JSR LIBの高容量化などを実現する技術を開発

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2018年12月18日

 JSRは17日、リチウムイオン電池(LIB)の高容量化や安全性向上などを実現する「ロールtoロール方式」の連続リチウムプレドープ技術を開発したと発表した。来年1月27~31日にフランスのストラスブールで開催されるAABCヨーロッパで発表する。

 LIBでは、電池内部でリチウムイオンが電解液を介して正極と負極間を行き来することで充放電が行われる。電池容量や出力に優れるシリコン系やハードカーボン系などの負極材のニーズは高いものの、これらの負極材では初回充放電時の副反応で、一部のリチウムイオンを消費してしまうため、電池本来の充放電容量を最大限発揮できないことが課題とされていた。

 同社のプレドープ技術は、初回充電時のリチウムイオン消費分をあらかじめ負極材に添加させることで、この課題を解決し、電池を高容量化することができる。例えば、シリコン系負極材に同技術を適用すると、電池の容量を従来対比で20~40%程度向上させることが可能だ。

 また、正極材を過剰に使用しなくて済むため、LIBの安全性も向上するほか、負極の劣化が抑制されることでLIBの寿命が延びるなど、LIBの技術水準を底上げする革新技術である。

 同社では、長年にわたりリチウムプレドープ技術の研究開発を行っている。連結子会社のJMエナジーでは、 プレドープ技術を使用した蓄電デバイスであるリチウムイオンキャパシタの量産実績もある。その知見を生かして今回、ロールtoロール方式のプレドープ技術の開発に至った。

 同方式は、LIB製造工程で通常採用されている方式のため、LIBメーカーは材料や製造工程を大きく変更することなく、技術の導入が可能となる。

 近年、省エネルギー化・低炭素社会の実現に向け、LIBを中心とした蓄電デバイスの重要性が高まっており、さらなる高容量化・高出力化・安全性向上などが求められている。同社は今後もさらに検討を進め、LIBをはじめとする各種蓄電デバイスの付加価値向上に最適なソリューションを提供し、この分野の発展に貢献していく考えだ。

 

伊藤忠商事 グループ会社のパイナップル残渣を発電事業に活用

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2018年12月17日

 伊藤忠商事のグループ会社であるDole Philippines(本社:フィリピン、以下「Dolefil」)はこのほど、フィリピンで電力・水道・病院・高速道路などを運営

ドールのパイン農園
ドールのパイン農園

する大手企業グループMetro Pacificグループ傘下で、2017年に設立し食品残渣を原料とした、バイオガス製造事業とバイオガス発電事業を行うSurallah Biogas Venture Corp.(本社:フィリピン、以下「SBVC」)と、今後16年間の長期エネルギー売買契約を締結したと発表した。

 これは、Dole商品の製造過程で生じるパイナップル残渣をバイオガスの原料として、DolefilからSBVCに供給し、製造されたバイオガスを電力としてSBVCからDolefilが買い取るもの。この取り組みを通じて、再生可能エネルギーの活用を通じた環境負荷の低減と、Dolefilの電力コスト削減を図ってく。

 Metro Pacificグループ傘下のSBVC社がバイオガス発電設備を建設し、2020年の操業開始以降、ガスと電力を固定価格でDolefilに16年間に渡って供給するスキームとなる。フィリピン・ミンダナオ島では、電気料金が高騰し経営課題の一つとなっていたが、実現すればこれらの解決にも寄与することが期待される。

 また、伊藤忠商事は中期経営計画「Brand‐new Deal 2020 いざ、次世代商人へ」の中で、「エネルギーの最適な利用と供給」「テクノロジーを活用した経営の生産性向上」を掲げており、今回の取り組みはこれらに合致するものとしている。同社はサステナビリティ推進の観点からも、非常に有意義なものであると考えており、こうした事業活動を通じて、循環型社会の構築に積極的に取り組んでいく。

ブラジルの8月の主要化学品輸出入実績

2018年12月17日

 ブラジルの8月の主要化学品の輸出は、低密度ポリエチレン(LDPE)が4万7646t(前年同月比3.3%減)で最も多く、次いでポリプロピレン(PP)の3万8204t(同12.4%減)、高密度ポリエチレンの

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住友商事 「ESGコミュニケーションブック2018」を公開

