化学のスペシャリティ化推進、環境問題にも注力
宇部興産は19日、中期経営計画「Vision UBE 2025‐Prime Phase‐」(2019~2021年度)の進捗状況について、電話会議による会見を行った。泉原雅人社長は「昨年度は、コロナ影響で化学・機械の両部門の需要が上期を中心に大きく減退し減益となった。今年度は回復過程にあるものの、中計目標からは乖離する」との見通しを示した。成長戦略については、
2021年5月24日
2021年5月21日
東洋紡はこのほど、新しい素材や材料の開発に取り組むスタートアップ企業(マテリアルテックスタートアップ)を対象とする投資ファンド「JMTCケミカル&マテリアルズ投資事業有限責任組合」に、一次募集出資者として参画したと発表した。
同ファンドは、日本材料技研(東京都中央区)が代表社員を務めるJMTCキャピタル合同会社を無限責任組合員として、今年4月1日に設立。革新的な技術をもつシードステージ(起業前、起業直後)にあるマテリアルテックスタートアップの成長を支援するため資金提供を行う。
東洋紡は、2018年に欧州基盤の化学系ベンチャーファンドに参画するなど、オープンイノベーションによる事業開発を推進。今回、設立の企画段階より日本材料技研との連携を図り、一次募集出資者としての参画を決定した。同ファンドを通じて入手する、同社の事業領域と親和性の高いマテリアルテックスタートアップの情報を活用し、協業機会の創出を目指す考えだ。
東洋紡は、「素材+サイエンスで人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループ」を〝めざす姿〟として掲げる。今後も有望なスタートアップ企業への支援を通じて、社会課題の解決に貢献していく。
2021年5月20日
旭化成はこのほど、経済産業省特許庁が主催する「知財功労賞」の経済産業大臣表彰を受賞した。「知財功労賞」は毎年、経済産業省特許庁が、知財制度を有効に活用し、円滑な運営・発展に貢献のあった企業などに対して行っている。
今回、同社は「知的財産権制度活用優良企業」として、特許分野での知財活動が評価された。具体的には、①事業の利益を守り、事業の価値の最大化を実現するという恒久的な知財ミッション(サステナブルIPゴールズ)を掲げ、徹底して事業貢献を意識した知財活動を実施、
②デジタルトランスフォーメーション(DX)による事業高度化に知財面から貢献するため、事業環境の分析や事業戦略の策定にあたっては知財情報等を活用したIPランドスケープ活動を全社横断で推進。またDXによる事業構造の転換に備え、知財部内に専門のIPDXチームを組織し、先行技術調査ガイドラインや発明創出ガイドラインを作成し、全社支援を行っている、
③研究者に対する知財マインド向上を目的とした教育カリキュラムが徹底されており、現名誉フェローの吉野彰氏をはじめとし、代々の研究者に高い知財マインドが継承されている、などが受賞理由に挙げられている。
同社は今後も知的財産権を有効に活用し、新規事業の創出や事業戦略の立案などに役立てることで、「持続可能な社会の実現」と「持続的な企業価値の向上」の双方を実現していくことを目指していく。
2021年5月20日
プラスチック循環利用協会はこのほど、機能性包装が適用された備蓄食品(アルファ米、クッキー)の環境貢献に関する調査研究を報告した。同協会では、プラスチック製食品容器包装について、ライフサイクルアセスメント(LCA)手法を用いた環境影響評価を実施している。
今回は、災害備蓄食料に注目し、機能性包装(蒸着フィルム)が適用された備蓄食品について、環境負荷削減効果に関わる定量的解析を行った。研究調査内容として、災害備蓄食品に関する報告書に示された備蓄期間終了後の有効活用と廃棄の割合に基づき、備蓄食品として販売されているアルファ米、クッキーについて備蓄から賞味期限までの消費シナリオを、機能性包装および一般包装に適用しLCAを実施。
調査結果として、賞味期限1年の一般包装品の負荷を基準とすると、アルファ米の機能性包装製品において賞味期限3年の場合、GHG排出量は57%の削減、賞味期限5年の場合、74%削減効果となった。
同様にクッキーでは、賞味期限3年の場合、GHG排出量は65%削減、5年の場合は79%の削減効果となっている。日本全体に備蓄されているアルファ米とクッキーの総量(推計)に基づき、すべての包装を賞味期限5年の機能性包装に置き換えた場合のGHG削減貢献の可能性量は、約5万7000t-CO2eと推算された。また、推奨されている最低3日分の備蓄食品について、1日当たりの備蓄量をアルファ米2食、クッキー1食の組み合わせを適用すると、日本全体でのGHG排出削減の可能性量推計は約14万t-CO2eと推算された。
同協会は、「社会的に欠かすことのできない災害対策物資に関わる備蓄食品において、プラ製容器包装が提供する環境負荷削減への貢献を示すことができた」とし、「プラ製食品包装の適用による食品ロス発生の抑制は、食品安全保障の改善や、GHG排出量削減など気候変動対策の一つとしてその寄与は大きい」としている。
2021年5月20日
三菱ケミカルホールディングス(MCHC)は19日、北米最大のスタートアップインキュベーターであるグリーンタウン・ラボ(GL)と、「The KAITEKIチャレンジ」の参加企業として革新的なチャレンジに取り組む先進的スタートアップ六社を選出したと発表した。
