《化学企業トップ年頭所感》トクヤマ 横田浩社長

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2022年1月11日

 新型コロナウイルスの終息が見通せない一方で、世界の価値観の変化や政治・経済の対立は激しさを増した。新秩序をめぐる攻防は、地球温暖化防止、人権問題に始まり資源価格高騰へとつながり、当社を取り巻く環境は一層厳しさを増した。徳山製造所の石炭火力発電による競争優位というビジネスモデルは、もはや通用しない。

 こうした中、2021年度を初年度とする中計では3つの柱「事業ポートフォリオの転換」「地球温暖化防止への貢献」「CSR経営の推進」を掲げた。エネルギー多消費型から価値創造型へ転換することが、中計の達成ひいては会社の持続的成長につながる。特に「電子・健康・環境」の成長事業の拡大がキーで、積極的に研究開発や設備投資を実施している。

 電子分野では窒化ケイ素の量産化や電子工業用高純度薬品の海外合弁事業による生産体制の構築、韓国での現像液の設備増設を進め、健康分野では鹿島工場の歯科用充填材の新棟が完成した。研究開発では産総研や大学などとの共同開発を推進し、成長事業のスピードアップとパイプライン強化に努めた。

 今後も価値創造型企業への転換に向け、キャッシュカウの役割が期待される化成品・セメント事業の収益力を強化し、タイミングよく成長事業に投資し事業拡大できるよう、戦略的マネジメントを行っていく。

 今年は、①低炭素化と競争力確保の観点での徳山製造所の低炭素化実施計画の見直し、②事業ポートフォリオ転換に向けた研究開発・マーケティングの強化、③安全強化対策室の立ち上げと協力会と一体となった保安強化体制の構築、を加速する。世界情勢・事業環境が激変する中、当社は100年にわたって磨き続けてきたビジネスモデルからの脱却と、価値創造型企業への転換なくして生き残れない。成長事業拡大、ニュービジネス創出、脱日本、がキーワードだ。現状に留まることは最大のリスクだ。これからが大きな正念場であることを認識し、全員が一丸となってこの厳しい局面をどう乗り越えていくのか、本気で考え行動する年にしよう。

 皆さん一人ひとりの勇気ある一歩がトクヤマを変えていく。

《化学企業トップ年頭所感》帝人 鈴木純社長CEO

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2022年1月11日

 3月末をもってCEOを退任し、4月から会長職に就く。2014年の就任以来、大きな構造改革、中長期ビジョンの達成に向けて邁進し、比較的安定した業績を上げられる企業体質への転換はだいぶ進んできた。一方、私たちが目指す新たなビジネスによる収益性の高い成長を成し遂げるにはもう少し時間を要する。次の中期経営計画を策定し始める今こそ、新CEOの舵取りの下、長期ビジョン「未来の社会を支える会社」の実現に向けて新たな歩みを始めよう。私も最後まで皆さんと共に全力を尽くしていく。

 2020年から始まった現中計も最終年度を迎える。足元では新型コロナウイルスの新たな変異株が出現し、再び懸念が高まっているが、大きな流れとしては当たり前のようにウイルスと共存する社会に移り変わっていくだろう。帝人グループが関係する社会や各産業も、感染症の影響でかつての姿から変容しつつ、新たな環境に適した形で活気を取り戻していくと予想される。中計の各施策は、社会や各産業から求められる機会が一層多くなると思われるため、確実にチャンスをつかんでいきたい。

 マテリアル事業は、その多くが将来の環境貢献につながるものだ。環境やサーキュラーエコノミーへの取り組みと事業の発展は、同じスコープの中で議論し、進めていく体制ができつつあり、それこそが当社マテリアル事業のあるべき姿だと信じている。

 ヘルスケア事業は、引き続き包括的なヘルスケアビジネスの確立を目指していく。先行例のないビジネスであり、新たなチャレンジが必要となるが、自らが新しいヘルスケア事業の第一人者になる意気込みで施策を進めていきたい。また、再生医療事業や医薬品受託製造事業も今年から本格的な稼働が期待されており、グループ全体として、総合的なヘルスケアの価値提供を進めていく大きな道筋は見えてきている。

