三井化学 気候変動課題解決に向けTCFDへの支持表明

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2019年1月29日

 三井化学はこのほど、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言への支持を表明した。TCFDは2017年6月、気候変動の影響を金融機関や企業、政府などの財務報告で開示を求める提言を公表。これまでに世界513の企業・団体がTCFDの提言に賛同を表明している(昨年9月末時点)。

 三井化学グループは、自社の製造段階だけでなく、バリューチェーンを通したGHG(温室効果ガス)排出削減、緩和・適応に貢献する製品、サービス提供などの様々な取り組みを強化し、その対応を情報開示していくことで、持続可能な社会の構築を目指す。

 今後も「環境と調和した共生社会」「健康安心な長寿社会」を実現するために、ESGの推進、環境貢献価値・QOL向上価値の提供をはじめとする気候変動問題の解決に向けた積極的な取り組みを継続し、社会と同社グループの持続的発展に向けて注力していく。

 同社のTCFD支持ステートメントは以下の通り。「三井化学は、気候変動関連の課題解決につながる製品、サービス、技術の提供を通じて、GHG削減強化による低炭素社会の実現と、気候変動リスクに強い健康・安心な社会の実現に貢献していきます。継続的に気候関連のリスクおよび機会に関する自社の理解を深化させ、その取り組みを開示することを明言し、TCFDの提言への支持を表明いたします」。

ダイセル 独自開発のジェットインジェクターの提供を開始

2019年1月29日

 ダイセルは28日、独自開発したジェットインジェクター「アクトランザラボ」の提供を、29日から開始すると発表した。

 アクトランザラボは火薬の燃焼エネルギーで駆動するパイロドライブジェットインジェクター。充填した薬剤候補物質を、高速のジェット流として先端のノズルから射出する。このジェット流は瞬時に皮膚を通過し、薬剤候補物質は生体内へ速やかに注入、分散される。

 これまでの研究成果から、アクトランザラボを用いて遺伝子などの高分子物質を投与すると、投与物質を細胞内にデリバリーできることを動物実験で確認している。

 ダイセルは2017年度から3年間の中期経営計画「3D‐Ⅲ」で、医療分野への注力を掲げており、その一環として医療用の投与デバイスの開発を進めている。同社の火薬工学技術(パイロテクニック)を応用したこのデバイスは、遺伝子などの高分子物質を細胞内へ効率的にデリバリーできる可能性があり、将来的なヒトへの臨床応用も見据え、動物実験用にアクトランザラボを開発した。

 アクトランザラボを製薬企業などの研究機関へ提供することで、ヒトへの応用に向けた研究を進め、遺伝子治療薬や核酸医薬、DNAワクチンなど、革新的な医薬品の実現につながる新たな薬剤投与の方法(DDS=ドラッグデリバリーシステム)の実現を目指す。

帝人 航空機向け炭素繊維強化 英社への供給期間を延長

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2019年1月29日

 帝人は28日、英ボンバルディア・エアロストラクチャーズ・アンド・エンジニアリング・サービスのエアバスA220向けの、炭素繊維「テナックス」の供給契約を延長したと発表した。

ボンバルディア社の翼部材製造工程
ボンバルディア社の翼部材製造工程

 両社は2010年に「テナックス」の供給契約を締結し、主翼やセンターウィングボックス(翼胴結合部)、尾翼などの構造材向けの指定原糸として供給してきた。新たな供給契約の締結により、契約期間は2025年まで延長されることになる。

 帝人は炭素繊維事業の拡大に向け、航空機用途を注力分野の一つとしている。高強度高弾性率炭素繊維をはじめ、熱可塑性樹脂を使用した一方向性プリプレグテープ、炭素繊維強化熱可塑性樹脂積層板、熱硬化性プリプレグ、一方向に並べた炭素繊維の束を化学繊維糸で縫い付けたシートのノンクリンプファブリックなど、幅広い製品展開により、強力に用途開発を推進している。

 今回の契約延長を機に、航空機向け炭素繊維製品のマーケットリーダーとしてソリューション提案力を一層強化し、2030年ごろまでに、航空機用途で年間9億米ドル以上の売上を目指す。