「The KAITEKIチャレンジ」は、MCHCがGLと共同で立ち上げたアクセラレータープログラムで、日常生活における持続的な消費を可能とするソリューションに焦点を当てている。代替たんぱく質、プラスチックおよびパッケージング分野をテーマにスタートアップを募集しており、35カ国115社の応募があった。今後、同プログラムを通して選出した6社を支援し、MCHCグループ企業との協業に向けたパートナーシップを深めていく。
具体的には、MCHCグループ企業との協業推進ならびにMCHC経営陣との対話、GLのネットワークと支援体制へのアクセス、助成金2万5000ドル(株式の希薄化を伴わない)、協業を深めるため双方合意のうえで株式出資検討などを行う予定。
MCHCのCIO&CTOのラリー・マイクスナー氏は「私たちは、この6社の素晴らしいスタートアップ企業とグリーン・ラボと共に新しい事業価値を創造していくことで、持続可能な消費を可能とする社会の実現に貢献できることを非常に嬉しく思う」とコメントしている。
なお、4月15日に開催した「The KAITEKIチャレンジ」のキックオフイベントの模様は(https://vimeo.com/537750435)で視聴できる。
2021年5月19日
DSMはこのほど、様々な業界をリードするパートナーと、新しい産業間の連合「CirculariTeam」を発足した。この産業連合では、各業界で再生可能なバイオベースおよびリサイクルベース資源への移行推進を目指している。
CirculariTeamは、世界最強の繊維「ダイニーマ」の資源循環の完結を目指し、知見、リソース、および技術的ソリューションを共有する共通のプラットフォームを提供する。業界横断的な連合体制は、「ダイニーマ」を使用している企業で構成され、それぞれの業界において、再生可能なバイオおよびリサイクルベースの資源への移行に取り組む。これは、循環型の経済を可能にし、材料の価値を損なうことなく可能な限り長期にわたって維持するという、DSMのビジョン、使命に沿うもの。
CirculariTeamは、リバースロジスティクス、リサイクルやリユースソリューション、生産効率の改善(廃棄物削減を含む)、廃棄物の各素材への分離・分別、循環性のための設計、関連法規、および情報共有、といった主に7つのテーマに注力する。参加企業は、すでにこれらのテーマに関して協力を開始しており、今年末までに使用済み廃棄物から、新しい「ダイニーマ」繊維を製造する技術的な実現可能性の実証を目指している。
今後数年間、CirculariTeamは、目標を評価しつつ、定期的なサミットと継続的なコミュニケーションにより、その進捗を検証していく予定だ。
2021年5月19日
ランクセスはこのほど、2020年度事業報告と2021年度事業活動に関する記者説明会を開き、張谷廷河社長がグローバルと日本での活動を説明した。
ランクセスは世界33カ国で事業展開するドイツの特殊化学品メーカーで、昨年度の売上高は前年比10%減の61億ユーロ、EBITDAは同15%減の9億ユーロ。バランスのとれたポートフォリオでコロナ影響は比較的少なかったとしている。
ポートフォリオ改善のため昨年はカレンタ社と逆浸透膜、クロム化学品、有機皮革用化学品の各事業を売却する一方、今年はIntace社(特殊抗菌剤)、テセオ社(畜産向け消毒・衛生)、エメラルド・カラマ・ケミカル社(消費者商品用特殊化学品)の買収でコンシューマープロテクション部門を強化した。もう1つの成長分野を
2021年5月19日
2021年5月18日
2021年5月18日
ハイケムは17日、千葉県柏市に整備中の新研究所「ハイケム東京研究所」(鉄骨造3階建て)が今月31日に竣工すると発表した。現在、東葛テクノプラザと東大柏ベンチャープラザで行っている同社の研究開発機能を引き継ぐと同時に、延べ床面積を現在の7倍に拡大し、さらなる研究開発体制の強化を図る。
「ハイケム東京研究所」の主要テーマは「C1ケミカル」。炭素原子が1つのCOやCO2などから化学製品を合成するための触媒と製造プロセスの研究開発を担う。
同社が2009年から注力する「SEG技術」は、合成ガスを原料に非石油由来でポリエステル原料であるエチレングリコール(EG)を製造するもの。同技術に使用する触媒2種の性能改善やコストダウン検討をはじめ、今後工業化が期待できるエタノールや高級アルコールなどのC1ケミカル誘導品の製造に向け触媒開発への取り組みも加速させていく考えだ。
また、今回の東京研究所の機能強化により、①CO2を原料とする化学品製造についての研究開発の強化②生分解性材料の応用研究③セラミックバインダー「セランダー」の製造と品質管理などの新たな機能を追加する。
ハイケムは今年1月に「ニューセラミックスバインダー事業」を事業譲受し、自動車関連材料やスマートフォンなどの材料に使われるセラミックバインダー「セランダー」の製造販売を開始した。同製品は5G市場が本格的に立ち上がる中、その部材としても注目を集めており、中国市場への展開を加速。新しい研究所では来年から製造を開始するとともに、セラミックバインダー開発研究室も設け、国内外の旺盛な新規需要にも対応していく予定だ。
ハイケムは日中に3つの研究所をもち、約50人の研究員が在籍している。中国の南通研究所では、触媒工場の生産経験を生かし、東京研究所と協力してパイロット・スケールアップを行うほか、触媒の性能評価、触媒用途開発、プロセス技術改良への協力、有機合成なども担う。
また上海研究所では、プロセス設計やエンジニアリング、生産設備立ち上げ、プロセス技術改良など、工業化の重要な部分を担当している。3拠点での研究開発を通じ、基礎研究から実機レベルの技術検証まで、オールハイケムで産業化を実現していく。