ダイセル・コマツNTC 「ぎらつき度合の求め方」がJISに制定

, , ,

2019年12月24日

 ダイセルはこのほど、コマツNTCと共同開発したディスプレイ上のぎらつき現象の測定方法が、今月20日付で日本産業規格(JIS)「ディスプレイのぎらつき度合の求め方」(規格番号JIS C 1006)として制定されたと発表した。

 ぎらつき現象とは防眩加工されたディスプレイ表面の凹凸構造が、ディスプレイから出る光を拡散させて、画面がちらついて見える現象のこと。ダイセルがぎらつきを数値測定する方法の規格化として日本規格協会に提案し、「新市場創造型標準化制度」を活用することにより、世界で初めて規格制定された。

 これまで、ぎらつきの度合いは人間の感覚(熟練者の経験・感性)によって判断されていたが、ダイセルはコマツNTCと共同で、ぎらつきを数値測定する方法と装置を開発した。この装置は「ギラツキ評価装置およびギラツキ評価方法」(特許番号6294904)として特許登録されており、この特許については、非差別的かつ合理的な条件で許諾する「RAND宣言」をしている。

 なお、新市場創造型標準化制度は、優れた技術で新市場の創造または拡大が見込まれるものの、既存の規格ではその適切な評価が難しく、普及が進まない技術・製品について、所定の条件を満たす場合は、従来の業界団体による原案作成を経ずに、経済産業省が規格の制定を支援する制度である。

 ダイセルは長年にわたりフィルム事業を展開しており、近年は様々な特性を付した機能フィルム事業に注力している。このうち、独自技術で開発した相分離性防眩(AG)フィルムは、カーナビゲーションシステムなどの車載モニターやスマートフォン、タブレット端末などのディスプレイに使われ、ぎらつきを抑えて画面を見やすくする機能を持っている。

 今回の規格制定により、ぎらつき防止性能を持つAGフィルムなどの製品開発や品質保証が効率化され、目にやさしいディスプレイ市場の活性化が期待される。ダイセルは今後も、ユーザー価値向上を目指したAGフィルムなどの機能フィルム製品の技術開発・品化を行っていく。

東ソー 「研究・技術報告」最新刊を刊行、成長材料に焦点

, ,

2019年12月24日

 東ソーはこのほど、最新の研究開発成果を紹介する「東ソー研究・技術報告」第63巻を刊行した。ライフサイエンスや環境・エネルギー分野で成長が目覚ましい材料に焦点を当てた無機材料特集の総合報文(3編)をはじめ、研究開発部門による報文(5編)、技術資料(9編)を収録している。

 同社は研究開発に持続可能な開発目標(SDGs)の考え方を取り入れ、サステナブルな社会を目指し開発を進めている。同刊収録の報文・技術資料にある製品・開発品がSDGsのどのゴールを目指しているかを分かりやすく整理するため、ゴール別のロゴを付与した。

 無機材料特集の総合報文は、横浜国立大学の藪内直明教授が寄稿した最新研究「酸化物イオンの電荷補償を利用するリチウム電池用マンガン系高容量正極材料」と、同社無機材料研究所の主席研究員らによる「ジルコニア多結晶体の焼結メカニズム」「ゼオライト吸着機能を活用した自動車排ガス浄化技術」で構成。同社はジルコニア材料で「第65回(2018年度)大河内記念技術賞」と、文部科学省の2018年度「秀でた利用成果」優秀賞を受賞している。

 巻頭言「企業のセレンディピティー」は、山田正幸取締役常務執行役員が寄せており、他に報文「ウレタン断熱材の長期断熱性能シミュレーション」、技術資料「CNFを複合化したクロロプレンゴム」などを収載。同誌は1957年の創刊以来、同社グループの研究所・開発部・技術センターなどの研究開発部門によるテクニカルレポートとして、報文や技術資料、投稿論文要旨、講演リスト、特許情報および製品紹介など多岐にわたる内容を掲載している。なお、最新刊とバックナンバーは、同社ウェブサイトで閲覧することができる。

