帝人 米国・レネゲード社の買収が完了、完全子会社化

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2019年8月5日

 帝人は2日、今年2月に発表した米国・レネゲード社の買収について、株式譲渡に関する諸手続きを完了し、8月1日(米国時間)に完全子会社化したと発表した。

帝人はレネゲード社を完全子会社とすることにより、レネゲード社が他社に先駆けて展開してきた、優れた耐熱性と熱サイクル耐性とを両立する熱硬化プリプレグの生産技術と、帝人が蓄積してきた、炭素繊維や熱硬化性・熱可塑性の中間材料のノウハウやラインナップ、評価設備、販売チャネルなどとのシナジーを追求し、未来の最新鋭航空機向けのエンジン部材などに適応し、幅広い潜在ニーズに応える製品のグローバル展開をより一層強化していく。

 帝人は、航空・宇宙用途向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとしての地位を確固たるものとし、2030年近傍までにこの用途で年間9億ドル超の売上を目指す。

 

日本ゼオン 次世代電子部品向け電子線レジストを上市

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2019年8月5日

 日本ゼオンは2日、次世代電子部品向けポジ型電子線レジストの新グレード「ZEP530A」シリーズを上市したと発表した。

 同社は、半導体デバイスの回路パターンをウェハー上に転写する際に使用される保護膜として、かねてより主鎖切断型のポジ型電子線レジスト「ZEP」シリーズを展開し、国内外の顧客に広く採用されている。今回、その既存グレード「ZEP520A」で培ってきた技術をベースに、更なる高解像度を実現した「ZEP530A」シリーズを開発、上市した。

「ZEP530A」シリーズは、優れたドライエッチング耐性を保持しつつ、解像度とプロセスウィンドウを向上させた製品。レジストの薄膜化により、ハーフピッチ(hp)17nmのライン&スペース(L/S)パターンの解像も確認している。また、「ZEP530A」の高解像度を引き出すため、新規現像液「ZED‐N60」も併せて開発・上市した。主な使用用途としては次世代電子部品の製造を想定しており、商用化が見込まれる第5世代移動通信システムへも活用の場が広がることが期待される。

 同社グループは、今後も最新技術を駆使した製品開発を促進し、顧客にとって価値ある製品の提供に努めていく考えだ。

昭和電工 「夢・化学‐21 夏休み子ども化学実験ショー」に出展

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2019年8月2日

 昭和電工は、3日、4日の両日、東京都千代田区の科学技術館で開催される小学生向けの化学実験イベント「夢・化学‐21 夏休み子ども化学実験ショー2019」に出展する。

 今回、「化学と光」をテーマとし、化学反応により発光する「ケミカルライト」と光硬化性樹脂を用いた実験を行う。ケミカルライトと光硬樹性脂化のしくみを学ぶとともに、UV硬化助剤「カレンズMT」を添加した光硬化性樹脂を用いたキーホルダーを作成する。

 なお、「夏休み子ども化学実験ショー」は、日本化学会、化学工学会、新化学技術推進協会、日本化学工業協会の4団体で構成される「夢・化学‐21」委員会が主催するキャンペーン事業の1つ。次世代を担う子どもたちに化学の面白さ・不思議さを体感することを通じて、化学の有用性や可能性を実感してもらうことを目的としている。

 同社は次世代育成に向けた活動の一環として、この「夏休み子ども化学実験ショー」に2005年から連続して出展。また、当イベントに加えて国内の各拠点で、子ども向けの化学実験教室や工場見学などを通して地域社会との対話を進めている。

 同社グループは、全てのステークホルダーに貢献する「社会貢献企業」の実現を目指し、今後も様々な活動に積極的に取り組んでいく。

JSR 「JSRグループ CSRレポート2019」を発行

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2019年8月2日

 JSRは、CSR(企業の社会的責任)に関する2018年度の取り組み内容をまとめた「JSRグループ CSRレポート2019」を発行した。JSRおよび国内外のグループ会社からなるJSRグループ61社を対象範囲とし、Web版とハイライト版(PDF)を制作している。

 Web版ではJSRグループの重要課題に沿って2018年度の取り組みを報告するとともに、ESG情報のさらなる拡充を行った。またグラフを多用するなど、分かりやすさと利便性の向上を図っている。ハイライト版ではWeb版から抜粋する形で、主要な取り組みなどを簡潔にまとめている。

 同社は今年6月に開催した定期株主総会を区切りに、新経営体制を発足。そこで新しく就任した川橋信夫代表取締役社長兼COO(最高執行責任者)より、同社がサステナブル(持続可能)な会社であり続けるためにSDGsを将来におけるグローバルな社会課題の解決につながるビジネスニーズが集約されたものと捉え、社会の変革に対応できるマインドセットとオープンイノベーション、JSRグループで進行する変革などのメッセージを発信している。