ソンウォン リサイクル材50%使用の包材を独社と開発

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2019年1月28日

 韓国の添加剤・特殊化学製品メーカーのソンウォンはこのほど、再生ポリエチレン(PE)を使用した持続可能な包装材ソリューションで、ドイツのRPC bpi nordfolien社と業務提携し協業を始めたと発表した。

 両社は印字された業務用の使用済み袋など廃棄物由来のリサイクル材を50%使用し、20kg容量の製品包装用PE袋を共同開発している。インキを取り除くために必要な溶剤もすべて、クローズドループプロセスで継続的にリサイクルする。nordfolien社は、RPCグループ傘下の企業。

 RPCグループは英国に本社を構え、34カ国190以上の拠点で事業を展開する、プラスチック包装および包装以外の用途でのプラスチックを扱う欧州最大のサプライヤーの1つである。

 その中で、nordfolien社は、最高品質の革新的な業務用・消費者向け包装材を専門とし、同社の包装ソリューションはほぼすべての業種や分野の用途を網羅する。最高品質、最高のサービス、そして圧倒的な信頼性がRPCグループ成功の基盤となっている。

 ソンウォンのマウリツィオ・ブッティCEOは「nordfolien社との提携は、ソンウォンのビジョン『地球そして人間の利益に即し、当社のすべての利害関係者のために健全かつ持続可能な成長を続けること』を実現するための革新的なパートナーとの出会いだった」とコメント。同社は持続可能性の追求を重視しており、国連が設定した17の持続可能な開発目標 (SDGs) に沿って、同社の責務としてより持続可能なソリューションを新たに生み出すことに取り組んでいる。

 ソンウォンは今後も、資源保護への取り組みを継続しつつ、プロセスを最適化することに加え、業界を牽引する他の企業と連携して各社の強みを集約し、新たな機会を創り出すことに注力していく。

富士フイルム 培地事業の成長を加速し子会社2社を統合

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2019年1月28日

 富士フイルムはこのほど、細胞培養に必要な培地のビジネス拡大に向けて事業体制をより強化するため、富士フイルム和光純薬に、アイエスジャパンを4月1日付で統合すると発表した。研究開発・製造・販売機能の一体化による機能強化などを図り、培地事業の成長を加速させていく。

 富士フイルム和光純薬は、最先端分野の研究ニーズに応える総合試薬メーカーとして、高品位の製品を開発・製造するとともに、試薬のみならず化成品や臨床検査薬へと事業領域を拡大してきた。2006年には、試薬ビジネスの拡大を図るために培地事業に参入。2012年には愛知工場内に培地生産のための専用棟を立ち上げ、事業拡大に向けた取り組みを進めている。

 またアイエスジャパンは、培地のリーディングカンパニーであるIrvine Scientific Sales Company(現FUJIFILM Irvine Scientific:FISI)の日本の販売拠点として1989年に設立。現在は、販売のみならず、開発・生産の機能も兼ね備え、顧客ニーズに合わせた培地を幅広く開発できる強みを生かして、培地事業を拡大している。

 今回、富士フイルム和光純薬にアイエスジャパンを統合し、研究開発・製造・販売機能を一体化させることで、各機能の強化と効率的なオペレーションを実現する。研究開発・製造面では、両社がもつ培地の開発ノウハウ・製造技術などを融合し、研究開発のスピードアップや生産効率のさらなる向上を図る。

 また販売面では、富士フイルム和光純薬がもつ、強固な国内販売網や幅広い細胞培養関連試薬ラインアップなどを生かして、より一層の増販を進めていく。なお、統合後も、現在の両社の生産拠点を維持した体制の下で、高品質な培地を供給していく。今後、富士フイルムは、富士フイルム和光純薬とFISIの技術連携をさらに推進していくことで、培地の開発力や製造技術をグローバルで引き上げ、顧客ニーズに合った高品質・高機能な培地を開発し提供していく。

