ENEOS MIの合弁会社を設立へ、新物質開発など支援

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2021年5月17日

 ENEOSはこのほど、新物質開発・材料探索を加速する高速の汎用原子レベルシミュレータを提供する合弁会社の設立について、Preferred Networks(PFN)と合意したと発表した。出資比率はPFN:51%、ENEOS:49%。

汎用原子レベルシミュレータで計算された触媒表面の例
汎用原子レベルシミュレータで計算された触媒表面の例

 両社は2019年度に戦略的な協業体制の構築に合意しており、AI技術を活用したマテリアルズインフォマティクス(MI)分野での革新的事業創出を検討してきた。新会社では、今夏をめどに、両社の知見をもとに開発した高速の汎用原子レベルシミュレータをクラウドサービスとして提供していく予定だ。

 両社は今回、材料探索技術の高速化と汎用性向上を実現するため、従来の物理シミュレータに深層学習モデルを組み込み、原子レベルで材料を再現することで大規模な材料探索を行える汎用原子レベルシミュレータを開発。深層学習モデルの訓練には、スーパーコンピュータを使って物理シミュレーションした膨大な量の原子構造データを使用している。これにより、計算スピードは従来の数万倍に高速化するとともに、領域を限定しない様々な物質に適用可能な汎用性を実現した。

 同協業では、MIのコア技術となる汎用原子レベルシミュレータを提供することにより、様々な材料開発分野での革新的な素材開発を加速させ、イノベーション創出・実現に貢献していく考えだ。

東海カーボン ローリング中計を発表、成長軌道へ回帰

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2021年5月17日

 長坂社長「海外拠点とのシナジー効果を最大化」

 東海カーボンは11日、ローリングプラン中期経営計画「T-2023」(2021~2023年度)を発表した。オンライン会見において長坂一社長は「社長に就任してからの2年間は構造改革に注力し、2017以降は総額1800億円のM&Aを実施し成長戦略に取り組んできた」と振り返り、「グローバル競争に勝ち残るため、ここでいったん立ち止まり、海外を中心に急拡大したビジネスの足元を固める。新たに獲得した海外拠点とのシナジー効果を最大化し、収益を上げていく」と語った。

 同社は、全体最適による統合効果創出の布石をすでに打っている。黒鉛電極では、米国拠点を充実させ、地産地消化を推進。精錬ライニング事業は、買収した欧州2拠点(ポーランドとフランス)の間で生産品目の最適化を図るとともに、押出材を仏拠点に集約しコストの引き下げを狙う。また、LIB用負極材の製造ノウハウも仏拠点に移管し、EVの成長が見込まれる欧州市場での生産拠点にしていく。今年から順次これらの効果が現出する見込みだ。

 事業ポートフォリオの改善では、コロナ禍で主要製品の黒鉛電極とカーボンブラック(CB)がダメージを受ける中、精錬ライニングやファインカーボン(FC)事業が確実に成長しており、「今では電極やCBの収益安定が課題」との見方を示した。事業環境については、「中国や欧米では想定以上に経済回復が見られる。鉄鋼、自動車、半導体、アルミ関連などの対面業界は力強く回復しており、さらに今後発展していく」と見通した。

 一方、新中計のチャレンジとして、脱炭素とウィズコロナを挙げた。「これらは長期的に世界を大きく変えるテーマだ。当社自身も変わらなければならない」とし、具体的な対応策については、中計期間内に同社の強みや社会的意義を再定義し、足元の経営戦略へつなげる。脱炭素については、社長をリーダーとした「カーボンニュートラル推進プロジェクト」を5月に発足。CN社会実現に向けて、グループの低炭素・脱炭素対応を組織横断的な取り組みとして推進していく考えだ。

 「T-2023」の基本方針として、①主力事業の成長軌道回帰、②事業ポートフォリオの最適化、③連結ガバナンス体制強化を掲げ、最終年度の定量目標は、売上高3200億円、営業利益570億円、ROS18%、EBITDA860億円を目指す。

