三菱ケミカル インドで熱可塑性エラストマー製造設備を新設

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2019年4月1日

 三菱ケミカルは29日、昨年6月に発表したインドにあるWelset Plast Extrusions社(ムンバイ市)の塩ビコンパウンド事業の買収完了と、同事業の拠点を利用した熱可塑性エラストマー製造設備の新設を発表した。新設備の稼働は2019年度中を予定。

 Welset社の塩ビコンパウンド事業は、特にメディカル分野ではインド国内で最大のシェアをもつなど、インド・ASEAN市場で確固たる基盤がある。

 三菱ケミカルは、メディカル用塩ビコンパウンド事業に新たに参入することで、当該地域で同事業の展開を推進していくとともに、既存の塩ビコンパウンド事業についても事業拡大と加速化を図っていく。同時に今回の事業買収を機に、熱可塑性エラストマー事業へも注力していく考えだ。

 三菱ケミカルの機能性樹脂製品は、インドの自動車分野で用途展開を続けており、今後も堅調な伸びが期待されている。

 同社は現在、インドでは熱可塑性エラストマーを委託製造しているが、今回の事業買収で獲得した拠点に自前の熱可塑性エラストマー製造設備を新設することにより、製品の供給体制を拡充し、おう盛な需要に対応していく。

 同社の機能性樹脂事業はこれまで積極的なM&Aや設備投資を進め、アジアパシフィック、欧州、北米地区など世界各地域で事業拡大しており、今回の買収により同事業のネットワークは16ヵ国28拠点となった。

 同社は、今回買収した会社をアジアパシフィック地域での医療用塩ビコンパウンドの製造拠点と位置づけ、加えて自動車用熱可塑性エラストマーの製造規模拡大により、一層のグローバル展開を加速していく。

 なお、ムンバイに本社を置く新会社の社名はMCPP India(予定)、従業員数は約150人(3月1日現在)、工場はムンバイ北方のスィルヴァーサーにある。塩ビコンパウンド(メディカル用途、電線被覆用途)や、熱可塑性エラストマー樹脂(自動車用途)の製造販売を軸に展開していく。

 

クラレ テレビCMの第3弾を4月1日からオンエア

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2019年3月29日

 クラレは企業広告キャンペーンの一環として、新テレビCMを4月1日からオンエアする。昨年スタートした「クラレの真ん中(ハート)を知る時が来た」をメインコピーとする、企業広告の第3弾。引き続き、米国人女優のシャーロット・ケイト・フォックスさんがクラレ社員役を演じる。

 クラレという会社の真ん中、つまり社員一人ひとりの心(ハート)の中にある「自分たちが生み出した素材のチカラで地球、人間、社会に貢献したい」という熱い思いを、シャーロットさんが他の社員と触れ合う過程で見つけていく。

 今回のタイトルは「歯を見せて笑える世の中」。シャーロットさんは先輩社員の北村健太さんと一緒に、営業先の歯科医院を訪れる。治療の様子を見学しながら「歯医者さんとともに、歯科材料を進化させて人生100年時代の健康寿命を延ばしていきたい」と北村さんが真っ直ぐな思いを語る様子に、シャーロットさんは頼もしさを感じる。そして、「クラレハート」を手に「それが健太の真ん中なのね」と優しく微笑む。

 このキャンペーンでは、クラレグループが事業を通じて環境・社会問題の解決に貢献していることを理解してもらうとともに、グループ全体が、そんな熱い思いを持った「人」の集まりであると知ってもらえることを期待している。

 今回は、歯の治療に用いられるクラレノリタケデンタルの「歯科材料」をテーマにした。人生100年と言われる時代に、「歯科材料を進化させて、人々の健康寿命を延ばしたい」と強く思う社員を描くことで、クラレグループが歯科医療分野で生活の質の向上に貢献していることや、社員が素材のチカラで世の中の課題解決につながる仕事に誇りを持っていることを表現している。