丸紅 ベトナムで段ボール原紙の製造と包装資材販売の事業を開始

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2019年1月28日

 丸紅はこのほど、パッケージ市場の成長著しいベトナムで、100%出資の段ボール原紙製造・包装資材販売事業を開始すると発表した。

 同社は、同国バリアブンタウ省に段ボール原紙製造会社・Kraft of Asia Paperbord & Packaging社を設立し、工事着工に必要な全ての許認可を取得した。今後速やかに工事着工のうえ、2020年度下期の商業稼働を予定。2022年のフル操業時の年産能力は35万tを見込む。

 同社は、日本国内での興亜工業(丸紅出資79.95%)・福山製紙(同55%)の経営・操業経験に加え、海外での段ボール原紙事業の知見を蓄積してきた。興亜工業がもつ生産技術・ノウハウと丸紅の販売ネットワークを活用し、丸紅主導の事業運営によって、伸長するベトナム段ボール市場で事業拡大を目指す。

 世界の段ボール原紙需要は、経済規模の底堅い拡大と電子商取引の伸長などに伴い、今後も堅調に推移すると見られている。その中でもベトナムは、アセアン諸国第3位の9300万人を超える人口を擁し、国民所得の堅調な伸びに伴い段ボール原紙の内需も今後大きく増大するものと予想されている。

 また同国は、外国資本の輸出産業を数多く誘致することで堅調な経済成長を実現し、段ボール原紙需要で、タイやインドネシアなどその他アセアンの製紙先進国を大きく上回る年率10%以上の成長を続けており、2020年代前半にはアセアン最大の段ボール原紙消費国になると見込まれている。

 同社は、日本で培った省資源・省エネルギー技術を活用した段ボール原紙生産により、地域社会との共生を図りながら、同国のさらなる産業発展に貢献していく。

三井化学 小笠原諸島で海洋ごみクリーンアップ活動

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2019年1月25日

 三井化学は東京都小笠原村の協力のもと、小笠原ホエールウォッチング協会とともに、昨年12月10日に小笠原諸島・父島の松山海岸で、漂着した海洋ごみや投棄ごみのクリーンアップ活動を実施した。

 漁網やブイなどの漁具、国内外から流れ着いたペットボトルや歯ブラシなどの海洋プラごみに加え、タイヤや便器の大型ごみなどを、フレキシブルコンテナバッグで6袋分(約6㎥)を回収した。

 同社は2015年から社員と会社の共同CSR活動の一環として、寄付活動「ちびっとワンコイン」の枠組みを通じて海洋ごみ問題のパイオニアであるJEAN(ジーン)の活動を支援。海洋ごみの現状把握とともに、いま何ができるかを考える講演会やワークショップを随時開催している。

 今回は小笠原諸島での海洋ごみ問題の現状を知り、クリーンアップ活動を実施した。なお、今月28日まで葛西臨海水族園(東京都江戸川区)で、今回の活動の紹介と海洋ごみ問題の啓発パネルを展示している。

コベストロ プラ廃棄物問題の対策支援でAEPWに参加

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2019年1月25日

 コベストロは、世界各国の企業で構成される新たなネットワーク「Alliance to End Plastic Waste」(AEPW)に参加し、プラスチック廃棄物問題への取り組みを強化する。

 AEPWは、特に海洋における廃棄物の管理を強化し、その量を最小限に抑制すると同時に、使用済みプラに対する有意義なソリューションを推進することを目的としている。

 今月16日にロンドンで発足したこのイニシアチブには、現時点で化学、プラスチック、消費財、廃棄物処理業界から約30社が参加しており、今後5年間で10億ドルを超える資金を投じる。

 マーカス・スタイレマンCEOは「この国際アライアンスはイノベーションを推進し、戦略的パートナーシップを育成し、『廃棄物から価値創出』というコンセプトを成熟させて、経済的に実現可能で持続可能なソリューションにする重要なステップだ」と述べている。

