三井化学 気候変動とプラ戦略に特化した新組織を設置

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2020年6月4日

 三井化学はこのほど、ESG推進室内に「気候変動・プラスチック戦略グループ」を今月15日付で新設すると発表した。「気候変動対応方針とプラ戦略の推進加速」「循環経済をはじめとするグローバルなESG情報の収集・分析と全社戦略への反映」「TCFDへの対応などの情報開示の強化」を目的に、気候変動対応とプラ戦略を一体と捉えた取り組みを加速し、循環経済実現への貢献を図る考えだ。

 同社グループは、プラスチックを中心とする製品・サービスを提供する化学企業として、気候変動とプラ問題を重要な社会課題と位置づける。一昨年4月にESG推進室を設置。ESG要素を経営・戦略に積極的に取り込み、「環境と調和した共生社会」と「健康安心な長寿社会」の実現に向けてビジネスモデルの変革を進めている。

 昨年には、金融安定理事会によって設立された気候関連財務情報開示タスクフォース=TCFDの提言へ賛同を表明し、海洋プラごみに対応する世界的なアライアンス=AEPWへ参画するなど、活動領域を広げてきた。

 同社グループは、新組織の設置を契機に、気候変動対応やプラ戦略をさらに推し進めるとともに、環境貢献価値「Blue Value」、QOL向上価値「Rose Value」といった、独自の指標で評価した製品やサービスの提供を拡充し、事業活動を通じた社会価値創造を深化させていく。

 

三井化学 経営概況、事業環境悪化で厳しい状況に

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2020年6月3日

橋本社長「長計を実現するため計画を立て直す」

 三井化学は2日、オンラインによる経営概況説明会を開催した。同社は今年度、長期経営計画「VISION 2025」(2016~25年度)の折り返し地点を迎える。これまでポートフォリオ変革に取り組み収益体質が強化されてきたが、米中対立の激化やコロナ禍などにより事業環境が大きく変化し、対応を迫られている。

経営概況を説明する橋本修社長
経営概況を説明する橋本修社長

 橋本修社長は「長計策定時には想定していなかった事業環境にあり、当社が目指す理想像と長計ターゲットに相違が生じていることに加え、ポートフォリオ変革も遅れている。これまでのレビューを行い、目指すべき方向性を出し、長計を実現するため計画を立て直す」とし、

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エア・ウォーター 熱膨張性黒鉛事業、合弁会社化で成長

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2020年6月2日

 エア・ウォーターはこのほど、これまで単独で事業運営を行ってきた熱膨張性黒鉛(TEG)事業を、同社と東洋炭素および南海化学の3社の合弁事業とするために合弁会社を設立した。

 TEGは、天然の鱗片状黒鉛を硫酸によって層間化合物処理することで熱膨張特性を与えた特殊黒鉛製品であり、国内では唯一、エア・ウォーターが製造を行っている。加熱によって膨張することから、様々な形状に圧縮成形することが容易であり、熱や腐食に強く、気密性の高い素材として、自動車用エンジンガスケットや化学プラント用パッキンなどのシール部品材料として使用されている。

 また、膨張前のTEGをゴムや樹脂などの可燃性物質に混ぜておくと、火災時に膨張して断熱層を形成し、燃焼が広がるのを抑制する効果があることから、建築用断熱材や航空機用シートの難燃剤としても使用されている。

 同社は日本製鉄和歌山製鉄所構内でTEGを製造しているが、生産体制の効率化と新用途の開発が事業成長の課題であった。こうした中、製造技術とノウハウを持つエア・ウォーター、TEGの最大ユーザーであり豊富な技術とノウハウを持つ東洋炭素、製造に不可欠な廃酸リサイクル処理設備を持つ南海化学の3社が合弁会社を設立。緊密に連携することによって、これらの課題を解決し、TEG事業のさらなる成長を図る。

 今後、合弁新会社は、2022年4月の完成を目途に和歌山市内に新工場を建設する予定で、コスト競争力と安定供給力を備えた生産体制を構築し、放熱材などの電子材料分野をはじめとした用途開発に取り組む考えだ。

