横浜ゴム タイの金型生産能力増強にジェトロの支援

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2021年3月17日

 横浜ゴムはこのほど、タイヤモールド(金型)生産会社のヨコハマモールド(YMC)がASEANでのサプライチェーン強化を目的にタイのグループ会社ヨコハマモールド・タイランド(YMTC)の生産能力を増強すると発表した。今年末に完了する予定だ。

 YMTCは2018年にタイ・ラヨーン県に設立以来、横浜ゴムの日本、タイ、フィリピン、インドなどのタイヤ生産拠点に乗用車用とライトトラック用のタイヤモールドを供給している。今後、タイヤモールドの供給は日本のYMCと中国のパートナー企業に加え、YMTCを活用してアジア3拠点体制を確立し、ASEANでのより安定的な供給を実現する。

 横浜ゴムは中国、台湾、フィリピン、タイ、ベトナム、インドネシア、インドなどにタイヤとMB(マルチプル・ビジネス)の生産販売拠点をもち、アジア地域の事業強化を進めてきた。今後も生産能力の増強やサプライチェーンの強化などを通じて、ASEAN諸国との相互発展に貢献していく考えだ。

 なお今回の増強は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の「海外サプライチェーン多元化等支援事業第3回公募(設備導入補助型)」に採択された。これは、特にアジア地域で生産の多元化などのサプライチェーンを強靭化し、日本とASEANの経済産業協力関係を強化することを目的としたものだ。

チッソ 新たに中期計画を策定、JNCの業績改善に注力

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2021年3月16日

 チッソはこのほど、「中期計画~業績改善のための計画」(2020~2024年度)を策定した。これは2019年度のJNC業績が目標利益を大きく下回ったことによる政府要請を重く受け止めたことが背景にある。水俣地域の経済・雇用などに最大限の配慮をしながら、これまで以上の徹底した自助努力により早期の収益回復と持続的な経営を両立させる考えだ。

 前中期計画(2017~2021年度)では、「主力の液晶事業の急激な環境変化への対応の遅れ」、「ボラティリティの大きい液晶事業への過度な依存と第二の収益の柱が不在」、「赤字事業への抜本的な対応の遅れ」により計画未達かつ赤字事業が多く存在し、早急な対応が求められていた。これらを踏まえ、新中計では、構造改革の遂行による止血を最優先し、経常黒字を実現させることを主眼に置く。

 計画の骨子として、①構造改革による業績改善:すでに決定している電子部品などの撤退に加え、赤字事業の縮小・撤退・役員報酬など削減継続、本社賃借面積の縮小といった全社のコスト削減による固定費負担の抑制

 ②Fit化推進による電力事業の収益拡大:五ヵ所の水力発電所(白川・内大臣川・津留・頭地・内谷)のFit化を推進し電力事業を将来の安定収益の基礎に

 ③ガバナンス強化:黒字化に向けた戦略・時期を明確化し、プロセス管理を徹底するとともに、戦略見直しのトリガーや未達時対応策を設定して赤字事業を見極め/モニタリング強化:成長土台となる毎期の安定経常利益・資金を確保するために、損益・資金モニタリングなどの内部管理体制強化、などを挙げた。

 これらの施策により、2024年度のJNC連結経常利益55億円(2019年度は営業損失7億円)の回復を目指していく。なお、研究開発では、未来を変える新しい価値を発見し、社内外の技術を活用した価値創造のビジネスモデルを目指す。また設備投資は5年間で430億円を計画。資金状況に鑑み、維持更新投資のほかはFit化工事に注力する方針だ。

東洋紡 全社一丸で4月からCN実現を新体制で推進

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2021年3月16日

 東洋紡はこのほど、2050年カーボンニュートラル(CN)の実現に向けた同社グループの戦略策定と推進を目的に、「カーボンニュートラル戦略検討会議」と「カーボンニュートラル戦略検討クロスファンクションチーム」を今年4月1日付で設置すると発表した。