宇部興産 「宇部72カントリークラブ」を市川興業に譲渡

, , , ,

2019年12月24日

 宇部興産はこのほど、同社完全子会社の宇部興産開発が運営するゴルフ場事業を、市川興業(東京都練馬区)に譲渡することを決定したと発表した。19日に宇部興産と宇部興産開発の取締役会で譲渡契約を承認し、宇部興産開発と市川興業との間で株式譲渡契約を締結した。来年3月2日に株式譲渡を実行する予定。

 宇部興産開発が運営するゴルフ場事業は、1960年の営業開始以来、4コースを有する西日本最大級のゴルフ場として発展し、数々のトーナメントも開催してきた。しかし、国内のゴルフ人口が減少傾向をたどる中、ゴルフ場業界は今後も厳しい事業環境が見込まれることから、利用者へのさらなるサービス向上と同事業の中長期的な発展を図るためには、ゴルフ場経営を主要事業とする企業に事業の運営を委ねるべきであると判断し、市川興業に譲渡することにした。

 事業譲渡に当たっては、今月、宇部興産開発が設立した「宇部72カントリークラブ(CC)」へ同事業を分割移管させた上で、宇部72CCの全株式を市川興業に譲渡する。ゴルフ事業譲渡に伴い、宇部興産は特別損失を約48億円計上し、法人税などを考慮した親会社株主に帰属する当期純利益は約25億円減少する見込み。2020年3月期通期連結業績予想については、10月28日に公表した業績予想の修正が必要と判断される場合、速やかに公表する。

チッソ LIB用セパレーター事業から撤退、特損を計上

, , , ,

2019年12月24日

 チッソは23日、連結子会社であるJNCが加工品事業セグメントに含まれるリチウムイオンバッテリー(LIB)用セパレーター事業からの撤退を決議したことに伴い、2020年3月期第3四半期連結期間(10月-12月期)で特別損失2400万円を計上すると発表した。なお、同事業は2020年3月末で撤退する予定。

 同社グループでは、2014年の商業運転開始から、主に車載向けをターゲットとしてLIB用セパレーター事業を展開し、高入出力セル用途などにその特長を評価されていた。しかし、近年の中国市場での販売価格の急速な下落など、事業を取り巻く環境は厳しさを増していた。今回、改めて事業継続に関し検討を行ったところ、将来的にも収益の確保、業績の改善が困難であると判断した。

太陽石油 マンダリンパイレーツの地域貢献活動に協賛

, ,

2019年12月23日

 太陽石油はこのほど、愛媛マンダリンパイレーツの地域貢献活動に協賛した。四国アイランドリーグ所属の愛媛マンダリンパイレーツの選手は10日、今治市内の同社四国事業所の地元小学校を訪れる「小学校登校見守り隊」活動を行った。

朝の挨拶運動
朝の挨拶運動

 同活動では、マンダリンパイレーツの選手たちが、年間50校を目標に愛媛県内の小学校を訪問し、「交通安全指導」や「声かけ挨拶運動」などの「登校見守り活動」を行う。昨年から実施しており、数年かけて県内約280校全ての小学校を訪問する計画だ。

 訪問活動が行われた全ての小学校に対して、同社ブランドキャラクター「ソラトくん」と、愛媛マンダリンパイレーツキャラクターのマッピーが描かれた横断旗・横断幕を進呈することで、日ごろの登下校時の安全指導に役立ててもらう。さらに同日午後には、同じく四国事業所の地元の保育所で、マンダリンパイレーツ河原監督と選手3人による「モアベースボールプロジェクト」活動が行われ、子どもたちの応援にソラトくんも参加して、活動を盛り上げた。