 Web版、ハイライト版ともに、ホームページ(http://www.jsr.co.jp/CSR/)から閲覧が可能。なお英語版は9月末に発行する予定。

 

宇部興産 千葉石油化学工場など、ISO認証を再登録

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2019年8月2日

 宇部興産は1日、化学カンパニーが、ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド(LRQA)より、7月30日付でISO9001認証登録の通知を受領したと発表した。

 同社は品質検査上の不適切行為により、2018年4月17日付で「認証範囲の一部取消」および「認証範囲縮小後の認証範囲全体の一時停止(宇部ケミカル工場、堺工場、宇部藤曲工場)」を受けていたが、認証再取得に向けて対応を進めていた。

 昨年10月15日付で「認証範囲縮小後の認証範囲全体の一時停止」についてはすでに解除されており、今回の認証再取得によってISO9001認証の一時停止・取消を受けた範囲についてすべて認証復帰となった。

 今後も同社は、再発防止策を着実に実行し、品質マネジメントシステムを確実に運用することで、信頼回復に努めていく。

JNC 熊本の水力発電所で出力を4%増強し営業運転を開始

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2019年8月2日

 JNCは1日、熊本県上益城郡山都町に所有する水力発電所、目丸発電所の改修工事を完成させ、新たに営業運転を開始したと発表した。

 2015年に着工した改修工事では、水車・発電機を高効率の機器へ更新することで、認可取水量を変えずに出力を200㎾(約4%)増強。最大出力は、一般家庭約8600戸分の年間発電量に相当する、5900㎾となった。投資金額は約22億円。

 同社グループは、環境・エネルギー分野も重要な事業ドメインと位置づけ、国内に13カ所の水力発電所(最大出力合計9万6400㎾)、4カ所の太陽光発電所(同1万6000㎾)を保有し、再生可能エネルギーによる発電事業に取り組んでいる。

 水力発電所には全て「流れ込み式」を採用。河川水からごみを取り除いた後に、水路を通して水槽へ導き、水圧鉄管を落下させることで水車を回し発電する仕組みだ。大規模なダムを必要としないため環境負荷が低く、二酸化炭素排出量も少ない。

 2013年から進めている水力発電所の一連の大規模改修工事では、今回が7カ所目の営業運転開始となる。同社は、これまで培ってきた発電技術を生かし、周辺環境に配慮しながら、将来にわたり安定したエネルギーの供給で持続可能な社会に貢献していく考えだ。

昭和電工 第2世代高品質パワー半導体用SiCエピを開発

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2019年8月2日

 昭和電工は1日、パワー半導体の材料である炭化ケイ素(SiC)エピタキシャルウェハー(エピウェハー)の6インチ(150㎜)品について、現在量産中の低欠陥グレード「ハイグレードエピ(HGE)」を、さらに高品質化した第2世代製品(HGE‐2G)を開発したと発表した。

 SiCパワー半導体は、現在主流のシリコン製に比べ耐高温・高電圧特性や、大電流特性に優れ、電力損失も大幅に削減できることから、電力制御に用いるモジュールの軽量・小型化と高効率化を実現する製品として市場が拡大。

 データセンターのサーバー電源や太陽光発電などの分散型電源、電気自動車に搭載される充電器および高速充電スタンド、鉄道車両への採用が進んでいるほか、2020年代前半には電気自動車のパワーコントロールユニット(PCU)への本格搭載が見込まれ、今後さらなる需要拡大が期待されている。

 高電圧・大電流を効率的に変換するインバーターモジュールには、SBDとMOSFETが搭載される。SiCの採用はSBDが先行し、Si‐IGBTと組み合わせたハイブリッドインバーターが使用されてきたが、近年のSiCエピウェハーの品質向上とデバイスプロセスの高度化により、SiC‐MOSFETが実用化され、より効率の良いフルSiCインバーターの普及が始まっている。

 特に、電気自動車と鉄道車両向けのモーター駆動インバーターモジュールでは100A級の大電流を一つのデバイスで扱うため、SiCエピウェハーから生産されるチップが10㎜角級に大型化される。このような大型チップでは、生産時の収率(歩留まり)悪化を防ぐため、エピウェハーの表面欠陥密度を0.1個/㎠以下に抑える必要がある。