 全社一丸でCN実現に着実に取り組むために、新設する「カーボンニュートラル戦略検討会議」では、①グループの生産活動に伴う温室効果ガス(GHG)排出量の最小化を目指す②グループの提供するソリューションにより、GHG排出量削減とCNに貢献する③GHGの回収・分離などの技術開発に注力する―の3つの視点からグループ戦略とマイルストーンを策定していく。

 さらに、長期的な目線から部門の垣根を越えた活動を進めるため、全社横断的に組織される「カーボンニュートラル戦略検討クロスファンクションチーム」では、イノベーションの促進、アライアンスの推進、研究開発の加速、新たなソリューションビジネスの創出など、実質的な施策の検討・実施を進めていく考えだ。なお、新たなCN戦略推進体制下では、「カーボンニュートラル戦略検討会議」は、サステナビリティ委員会の分科会として、統括執行役員会議メンバーで構成。

 一方、「クロスファンクションチーム」は、サステナビリティ推進部担当役員をリーダーとし、サステナビリティ推進部に事務局を置く。近年、地球温暖化に伴う気候変動の影響が顕在化する中、東洋紡グループでは地球温暖化・気候変動を事業活動の継続に関わる大きなリスクの1つと認識し、2050年度までのGHG排出ネットゼロ(実質ゼロ)を目標に掲げている。今後も事業活動を通じて持続可能な社会実現への貢献を目指し、サステナビリティを根幹に据えた経営を推進していく。

4月1日以降のカーボンニュートラル戦略推進体制
4月1日以降のカーボンニュートラル戦略推進体制

 

出光興産 みずほ銀と融資契約、気候変動への取り組みが評価

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2021年3月16日

 出光興産は15日、みずほ銀行との間で、「Mizuho Eco Finance」の融資契約を締結し、同日融資が実行されたと発表した。

 同ファイナンスは、みずほ銀行が脱炭素社会への移行に向けて、顧客企業の取り組みを促進していくことを目的に、グローバルに信頼性の高い環境認定や評価などを取り入れた、環境評価融資商品。みずほ情報総研が開発した環境評価モデルを用いて顧客の取り組みや指数をスコアリングし、一定のスコア以上を満たした顧客に対してのみ融資を行う。

 今回の融資契約は、出光興産が昨年2月にTCFDに賛同していること、サプライチェーン全体での年度ごとのCO2排出量を開示していること、2030年までのCO2削減目標値を掲げていることなどが、評価モデルの指標において高い水準でスコアを満たした結果、融資の締結に至った。

ダウ日本 科学分野の仕事を伝えるワークショップを開催

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2021年3月15日

 ダウ・ケミカル日本はこのほど、科学分野での仕事のやりがいや楽しさを伝える教育プログラム「カガクのチカラ」をオンラインで実施した。講師となった同社グループ(ダウ・ケミカル日本、ダウ・東レ)のボランティア社員10人が、科学が持続可能な社会を築く上で果たす役割やキャリアについて語り、私立三田国際学園中学校(東京都世田谷区)の約130人の生徒たちとワークショップを行った。

 同社は2017年より都内中学校で教育プログラムを提供してきたが、コロナ禍を受け昨年は延期となり、4回目となる今回は初のオンラインでの開催となった。

 ダウ日本は、科学分野で次世代育成に貢献すること、また生徒に社会で働くことの面白さを感じてもらうことを目的に、「NPO法人じぶん未来クラブ」と協働で教育プログラムを企画。今回はオンラインを活用し、動画やチャット機能を利用してボランティア社員や桜井恵理子社長との質疑応答コーナーを充実させ、生徒たちがより意欲的に参加できるプログラムを目指した。生徒たちからは、「遠回りをしても最終的にはやりたいことがやれるようになると聞き、目の前のことを頑張りたいと思った」など、多くの感想が寄せられた。

