2796人、投稿数は1万2067件に上った。

 同社は、住友の事業精神の1つである「自利利他 公私一如」に基づき、サステナビリティ推進を「事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、自らの持続的な成長を実現する」と定義。そして、その実現のためには、トップのコミットメントと各事業を通じた貢献、さらに、同社グループ全役職員が自ら考え、行動することが重要と捉えている。

 2015年度から昨年度までは、同社グループの一体感醸成とSDGsへの理解促進を主眼に置いた社員参加型のグローバルプロジェクトを実施してきたが、今年度は、マテリアリティを切り口とし、社会課題や各マテリアリティ間の関係性などへの理解を深めて、新たな行動につなげることを目指した内容とした。

 住友化学グループは、持続可能な社会の実現に向けて、引き続き全社一丸となって創造力を最大限に発揮し、化学の力による新たな価値創造を通じた社会課題の解決を目指していく。

AGC セントラル硝子と国内建築用ガラス事業を統合

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2019年12月12日

 AGCはこのほど、セントラル硝子との間で、国内建築用ガラス事業に関する事業統合についての基本合意書を締結したと発表した。今後は2020年12月末を目標に事業統合の完了を目指し、詳細な検討、協議を進めていく。

 国内建築用ガラス事業は、新設住宅着工数の減少や複層ガラスの普及に伴う需要構造の変化を受け、合理化や流通形態の変革を継続的に実施してきたものの、厳しい事業環境が続いている。

 少子化などにより今後さらに需要の減退が見込まれ、また老朽化した設備のメンテナンス費用を捻出し安定供給を実現するためにも、産業全体として改革が迫られている。

 両社は、このような経営環境の下、相互に自社の強みを強化・補完し合いつつ、同事業の統合を行うことを通じて、より一層の経営および資本の効率化と収益性の向上、企業基盤の充実を図ることが、両社の発展に資すると判断した。

大陽日酸 子会社が宇部工場を新設、液化炭酸ガス・ドライアイス製造

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2019年12月12日

 大陽日酸は11日、子会社の日本液炭が山口県宇部市の宇部興産の敷地内に、液化炭酸ガスとドライアイス製造工場=宇部工場=の新設を決定したと発表した。生産能力は、液化炭酸ガスが200t/日、ドライアイスが150t/日(黒崎工場、水島工場からの移転分を含む)で、2021年11月の完成を予定する。投資額は約60億円。

 日本液炭は、国内の石油精製や化学プラントから副生される炭酸ガスを回収し、液化・精製して、液化炭酸ガスやドライアイスとして販売することで、環境負荷低減に貢献している。しかし、近年の原料ガスの大幅な減少により、製品需給が恒常的にひっ迫している状況にある。

 こうした中、宇部興産から借用する敷地内に、同社のアンモニア製造プラントから副生される炭酸ガスを原料として製品を製造する宇部工場を新設し、炭酸ガスの再利用促進とともに、製品の安定供給体制を確保していく。

 これと同時に、ドライアイス製造機能を、日本液炭の黒崎工場(三菱ケミカル・福岡事業所内)と水島工場(同・岡山事業所内)から宇部工場に移転集約。ユーザーのニーズに併せた使用形状まで加工できる設備も備えることにより、ドライアイス事業の効率化を進めていく考えだ。