新日本理化 京都R&Dセンター、次なる100年に向け始動

, , ,

2021年6月3日

 新日本理化がけいはんな学研都市(京都府精華町)に整備を進めていた「京都R&Dセンター」がこのほど竣工し、業務を開始した。地上3階建て。実験室やオフィスのほか、パイロットエリアを同施設内に併設しているのが特徴だ。2階まで吹き抜けの大空間では、製品化に向けた合成実験や樹脂の成形試作といった実証実験を行い、顧客の要望に応える多様な取り組みを進めていく。投資額は土地・建物・設備などを含め総額約30億円。

「京都R&Dセンター」の外観
「京都R&Dセンター」の外観

 三浦芳樹社長は、同センターを「次の100年への発展に向けた挑戦の場、まさしくBe the best SPICE! の総本山」と位置づける。

 2019年に創業100周年を迎えた同社は、2030年を目標に経営ビジョン「Be the best SPICE!」を打ち出し、「スパイス」にキラリと光る唯一無二の特性をもつ素材と、それを生み出す多様な価値観をもった精鋭たちの意味を込めた。新拠点を中核に、次なる100年を担う研究開発・技術力の強化と、オープンイノベーション推進による新たな価値の創造を実現していく。

 同センターのコンセプトは「開放」「融合」「挑戦」の3つ。技術や研究テーマ、研究拠点を開放し顧客と共に活気ある研究空間の創造を行い、同業、異業種、スタートアップ企業を問わず、親和性の高いビジネスパートナーとの交流や共同研究を進めていく中で、ダイバーシティ&インクルージョンの実現と技術の進化を目指していく。

実験室の様子
実験室の様子

 さらに、開放と融合の下にイノベーションを創出し、社会課題の解決に挑戦していく考えだ。コンセプトに基づき、多様なパートナーと技術交流・共同研究を行う共同実験室を設置したほか、オフィスエリアにフリーアドレス方式を採用することで自由に動けるメリットを生かし、研究員同士のコミュニケーション促進と新たな発想を生む環境を整えた。

 また、環境への配慮から、屋上に太陽光発電パネルを設置したほか、高断熱素材の使用や、空調後の空気の排気量を抑える「低風量ドラフトチャンバー」の導入などにより、建物全体のエネルギー消費量を抑制している。

 けいはんな学研都市は、京都市街の中心部から南へ30Kmに位置する。多くの研究機関が集中する文化・学術研究都市として、現代のイノベーション発信拠点となっている。

三井化学 新長計策定、化学の力で課題解決へ

,

2021年6月3日

ポートフォリオ変革加速し、多様な価値を創出

 三井化学は、地球環境問題や新型ウイルスといった新たな社会課題への対応と変わりゆく未来社会のニーズを見通し、2030年を目標とする長期経営計画「VISION2030」を策定した。

橋本修社長。経営概況説明会で
橋本修社長。経営概況説明会で

 2日に経営概況説明会をウェブで開催し、概要の説明を行った。橋本修社長は新長計への取り組みについて「化学会社として大きく貢献していくという視点に立ち、社会課題を見据えたビジネスの展開を進めていく」と強調する。

 今年は2016年にスタートした10カ年の前長計の折り返し地点となるが、近年、激変する社会変化や事業環境を背景に、長計の見直しを行っていた。20年先の方向性を示す、目指すべき企業グループ像を「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける企業グループ」と改定。ますます増えてくると予想される社会課題に対し、積極的に取り組んでいくことで、素材やサービスを提供していく姿勢を前面に打ち出した。橋本社長は、

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

三井化学 循環型社会に向けCR推進、BASFと協業へ

, , ,

2021年6月2日

 三井化学は1日、BASFジャパンとの間で日本でのケミカルリサイクル(CR)の推進に向けた協業検討を開始したと発表した。両社は、バリューチェーン横断的な連携を通じて、国内のプラスチック廃棄物のリサイクル課題に応えるCRの事業化を目指し、共同ビジネスモデルを含めあらゆる可能性を検討していく考えだ。

 三井化学は昨年、化学企業として社会に貢献し続けるため、2050年カーボンニュートラル(CN)目標を掲げた。また、気候変動とプラスチック問題を一体の課題として捉え、リサイクル技術・システムの開発とバイオマス製品ラインアップの拡充により循環経済の実現を目指している。平原彰男常務執行役員(ESG担当)は今回の協業について、「BASFが欧州で実証しているCR技術は価値あるソリューションであり、当社がもつ技術やエチレンクラッカーなどのアセットと組み合わせることで、循環経済の実現に向けた大きな布石になる」と強調する。