JXTGエネルギー 埼玉でメガソーラー発電所が送電開始

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2019年3月29日

 JXTGエネルギーはこのほど、埼玉県深谷市の「岡部メガソーラー発電所」の送電を開始したと発表した。同発電所は岡部油槽所跡地の1万5000㎡の敷地に建設した。発電容量は約1.4MWで、連系出力は1000kW。東京電力エナジーパートナーに売電する。

 JXTGエネルギーは再生可能エネルギーの普及・拡大に向け、同社グループの遊休地を活用した、メガソーラー発電事業に積極的に取り組んでいる。同発電所は全国18カ所目、埼玉県では2カ所目のメガソーラー発電所として、このたび竣工式を行った。同発電所の稼働により、総発電容量は約46MWとなる。

 同社はエネルギー事業のリーディングカンパニーとして、今後も持続可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に推進していく。

JSR 蘭社とオルガノイド技術でパートナーシップ契約

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2019年3月29日

 JSRはこのほど、オランダのヒューブレヒト・オルガノイド・テクノロジー(HUB社)と、戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。契約内容は、HUB社が保有するオルガノイド関連技術を、オンコロジー(腫瘍学)領域において、前臨床スクリーニングサービスに独占的に活用するライセンスに加えて、HUB社保有のバイオバンクを利用する権利や共同開発などを含んでいる。

 同社は、子会社であるクラウン・バイオサイエンス(クラウン社)を通じ、HUB社からライセンスを得たオルガノイド技術、および非常に特徴的な腫瘍オルガノイドバイオバンクを、オンコロジー領域での前臨床スクリーニングサービスに独占的に活用していく。また、クラウン社は、オランダのユトレヒトに新たな運営拠点を設立し、オルガノイド技術のさらなる進化を加速するため、HUB社と共同開発を進めていく。

 HUB社のオルガノイドは、ユトレヒトにあるヒューブレヒト研究所のハンス・クレバース教授が開発した成体幹細胞由来のオルガノイドで、高度に標準化された培養技術によって生成される。患者の体内にある腫瘍の特徴を忠実に反映しているほか、病理学やゲノミクスなど、よく知られた指標によって特徴が把握されているため、創薬開発の効率化が期待されている。

 また、クラウン社は、PDX(Patient‐Derived Xenografts)モデルで、世界をリードしてきたが、HUB社のオルガノイド技術を得ることでPDXとオルガノイドを融合した体外スクリーニングサービスを確立し、より包括的な創薬関連サービスやトランスレーショナルリサーチサービスを提供していく。患者由来のオルガノイド(PDO)やPDX由来のオルガノイド(PDXO)による体外スクリーニングモデルは、その後段の体内スクリーニングモデルとも調和のとれたモデルとなる。

 JSRグループは、今後も新たな治療の開発プロセス全体にわたって、革新的かつ世界中の人々の健康にとって価値のある製品やサービス、技術を提供し、ライフサイエンス事業の拡大を進めていく考えだ。

 

JXTGエネルギーなど 水素の低コスト化へ、世界初の技術検証に成功

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2019年3月27日

 JXTGエネルギーはこのほど、千代田化工建設、東京大学、クイーンズランド工科大学(QUT)とともに、オーストラリアで有機ハイドライド(水素を貯蔵・運搬できる物質の一種)を低コストで製造し、日本で水素を取り出す世界初の技術検証に成功したと発表した。

 同検証は、東京大学主催の水素サプライチェーン構築を目指す社会連携研究に、各工程に必要な技術と知見をもつJXTGエネルギー(有機ハイドライド電解合成技術)、QUT(高効率の追尾型太陽光発電システム)、千代田化工建設(水素取り出し技術)が参画して実施した。