 ①の戦略において、黒鉛電極は「絶好調の状況に近づきつつあり、市況回復の条件が整ってきた」としたが、本格的な回復は2022年以降を見込む。CB事業は堅調に推移すると想定するも環境負荷が高いため、「環境投資費用を製品に転嫁する価格戦略が重要になる」と指摘した。

 ②の戦略において、FC事業は、半導体市場とPV(太陽光発電)市場が成長する中、韓国子会社の生産能力の拡大を図るとともに、高付加価値品市場に注力していく。精錬ライニング事業は、買収した2社をTCX社に統一。顧客データの一元化、製造技術の共有、システムの統合による生産・販売・関係管理の一体化に取り組み、シナジー効果に期待する。工業炉については、好調なMLCC(積層セラミックコンデンサ)およびLIB業界で確固たる地位を継続。次世代炉の開発に注力し、2023年には売上200億円、営業利益50億円に収益を拡大させる考えだ。

 3年間の営業キャッシュフローは累計1500億円を見込み、配分として、設備投資に660億円、債務圧縮に370億円を計画。M&A・アライアンスといった戦略投資も積極的に行っていく意向を示した。

 

東ソー、塩素化パラフィン 来年5月に生産・販売を停止

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2021年5月17日

 東ソーは14日、東北東ソー化学(山形県酒田市)が製造し、東ソーが販売している塩素化パラフィン「トヨパラックス」の生産と販売の停止を決定したと発表した。生産停止時期は、2022年5月下旬を予定。

 東ソーの塩素化パラフィンは、1953年に南陽事業所(山口県周南市)で製造を開始して以来、半世紀にわたり事業展開してきたが、近年は設備老朽化が著しく、今後の安全生産、安定供給のためには設備更新が必要となっている。さらに、環境規制の観点から、将来的な事業継続性は先行き不透明な状況となっているため、今回、設備更新の投資を断念し生産の停止を決定した。

 

 

旭化成 アクリルラテックスと光触媒塗料の事業から撤退

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2021年5月14日

 旭化成はこのほど、アクリルラテックス「ポリデュレックス」「ポリトロン」事業と光触媒塗料「デュラ光」事業からの撤退および両事業の製造拠点である和歌山工場の閉鎖を決定したと発表した。2022年4月末に生産を終了し、同年10月末の販売終了を予定している。

 アクリルラテックス事業は、1970年に和歌山工場で生産を開始し、これまで約51年間にわたり国内外の顧客へ製品を提供。一方、光触媒塗料事業は、2009年に同工場で生産を開始し、約12年間にわたり製品を提供してきた。しかし、主に国内市場の需要減少などにより両事業ともに販売量が減少し、近年は収益性の低下も課題となっていた。

 市場環境の厳しさがさらに増す中で、同社は事業継続に向けたあらゆる努力を続けてきたものの、将来的に拡大戦略を描くことが難しいと判断し、今回、両事業からの撤退、製造拠点である和歌山工場の閉鎖を決定した。

 同社は中期経営計画において、「高い収益貢献」「高い市場成長率」「価値提供注力分野」「持続可能な社会との親和」の四つの判断軸に基づいて経営資源配分を行い事業ポートフォリオの転換を図っている。今後は同事業に投入していた経営資源を他の注力事業へ振り向けていく考えだ。

クレハ 中計を2年再延長、未達成課題の完遂目標

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2021年5月14日

高機能製品事業を拡大、PGAは23年黒字化へ

 クレハは12日、中期経営計画「Kureha‘s Challenge 2022」(中計ストレッチ・ファイナルステージ)を発表した。会見において小林豊社長は「前中計の計画に対し、昨年度の業績はそれほど悪くないように見えるが、私としては満足していない」と語った。昨年度の業績は売上収益1446億円(計画1570億円)、セグメント別営業利益189億円(同180億円)、営業利益173億円(同180億円)となったが、収益拡大を目指した機能商品は目標が大幅な未達となった。PVDFはLIB用バインダーの需要が一気に立ち上がり利益が増加したが、PGAはコロナ禍によりシェール生産が減少するなど事業環境が悪化。PPSについても、自動車向けに市場が拡大しているものの収益性が高まっていない。