 

住友化学 「知財に関する新型コロナ感染症対策支援宣言」に参加

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2020年6月2日

 住友化学は1日、「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に支援者として参加したと発表した。同宣言は、新型コロナ感染症のまん延終結を唯一の目的とした開発、製造、販売などの行為に対し、一定条件下、保有する知的財産権を行使しないことを要旨とするもの。

 同社は、宣言の趣旨に賛同し、新型コロナのまん延終結を唯一の目的とした行為には、宣言記載の条件の下、特許権や実用新案権、意匠権、著作権の不行使を表明した。今後、宣言を尊重した上で、新型コロナのまん延防止対策について、他の企業や団体との協力の可能性なども検討していく。

 同社は、新型コロナ拡大抑止に向けて、これまで、グループ会社による医療用ガウン向けのフィルム供給や、診断センサーを開発するスタートアップ企業への資金提供、医療現場へのマスクやガウンの寄付などを実施。引き続き、コロナ感染の早期終結に向けて、行政や業界団体などと連携を図りながら、最大限の支援策を検討していく。

住友化学 知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策宣言

ユニチカ 長期ビジョンと新中計を策定、「3つのG」に注力

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2020年6月1日

 ユニチカはこのほど、2030年近傍を見据え、長期ビジョン「G‐STEP30(ジーステップ・サーティ)」と、3カ年の新中期経営計画「G‐STEP30 1st(ジーステップ・サーティ ~ファースト)」を策定した。

 長期ビジョン「G‐STEP30」は、前中期経営計画で掲げた「3つのG:Growth(事業成長戦略の推進)、Global(グローバル事業展開の強化・推進)、Governance(グループガバナンスの強化)」を継続的なテーマとして、長期展望に立ちステップを踏みながら実現していく。数値目標として2030年度に売上高2000億円、営業利益200億円(利益率10%)、海外売上高比率35%などを目指す。

 一方、新中計「G‐STEP30 1st」(2020~22年度)は、長期ビジョンのスタートとして位置づけた。経営基盤の強化に向けて「3つのG」をさらに進めるとともに持続可能な社会の実現に向けた活動も継続していく。骨子として、強固な事業ポートフォリオの構築、グローバル事業展開の推進、社内風土・意識改革を掲げている。

 また、セグメント別の主要施策として、①高分子セグメントでは、フィルムは包装用途・工業用途向けとも高付加価値品の拡販を行い、また海外向けバリアフィルムの拡販に努める。樹脂は用途拡大や、海外展開強化による独自素材(Uポリマー、環境配慮型素材など)の拡販を図る。

 ②機能資材セグメントでは、活性炭繊維は各種浄化用フィルターの高性能化・新商品開発・国内外での拡販、ガラス繊維はICクロス市場のニーズの高度化に対応した高付加価値品の拡販、ガラスビーズは高付加価値品の開発・拡販、不織布では新規用途展開やグローバル販売網の強化による欧米・アジアへの拡販、産業繊維はポリマー・紡糸技術の組み合わせによる高付加価値品の拡販に注力する。

 ③繊維セグメントでは、衣料繊維はエコ、環境配慮型素材の商品開発・拡販を行う。

 新中計の数値目標は、2022年度に売上高1470億円、営業利益110億円(利益率7.5%)、海外売上高比率28%を目指す。また3年間累計の設備投資は234億円(前中計比13%増)、減価償却費182億円(同20%増)、研究開発費111億円(同7%増)となっている。

 

リケンテクノス 中計進捗、生産性向上など進展

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2020年6月1日

サステナブル貢献と、グルーバル経営の深化図る

 リケンテクノスはこのほど、動画配信による2020年3月期の決算説明に併せ、3カ年中期経営計画「More Value to All 2021」(2019~21年度)の進捗を報告した。