 同検証の特徴は、水素の利活用拡大に不可欠な水素の低コスト化を実現するため、有機ハイドライド製造の工程を簡素化した点にある。

 従来、水素を貯蔵・運搬する際には、水電解によって生成した水素をタンクに貯蔵し、一旦有機ハイドライドの一種であるメチルシクロヘキサン(MCH)に変換して運搬する必要があった。

 しかし、同検証では、水とトルエンから直接MCHを製造する「有機ハイドライド電解合成法」と呼ばれる製法を用いたことで、従来に比べ工程を大幅に簡略化することができた。将来的にはMCH製造に関わる設備費を約50%低減することが可能となる。

 さらに、MCH製造に必要な電力として、太陽光発電の電気を用いたことで、製造時にCO2を排出しない「CO2フリー水素」約0.2㎏の製造に成功した。

 今後は、水素社会の実現と地球温暖化の防止を目指し、同製法による「CO2フリー水素」製造技術の社会実装に向けた開発に取り組んでいく。

 

三井化学 「なでしこ銘柄」に選定、ダイバーシティを推進

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2019年3月27日

 三井化学はこのほど、女性活躍推進に優れた企業として、22日に経済産業省と東京証券取引所から、2018年度の「なでしこ銘柄」に選定されたと発表した。

 なでしこ銘柄は、「女性活躍推進」に優れた上場企業を、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて企業への投資を促進し、各社の取り組みを加速化していくことを狙いとしている。

 2018年度は東京証券取引所の全上場企業約3600社から、企業価値向上を実現するためのダイバーシティ経営に必要とされる取り組みと、その開示状況について評価が行われ、業種ごとに42社を選定した。

 同社では、社会と同社の持続可能な成長のためには多様性が必須であるとの考えから、ダイバーシティをコアバリューの一つに位置づけている。多様な人材による多様な発想は、持続的成長の基盤となるイノベーションの源泉であり、ダイバーシティの推進は重要な経営戦略の一つと考えている。

 これまでも製造現場の交替勤務職場への女性社員配属や、総合職の積極的な採用などにより、その力を事業に生かすべく取り組むとともに、女性社員が活躍できる風土醸成や働きやすい職場環境づくりを進めてきた。

 今後もダイバーシティの推進を通じて、社員一人ひとりが自らの強みを最大限発揮し、イノベーションを起こしていくような魅力ある会社を目指して取り組んでいく。

ランクセス 赤リン含むポリアミド66の代替品を提供

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2019年3月27日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、価格が高騰する赤リンを使わずに難燃性を達成したポリアミド66のコンパウンドを提供している。

 赤リンはポリアミド66に使用される難燃性添加剤として定着している。その特長は、機械的性能にほとんど影響を与えず、少量でも熱可塑性樹脂に優れた耐火性を与えること。しかし、最近、ポリアミドベースの樹脂と赤リンの価格が上昇していることから、同社は赤リンを使わないポリアミドのコンパウンドの提供を始めた。

 赤リンベースの難燃機構をもつポリアミド66コンパウンドが含有可能なガラス繊維は、通常20~40%。この代替となる素材として、同社はガラス繊維を25%含有するポリアミド66コンパウンド「デュレタンAKV25FN04」と、ポリアミド6コンパウンド「デュレタンBKV25FN04」を用意した。どちらも同様の引張弾性率、破断強度と破断点伸び率、シャルピー衝撃強度、密度をもち、600Vで高いトラッキング抵抗を示す。

 「デュレタンAKV25FN04」は、高い熱変形温度が要求される部品、あるいは0.4㎜以下のプラスチック試験片に対し、米国認証企業による難燃性規格「UL94」で V-0が要求される部品に、特に適している。

 一方「デュレタンBKV25FN04」は、0.75㎜のプラスチック試験片に対してV-0の評価を得ている。いずれもULでf1認証を受けており、これらの素材は、太陽光発電システム用のコネクターといった、屋外で水や紫外線の影響を受けやすい部品にも適している。