 一方、BASFはサステナビリティを経営の根幹に据え、プラ廃棄物をガス化・油化し、化学品原料として再利用する「ChemCyclingプロジェクト」を推進。2025年をめどに、年間25万tの化石原料をリサイクルまたは廃棄物ベースの原材料に置き換えることを目指している。

 両社は今後、各関係省庁・業界団体とも連携を図りながら、日本でのCRの社会実装に向けた協議を加速していく。CNやプラスチックの資源循環に向けた取り組みが世界的に高まる中、日本では昨年12月に、経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定するなど、循環経済に向けてリサイクルの重要性が一層注目されている。中でも、CRはマテリアルリサイクル(MR)を補完するソリューションとして期待されている。

三菱ガス化学 新潟エリアでCO2有効活用事業、共同検討

, , ,

2021年6月1日

 三菱ガス化学(MGC)と石油資源開発(JAPEX)はこのほど、両社の事業基盤などを生かした、新潟エリアにおけるCO2を有効活用した事業の可能性について共同で検討することに合意したと発表した。

 新潟市内でメタノールやアンモニアの製造実績をもつMGCと、新潟県内で複数の油ガス田で石油・天然ガスの生産操業を行うJAPEXが、MGC新潟工場と、両社が共同操業を行う東新潟ガス田を拠点とする、CO2を有効活用した事業の可能性を検討する。

 まず、MGCにおいて、新潟工場で発生するCO2を原料とするメタノール製造の事業可能性の検討を開始。同時に、JAPEXを中心に、同工場の余剰CO2を有効利用した、現在生産中の東新潟ガス田の石油ならびに天然ガスの増産を目的とするCO2-EOR/EGR(石油/ガスの増進回収法)の技術検討を実施する予定。

 また将来的には、CO2を原料にメタンを製造するメタネーションや、東新潟油ガス田で実施したCO2-EOR/EGR技術を活用した、CCUS(CO2の分離・回収、有効活用、貯留)の、新潟エリアを中心とする展開も視野に取り組んでいく。

 なお、新潟県では、昨年9月に「2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す」ことを表明しており、また、昨年10月に政府が示した「2050年カーボンニュートラル実現」の目標を受け、官民での動きが加速。これらの方針を踏まえ、新潟県は、関東経済産業局とともに、今年3月に、「新潟県カーボンニュートラル産業ビジョン」と「事業モデル展開ロードマップ」を策定し、新潟県固有の地域資源や技術シーズを活用した新たな産業の創出を推進している。

 両社は、新潟エリアをはじめとする2050年のカーボンニュートラル実現へ、それぞれの強みを生かした貢献を目指していく。

三菱ケミカル フィルムコーティングメーカーを買収

, , ,

2021年5月31日

 三菱ケミカルは28日、フィルムコーティングメーカーである中井工業(京都府京都市)の全株式を取得し、連結子会社化したと発表した。

 中井工業は、その長い歴史のなかで培ってきたフィルムのドライ/ウェットコーティング技術、およびその組み合わせであるコンポジット技術を駆使し、実績を積み重ねてきた総合コーティングメーカー。転写箔から産業用特殊フィルムなど幅広い市場向けに事業を展開している同社は、顧客からの多様な要望に対して的確なソリューションを提供することを得意としており、高付加価値な製品を顧客とともに開発することで高い評価を獲得してきた。

 三菱ケミカルは現在、世界5拠点(日本・中国・インドネシア・米国・ドイツ)でポリエステルフィルムを製造・販売するとともに、スマートフォンやディスプレイなどの光学用途を中心としたポリエステルフィルムの加工(コーティング)事業を展開。近年、フィルムに求められる性能はますます高度化していることから、中井工業の持つ技術・ノウハウ・人材・加工設備とのシナジーを通じて、広範な顧客からの高度な要望に素早く対応できる体制が構築できると判断した。

 三菱ケミカルは、光学用途や通信機器向けを中心とする高機能ポリエステルフィルムの旺盛な需要に対応するべく、インドネシアにおける新ラインの増設などの成長戦略を進めており、今回の買収により加工技術を拡充することで、この取り組みを加速させる。今後も、ポリエステルフィルムのリーディングカンパニーとして、積極的な事業展開を図っていく。

 