Tバッティングを行う園児
Tバッティングを行う園児

 この取り組みは、マンダリンパイレーツの監督と選手が、愛媛県内の幼稚園や保育園の園児たちに、ボールの投げ方やボールと触れ合うことの楽しさを教える活動。この日は、Tバッティングやキャッチボールのほか、的当て(ストラックアウト)が行われ、園児が1人ずつボールを的に向けて投げた。見事に当てた園児に大きな歓声があがる一方で、当てられなくて悔しがる園児もいるなど、可愛いらしい姿が見られた。

 また、参加した園児にはオリジナルのカラーボールがプレゼントされた。同社は社会貢献活動の一環として、今後も次世代を担う子どもたちの豊かな心の育成のため、こうした活動をこれからもサポートしていく。

住友商事 インドネシアの地熱発電所が商業運転を開始

, , , , ,

2019年12月20日

 住友商事はこのほど、インドネシアの民間発電事業デベロッパーであるSupreme Energy、欧州大手総合エネルギー企業のENGIEとの共同で参画しているインドネシアのムアララボ地熱発電事業が16日から商業運転を開始したと発表した。

ムアララボ地熱発電所
ムアララボ地熱発電所

 住友商事は、日本企業としては最も初期の段階からインドネシア地熱鉱区開発に関与。2011年に井戸の試掘前から同事業に参画し、2012年に同国の国営電力会社PLNとの30年間の長期売電契約の締結を経て、出資パートナーと共に総事業費約700億円の事業に取り組んできた。

 主要機器である地熱蒸気タービンと発電機は富士電機から供給を受け、土木据付込み一括請負工事は現地パートナーであるレカヤサ・インダストリ、100%子会社の住友商事パワー&モビリティと共に実施。今回の完工により、発電容量85MW(メガワット)での商業運転を開始し、インドネシア・スマトラ島の42万世帯の使用電力量に相当する電力を賄う。

 また同事業は、国際協力銀行(JBIC)、アジア開発銀行(ADB)、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行およびLEAPの協調融資によるプロジェクトファイナンス案件。日本の民間金融機関融資分に対して日本貿易保険(NEXI)による海外事業貸付保険が付保されており、日本企業の力を結集している。

 インドネシアは、世界第2の地熱大国で、地熱資源量約2万8千MWを持つ。同国政府は、2028年までに地熱発電量を現在の約2千MWから約6千MWまで増加することを目標に掲げており、さらに多くの地熱資源の開発が期待されている。住友商事も、将来的に同事業の拡張や新規地熱案件の開発の検討を開始した。

 住友商事と住友商事パワー&モビリティはこれまで全世界で31件、総発電容量2525MWの地熱発電設備の納入実績を持つ。このうちインドネシアでは総発電容量の約50%を占める903MWの設備納入実績がある。住友商事は今後も、これまでに培ったノウハウを生かし、同国政府が掲げる地熱発電推進計画に貢献していく。

旭化成 不織布を用いたアート作品を代官山ノエルに出展

, , , ,

2019年12月20日

 旭化成は不織布「ECORISE」を用いたアート作品「ReBORN」を、代官山Tenohaで開催される「アート解放区 in 代官山ノエル 2019」(21~22日)に出展する。

 「ReBORN」とは素材が時間の経過により美しく生まれ変わるという概念。同作品は、時間の経過による劣化を表現する方法として錆に注目した。同社の「ECORISE」に錆を組み合わせることによって、素材が時間の重なりにより美しく生まれ変わるという、ReBORNの概念を、作品を通じて表現している。

ハネウェル 新冷媒が米評価機関で不燃クラスに分類

, , , ,

2019年12月20日

 ハネウェルはこのほど、据付型空調システム(VRF)用途向けの新冷媒「ソルスティスN41(R‐466A)」が、国際的な冷媒評価機関であるASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)から、正式にA1(不燃性)クラスに分類されたと発表した。

 新冷媒のGWP(地球温暖化係数)は、R‐410Aに比べ65%低減しており、従来のR‐410Aを代替する冷媒として、初めてASHRAE34分類A1クラスと低GWPを両立した。