 今回開発した「HGE‐2G」では、エピタキシャル成長プロセスの高度化などにより、デバイス初期歩留りに影響する表面欠陥密度を従来の同社HGEの2分の1以下に、デバイスの信頼性(通電劣化)に影響する基底面転位の基板からの伝播における変換効率を従来の10倍以上にまで高めた。これにより、従来のHGEに比べてさらなる高品質グレードのエピウェハー「HGE‐2G」を市場に提供していく。SiCエピウェハーの世界需要は、2025年に1500億円規模に拡大すると予想されている。

 同社は、世界最大の外販メーカーとして、〝ベスト・イン・クラス〟をモットーに、急拡大する市場に対し、高信頼性品の開発や積極的な増産投資を通じ、SiCデバイスの普及に貢献するとともに、個性派事業への成長を図る。

 

東ソー クロロプレンゴムをデボトルで増強 3万7000tに

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2019年8月2日

 東ソーは1日、南陽事業所(山口県周南市)において、スペシャリティ事業を構成する機能性ポリマー製品であるクロロプレンゴム(CR)「スカイプレン」の生産能力増強を決定したと発表した。

 今回の投資額は約50億円。今年8月に着工し2021年の完工を予定する。増強後の生産能力は3万4000tから、3万7000tに高まる。

 CRは自動車のホースやベルト、各種工業部品のほか、接着剤や医療用手袋の用途に使われており、特に近年は、医療用手袋用途の需要拡大により、タイトな需給環境が継続している。こうした中、同社は、今回の能力増強に合わせ老朽化対策も実施し、安定供給を図るとともに伸長する需要拡大に対応する。

 今後も東ソーは、さらなる事業規模の拡大と収益力の強化を図っていく方針だ。

デンカ ライフイノベーション分野、台湾社と協業を強化

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2019年8月1日

 デンカはこのほど、ライフイノベーション分野での戦略パートナーである台北のPlexBio(PB社)とのアライアンス強化を目的として、PB社が実施する第3者割当増資の引き受けによる株式取得を台湾金融当局に申請したと発表した。

 今回の第3者割当増資引き受けにより、デンカはPB社株式の33.4%(完全希薄化ベース)を保有することになる。

 デンカは2016年にPB社と業務提携契約を締結し、PB社が開発した「IntelliPlexシステム」の日本およびASEAN地域における独占販売権と試薬の開発・販売権を取得。日本国内で同システムを用い、病原体微生物同定・薬剤耐性菌遺伝子検査の診断薬開発を進めている。

 また、2018年には病原体微生物同定・薬剤耐性菌遺伝子診断機器の共同開発についてPB社と基本合意。これらの開発の過程で、デンカは同システムのもつ独自性・先進性・技術的競争力をさらに高く評価するに至り、今回の出資を決定した。

 同出資により、PB社とのパートナーシップを一層強化することで、国際社会でも大きな課題となっている薬剤耐性菌への対策に資する、病原体微生物同定・薬剤耐性菌遺伝子検査システム(診断薬および診断機器)の開発を加速していく。

 加えて、「IntelliPlexシステム」のもつ「同時多項目測定」「高感度」「イムノアッセイ・遺伝子検査の双方に対応可」という特長とデンカのリソースを最大限に生かし、診断分野の技術革新を進めることで人々の健康な生活を守り、人類共通の課題であるSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献していく。

旭化成 タイで地域代表会社が営業を開始、アセアン強化で

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2019年8月1日

 旭化成は31日、アセアン地域での地域代表会社として、タイ・バンコクに設立した旭化成アジアパシフィック(AKAP社)が、8月1日から営業を開始すると発表した。資本金は8000万タイバーツ(約2億8000万円)。

 今後はAKAP社を起点として、マーケティング活動や経営管理機能の強化を図るとともに、グループ会社の事業支援と人財育成、グループ内の連携、事業効率化を行い、同地域でのグループ全体の事業成長を継続的に推進していく考えだ。

 同社グループは現在、アセアン地域の5カ国・16社で、自動車用途素材や衣料・衛生用途素材などの高付加価値型事業を中心に展開している。同地域は、安定的な人口増加と継続的な経済成長を背景に、製造拠点としての位置づけのみならず、マーケットとしての存在感が高まっており、事業を展開していく上でも重要性が増している。

 他方、言語・商習慣・法律などや事業環境が多様であることに加えて、経済活動の活発化に伴う様々な法整備・法改正などのスピードが増しており、事業活動上のリスクが複雑化・多様化している。

 旭化成は、アセアン地域でこれらの環境変化に効率的に対応するための横断的な機能が必要になったとの考えから、同社グループの拠点数が最も多く、地理的利便性に優れるタイ・バンコクに、地域代表会社としてAKAP社を設立することを決定した。