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2018年12月17日

 住友商事はこのほど、社会・環境面の諸問題への取り組みや持続的成長についての考え方をまとめた「ESG(Environment、Social、Governance)コミュニケーションブック2018」を公開した。

 昨今、持続可能な社会の実現への関心や高まりを受け、企業の社会課題への取り組みやガバナンスなどの経営の仕組みから、長期的な企業価値向上の見通しを評価する、ESG投資の動きが広がっており、企業はそうした非財務情報の積極的な開示を求められている。同社は、ステークホルダーに向けた対話のツールとして、統合報告書やホームページを通じ非財務情報を開示している。

 今回、新たに「ESGコミュニケーションブック2018」を作成し、より充実した非財務情報を一元的に開示することで、様々なステークホルダーとの有効なコミュニケーションを図っていく。今後、同社グループは事業を通じて社会課題の解決に貢献し、社会とともに持続的に成長することを目指す。

ダウ・アグロサイエンス日本 疫病菌などに有効な殺菌剤2製品を新発売

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2018年12月17日

 ダウ・アグロサイエンス日本はこのほど、「ゾーベック」(一般名:オキサチアピプロリン)を有効成分とする2つの園芸用殺菌剤を販売開始した。新製品は「ゾーベック・エンカンティア」と「ゾーベック・エニベル」。

 米国デュポン社が開発した同製品の有効成分ゾーベックは、疫病菌やべと病菌に対して有効作用を持つ。新製品は、作用性の異なる成分からなる混合剤で、耐性菌の発達リスクを抑えるとともに、従来品「ゾーベック・エニケード」の防除効果はそのまま保たれている。また、浸透移行性や耐雨性に優れ、病原菌の生活環の全ステージにわたりこれらの作用をもたらす。

 登録作物は、ゾーベック エンカンティアがばれいしょ・レタス・ハクサイ、ゾーベック・エニベルがトマト・きゅうり・ブドウ。

東京電力フュエル&パワー 全軸高効率化完了し燃料費削減と収益力向上へ

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2018年12月17日

 東京電力フュエル&パワーはこのほど、発電効率の向上と増出力を目的に、2015年7月から横浜火力発電所7号系列(燃料:LNG、定格出力:35万kW×4軸)と、8号系列(燃料:LNG、定格出力:35万kW×4軸)の改良型コンバインドサイクル発電設備の全8軸について、ガスタービンなどの取り替えを実施していたが、今回、8号系列第2軸の取替工事が完了したと発表した。

 ガスタービンなどの取り替えにより、発電効率は54.1%から55.8%へ向上し、定格出力も35万kWから37.7万kWへ増加した。今回の8号系列第2軸の取替工事をもって、7・8号系列全軸の高効率化が完了した。これにより、全8軸で燃料費を年間約80億円、CO2排出量を年間約24万t削減できる見込みだ。

 また、蒸気タービンの据付工法見直しなどにより、工事期間短縮に努めた結果、2015年7月の初軸更新時の計画から、25日前倒しで取り替えを実現した。同社は引き続き、燃料費の戦略的削減と収益力の向上により、低廉な電力を安定的に供給し、福島の復興に向けた原資の創出に全力を尽くしていく方針だ。

 

三菱日立パワーシステムズ 米国でピーク電源用のガスタービンを受注

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2018年12月17日

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS)はこのほど、空気冷却方式のG形ガスタービンである出力27万5000kWのM501GAC(G‐series Air‐Cooled)1基を、ピーク電源用として米国中西部の電力会社向けに受注したと発表した。

 また、同社のデジタルソリューションサービスである「MHPS‐TOMONI」も導入することで、より柔軟なピーク電源ソリューションを提供することができるようになる。

 今回、同社が受注したガスタービンは、同社のG形シリーズで培った信頼性の高い実証済みのガスタービン技術を深化させ、出力が不安定な再生可能エネルギーとの共存に向けて起動時間の短縮などを実現させたもの。

 米国の西部や中西部では、風力や太陽光など再生可能エネルギーが爆発的に成長しており、これらの不安定な電力を補完するためのピーク電源の確保が課題となっている。その不安定さを補完するために、10分で急速起動、5万㎾/分の負荷変化率を実現し、NOx(窒素酸化物)排出量を濃度9ppm以下に抑制する。