中計進捗を説明する常盤和明社長
中計進捗を説明する常盤和明社長

 同社は昨年、新たな組織と事業セグメントの下で新中計をスタートさせた。製品別の「コンパウンド」「フイルム」「食品包材」から、市場別の「トランスポーテーション」「デイリーライフ&ヘルスケア」「エレクトロニクス」「ビルディング&コンストラクション」に変更。激変する市場ニーズを的確に捉え、グローバルマーケットに対応していくのが狙いだ。

 昨年度の連結業績は増収減益。売上高は、国内の生活資材・食品包材市場での拡販や、建築資材市場を担うデザイン企画子会社アイエムアイ(IMI)の売上増が寄与し、前年に続き過去最高を更新した。一方、営業利益面では、生産性向上などによる増益要因はあったものの、設備投資の負担増、アジア自動車市場やインドネシア電力ケーブルの需要低迷などが響いた。海外売上高比率は、国内販売の伸長とアジアの伸び悩みにより、42.9%と2.1ポイント減少した。

 これらを背景に、常盤和明社長は中計の5つの主要課題の進捗を説明。①「グローバル経営の深化とシナジー」について、

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東レ 長期ビジョンと新中計を策定、持続的成長を目指す

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2020年5月29日

 東レは、今後10年間程度の期間を見据え、長期経営ビジョン〝TORAY VISION 2030〟―持続的かつ健全な成長と社会的な価値の創造―(ビジョン 2030)を策定した。

 東レグループの強みである「研究・技術開発」「営業」「生産」が相互に連携し合いながら、素材を起点にサプライチェーンを構成する顧客や取引先などとの共創を通じて、社会に新しい価値を提供し、「サステナビリティ・ビジョン」に示す4つの世界像の実現を目指す。2030年度の数値目標として、2013年度実績比でGR(グリーンイノベーション)売上高・売上収益4倍、LI(ライフイノベーション)売上高・売上収益6倍、CO2削減貢献量8倍などを設定した。

 一方、長期ビジョンを踏まえた新たな3年間(2020~22年度)の中期経営課題〝プロジェクト AP‐G 2022〟「強靱化と攻めの経営」―持続的な成長と新たな発展―(AP‐G 2022)の取り組みを開始。新中計では、東レグループ全体で中長期に創出する価値を最大化し、将来にわたって持続的な成長を可能にする強靱な事業基盤を構築して、ビジョン2030の実現に向けた一歩を踏み出す。

 具体的には「成長分野でのグローバルな拡大」「競争力強化」「経営基盤強化」を基本戦略に掲げ、全社横断プロジェクトとして「GR事業拡大プロジェクト」「LI事業拡大プロジェクト」「トータルコスト競争力強化(NTC)プロジェクト」を展開。中でもNTCプロジェクトでは、3年間累計で1500億円のコスト削減を目指す。同時に、重要課題として「循環型社会実現に向けた取り組み」「生産段階での排出削減の実現」「デジタル活用による経営の高度化」「人材確保・育成」を推進する。

 2022年度に目指す数値目標は、IFRSベースで売上収益2兆6000億円、事業利益1800億円、事業利益率7%、ROA約7%、ROE約9%、フリー・キャッシュ・フロー1200億円以上(3年間累計)、D/Eレシオ0.8程度、配当性向30%程度を掲げている。設備投資は3年間累計で5000億円とし、50%はGR事業やLI事業などの成長拡大に投資する。

 M&Aについては、設備投資とは別枠で戦略的に実施する。また、研究開発費は2200億円規模を設定し、将来の大型テーマや高収益テーマにリソースを配分していく方針だ。

 

東レの3月期 中国経済の減速影響などで減収減益に

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2020年5月29日

 東レは28日、2020年3月期の連結決算を発表した。売上高は前年度比7%減の2兆2146億円、営業利益7%減の1312億円、経常利益23%減の1034億円、純利益30%減の557億円となった。