 欧州のF‐Gas規制をはじめ、先進国各国では、法規制により高い地球温暖化効果を持つ製品の段階的削減が進められている。同社としても、現在空調用途で多く用いられているR‐410Aを、新冷媒に移行させていく方針だ。

 初期の検証では、この移行には機器設計の大幅な変更の必要がなく、設置取り扱いについても、追加トレーニングが不要なことが示されており、空調機器メーカーにとっても移行が容易にできるメリットがある。また、建物・住宅オーナーや、サプライチェーン全体に関わる安全性や責任などのリスク管理についても、追加条件なく移行することができる。

 同社アドバンスド・マテリアルのジョージ・カウトゼフツ・プレジデントは「この冷媒は環境配慮と省エネ化にも貢献でき、最小限の設備投資で導入できるため、エンドユーザーのコスト負担軽減にも貢献する」と述べている。

 新冷媒はすでに15社を超える大手空調機器メーカーで、業務用空調(VRFとルーフトップ空調)、住宅用空調(ルーフトップ空調)などの用途で累計30000時間を超える広範な検証が行われている。

昭和電工 森川社長「互いの強みで環境変化に対応」

, ,

2019年12月20日

 昭和電工は18日、日立化成の買収について記者会見を開催し、買収の意図やシナジーについて説明を行った。森川宏平社長は冒頭で「今回の買収は、当社が新しい仲間と共に、さらに高い山へ挑む歴史的な一歩を踏み出したことを意味する」と述べ、同社グループの100年を超える歴史の中、非常に重要な転換点だと強調した。

 昨年12月に公表した中期経営計画「The TOP 2021」では、中計最終年である2021年に「いま登っている山の頂上に立ち、さらに高い山に登る準備を整えていく」としていた。その意味で

コンテンツの残りを閲覧するにはログインが必要です。 お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

日本材料技研(JMTC) JSRと環状モノマー独占ライセンスを締結

, , ,

2019年12月19日

 日本材料技研(JMTC)は16日、JSRが保有する三官能性ベンゾオキサジンおよびその硬化物に関する特許について、独占的通常実施権許諾契約を締結したと発表した。

 対象となるモノマーは、JSRが開発したベンゼン環を中心にして3つのオキサジン環を持った星型構造を有するベンゾオキサジン。

 ベンゾオキサジンは、加熱することによって無触媒で開環重合が進み、低硬化収縮性の熱硬化性樹脂であるポリベンゾオキサジンを得ることができる環状モノマーの総称。

 ポリベンゾオキサジンは、架橋反応によってフェノール樹脂と類似のネットワーク構造を形成するため「新規フェノール樹脂」と呼ばれることもある。

 ポリベンゾオキサジンは、フェノール樹脂に類似した耐熱性、難燃性、電気特性、力学特性に加え、低吸湿性、低誘電特性、低線熱膨張性など優れた特性を持つことから、航空機で用いられる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のマトリックス樹脂や、電子部品に使われる熱硬化性樹脂の改質剤などにおける実用化が進んでいる。

 同モノマーは、含有する3つのオキサジン環の開環重合によって高度に架橋が進み、豊富な分子間および分子内水素結合を有するポリマーネットワークが得られるため、より高耐熱な熱硬化性樹脂を得ることが期待される。

 JMTCでは、今回の契約によって取得した独占的通常実施権を活用し、主に複合材料メーカーや熱硬化性樹脂メーカーに対して同モノマーを供給することで、早期の事業化を図っていく。

 JMTCは、機能材料分野に特化したファブレス型スタートアップとして、国内の企業や大学などで開発されながら事業化に至っていない新素材技術について、ライセンスアウトやカーブアウトを通じた事業化に取り組んでいる。会社設立以来これまでに、企業5社と大学2校から、有機材料・無機材料・バイオケミカルに関する技術導入を行っている。

 今後も、企業が開発した未活用技術の商業化を進めることで、日本の素材産業におけるイノベーション創出に貢献していく考えだ。