 また既存製品についても、「クレラップ」はコロナ禍でも堅調だった反面、業務用包材は欧州市場がシュリンクした影響を受けた。小林社長は「収益性の低い製品や

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JSR 通期業績予想を修正、エラストマー事業を譲渡

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2021年5月14日

 JSRはこのほど、エラストマー事業を非継続事業に分類することに伴い、通期業績予想を売上収益3180億円(前回発表比1500億円減)、コア営業利益430億円(同100億円減)、営業利益430億円(同100億円減)、親会社の所有者に帰属する当期利益270億円(同50億円減)に修正した。

 同社は、エラストマー事業を新たな子会社に継承させたうえで、ENEOSに譲渡することを決定。そのためエラストマー事業を第1四半期(4-6月期)から非継続事業に分類し、売上収益、コア営業利益、営業利益は非継続事業を除外した継続事業の金額として表示。一方、親会社の所有者に帰属する当期利益については、非継続事業の損益を含んだ金額を表示している。今回のエラストマー事業の譲渡に加え、持分法会社錦湖ポリケムの合弁解消、その他エラストマー事業構造改革費用の影響の見通しを非継続事業の損失として通期業績予想に反映させた。

出光興産 中期経営計画を見直し、戦略を再構築

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2021年5月13日

新たな30年ビジョンを策定、将来の変革に挑戦

 出光興産は中期経営計画(2020~2022年度)の見直しを公表した。オンライン会見において木藤俊一社長は「中計を公表した2019年以降、コロナ禍による主力の燃料事業の大幅な需要減少や2050年カーボンニュートラル(CN)宣言による脱炭素化の加速など様々な環境変化があった」とし、

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三菱ケミカル 中国のBPA・PC合弁事業、全株式を譲渡

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2021年5月12日

 三菱ケミカルはこのほど、ビスフェノールA(BPA)とポリカーボネート(PC)樹脂を展開する、持分法適用会社である中石化三菱化学聚碳酸酯(北京)有限公司(SMP)の保有株式を、今年10月末を目途に中国石油化工股份有限公司(Sinopec)に譲渡することで同社と合意したと発表した。

 SMPは2009年に三菱ケミカルおよび三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)の共同投資会社であるピーシーアール・インベスツメンツ・ジャパン(PCRIJ)とSinopec社の合弁会社として設立し、BPAおよびPC樹脂の製造・販売を展開してきた。

 2012年に製造を開始して以来、中国をはじめとする両製品の需要増加に対応してきたが、三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画に基づいたポートフォリオ改革の一環として、PCRIJが保有するSMPの全株式をSinopec社に譲渡することを決定した。

 

JSR 持分法適用会社の錦湖ポリケムの合弁を解消

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2021年5月12日

 JSRは11日、持分法適用会社である韓国・錦湖ポリケムのJSR保有の全株式をKumhoペトロケミカル(KKPC)に譲渡し、合弁契約を解消すると発表した。譲渡は7月1日を予定している。これにより錦湖ポリケムはJSRの持分法適用会社から除外されることとなる。

 錦湖ポリケムは、1985年にJSRとKKPCとの合弁会社として設立され、主にエチレン・プロピレンゴムの製造と販売を行ってきた。設立当初から、同社の製品は、自動車業界に向けてなくてはならない製品として認識されている。

 JSRは、現在の事業環境を踏まえて、各事業の戦略の見直しを行っており、当該事業が成長し続けるためには、適切な規模での経営資源の投入を検討するなどの事業変革が必要であり、KKPCの単独資本下で迅速な意思決定を可能にすることが企業価値向上につながると判断し、合弁契約を解消することでKKPCと合意に至った。