 桜井社長は、「世界のためにサステナブルな未来を築くことを目指す素材科学会社として、中学生たちにとって、科学への関心を高め、働くことに前向きなイメージがもてるプログラムを提供できたことは大変喜ばしい。情熱をもって働く社会人との交流を通じて、自身の未来には可能性があふれていることに気付き、その可能性に向かってチャレンジすることの意義を感じ取ってもらいたい」と述べている。

 同社は、STEM(科学・技術・工学・数学)教育への貢献として、今回のプログラムのほか、循環型経済に関する出張授業を提供し、日米の官民パートナーシップである「TOMODACHIイニシアチブ」のパートナー企業を務めるなど、持続可能な社会の構築や次世代の科学者育成、女性のさらなる活躍につながる活動を応援している。

 

旭化成など、生物多様性保全活動が、日本自然保護大賞に

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2021年3月15日

 旭化成など8社はこのほど、各社で構成する「生物多様性びわ湖ネットワーク(BBN)」が、日本自然保護協会が主催する「日本自然保護大賞2021」の教育普及部門で大賞を受賞したと発表した。なお8社は、旭化成、旭化成住工、オムロン、積水化学工業、積水樹脂、ダイハツ工業、ダイフク、ヤンマーホルディングス。

BBNが「⽇本⾃然保護⼤賞を受賞
BBNが「⽇本⾃然保護⼤賞を受賞

 同大賞は、自然保護と生物多様性保全に大きく貢献した、すべての個人と団体、企業、自治体などを表彰。13日にオンラインで開催された授賞記念シンポジウムでは、大賞および特別賞の合計6件について活動成果の発表が行われた。

 今回、教育普及部門の大賞となったBBNは、滋賀県に拠点をもつ異業種の企業8社が、県内の生物多様性を保全することを目的に、2016年に発足した任意団体。BBNでは、今回の受賞につながった「トンボ100大作戦~滋賀のトンボを救え!~」と題したプロジェクトを発足当時から開始し、県内で確認されている100種のトンボを指標とした生物多様性保全活動を展開している。

 プロジェクトでは、「滋賀県のトンボ100種を探そう!」「滋賀県のトンボを守ろう!」「みんなに知らせよう!」の3つの作戦を掲げ、各企業のもつ緑地や湿地、池の管理や定期的なモニタリング、周辺地域の自然の現状把握、ビオトープの整備や外来生物の駆除、自然観察会や活動の展示・発表などに取り組んできた。昨年からは、SNSによるトンボの特徴や生息環境を公開するなど、積極的な発信に取り組み、企業・団体の参画拡大や生物多様性の保全意識の向上を目指している。

 今回の受賞では、8社の企業が連携し、「トンボ」という一般にも分かりやすいテーマを設定することで、活動の広がりをもち、地域の生物多様性の向上と普及啓発活動を合わせて実現していることが評価された。BBNは、今後地域への社会貢献活動を通じて、生物多様性の保全と持続可能な社会の実現を目指していく。

バイオマスレジンなど、コメ由来プラを海外展開

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2021年3月15日

ベトナムで製造事業、福島で原料の資源米を生産

バイオマスレジン 神谷CEO

 バイオマスレジンホールディングス、コバオリ、三井物産プラスチックの3社は12日、コメ由来のバイオマスプラスチック「ライスレジン」に関する業務提携や、初となる海外展開などについて共同記者会見を開催した。

 バイオマスレジンHDは同日、製造ではコバオリとの間で東南アジア進出業務に関する資本業務提携と技術供与契約、販売では三井物産プラスチックとの間で国内外での展開に関する業務提携契約を締結。バイオマスレジンHDの神谷雄仁代表取締役CEOは、「両社との提携は、販売強化と製造拠点の拡大に加え、お米の文化で親和性のある東南アジアでの最初の進出として、今後の発展に寄与できる体制が構築できた」と語った。

 三井物産プラスチックスには、国内各地の工場で生産する「ライスレジン」を一定量供給。「国内外での販売活動に注力していただくとともに、 “バイオマスレジンなど、コメ由来プラを海外展開” の続きを読む

