日本触媒の4-9月期 半期で赤字はリーマンショック以来

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2020年11月9日

 日本触媒は6日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績(IFRS)を発表した。売上収益は前年同期比19%減の1247億円、営業損失12億円(78億円減)、純損失12億円(69億円減)となった。半期で赤字となったのはリーマンショックが起こった2008年度下期以来となる。

 セグメント別に見ると、基礎化学品事業は、売上収益21%減の491億円、営業損失4億円(35億円減)。アクリル酸およびアクリル酸エステル、酸化エチレンは、需要低迷による海外市況の下落や原料価格下落に伴う販売価格の低下、また販売数量も減少した。

 機能性化学品事業は、売上収益16%減の715億円、営業損失10億円(33億円減)。高吸水性樹脂は、2、3月に発生した欧州での仮需の反動や、新興国では需要の減退も見られた。原料価格の低下によりスプレッドは改善したが、販売数量の減少や在庫評価損が増加した。欧州のNSC社の固定資産に対し減損損失を計上した。特殊エステルは、世界景気の減速により需要が低迷し販売数量が減少し、また海外市況の下落に伴い販売価格が低下した。電子情報材料、コンクリート混和剤用ポリマーなどは、需要低迷などで販売数量が減少した。

 環境・触媒事業は、売上収益24%減の41億円、営業損失1億円(6億円減)。プロセス触媒、排ガス処理触媒および脱硝触媒は、販売数量が減少した。燃料電池材料は販売価格が低下した。リチウム電池材料と湿式酸化触媒は、拡販に努め販売数量が増加した。

 なお、通期業績予想については10月8日に下方修正を発表し売上収益は前年度比14%減の2600億円、営業利益92%減の10億円を見込む。

 同日開催されたオンライン会見の中で、五嶋祐治朗社長は「下期は需要回復を想定しているが、 “日本触媒の4-9月期 半期で赤字はリーマンショック以来” の続きを読む

ダイセルの4-9月期 減収減益も7月予想からは上振れ

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2020年11月9日

 ダイセルは6日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比17%減の1753億円、営業利益49%減の91億円、経常利益46%減の102億円、純利益72%減の33億円となった。自動車エアバッグ用インフレータや、エンジニアリングプラスチックの販売数量が減少したことなどにより減収減益となった。ただ7月発表の予想からは、コストダウンの着実な実行とコロナ禍に対応した経費削減などにより利益は予想を上回っている。

 セグメント別に見ると、メディカル・ヘルスケア事業は売上高1%減の78億円、営業利益22%減の8億円。コスメ・健康食品事業は、海外での需要の先取りなどにより化粧品原料の販売数量が増加したが市況が下落した。

 スマート事業は売上高20%減の103億円、営業利益55%減の10億円。液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ事業は、ディスプレイ需要の低迷などにより、販売数量が減少。IC/半導体事業は、半導体市場の需要が堅調に推移したことで販売数量が増加した。

 セイフティ事業は売上高32%減の272億円、営業損失17億円(40億円減)。自動車エアバッグ用インフレータなどのモビリティ事業は、自動車生産台数の減少などにより、販売数量が減少した。

 マテリアル事業は売上高11%減の493億円、営業利益6%減の75億円。酢酸は需要の減少や市況の下落、酢酸誘導体は一部製品の販売数量が増加したものの販売価格低下の影響を受けた。たばこフィルター用トウは、海外主要顧客での原料確保の動きなどもあり、販売数量は横バイで推移したが、為替の影響を受けた。

 エンジニアリングプラスチック事業は売上高17%減の747億円、営業利益32%減の82億円。エンプラ事業は、自動車生産台数の減少やスマートフォンの需要が低迷した。樹脂コンパウンド事業は、自動車生産台数の減少や住宅着工件数減少の影響を受けた。シート、成形容器、包装フィルムなどの樹脂加工事業は、包装フィルムの販売が減少した。

 なお同日、通期業績予想の修正を発表。売上高3680億円(前回予想比180億円減)、営業利益220億円(同45億円増)、経常利益230億円(同35億円増)、純利益140億円(同40億円増)を見込む。第2四半期までの業績動向に加え、下期以降の事業環境の見通しや、原料価格低下メリットの確保、コストダウンなどの収益改善の取り組み、10月のポリプラスチックス完全子会社化などを踏まえている。

積水化学工業 難燃性ウレタン樹脂組成物、特許権侵害で提訴

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2020年11月9日

 積水化学工業は6日、建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム「アクアモエン」の製造・販売などを行う日本アクア(東京都港区)に対し、特許権侵害に基づく差止めおよび損害賠償を求める訴訟を、先月14日、東京地方裁判所に提起したと発表した。積水化学がもつ難燃性ウレタン樹脂組成物に関する特許権(特許第6200435号)を侵害したと判断したもの。

 同社は「知的財産権を重要な経営資源と位置付けており、当社の知的財産権を保護するために、今後も必要な措置を講じていく」とコメントしている。

昭和電工 電子材料用高純度ガス事業、四川省に合弁会社設立

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2020年11月9日

 昭和電工は6日、電子材料用高純度ガス事業強化のため、中国の成都科美特特種気体と合弁で「成都科美特昭和電子材料」を四川省成都市に設立すると発表した。出資比率は昭和電工40%、成都科美特特殊気体60%で、来年1月に営業を開始する。