 同社米国法人の、ポール・ブローニング社長兼CEOは「再生可能エネルギーは単独では不安定で、供給網に必要な持続性や信頼性に足る電力を供給できない。当社の大型ガスタービンは、500万時間以上の運転実績を有しており、こうした持続性や信頼性の高いガスタービンに柔軟性を組み合わせることで、顧客ニーズに応じた多様なエネルギーを供給することができる」と述べている。

 北米を中心に今後、ピーク電源用のガスタービンについても、より大出力の大型ガスタービンの採用が見込まれている。同社は、今回の501GAC形ガスタービンの受注を弾みとして、北米を含めた世界各地で再生可能エネルギー由来の発電と、大型ガスタービンを使った発電の組み合わせによる高効率発電の市場を創造し、その普及に力を注ぎ、電力の安定供給と地球環境負荷の低減に貢献していく。

 

丸紅 米国企業へ出資し新たなモビリティサービスを提供

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2018年12月17日

 丸紅はこのほど、今月3日に傘下の特定目的会社MAIHOⅢ社を通じて、米国で自動運転技術開発と自動運転配送サービスの事業化を推進する、スタートアップudelv社に出資したと発表した。

 udelv社は、2016年にカリフォルニア州で設立され、今年1月から公道でラストワンマイル(最終拠点から最終配達先までの配送区間)の自動運転配送サービス実証実験を開始し、これまでにサンフランシスコ・ベイエリアの公道で提携小売店の顧客向けに、1000回以上の自動運転配送サービスを実施している。

 今後、udelv社は自動運転車両の改良を重ね、カリフォルニア州のみならず、オクラホマ州やテキサス州へもサービスエリアを拡大していく予定。テキサス州では、丸紅がMAIHOⅢ社の子会社であるXL Parts社を通じて、展開するアフターマーケット向け自動車部品卸販売事業での実証実験も計画している。

 丸紅はudelv社への出資を通じて、物流分野でのラストワンマイルの効率化、将来の自動運転社会の到来を見据えた商用車フリートマネジメント(人や物の輸送サービスで利用する商用車両の調達・運用・処分といったライフサイクルを最適に管理する)事業など、新たなモビリティ・サービスの提供へ積極的に取り組んでいく方針だ。

 

ポリスチレン 原料安と食品包装需要増で好環境

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2018年12月17日

 ポリスチレン(PS)は、原料ベンゼン価格が軟化傾向にあること、またPSPなど食品包装向けが堅調なことから好環境となっており、良好なスプレッドを確保できる状況だ。PS価格は原料ベンゼンのアジア契約価格(ACP)やナフサ、また為替などを前提に四半期ごとの価格改定を行っている。

 昨年末から今年2月にかけて原油価格に連動してACPが上昇したため、PS価格は1Q(1―3月期)と2Q(4―6月期)は値上げとなった。その後ACPは高値安定となり、3Q(7―9月期)と4Q(10―12月期)のPS価格はステイで推移した。

 ただ、10月以降は原油価格が急落したことに加え、誘導品の定修など需要が減少したことからACPは下落基調となり、11月は785ドル、12月は660ドルで決着。4Q(10―12月期)の平均価格で見ても、3Q(7―9月期)から91.7ドルの下落となった。そのためPS価格は、来年1月の改定では値下げとなる見込みだが、改定幅については慎重に判断しているようだ。一方、需要についてはほぼ前年並みで推移している。

 スチレン工業会の発表によると1―10月では、フォームスチレン4%増、雑貨・産業用途は5%増と堅調に推移し、食品包装は2%減、電気・工業用は4%減とマイナスとなった。特に電気・工業用は米中貿易摩擦の影響などにより家電生産が減少したことを受け10月は10%減少している。

 食品包装用途はOPS(二軸延伸ポリスチレン)が、一部PETなどへの代替が進んだこともありマイナスだが、調理済み食品などをテイクアウトし家で食べる「中食(なかしょく)」ブームに加え、「個食化」も進んでおり、レンジアップ用容器向けにPSの使用量が増加傾向にある。冬の需要期を迎え12月に入っても出荷は堅調に推移しているもようで、今年(暦年)の内需(国内出荷+輸入品)は昨年並みの70万t弱となる見込みだ。

 一方、来年以降については、原油価格の乱高下による原料価格の変動や、経済減速による消費の落ち込みが懸念材料。中国旧正月休暇前後でベンゼン市況が動く可能性もあり、今後の市場動向が注目される。