 同社では顧客が素材を切り替える場合、例えば要求仕様書や納入仕様書で定義された基準を満たすようサポートしていく。

AGC ガラスアンテナの開発体制を世界三極で構築

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2019年3月27日

 AGCはこのほど、ベルギー・ゴスリーに建設していた自動車用ガラスアンテナの開発拠点となる電波暗室を、3月15日に竣工したと発表した。これにより、ガラス業界初の日米欧三極で自動車用ガラスアンテナ開発体制が整備されたことになる。

 来たるべきモビリティ社会には、カメラやLiDAR(レーザー画像検出と距離測定)、センサーなどの機器によるクルマ同士あるいはクルマとすべてのものがつながるV2Xを実現する通信機能が求められる。

 そうした中、受発信アンテナの搭載と電波の出入り口として、自動車用ガラスの役割が増大。また、クルマのデザインを損ねることなく、各種放送波の受信や5Gなどの高速通信に最適なガラスアンテナデザインを設計するためには、開発段階から高度なシミュレーション技術の応用や高精度な計測技術が必要となる。

 同社は、40年以上にわたり自動車用ガラスアンテナの研究・開発・製造では業界をリードしており、すでに日本と米国の電波暗室で自動車用ガラスアンテナの設計を実施し、顧客に最適な自動車用ガラスアンテナを提供。今回、欧州での電波暗室竣工により、顧客の開発活動をグローバルに支援し、かつIoT時代の〝つながる〟クルマに対応するアンテナ開発を加速していく体制が整った。

 同社グループは、経営方針「AGC plus」の下、モビリティ分野を戦略事業のひとつに位置づけている。日米欧三極に電波暗室をもつ強みを生かし、〝つながる〟クルマの実現に貢献していく考えだ。

 

【訃報】 呉羽化学工業〈現クレハ〉元社長、元取締役会長 児玉俊一郎氏 

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2019年3月26日

児玉俊一郎氏(こだま・しゅんいちろう=呉羽化学工業〈現クレハ〉元社長、元取締役会長)3月17日午後11時53分、慢性心不全のため地域医療機能推進機構(略称JCHO)東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)で死去。92歳。葬儀・告別式は近親者のみで執り行われた。喪主は長男・敏宏氏。なお、後日に「お別れの会」を執り行う予定。現時点で日時や場所などの詳細は未定。

 

三井化学 新型ブロックポリマーの開発で化学技術賞を受賞

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2019年3月26日

 三井化学はこのほど、2018年度の日本化学会化学技術賞を受賞し、17日に表彰を受けたと発表した。同賞は日本の化学工業技術に関して、創造性と成果が特に顕著な者に対して授与される。

 今回の受賞は①三井化学がもつ独自の触媒・合成技術を活用し、ポリオレフィンとシリコーンとが結合した新型ブロックポリマー「イクスフォーラ」の製造技術開発に成功したこと②これをポリオレフィン表面改質剤として、製造販売元である三井化学ファインが用途・顧客開拓して実用化に至ったこと‐の2点が評価された。

 受賞者は生産技術研究所の岡部晃博主席研究員、朝重直樹主席研究員、松浦貞彦主席研究員、機能材料研究所の永井直主席研究員、ミツイ・ケミカルズ・アメリカの原田保氏。

 開発した「イクスフォーラ」は、ポリオレフィン材料の成形時に少量添加することで、製品の表面に離型性、撥水・撥油性、耐摩耗性という、シリコーン樹脂特有の特長を付与することができる。また、従来のシリコーン系改質剤に見られる、ブリードアウト、ポリオレフィン材料との非相溶性、成型性の低下などの課題を解決する。

 このような性能が評価され、食品残りが少ない包材・ボトルなどに採用され、フードロス削減に貢献している。また、液晶パネルに使用される光学フィルムや住宅建材などの保護フィルム、汚れが落ちやすいシートなどでも使われている。今後は、ヘルスケア分野を中心に用途開発を加速していく。