帝人 GM新型ピックアップトラックにCFRTPが採用

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2019年5月9日

 帝人はこのほど、同社が展開する熱可塑性炭素繊維複合材料(CFRTP)製品である「Sereebo(セリーボ)」が、米国ゼネラルモーターズ(GM)のピックアップトラック2車種に採用されたと発表した。

GMC シエラ・デナリ1500
GMC シエラ・デナリ1500

 同製品が使用されるのは、GMが今年の夏から市場展開を開始するピックアップトラック「GMC シエラ・デナリ1500」と「GMC シエラAT4 1500」のピックアップボックス(荷台)「カーボン・プロ」で、CFRTPが量産自動車の構造部材に使用されるのは世界で初めてのことになる。

 帝人が開発した「セリーボ」は、熱可塑性樹脂を使用し、世界で初めて製造タクトタイムを約1分にまで短縮したことにより、自動車部品などの量産対応を可能にした革新的なCFRTP。

 一方、「カーボン・プロ」は、帝人がGMと共同開発したピックアップボックスで、ポリアミド系樹脂を母材として、炭素繊維をランダムに分散させた「セリーボ」シリーズの製品を荷台内側のパネル部分に使用している。

 「セリーボ」を用いることで、成形時間の大幅な短縮を実現したほか、スチールを使用したピックアップボックスに比べて約40%の軽量化を実現するとともに、約10倍の耐衝撃性を有し、耐腐食性にも優れている。また、従来の素材では量産できなかった複雑なデザインの成形にも対応でき、リサイクルも容易だ。

 なお、「セリーボ」を用いた「カーボン・プロ」の荷台内側部分は、帝人グループで軽量複合材料製品の生産・販売・技術開発を展開するコンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス(CSP社)のハンティントン工場(インディアナ州)で製造される。

 帝人はTier1サプライヤーとして、素材選定から部品設計にまで踏み込んだ提案力の強化やグローバル安定供給体制の確立を図るとともに、2020年以降の環境規制強化に対応した車体の軽量化に向けた提案力強化のため、使用材料の拡充や他メーカーとの協業などを進め、マルチマテリアルでの部品供給メーカーとしてソリューション提案力を強化していく。

 さらに、2030年近傍には、自動車向け複合材料製品事業の売上を20億ドル規模へと拡大していく考えだ。

DIC インドで塗料用樹脂メーカーを買収、グローバル化加速

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2019年5月9日

 DICはこのほど、経済成長著しいインドの塗料用樹脂市場への本格的な進出を目指し、4月27日に同国のアイディール ケミ プラスト社(マハラシュトラ州)を買収したと発表した。投資額は非公開。

 アイディール社は、2004年に設立の中堅塗料用樹脂メーカー。自動車補修・コイルコーティング・木工塗料などに用いるアクリル樹脂やアルキド樹脂、ポリエステル樹脂の製造販売を行っている。

 創業メンバーの経験と人脈を生かしたマーケティング力と、ユーザーニーズにマッチした製品開発の技術力を強みに、優れた性能と低コストを実現する製品の提供を通じ、インド国内外の顧客から高い信頼を得ているという。

 DICは、インド塗料市場に精通した企業と手を結ぶことで、成長性の高い同市場に本格参入を図るため、同社と協議を重ねてきた。今回、DICのハイエンド製品に対応した樹脂開発力と、アイディール社がもつノウハウやサプライチェーンを融合することで、短期間でインド市場でのポジションを高められると判断し、買収に至った。

 DICグループは、新中期経営計画「DIC111」(2019~2021年)の中で、パフォーマンスマテリアル事業のグローバル化を掲げ、南アジアでの生産拠点拡充を地域戦略としている。成長地域であるインドをグローバル展開を加速する重要な地域と位置づけ、今後、アイディール社を足掛かりに近隣国のグループ会社と連携し、共同での製品開発や設備投資も進めながら、事業規模を拡大していく方針だ。

 

ダイセル インドのグループ会社が新社屋での稼働開始

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2019年5月9日

 ダイセルは8日、グループ会社のダイセル・キラル・テクノロジーズ(インディア)=DCTI社、インド・テランガーナ州ハイデラバード=が、今月から新社屋「DCTIナレッジセンター」の本格稼働を開始すると発表した。

 同センターは分散していた建屋の機能を集約し、包括的にサービスを提供できる設備を備えており、業務をより効率的に、環境に配慮された空間で行うことができる。3階建てで総床面積は約4600㎡。約200人の研究者が就業可能で、施設能力の課題も解消した。同センターの活用により、DCTI社はよりスムーズに顧客に製品・サービスを提供するとともに、既存事業の拡大と新規事業領域の開拓を進めていく。

 インドでキラル事業を担うため、2008年に設立されたDCTI社は、ダイセルのCPIカンパニーグループに属している。キラルカラムの販売やテクニカルサービス、受託分取サービスに加え、GMP(医薬品の製造・品質管理の基準)分析サービス、製薬企業向け分析用標品などを提供している。

 DCTI社の施設はこれまで、ハイデラバード市内のサイエンスパーク「IKPナレッジパーク」内に分散しており、事業の拡大に伴い、施設の能力も限界に達していた。

AGCの1-3月期 製品価格下落など響き減収減益

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2019年5月9日

 AGCの12月期第1四半期連結決算(IFRS)は、売上高が前年同期比3%減の3616億円、営業利益は同32%減の209億円、税引前利益は同32%減の235億円、親会社四半期純利益は同37%減の156億円。

 液晶ガラス基板や東南アジアでの苛性ソーダの価格下落、自動車用ガラスの出荷減、ユーロ安により減収となった。利益については、液晶用ガラス基板の販売価格下落や新規設備立ち上げ、 自動車用ガラス・化学品の製造コスト増加で減益となっている。