 中計目標「成長基盤の確立」は、2025年や2030年の社会が求めるものを提供できる体制づくりだ。これを具現化するためにも、イノベーションにつながる将来ビジネスとそれを支える既存ビジネスを共にしっかりと回し、「未来の社会を支える会社」に向かって、新たな気持ちで歩み出してもらいたい。

《化学企業トップ年頭所感》出光興産 木藤俊一社長

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2022年1月11日

 昨年は資源価格が高騰し、補助金や原油の国家備蓄放出といった政策が出されるなど、私たちが国民生活に直結するエネルギーの供給責任を担っていることを痛感する事態となった。

 2021年度は増収増益の見通しだが、現実は資源価格高騰が寄与するところが大きく、収益の大半は化石燃料由来ビジネスによるものだ。重要なのは、燃料油などの基盤事業で供給責任を果たし、その収益で事業構造を転換していくことだ。今年は中計の最終年度であり、次期中計策定の重要な年だ。事業環境の激変に対応し飛躍するために、事業ポートフォリオ転換の具体的方策を明確に示す予定だ。

 エネルギーと素材の安定供給という使命を見据え、カーボンニュートラル(CN)に向けた社会構造転換において、既存の事業を生かしつつ将来へのトランジションを進めることが必要だ。そのための事業戦略が、製油所・事業所の「CNXセンター」化やSSネットワークの「スマートよろずや」化だ。

 再エネやバイオ燃料、ブラックペレット、将来的にアンモニアや水素、E‐fuelなどの社会実装が、エネルギーと素材の安定供給につながる。既存事業を進化させつつ新事業領域を探索するという困難な取り組みを進めていく中で、判断に迷う場面では、我々のアイデンティティーを意識することだ。事業構造変革に向けて定めた企業理念「真に働く」とビジョン「責任ある変革者」が指針となり、「共通の拠りどころ」になるものと確信している。

 そして最も重要なことは、従業員がいきいきと働き成長し、組織としての創造性を発揮できる企業風土を創ることだ。Open、Flat、Agileな風土醸成のためには、既存業務の断捨離も欠かせない。大胆さと柔軟性をもって、改善ではなく改革レベルの断捨離に取り組み、より良い企業風土を築いていきたい。

 今年の干支・壬寅(みずのえ・とら)は「新しく立ち上がること」や「生まれたものが成長すること」を表している。社名の「興産」には、新しいものに挑戦していくという意志が込められている。この原点に立ち返り、高い理想を掲げ、当社が将来に向けて飛躍するための起点となる1年にしていこう。

旭化成 組織改正(4月1日)

2022年1月11日

[旭化成/組織改正](4月1日)【マテリアル領域】▽現行の「基盤マテリアル事業本部」、「パフォーマンスプロダクツ事業本部」、「スペシャルティソリューション事業本部」という3事業本部制から「環境ソリューション事業本部」、「モビリティ&インダストリアル事業本部」、「ライフイノベーション事業本部」からなる3事業本部制に再編する▽「旭化成エレクトロニクス」を新設する「ライフイノベーション事業本部」に移管する【研究・開発本部】▽「繊維技術開発センター」と「高機能ポリマー技術開発センター」を統合し、「サステナブルポリマー研究所」へ改称する▽「研究開発センター」を「蓄エネルギー研究所」に改称する▽「高機能マテリアルズ技術開発センター」を「先端材料・システム研究所」に改称する。

 

クボタケミックス 組織改正(1日)

2022年1月11日

[クボタケミックス/組織改正](1日)▽「中国支店」と「四国支店」を統合し、「中四国支店」とする▽「中四国支店」の管轄下に「四国営業所」を設置する▽「生産管理部」をものづくり本部からコーポレート本部に移管する。