帝人フロンティア グループ会社2社を統合し新社発足、開発力強化

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2021年3月12日

 帝人フロンティアは11日、石川県小松市で編物生地の開発や製造、販売、特殊加工糸事業を展開するグループ会社2社、帝人加工糸と新和合繊を今年4月1日付で統合し、新会社「帝人フロンティアニッティング」を発足させると発表した。社長は帝人フロンティアの村山隆執行役員が兼務する。

 同社グループは、繊維の製造と販売を一貫で手掛ける事業体である強みを生かし、原糸から素材、製品化までの一貫型の開発・生産により、成熟化で不確実性が高まっている市場でもプレゼンスを発揮してきた。今後も、「グリーン」「インフラ」「ヘルスケア」「モビリティ」「グローバル衣料テキスタイル」の戦略五領域に加え、「新事業」への重点的な投資を継続することで、事業の効率化や対応力の強化、基盤技術の融合などを強力に推進していく考えだ。

 こうした中で、新たに発足する「帝人フロンティアニッティング」は、統合する両社の編機のバリエーションと、開発力や難度の高い商品の品質管理能力を融合し、丸編み生地の世界展開の中心拠点として商品を提供していく。また特殊加工糸事業では、両社の独自技術の融合により開発力を強化し、次世代戦略素材の創出を加速。さらに、両社が培ってきた特殊加工糸から丸編み生地を一貫で手掛ける対応力を結集することで、国内とグローバル市場に向けた新商品の発信を強化していく。

 

旭化成 米ゾール社が基金に寄付、研究・教育活動を支援

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2021年3月11日

 旭化成はこのほど、子会社の米ゾール社が、ゾール基金に対し、心肺蘇生および救命救急医療の研究・教育活動の支援として、昨年12月に1000万ドルを寄付したと発表した。ゾール基金は、2013年に設立した非営利の公共慈善財団で、ゾール社とは独立して運営されている。

 同基金は、心肺蘇生措置の質の向上や、心筋梗塞による容体悪化の防止と救急患者の死亡率・罹患率を下げるケアの向上による生命予後の改善を目的としており、革新的な新しい研究や若手研究者の研究・教育・啓発活動に助成金を提供することで、これら活動を支援している。これまで、世界14カ国(北米、欧州、日本・中国を含むアジア諸国)の計69件の研究プロジェクトに、総額で250万ドルの助成金を提供している。

東ソー 臭素関連の歴史的資料が「化学遺産」に認定

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2021年3月11日

 東ソーはこのほど、同社が所蔵する臭素に関わる歴史的資料が、資源に乏しい日本にあって臭素製造の歴史を現代に伝える貴重な資料として、日本化学会より第12回「化学遺産」に認定された。認定対象となった資料は、①臭素分離濃縮装置の竹の充填材、②臭素製造設備修理時のアルバム、③磁製臭素容器、④磁製臭素容器の図面の4つ。

化学遺産に認定された臭素の資料
化学遺産に認定された臭素の資料

 同社は国内最大の臭素メーカーとして製造販売を手掛けている。臭素の大量生産の歴史は、1941年に海軍が航空機燃料のアンチノック剤の添加剤の原料として、臭素の大量生産を化学会社に要請したところから始まる。当時の最大の技術的課題は酸性度の高い臭素設備内部の充填材だったが、東洋曹達工業(現・東ソー)は竹材を選択。当初、竹材の寿命は長くて半年と言われたが、実際には10年以上も使用でき安定生産に寄与した。

 南陽事業所(山口県周南市)では、1961~1973年まで操業した臭素製造設備で使用した竹の充填剤の一部を保存・公開しており、今回、化学遺産に認定された4つの資料も保管している。なお、認定化学遺産第056号「苦汁・海水を原料とする臭素製造設備と磁製容器」として同社グループ会社のマナックが所蔵する臭素蒸留塔および磁製容器も一緒に化学遺産に認定された。