 現在、同社はすでにプラスチック業界のパートナーや国際団体と協力し、プラ廃棄物が水路や環境に流出される量を可能な限り抑制する取り組みを推進。生産拠点や製品の輸送経路でのプラスチックペレットの漏出防止を目的とした国際イニシアチブ「オペレーション・クリーン・スイープ」に参加しており、社員は世界各国の水路沿いにある生産拠点周辺での清掃活動を頻繁に企画したり、活動に参加したりしている。

 また、同社はプラ廃棄物処理に対する社会の意識を高め、再利用の可能性を示すための教育活動にも取り組み、オーストラリアでは、マットレスをリサイクルするためのスキームである「ソフトランディング」を支援している。

 一方で同社は、リサイクルはプラ廃棄物だけでなく、バリューチェーン全体にとって有効であると考えている。原材料にCO2やバイオマスなどの代替炭素源の使用を増やすことにより、炭素循環のループを形成し、原油などの化石資源を節約することが可能となる。

 同社では、CO2を有効活用してプラスチックの原材料を製造する革新的技術を開発し、すでに製品として販売している。

東ソー ジルコニア開発の解析で「秀でた利用成果」優秀賞

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2019年1月25日

 東ソーはこのほど、文部科学省ナノテクノロジープラットフォームが主催する2018年度の「秀でた利用成果」で、優秀賞を受賞したと発表した。受賞した開発課題は「ジルコニアセラミックスの力学特性劣化機構の解明」。

 ファイン・セラミックスの一種である高強度ジルコニアは、高温大気や熱水中の厳しい環境下に長時間さらされると、結晶相変態による強度劣化のため常温使用に用途が制限されていた。この本質的な弱点を克服するため、同社は劣化モデルの立案とその特性改良に取り組み、従来の概念を覆す超高耐久性ジルコニアの開発に成功した。

 今回、東京大学・微細構造解析プラットフォームの高度な解析技術を利用して、この劣化モデルの妥当性を検証し強度劣化の仕組みを解明。産学連携により、理論に裏打ちされた超高耐久性ジルコニアの提案に至った。これまで制限されていた厳しい環境下での使用が、さらに拡大すると期待されている。

 「秀でた利用成果」は①ナノテクノロジープラットフォームの活用・支援が大きな効果をもたらしたもの②イノベーションの創出にあたって大きな影響が期待できるもの③産業界・大学・公的機関の連携により大きな成果が得られたものという3つの基準で審査される。イノベーションに繋がることが期待される秀逸な成果を表彰している。

 なお、今回受賞した開発成果を含む高機能材料製品を、「新機能性材料展2019」(東京ビッグサイト。30日~来月1日開催)に出展する。

 

東洋紡 透明蒸着フィルムで米社と販売契約を締結

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2019年1月25日

 東洋紡は24日、バリア性能に優れた透明蒸着フィルム「エコシアール」について、米州で包装用PETフィルムの製造・販売を手掛けるテレファン社と販売契約を締結したと発表した。今後はテレファン社の販売ネットワークを活用し、北中南米地域での同製品の販売を本格的に開始する。

 エコシアールは、2種類のセラミックス(シリカ、アルミナ)を蒸発させ、ナイロンやポリエステルフィルムにコーティングすることで高いバリア性能を付与したフィルム。

 一般的な包装フィルムの100倍を上回る高いバリア性能と防湿性能を持ち、食品の鮮度保持と消費期限の延長に貢献する。また、塩素化合物を含まない環境対応フィルム、廃棄物減量につながる包材の薄肉化が可能といった特長を併せ持つ。

 東洋紡は、2017年8月に、インドネシアのフィルム大手トリアス・セントーサ社との合弁により、同製品の生産会社を設立。今年11月から稼働を開始し、生産体制を強化していく。今回の提携により、エコシアールをはじめとし、高機能な包装用フィルムの海外展開を加速していく考えだ。

 世界的な人口増加に伴って食料需要が拡大する中、食品の消費・賞味期限を伸ばし食品ロス低減に貢献できる、高機能な包装用ハイバリアフィルムへの注目が高まっている。

 特に、内容物が見える透明蒸着フィルムの世界需要は旺盛で、年率約10%で成長を続けている。包装後に金属・異物探知機が利用できることなどがその理由だ。