三菱ケミカルホールディングス 4月から新体制、スリムな組織に

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2022年1月11日

 三菱ケミカルホールディングスは7日、4月1日からの新体制を発表した。

 同社は昨年12月に公表した新経営方針の中で、「戦略遂行のためのスリムな組織」を掲げ、傘下法人(三菱ケミカル、田辺三菱製薬、生命科学インスティテュート)を含めた執行体制のスリム化を目指していた。

 組織体制として、①グループが一体となって戦略を遂行する新組織体制の意義に鑑み、傘下の法人には、社長および執行役員を置かず、代表取締役が法人を代表し業務執行を行う、②従来の専務、常務などに代え、コーポレート・事業の各部門を所管する役員の呼称として、「エグゼクティブバイスプレジデント」および「シニアバイスプレジデント」を用いる、としている。

 三菱ケミカルHDの代表執行役の人事では、三菱ケミカル代表取締役常務執行役員の福田信夫氏が、代表執行役エグゼクティブバイスプレジデント(チーフサプライチェーンオフィサー)に就任。代表執行役はジョンマーク・ギルソン社長との2人体制となる。また、三菱ケミカルHD代表執行役常務の池川喜洋氏は、執行役エグゼクティブバイスプレジデント(石化/炭素所管)に就任する。一方、三菱ケミカルの代表取締役は福田氏と池川氏が兼務し、和賀昌之社長は取締役となる。

日本ゼオン 組織改正(1日)

2022年1月11日

[日本ゼオン/組織改正](1日)▽生産本部傘下に、氷見二上工場および敦賀工場の2工場を新設▽高機能部材事業部下の部材品質保証部を改編しカスタマーサービス部とする。

宇部興産 組織改正(1日)

2022年1月7日

[宇部興産/組織改正](1日)【ナイロン・ファイン事業部】▽「ナイロン営業部」を廃止し、「ナイロンポリマー営業部」、「コンポジット営業部」を新設する。

 

《化学企業トップ年頭所感》日本化学工業協会 森川宏平会長

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2022年1月7日

 一昨年、昨年と世界を揺るがせている新型コロナウイルス感染症の状況は、新たな変異型が確認され市中感染者も生じるなど、その脅威が未だに続いている。化学産業も引き続き、感染対策・安全対策を万全にし、健康で豊かな生活に必要不可欠な製品を安定供給していく。

 一方、昨年は世界がカーボンニュートラル(CN)実現に向けて大きく動き出した。4月に米国主催で気候サミットが開催され、10月末から英国グラスゴーで開催されたCOP26において、「産業革命からの気温上昇を1.5℃に抑える」という目標が合意されるなど、世界全体で気候変動対策に取り組むことが確認された。日本においても、2050年CN実現に向け、政策の具体化が進んでいる。

 CNは化学産業にとっても大変重要な目標だ。日化協は昨年5月、「製造時のGHG排出削減」「製品・サービスを通した社会全体でのGHG排出削減への貢献」を骨子とした「カーボンニュートラルへの化学産業としてのスタンス」を策定した。製造時の排出削減として、原料転換・エネルギー転換に取り組み、地中に賦存する化石資源の使用を低減していくことが必要になる。プラ廃棄物やCO2、バイオマスなど原料として製品化し炭素循環させることにより、化石資源依存から脱却し製造時のGHG排出削減に貢献できるのが、化学の大きな特長だ。本年はこれらのイノベーションの社会実装の加速に向け活動する1年としたい。

 また、軽量化材料、風力発電・太陽光発電といった再生可能エネルギー創出を支える材料などの製品・サービスを通じ、社会全体でのCNに貢献することも化学産業の役割になる。こうした化学産業の貢献が社会全体に認められるよう、日化協は、環境負荷や社会全体での削減貢献を可視化するなど、消費者の行動変容につながる仕組みづくりにも取り組んでいく。

 本年も、化学産業はソリューションプロバイダーとして、経済成長と持続可能な社会づくりの両立のため、製品の安定供給とCNに資するイノベーションを通じ、社会に貢献していく。