出光興産 シェル美術賞2021実施、若手作家の登竜門

, ,

2021年5月28日

 出光興産はこのほど、次世代を担う若手作家の発掘・育成を目的とする「シェル美術賞2021」の作品募集を7月10日から開始すると発表した。

 「シェル美術賞」は、40歳までの若手作家を対象とする公募展で、1956年にスタートし今年で創設65年を迎える。コンテンポラリー・アートの分野で活躍する学芸員、作家など、新任2人を含む計4人の審査員による多彩な視点で審査を行う。詳細はウェブサイト(https://www.idemitsu.com/jp/enjoy/culture_art/art/index.html)に掲載。なお、締め切りは8月27日まで。

コベストロ DSMの事業買収完了、売上約10億ユーロ増

, , ,

2021年5月27日

 コベストロはこのほど、蘭・DSMからレジンズ&ファンクショナルマテリアルズ事業(RFM)買収を予定通り完了した。両社は昨年9月に買収契約を締結していたが、今回、規制当局より取引の承認が得られ、事業買収が完了した。

 この取引により、コベストロのサステナブルなコーティング樹脂のポートフォリオが大幅に拡大し、コベストログループはこの成長市場における世界最大手となる。RFM統合の結果として、グループの売上が約10億ユーロ増加するとともに、20拠点以上が加わることでグローバルな生産ネットワークがさらに充実する。

 また、様々な分野でコベストロの事業が拡大。コベストログループは、現在でも水系ポリウレタンディスパーション分野における大手であるが、RFMの買収により、水系ポリアクリル樹脂全般をはじめ、サステナビリティの観点から強力なブランド力をもつ「Niaga」や、アディティブマニュファクチュアリング(積層造形、3Dプリンティング)に加え、先進的な太陽光発電向けコーティング事業も傘下に収める。さらに、水系ハイブリッド技術、パウダーコーティング樹脂、紫外線硬化樹脂などの追加によって、コベストロの技術ポートフォリオが充実する。

 同社は、総合的な分析に基づき、完全統合による永続的なシナジーとして、2025年までに年間約1億2千万ユーロの積み上げを見込んでいる。このうち、約3分の二がコスト面、約3分の一が収益面のシナジーとなる。

大陽日酸 高圧ガス容器の再検査を行う新会社に出資

, , , ,

2021年5月27日

 大陽日酸はこのほど、高圧ガス容器の容器再検査を行う新会社「みんなの耐圧場」に出資したと発表した。

 高圧ガス容器は保安の観点から高圧ガス保安法により定期的な容器再検査が義務付けられているが、現在、既存の容器再検査場では設備老朽化や作業者の高齢化による人手不足といった問題点が顕在化しつつある。

 こうした中、高圧ガス容器によるシリンダー事業を将来にわたり継続させるために、容器再検査の品質および保安の確保が必須であるとの認識に賛同した、容器再検査会社、大陽日酸の特約店会のメンバー会社および関連会社の14社による共同出資で容器再検査新会社「みんなの耐圧場」を設立。

 出資14社のスケールメリットを活かすと共に、確実な容器検査を行うための工程の自動管理と環境に配慮した粉体塗装を採用することで、人手不足も解消し、安全で質の高い容器再検査サービスを提供する。

 大陽日酸は「みんなの耐圧場」の出資に加え、容器再検査場の場所と検査設備の提供を行い、同社の操業に貢献していく。

旭化成 中計進捗、収益力を強化し再び成長軌道へ

, ,

2021年5月26日

脱炭素に貢献、カーボンニュートラル宣言を発表

 旭化成は25日、中期経営計画「Cs+(プラス) for Tomorrow 2021」(2019~2021年度)の進捗についてオンラインによる説明会を開催した。

経営概況説明会 小堀社長
経営概況説明会 小堀社長

 小堀秀毅社長は「現中計を開始した2019年4月以降、米中デカップリングによる国際情勢の変化、カーボンニュートラルを目指した脱炭素の動きの加速、コロナ影響による社会・経済・生活の変化など経営環境が大きく変わってきた。不連続・不確実な環境においてリスクの再確認をしながらも、変化をビジネスチャンスとして捉え、先手を打った行動をとることで企業価値の向上につなげる」と強調した。

 今年度の業績予想については、マテリアル領域の業績回復を見込むものの、中計最終年度目標(営業利益2400億円、営業利益率10%)に対し未達となる見通し。小堀社長は

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について