 新会社では主に半導体の製造工程で使われる高純度FC-14(テトラフルオロメタン:CF4)の最終製造工程を担う。電子材料用ガスの主力製品の1つであるCF4は、量産使用からすでに40年以上が経過する、電子材料用ガスの中では最も基本・基礎的なエッチング用ガス。取り扱いの容易さに加え、ますます進む微細化加工にも適している。

 また半導体向けだけでなく有機EL製造工程などでの使用も拡大していることから、今後も堅調に需要が増加していくと見込まれている。今回の事業強化策により、昭和電工のCF4事業は、稼働中の川崎事業所と合せて2拠点体制となる。

 同社グループは、東アジア地区でのCF4の安定供給強化を実現し、今後も戦略事業である半導体プロセス材料事業の一層の拡充を図っていく考えだ。

半導体用高純度ガス合弁会社CKS(中国四川省)
半導体用高純度ガス合弁会社CKS(中国四川省)

 

旭化成 上期業績はコロナ影響により減収減益

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2020年11月9日

通期業績予想を発表、下期の環境改善を見込む

 旭化成は6日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比7%減の9894億円、営業利益25%減の768億円、経常利益26%減の775億円、純利益40%減の468億円となった。

 同日開催されたオンライン会見の中で、柴田豊取締役兼副社長執行役員は、「クリティカルケア事業を中心にヘルスケアが増益となったが、新型コロナ感染拡大の影響を “旭化成 上期業績はコロナ影響により減収減益” の続きを読む

昭光通商 1-9月期決算(5日)

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2020年11月6日

[昭光通商/1-9月期決算](5日)単位100万円、カッコ内は対前年同四半期増減率。▽連結=売上高74,967(▲17.5%)、営業利益938(▲36.8%)、経常利益1,172(▲32.8%)、純利益2,306(52.6%)。

クレハ、グループ倫理憲章を改定 人権尊重の方針を追加

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2020年11月6日

 クレハはこのほど、同社グループ倫理憲章を改定したと発表した。同社は2003年に「倫理憲章」を制定して以来、従業員をはじめ、消費者・顧客、地域社会、取引先やそのほかのステークホルダーとのかかわりといった企業活動のあらゆる場面で、人権を尊重した企業活動を行ってきた。

 今回、2011年に国連で承認された、企業が人権問題に取り組むための国際基準「ビジネスと人権に関する指導原則」や、これに基づき2017年に改定された経団連「企業行動憲章」に準じて、同社の人権尊重に関する方針を「倫理憲章」に新たな項目として定め、国連の「指導原則」を支持することを表明した。また「倫理憲章」の実施要領である「クレハコンプライアンス行動基準」に、具体的取り組みを記載し、同社コーポレートサイトで公開する予定。

 クレハは人権尊重の考え方と責任を改めて社会に表明し、今後も社会からの期待に応えて実践していくために「倫理憲章」を改定した。同社グループ全体で人権尊重の取り組みを実践し、広く社会から信頼される企業を目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献していく。

ENEOS 高耐熱波長板が〝超〟モノづくり部品で受賞

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2020年11月6日

 ENEOSはこのほど、同社の高耐熱波長板「Nanoable Waveplate(ナノアブル・ウェイブプレート)」が、「2020年〝超〟モノづくり部品大賞」(主催:モノづくり日本会議、日刊工業新聞社)の「電気・電子部品賞」を受賞したと発表した。同表彰制度は2004年にはじまり今年で17回目。日本のモノづくりの競争力向上を支援するため、産業・社会の発展に貢献する「縁の下の力持ち」的存在である部品・部材を対象としている。

バックライト上の直交2枚の偏光板間に『ナノアブル・ウェイブプレート』を設置。同製品が偏光に変化を与える(位相差を生じさせる)ことで光が透過する
バックライト上の直交2枚の偏光板間に「ナノアブル・ウェイブプレート」を設置。同製品が偏光に変化を与える(位相差を生じさせる)ことで光が透過する

 今回受賞した波長板「ナノアブル・ウェイブプレート」は、直交する光の偏光成分に所定の位相差(光路差)を生じさせる光学素子であり、ガラス基材の表面に無機材料からなるナノメートルサイズの微細構造を形成することで、光の進み方を制御する。製造にあたっては、ガラス基板へのナノインプリント技術を使い、ナノメートル(10億分の1メートル)サイズの構造体(元型)に樹脂を押し付けることにより、基材の表面に微細な凹凸構造を形成させる。

 ガラス基板に無機材料をインプリントするガラスインプリトは同社独自の技術となっている。プロジェクター用波長板などへの活用が期待される商品として2017年に販売を開始した。

『ナノアブル・ウェイブプレート』の構成
「ナノアブル・ウェイブプレート」の構成

 近年プロジェクターの光源はレーザー化に伴い高輝度・長寿命化が進んでおり、光源周りの部材についても高い耐熱性と耐光性が求められているが、無機材料のみで構成する同製品は、従来のフィルム製品の波長板に比べ耐熱性・耐光性に優れており、レーザープロジェクター用の波長板として最適な材料になる。昨年には、耐熱性の動作保証温度を140℃から200℃まで引き上げ、部品の交換頻度のさらなる低減を可能にした。

 ENEOSは、今後も常に新しい発想と挑戦のマインドをもって、同社グループの行動基準の一つである「価値ある商品・サービスの提供」に注力していく考えだ。