 セグメント別に見ると、繊維事業は売上高9%減の8831億円、営業利益17%減の607億円。米中貿易摩擦の長期化と中国経済の減速などにより各用途で市況低迷の影響を受けた。また、国内外ともにコロナ禍による生産活動・消費行動停滞の影響を受けた。

 機能化成品事業は売上高11%減の7708億円、営業利益13%減の587億円。樹脂事業は、中国経済の減速とコロナ禍による生産活動停滞の影響を主因に自動車・家電用途とも低調に推移。ケミカル事業は、基礎原料の市況下落の影響を受けた。フィルム事業は、LIB用セパレータフィルムが売上を拡大したが、ポリエステルフィルムでは光学用途や電子部品関連が在庫調整の影響を受けた。電子情報材料事業は、有機EL関連部材や回路材料が好調だった。

 炭素繊維複合材料事業は売上高10%増の2369億円、営業利益82%増の210億円。航空機向け需要や、環境・エネルギー関連向け一般産業用途が好調に推移したほか、スポーツ用途の需要が回復するなど、総じて堅調に推移した。

 環境・エンジニアリング事業は売上高2%減の2523億円、営業利益8%減の112億円。水処理事業は、国内外で逆浸透膜などの需要がおおむね堅調に推移した。国内では、建設子会社が高収益案件の受注減少の影響を受けたほか、エンジニアリング子会社でエレクトロニクス関連装置の出荷が減少した。

 ライフサイエンス事業は売上高1%減の533億円、営業利益25%増の16億円。医薬事業は、経口そう痒症改善薬「レミッチ」が後発医薬品発売の影響を受けたが、市場全体の伸びもあり、堅調な出荷となった。

 なお今年度からIFRSに移行。通期業績予想は、新型コロナの感染拡大が第2四半期にピークアウトし、下期以降、国内外の経済は回復基調をたどることを前提に、売上収益8%減の1兆9200億円、事業利益44%減の700億円、親会社所有者帰属当期純利益52%減の400億円を見込む。

 

宇部興産 CPLの5月契約価格は前月比30ドル高

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2020年5月29日

中国で経済制限解除、稼働上昇で需給がタイトに

 宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、5月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月比30ドル高の980ドル/tで決着した。新型コロナウイルスの感染が拡大する前に決着した2月の価格以来、3カ月ぶりの上昇となっている。

 スプレッドも、原料ベンゼン価格が

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積水化学 昨年度の新築戸建て住宅、ZEH比率は80%を達成

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2020年5月28日

 積水化学工業はこのほど、住宅カンパニーにおいて、2019年度の新築戸建て住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率が80%(北海道除く)となり、目標としていた60%を大幅に上回ったと発表した。

 国が目標としている「2020年度までにZEH比率50%(北海道除く新築戸建て住宅)」を大きく上回っている。さらに、エネルギー収支により分類したZEHの中で、環境貢献度が最高ランクの「ZEH」が91%と大半を占めており、環境意識の高いユーザーから支持を得ていることを確認した。

 一方、同社が注力する「エネルギー自給自足型住宅」が3万棟を突破した。ZEHは光熱費やCO2排出量削減などのメリットがあるが、同社ではさらなる環境貢献と災害時の安心向上のため、「エネルギー自給自足型住宅」の開発・普及に積極的に取り組んでいる。

 より大容量の太陽光発電システム(PV)を搭載し、PVの余剰電力を蓄電池に貯めて夜間に使うことで、自家消費を拡大。平常時は省・創・蓄エネ性能を向上させ、自然災害などによるライフライン途絶時にも生活を維持することができる。

 今後も、ZEHの供給と合わせ「エネルギー自給自足型住宅」の普及に努め、環境負荷軽減とともに、より多くの居住者に災害時の安心を提供していく。同社住宅カンパニーでは、ESG経営を推進し、環境問題と社会課題の解決、盤石な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけている。その一環として、ZEHの推進を軸に商品開発を行い、ZEH比率のより一層の向上を図っていく考えだ。

「エネルギー自給自足型住宅」の代表外観
「エネルギー自給自足型住宅」の代表外観