 セグメント別では、ガラスセグメントは減収減益。建築用ガラス・自動車用ガラスともにユーロ安の影響などで減収。営業利益は、建築用ガラスは増益だったが、自動車用ガラスの製造原価上昇などで、全体として減益となった。

 電子セグメントは増収減益。ディスプレイ用特殊ガラスの出荷好調などにより増収。営業利益は液晶用ガラス基板の販売価格下落などで減益となった。

 化学品セグメントは減収減益。売上高については、フッ素関連製品の出荷が堅調で、バイオ医薬品原薬の受託件数が増加したが、東南アジアでの苛性ソーダ販売価格の下落が響き、全体として減収になった。営業利益に関しては、国内拠点の定期大規模修繕や電力コストの上昇により製造原価が増加し、減益となっている。

 通期の連結業績予想は当初予想から変更なく、売上高が前期比5%増の1兆6千億円、営業利益は同4%増の1250億円、税引前利益は同8%減の1180億円、親会社当期純利益は同13%減の780億円を見込んでいる。

日本触媒の2019年3月期 営業減益も持分法利益増で経常増益

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2019年5月9日

 日本触媒の3月期連結決算は、売上高が前期比8%増の3497億円、営業利益は同2%減の261億円、経常利益は同3%増の331億円、当期純利益は同3%増の250億円。

 原料価格や製品海外市況の上昇に伴い、販売価格を修正したことなどにより増収となった。 利益面については、主に機能性化学品事業で生産・販売数量が増加したことによる数量効果があったが、加工費が増加したことなどにより、営業利益は減益。営業外損益が持分法投資利益の増加などにより増益となった結果、経常利益は増益となった。これにより、当期純利益も増益となっている。

 セグメント別では、基礎化学品事業は増収減益。エチレングリコールとエタノールアミンは減収だったが、アクリル酸及びアクリル酸エステル、酸化エチレンなどが増収になったことで、全体として増収となった。営業利益は原料価格よりも販売価格の上がり幅が大きく、スプレッドが拡大したものの、加工費や販管費が増加したことなどにより減益となった。

 機能性化学品事業は増収増益。営業利益については、加工費が増加したが、生産・販売数量が増加したことや販管費が減少したことなどで増益となった。環境・触媒事業も増収増益。販売数量が増加したことや、販管費が減少したことなどにより営業増益となった。

 2020年3月期の通期連結業績予想(IFRS)は、売上収益が3450億円、営業利益は265億円、税引前利益は320億円、当期利益は240億円の見込み。なお、20年3月期はIFRSに基づき作成しているため、日本基準を適用した19年3月期の実績値に対する増減率は記載していない。

日本ユピカ 3月期決算(7日)

2019年5月8日

[日本ユピカ/3月期決算](7日)単位100万円、カッコ内は対前期増減率。▽連結=売上高11,788(1.6%)、営業利益273(▲53.8%)、経常利益240(▲59.1%)、純利益412(▲3.1%)

カネカ 生分解性ポリマーを用いた化粧品容器を共同開発

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2019年5月8日

 カネカはこのほど、非常にユニークなプラスチックによる海洋汚染問題への解決提案素材「カネカ生分解性ポリマーPHBH」(PHBH)を用いた化粧品用容器を資生堂と共同開発することで合意したと発表した。

 カネカは、健康に加え深刻化する地球環境問題への科学技術による解決策を資生堂と協議し、持続可能で快適な社会を創造する価値の大切さで両社の意見が一致した。

 プラスチック素材の製品は、暮らしにとって便利で欠かせないものになっている一方で、適切な処理がなされないことによって、海中に漂うプラスチックが生態系や人々の健康へ影響を与える懸念が高まっている。

 こうした中、化粧品用の容器や包装材について環境負荷低減を継続的に行っている資生堂より、海水中で生分解する「PHBH」の利点が評価され、両社共同で「PHBH」を用いた製品の開発に取り組んでいく。

 「PHBH」は、カネカが開発した100%植物由来のバイオポリマーであり、幅広い環境下で優れた生分解性を保有。海水中で生分解する認証「OK Biodegradable MARINE」(30℃の海水中で、生分解度が6カ月以内に90%以上になること)を取得しており、海洋汚染低減に貢献する。

 カネカは美しい環境を次世代に引き継ぐため、新素材の開発によって環境汚染問題に貢献していく考えだ。

 

NEDO 東レなどのスマートセル新規5テーマを採択

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2019年5月8日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7日、スマートセルによる実用ターゲット物質生産のための新規5テーマを採択したと発表した。

 同事業は、植物や微生物の細胞から工業材料を生産する「スマートセルインダストリー」の実現を目指すプロジェクトの中で、これまで開発してきたスマートセル創出のための共通基盤技術などを用いて、実用ターゲット物質の生産性の向上を目的とするもの。ポリマー原料、産業用酵素、食品・化粧品・医薬品などへの展開が期待される化合物に関して、バイオ生産プロセスの確立を目指し技術開発を開始する。

 採択テーマと助成予定先は、①ポリアミド原料の発酵生産技術開発(東レ)②組み換えBurkholderia stabilis由来コレステロールエステラーゼ開発(旭化成ファーマ)③希少アミノ酸エルゴチオネイン高生産スマートセルの開発(長瀬産業)④スマートセル技術を応用した天然ヒト型長鎖セラミド高含有醤油麹菌の開発(福岡県醤油醸造協同組合)⑤生体触媒の反応機構推定に基づく高付加価値化成品の製造法開発(天野エンザイム)。

 事業期間はいずれも2019年度から2020年度まで。将来的な事業化に向けて先行事例となるテーマの課題解決を図り、スマートセルインダストリー実現に向けて開発した共通基盤技術の、さらなる向上を進めていく。